クリエイタープラットフォーム BOOTH、FANBOXでの 銀行口座支払いとペイアウトの事例 / PayPal Tech Meetup 11 pixiv

PayPal Tech Meetup #11 Year end party! (https://eventregist.com/e/QtavWap1Vboq)
で発表したスライドです。
PayPal決済の銀行口座支払い対応とペイアウト機能のビジネスメリットと、ペイアウトの実装をどのように行ったかを説明しています

Transcript

1. クリエイタープラットフォーム BOOTH、FANBOXでの 銀行口座支払いとペイアウトの事例 PayPal Tech Meetup #11 Year end party! 今年の事例で考える日本のキャッシュレス pixiv Inc. Yusuke Koashi 2018.12.10
2. どちら様ですか 小芦 勇介 (こあし ゆうすけ) 2013年4月 ピクシブ株式会社入社 サーバーサイドエンジニア (PHP) 2018年7月 決済基盤チームにJoin 決済を扱うエンジニアになった (Scala) Twitter: @nanikaka 半年に1回くらいボソッと呟きます 2
3. 伝えたいこと ビジネス 何もしてないのに銀行口座支払いに対応できた PayPalペイアウトの導入で、海外ユーザーもサービスを最大に活かせるようになった 技術 PayPalペイアウトをどのように実装したか 3
4. ピクシブのやっていること 4
5. 今回はFANBOXとBOOTHの事例 5
6. FANBOX、BOOTHとは FANBOX = パトロンサービス 創作活動をしているクリエイターに対して支援金を継続的に 支払い、応援する クリエイターは、ファンからの支援金を受け取れる BOOTH = ECサービス 販売されている作品やグッズを購入できる ショップオーナーは、作品やグッズを販売し、売上金を受け取れる つまり、決済と送金の機能が欠かせない 6
7. FANBOXの対応している決済・送金方法 決済方法 PayPal決済 (事前承認支払い) クレジットカード決済 7 送金方法 銀行口座振込
8. BOOTHの対応している決済・送金方法 決済方法 PayPal決済 (事前承認支払い) クレジットカード決済 楽天ペイ 銀行決済 コンビニ決済 8 送金方法 銀行口座振込
9. PayPal決済が銀行口座支払いに対応した 9
10. PayPal決済が銀行口座支払いに対応した 時期 2018年10月 FANBOXで、クレジットカードが無くても支払いができるようになった ピクシブは何もしていない PayPal決済に対応していると、PayPalが決済手段を強化した場合に恩恵を受ける 10
11. 銀行口座支払い対応のお知らせ 11
12. 銀行口座支払い対応のお知らせ 12
13. 銀行口座支払い対応のユーザーの反応 13
14. 銀行口座支払い対応の実績 利用状況 PayPal決済を選択しているうち、約5%のユーザーが銀行口座支払いを利用 考察 開始から1.5ヶ月の時点で、5%というのはPayPal導入企業の中でも利用率が高い ピクシブのユーザーと銀行口座支払いは親和性が高い → 若い層 (クレジットカードを保有できない層 )が多いため 14
15. FANBOX、BOOTHの送金方法の課題点 送金方法 日本の銀行口座のみ 課題点 海外ユーザーへの送金ができず、サービスを活用できない → FANBOXでクリエイターになってファンを集められない → BOOTHでショップを持つことができない 15
16. PayPalペイアウトで解決 PayPalペイアウト PayPalアカウントのウォレットへ送金できる機能 海外ユーザーに対して送金可能になる → FANBOXやBOOTHでお金を受け取る側になれる BOOTHがPayPalペイアウトに対応した (2018年11月) FANBOXは未対応 16
17. PayPalペイアウト対応のお知らせ BOOTHでPayPalペイアウトに対応 (2018年11月6日) ユーザーの喜びの声 数値影響 数値観察の準備中とのこと 17
18. PayPalペイアウト対応のユーザーの反応 18
19. PayPalペイアウト対応のユーザーの反応 19
20. PayPalペイアウト対応のユーザーの反応 20
21. PayPalペイアウトをどのように実装したか ここから技術よりの話です 21
22. はじめに、ピクシブの決済基盤とは 背景 ピクシブでは、決済・送金機能を必要とするサービスが複数ある 各サービスの実装者が決済プロバイダの仕様を読み解いて実装していた 決済基盤 決済・送金機能を、実行・管理する役目を担う社内向けサービス (2015年) → 効率化、知見の蓄積 各サービスへ、決済・送金機能を利用するための APIを提供する 22
23. 決済基盤の立ち位置イメージ 23 決済基盤 Aさんに送金 1万円よろしく！！ Bさんに送金したやつって今 どういう状態なの？ 決済基盤
24. 今回説明するのは決済基盤 24 決済基盤
25. 決済基盤がやっていること3つ 送金依頼API 送金の状態管理 送金状態問い合わせAPI 使用技術 Scala MySQL PayPal-Java-SDK 1.14.0 (REST API) 25
26. 決済基盤がやっていること3つ 送金依頼API 送金の状態管理 送金状態問い合わせAPI 使用技術 Scala MySQL PayPal-Java-SDK 1.14.0 (REST API) 26
27. 送金依頼API: 仕様 PayPalへ送金依頼するAPI リクエスト・パラメーター 送金額 送金先メールアドレス レスポンス 送金ID: 決済基盤が発行する 送金手数料 27
