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R5 日本理科教育学会オンライン全国大会「生徒が科学的な知識体系へのコミットメントを形成する理科授業」20240324

R5 日本理科教育学会オンライン全国大会「生徒が科学的な知識体系へのコミットメントを形成する理科授業」20240324

奈良 大

March 24, 2024
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Transcript

  1. 深い学びについて 研究のねらい コミットメント (理論を使うことへの自信) 言語で説明できる 理解 星の動きを「天動説」 「地動説」でも説明できる 認知面 情意面

    コミットメント (理論を使うことへの自信) 情意面 科学的な知識体系の有用性や 調和性を実感することで形成 「地動説」のほうが有用性があり 便利に感じられるので使いたい!
  2. 研究の内容 研究の手立て 手立て1 「中核となる知識」を柱とした単元構成 手立て2 科学の文脈における学びづくり 通 読 中 核

    と な る 知 識 の 設 定 精読 発 展 的 な 課 題 味 読 問 題 の 発 見 問 題 の 解 決 科学概念や科学理論を基に観察や実験 問 題 の 発 見 問 題 の 解 決 ・・・・・・・
  3. ◇ 学級全体の活動の様子、学習プリント 科学的な知識体系を基にした発言や記述 ◇ コンセプトマップ 「中核となる知識」を中心とした科学的な知識体系の形成 研究の内容 研究の評価 ◇ 通読・精読プリント

    「中核となる知識」へのコミットメントの数値とその理由 認知面 情意面 研究全体 ◇ 授業アンケート 手立ての有効性 「中核となる知識」へのコミットメントができた理由
  4. 授業実践の内容 第2時~第7時 精読 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う もし 永久磁石や電磁石のまわりに磁界がある ならば、 まわりに鉄線を置いたり、方位磁針を置いたり すると、

    模様ができたり、方位磁針の針が動いたりする だろう。 【第2時 永久磁石や電磁石のまわりの磁界について】 もし 電流を流したコイルのまわりに磁界ができる ならば、 コイルに電流を流す と、 方位磁針の針が動く だろう。 【第3時 コイルのまわりの磁界について】
  5. 授業実践の内容 第4時~第7時 精読 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う もし 磁界の中でコイルに電流を流すと、コイルが力を受ける ならば、 コイルに電流を流す と、

    コイルが動く だろう。 【第4時~第5時 電流、磁界、力の関係について】 もし 磁界を変化させると、コイルに電圧が生じる ならば、 磁石とコイルを使って誘導電流を発生させる と、 検流計の針が振れる だろう。 【第6時 ファラデーの電磁誘導について】
  6. 授業実践の内容 第4時~第7時 精読 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う もし 直流は電流の流れる向きが一定で変わらなく、 交流は電流の向きが周期的に変わる ならば、 色の異なる2個の発光ダイオードを逆向きにつないだ器具で

    左右に振ったときとオシロスコープを使って調べる と、 直流では、発光ダイオードは直線に見え、オシロスコープの 波形は直線になり、 交流では、発光ダイオードが点滅して見え、オシロスコープの 波形は波線になる だろう。 【第7時 直流、交流について】
  7. • もともと分かっていた知識を使って発展的な課題を解くのは、 自信度に対する変化をあまり感じられなかったから • 自分には理解するのが難しかったから。 ◦ 様々な場面や他の場面、応用的な場面、複雑な場面においても 「中核となる知識」が当てはまることが分かったから。 ◦ 「中核となる知識」の後半部分である「磁界が変化すると電流

    が流れる」は教科書の通読だけでは理解しにくい、信頼しにくい ところがあったため、発展的な課題は有効だったと思うから。 ◦ 発展的な課題で『中核となる知識』の状況にかなり近い実験を して意味が分かったため、自信度が上がり、有効であったと思う から。 肯定的な回答をした生徒(34名)とその主な記述 否定的な回答をした生徒(2名)とその記述 授業実践の内容 単元末アンケートの結果 発展的な課題は、『中核となる知識』に対する自信度を高めることに有効でしたか。
  8. 参考文献 ◦ 遠西昭寿・福田恒康・佐野嘉昭「観察・実験に対する理論の優先性と解釈学的循環」 『理科教育学研究』第59巻、第1号、2018年、79–86ページ ◦ ヘッド、J.O.・サットン、C.R.(野上智行訳)「言語・理解・コミットメント」 『認知構造と概念転換』(ウエスト・パインズ編著、進藤公夫監訳)東洋館出版社、 1994年、116-128ページ ◦ 遠西昭寿・福田恒康・佐野嘉昭「ホーリズムに基づく理科授業デザインの理論と方法

    の提案」『理科教育学研究』第57巻、第4号、2017年、351-358ページ ◦ 佐野嘉昭・福田恒康・遠西昭寿「光合成と呼吸:理解のための知識の枠組み」 『理科教育学研究』第59巻、第3号、2019年、393-400ページ ◦ 遠西昭寿・久保田英慈「臨床研究ツールとしての運勢ライン法」 『日本科学教育学会研究会』報告、第18巻、第5号、2004年、37-42ページ ◦ 福田恒康・遠西昭寿「概念転換のパターンと構造―社会的相互過程として見る概念転 換―」『理科教育学研究』第57巻、第1号、2016年、45–52ページ ◦ 塚本正明『現代の解釈学的哲学』世界思想社、1995年 ◦ 石山修平『教育的解釈学/国語教育論』国語教育 名著選集、明治図書、1991年