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アジャイル開発者向け社員のエンジニアリングスキルを上げる研修を考えていたらXP研修をや...
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三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社
October 06, 2025
Technology
0
6
アジャイル開発者向け社員のエンジニアリングスキルを上げる研修を考えていたらXP研修をやることになった話 / XP training program for employees to improve their engineering skills
2025年10月4日(土)に開催された「XP祭り」に登壇した際の資料です。
https://xpjug.github.io/
三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社
October 06, 2025
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Transcript
アジャイル開発者向け社員のエンジニアリング スキルを上げる研修を考えていたら XP研修をやることになった話 デジタルイノベーション本部 髙橋 博実 2025年10月
目次 アジャイル開発者向け社員のエンジニアリングスキルを上げる研修を考えて いたらXP研修をやることになった話 1: はじめに~弊社におけるシステム開発保守 に対する現状と教育について~ 03 2: XP研修の狙いと概要について 12
3: おわりに 20 2
はじめに ~弊社におけるシステム開発保守に 対する現状と教育について~ 3
Copyright(C) 2025 Mitsubishi UFJ Information Technology Ltd. All rights reserved.
4 MUITってどんな会社? 4 三菱UFJ銀行、並びにMUFGグループ各社の IT・デジタル戦略を先導する、「金融×IT」のプロフェッショナル集団 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG) 三菱UFJインフォメーションテクノロジー(MUIT)
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会社紹介 181百万円 (三菱UFJ銀行 85.5%、三菱UFJフィナンシャル・グループ 14.5%) 資本金 従業員 2,176名(2025年4月1日現在) 事業内容 主として三菱UFJ銀行、並びに三菱UFJフィナンシャル・グループ 各社の業務等に関する、システムの企画・設計・開発・保守・運用 設立 1988年6月 本社 東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス 5
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髙橋 博実 三菱UFJインフォメーションテクノロジー(MUIT) デジタルイノベーション本部 シニアテクニカルリード これまでのお仕事 市場リスク計算に 関するアプリ開発 ※銀行合併対応 アプリケーション フレームワーク (骨組み/土台)開発 スマートフォン アプリ開発でのスクラムマスター (Scrum アジャイル開発) 6 R&Dの実施、アジャイル含めた、 より良いアプリ開発等の コンシェルジュ活動 開発プロセスモダナイズ施策推進 外部への活動 Java関連イベント (JJUG CCC)登壇3回 (直近では2024/10に登壇) 開発生産性 カンファレンス登壇1回 アジャイル関連イベント(AgileJapan2021および2022、 AgileTechExpo、ふりかえりカンファレンス2022)登壇 MUIT YouTube 技術テーマ解説 JakartaOne Livestream – Japan2022登壇 https://jakartaone.org/2022/japan/ 他社との技術交流会の企画、運営 (金融アジャイルMeetup、個社との定例共同勉強会) MUIT テックブログ運営・執筆 https://zenn.dev/p/muit_techblog 自己紹介 6 $ ¥ € 日経SYSTEMSへのJava 関連寄稿1回
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アジャイル開発におけるエンジニアスキルを身に付けるために悩まれている、もしくは 同様の課題をお持ちの方への情報の一助として欲しいと考えています。 なお、実例としては、金融系IT会社である弊社を対象としていますが、他の業種・ドメイ ンであっても活用できるように説明させていただきます。 本発表の狙い 7 本日の説明内容について 7
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8 金融システムに関する特性、特徴 金融サービスは社会インフラのため、高い品質やセキュリティ、安定した保守性は必須 金融サービス、商品については長期ライフサイクルのものが多い • 定期預金の預入期間は1か月から10年まで • 住宅ローンの借入期間は最長35年 • 50年の社債 社員だけでは開発・保守要員不足のため、他社へ開発・保守を委託していることが多い その委託先会社が得意とする商用フレームワークや、開発ツールなどを使うこともあった (社内標準は定めているものの、案件事情を鑑み採択されることもある) • 特定委託先や技術にロックインしないよう、 社内標準としては複数の選択肢を構えておく
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過去何度か経験している、銀行統合によってシステム対応が急に決まり、 システムの片寄せやデータ移行など、大きな対応が必要になった場面を何度も 経験している。 その結果、時限性のある大きな対応を優先すべく、その時々にお付き合いしていた外 部委託先メンバーに頼らざるを得ないという状況となっていた。その結果、管理・PM中 心のメンバーが一定数増えてきた。 昨今は改めて内製力強化にも力をいれており、各エリアごとに戦略を立てながら進め ている状況。 何度かの銀行統合によりシステムの開発需要の急増への対応の影響 9 銀行統合といった急激な開発需要増による対処と影響
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アジャイル開発はこれまでも実施してきたものの、多くはIT、システム起点な取り組み が多かった。今回ビジネス起点での取り組みとなり、旺盛な需要に対応していく必要が 出てきた。 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/10274/ より抜粋 10 このような状況でMUFGとしてアジャイル運営開始