28. 送金依頼API: 使用したPayPal側のAPI 3つ Create Payout API (/v1/payments/payouts) PayPalへ送金依頼をする Show Payout Batch Details API (/v1/payments/payouts/{payout_batch_id}) PayoutBatchの詳細情報を取得する Show Payout Item Details API (/v1/payments/payouts-item/{payout_item_id}) PayoutItemの詳細情報を取得する 28
29. PayoutItemとPayoutBatchの関係 PayoutItem 送金1件を表すオブジェクト 送金先情報、送金額、送金状態等を持つ PayoutBatch PayPalへの送金依頼を表すオブジェクト PayoutItemを1件以上持つ = 一括送金が可能 Create Payout API のリクエストパラメーター 29
30. 決済基盤がやっていること3つ 送金依頼API 送金の状態管理 送金状態問い合わせAPI 使用技術 Scala MySQL PayPal-Java-SDK 1.14.0 (REST API) 30
31. 送金の状態管理 モチベーション Create Payout APIが成功した ≠ 送金に成功した 送金に失敗したり、送金後にユーザーが返金することもある FANBOXやBOOTHでは、ユーザーへ送金できる額の上限を管理している ユーザーへ送金されなかった金額分は、送金額の上限に積みなおしたい そのために、PayPalへ依頼した送金の状態を追う必要がある 31
32. PayoutItemと決済基盤の送金状態 PayoutItemの送金状態(transaction_status)は10種類ある 決済基盤では5種類の送金状態を定義 → transaction_statusを抽象化 → 各サービスが扱いやすいようにする PayoutBatchにも状態があるが、決済基盤では利用していない 32
33. 33 transaction_status 簡単な説明 終端状態 決済基盤の送金状態 PENDING 初期状態 送金処理受理・処理中 NEW すぐ他の状態に遷移する 送金処理受理・処理中 ONHOLD 処理保留中 送金処理受理・処理中 UNCLAIMED PayPalアカウントなし 送金処理受理・処理中 SUCCESS 送金成功 送金成功 BLOCKED 送金失敗 YES 送金失敗 FAILED 送金失敗 YES 送金失敗 DENIED ペイアウト機能を利用できない状態 YES 送金失敗 REFUNDED 返金された YES 返金 RETURNED 送金処理キャンセル YES 送金処理キャンセル
34. 送金の状態管理 - Webhook Webhook PayPal側で起きたイベントをPayPalからクライアントへ通知する仕組み 設定できる項目 Webhookの通知先URL 受け取る通知の種類 Webhookの設定方法 DeveloperSite上で設定する 34
35. 送金の状態管理 - Webhookの受け取り設定 PayoutItemに関するイベントを全て受け取る PAYMENT.PAYOUTS-ITEM.* PayoutBatchのイベントは受け取っていない 送金依頼1件につき送金1件というユースケースのみに対応 35
36. 送金の状態管理 - Webhookの仕様 25回の再送機能 正常レスポンス(200 OK)を返せば止まる HTTPヘッダに検証用データが入っている 送信されたWebhookは検証してから信用する 到達の順序保証は無い 実際のイベント発生順とは異なる順序で Webhookが届くことがある 同じ内容のWebhook通知が重複して送信される 36
37. 送金の状態管理: 状態更新のやり方 Webhookの順序保証なし、重複送信の挙動にどう対応するかが 1番の悩みポイント 単純に、Webhookの到着順に状態更新できない → 例) 送金成功して返金された時のSUCCESSやREFUNDEDの通知が、どの順番で 来るのか不明 → 更に、重複が起きてSUCCESS、REFUNDED、SUCCESSになるかも 送金状態のマスターデータは、PayPal上の送金状態である → PayPal上の状態を都度確認するしかないという結論に至った → 通知が飛んできた = 変化が起きた、と捉えて通知内の送金状態は無視 37
38. 送金の状態管理 - Webhook Listenerの実装 Webhook Listener PayPalからのWebhook通知を受ける 処理の流れ ヘッダ内のデータを使って信用できる Webhookか検証する DBにWebhookの内容を保存する 工夫ポイント 更新処理は行わないことで、責務と処理をシンプルにする 状態更新のリアルタイム性はあまり重要でなかった 38
39. 送金の状態管理: 状態更新処理バッチの実装 処理の流れ DBに保存されたWebhookのうち、未処理のレコードがあれば 1件取得 Show Payout Item Details APIで、PayPal上の送金状態を取得する DBの次の送金状態を決定・更新する このWebhookを処理済みにする 39
40. 決済基盤がやっていること3つ 送金依頼API 送金の状態管理 送金状態問い合わせAPI 使用技術 Scala MySQL PayPal-Java-SDK 1.14.0 (REST API) 40
41. 送金状態問い合わせAPI: 仕様 指定された送金IDの送金状態を返却するAPI リクエスト・パラメーター 送金ID レスポンス 送金状態 41
42. 伝えたこと ビジネス 何もしてないのに銀行口座支払いに対応できた PayPalペイアウトの導入で、海外ユーザーもサービスを最大に活かせるようになった 技術 PayPalペイアウトをどのように実装したか 42