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導入研修、Webアプリ研修までは悉皆で受講。その後の研修については手上げでの 実施となっている。他にもOJTに関する取り組みも並行で実施。 技術系研修体系抜粋は以下。配属現場によっては新人研修以降 実装から手を離れているというメンバーもいることが考慮点となる。 11 現状の研修体系概要 導入研修 (Java 基礎、 テスト基 礎等) Webアプリ 研修 (ハッカソン 形式で チーム 開発) 開発コア スキル 研修 (設計、 開発、 テストを 一通り 実施) フロント エンド 基礎・実践 スクラムマスター研修 Agile Japan、JaSSTなど 外部カンファレンス 悉皆 手上げ 外部研修(手上げ) Eラーニング等 Eラーニン グサービ ス受け放 題プラン アジャ イル 基礎 社内メンバーによるゼミ活動 コンテナ 基礎・ 実践 他
XP研修の狙いと概要について 12
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前述のとおり、スクラムマスター研修などは実施済。Gapとなるポイントとしては、エンジニアリン グスキルをどう身に付けていくか。そこで着目したのがXPの特徴である。 13 どのように研修を拡充していくか https://www.agile-studio.jp/agile-practice-map より抜粋
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XPとは何か(エクストリームプログラミングより) • エクストリームプログラミング(XP)はソーシャルチェンジ • 効果のない技術的/社会的な古い習慣を捨て、効果のある新しい習慣を選ぶこと • 自分が今日やるべきことを十分に理解すること • 明日をよりよくしようとすること • ソフトウェア開発で人間としての欲求を満たすこと 以下の2点が重要。話を聞いたり体験を通じて理解を深めることを狙う。 14 XP研修にて学んでほしいポイント https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274217623/ より抜粋
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本来であれば、座学で体系的に学んだ後に、実践研修をしたほうが良いが、前述のとお り開発実装から長らく間があいているメンバーが対象となるため、体験に留める予定。 15 XP研修の進め方 座学でXPの概要を説明 疑似体験してもらうことで 理解を深めてもらう 講師画面を用いて 講師と受講生の中の一部メンバーで 問いを通じた自分事としての理解深堀り、 ペアプログラミング・モブプログラミングで 各種プラクティスを体験 https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274217623/ より抜粋 XPの価値と基本原則を 中心に説明 プラクティスを中心に 解説、疑似体験
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価値 • コミュニケーション • 単純さ • フィードバック • 勇気 • 尊重 研修内で取り上げるポイントとしては以下を中心に検討中 16 XPの価値、基本原則、プラクティス 原則 • 素早いフィードバック • 単純さの採用 • インクリメンタルな変更 • 変化を取り込む • 質の高い作業 • ベイビーステップ • フロー 主に取り上げたいプラクティス • ペアプログラミング • テスト駆動開発 • リファクタリング • 継続的インテグレーション
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ロナルド・ハイフェッツ氏がアダプティブマネジメント論で組織に対する課題は 技術的課題と適応課題に分類されると論じたもの。 技術的課題・・・ある課題に対して、新たな知識やスキルを身につけることにより、特定の「正解」を導き 出すことができる課題 適応課題・・・自分や組織の価値観や考え方では、そのままの活用が難しい課題 こんな新しいテクニックやツールがあるよ、と紹介・取り込み解決するのが技術的課題だが うまく組織に広めていくには、現状の実態とこれまでの背景があるため、そこと向き合って開発現場に寄 り添いながら推進することが重要。なお、この観点は補完的イノベーション論とも類似点がある。 アダプティブマネジメント、適応課題の観点を含めた形で設計する 17 問いを通じた学習を進めるための考慮点 XPとしての概要を 理解する 現場ごとの 課題を解決する 現場メンバーにうまく 活用してもらい 効果実感を得てもらう
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18 研修中に受講者へ投げかける問いの例 以下のような問いを用いて自己洞察をしてもらい、自分事化を狙っていく。 • 自分の担当しているシステムはCIが整備されて いるか? • されていない場合、その理由は把握しているか? • スモールステップでも対応していく場合にはどのように進 めたらよいか? • 同じように、リファクタリングは継続的に実施さ れているか? • ペアプログラミング、モブプログラミングを活用し たらよいと思える場面は身近にあるか? • スモールステップでも始める場合にはどのようにし たらよいか、イメージできるユースケースはあるか?
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アジャイル開発と生成AIの付き合い方、活用については順次整理中ではあるが 本研修についてはYAGNI : You Aren‘t Going to Need It(今、必要なことだけする)の 実践も兼ねて以下のような形で活用していく予定。 • 研修で利用するサンプルコードについて、生成AIを使って作成する • プロンプトの例 「社内の若手エンジニア向けに、XP(エクストリームプログラミング)の研修 を設計しています。Java言語を用いて練習問題を作成してください。Mavenを利用し、Java のバージョンは17です。」 • プラクティスの実践のやり方の一つとして、生成AIを使って試して受講生と共に付き 合い方をディスカッション、理解を深める 19 生成AIとの付き合い方 MUFG・銀行内でChatGPTを 安全に利用できるように導入済。 弊社採用ホームページより抜粋 https://www.it.mufg.jp/recruiting/fresh/topics/
おわりに 20
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今回は以下の内容でお話させていただきました。 • アジャイル開発に対するニーズの高まりに応えるべくスキル向上が必要。 • どう学んでいくか、マインドの部分を含めてエンジニアプラクティスが含まれている XP(エクストリームプログラミング)の社内研修を始めようと考えている。 • スキル、開発経験にばらつきがあるためペアプログラミング、モブプログラミングを 活用しながら疑似体験をしていく予定。 • 生成AIを活用した研修設計、整備についても試行していく。 21 まとめ
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三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社 デジタルイノベーション本部 〒164-0001 東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス https://www.it.mufg.jp/ アジャイル開発者向け社員のエンジニアリングスキルを 上げる研修を考えていたらXP研修を やることになった話