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設計レビューとAIハーネスで向き合う AIが生み出した新しいボトルネックの対処法 / Desi...
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July 22, 2026
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設計レビューとAIハーネスで向き合う AIが生み出した新しいボトルネックの対処法 / Design Reviews and AI Harnesses Against New Bottlenecks Created by AI
Nstock
July 22, 2026
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Transcript
設計レビューとAIハーネスで向き合う AIが生み出した新しい ボトルネックの対処法 AI DevEx Conference 2026 2026年7月22日 田中 清
/ 柿木 太志
本日お伝えしたいこと 人間と AI の責務を分け、仕組み(ハーネス)で支える 生成 AI で コードを書くコスト は劇的に下がった。だがチームの生産性は伸びない。ボトルネックは消えたのでは なく、形を変えて現れた
その変化に対応するには、まず 人間と AI の責務を分ける。設計の合意・判断・責任の所在は人間が握り、コード 生成や検証の実行は AI に渡す 渡した範囲を 仕組み(ハーネス)で支える。仕組みが先にあれば、人間は判断そのものに集中でき、品質は保てる 2
本日のアジェンダ 前半:ボトルネックの正体と、関与すべき場所の再設計 「実装スピード」は手に入った。なぜ Outcome は伸びないか ボトルネックは「書く速さ」から「資産を守る判断」へ。しかも移り続ける 人間が関与すべき場所を再設計する3方針(合意を前に倒す/責務を分ける/観点を分ける) 後半:セカンダリーチームでの実装 = AI
ハーネスの実体 3方針をハーネスでどう実装したか(設計レビュー前倒し/責務分担/観点構造化) ハーネスの全体像と運用(hooks・スキル・エージェント・自動レビュー) 成果と、それでも残る課題 3
発表者 田中 清:前半担当 Nstock 株式会社 CTO 2024年8月入社 柿木 太志:後半担当 Nstock
株式会社 セカンダリー事業部 エンジニア 2024年8月入社 4
AIの導入は進んだ。でも、課題は消えていない 個々の「実装スピード」は手に入った。では、チームは前に進んだのか
Output は増えたが、Outcome は変わっていない 個人差の拡大:AI活用できる人・できない人で生産性格差が大きく広がった アウトプット増:それでもチーム全体の実装量は増えた。PR レビューも増えた 価値の不確かさ:作る価値があったのか不明なものも、増えた 作らない判断:作るコストが下がった分、何を作り・何を 作らない かの判断が問われるようにな
った 6
速くなったのは、実装の時間だけだった では、速くならなかったのはどこか
フローは速くなったが、ストックは静かに劣化する フロー(開発プロセス) 設計 実装 レビュー デプロイ ✓ 速くなった AI が担当する範囲
ストック(積み上がる資産) デプロイのたびに積み上がる ユーザーが使い、次の開発の⼟台になる プロダクト資産 ✗ 静かに劣化する フロー=開発プロセス:設計から実装・デプロイまでの「作って届ける」流れ。AI が速くしたのはここだけ ストック=積み上がる資産:コードベース・ドメインモデル・情報設計・運用設計。Outcome を決める 8
日々の指標は健全なまま、劣化だけが進んでいく 日々の指標は健全:コード承認率は上がり、PR マージ速度・テスト網羅率・バグ数も悪化しない 静かな腐敗:それでも、ストックは静かに腐敗していく。AI が局所最適なコードを量産するほど、 加速する 信号は遅行指標:「機能追加あたりの改修コスト」の上昇に現れる頃には、劣化はかなり進んでいる 9
見えないところで変化は起きていた しかし、別の場所に顕在化してくる
ボトルネックは「書く速さ」から「資産を守る判断」へ 従来 要件定義 仕様策定 実装 テスト ボトルネック=エンジニアの⼿ 移動 AI 時代
要件定義 仕様策定 実装 テスト ボトルネック=上流の合意と判断 「エンジニアを増やす」では解消しない問題が増えている 11
しかも、一度きりではなく移り続ける 今回の移動もその一例:AI が「書く速さ」を解消し、隠れていた「判断」が表に出た 解消すれば、次が現れる:ひとつ潰しても終わらない。次に重い場所が顕在化する 固定発想では追いつかない:移り続ける前提で、「人間が関与すべき場所」を設計し直す ※ 探索期は別。捨てる前提のプロトタイプは速く作って試す。積み上げる資産とは使い分ける 12
人間が関与すべき場所を再設計する 1. 合意を前に倒す 2. AI と人間で、責務を分ける 3. 職種間で、ストックを守る観点を分ける
方針① 合意を前に倒す タイミング:コードレビューでの合意では遅すぎる。先に「とりあえず動くもの」ができてしまう 揃えるもの:目的/作らないこと/担当の責務 作らないこと:特に効く。目的は語られるが「作らない」は暗黙のまま。書けば膨張が止まる 揃える場:企画段階。多職種が持ち寄って価値を判別する(誰が何を止めるかは方針③) ※ 重い設計書を先に作る話ではない。制約を先に敷くから、後が速い 14
方針② AI と人間で、責務を分ける ⼈間が握る 不可逆な意思決定・ドメイン前提 企画 設計判断 AI実装・定型チェック が完結する 先に
引く 実装 ユーザーに届く 定型チェック (リリース) ユーザー 境界を先引き:「人間が握る範囲」と「AI がやる範囲」の境界を、先に引いておく ※「AI ですぐ直せる」が効くのは、ユーザーに届く前まで。リリース後の負債は、作り手側の理屈では片付かない 15
方針③ 職種間で、ストックを守る観点を分ける もっともらしさ問題:AI のコードは一見正しく見える。一観点のレビューでは違和感を言語化でき ない 善意頼みの限界:個人の気づき頼みでは、AI で増える判断量に追いつかない 価値ベース分担:スキルベースではなく価値ベースで、職種ごとに「何を止めるか」を持つ PdM:目的・作らないこと・優先度 Designer:体験・認知負荷
Engineer:保守性・データ設計 QA:品質リスク・検証可能性 16
方針の話はここまで では、これをどう回すのか 人間が関与すべき場所を再設計する (合意を前に倒す/AI と人間で責務を分ける/職種間でストック観点を分ける) 後半は、開発プロセスと AI ハーネスの 2 軸で、セカンダリーチームでの具体例をお話します
17
Nstock セカンダリーチームの事例 18
事例として話すこと 01 前半の 3 つの方針の具体策 02 AI ハーネスの全体像 「誰でも実装できる」状態を実現した土台 方針を開発プロセスにどう落とし込んだか
19
事例として話すこと 01 前半の 3 つの方針の具体策 02 AI ハーネスの全体像 「誰でも実装できる」状態を実現した土台 方針を開発プロセスにどう落とし込んだか
20
AI ハーネスの全体像
ハーネスの主な構成要素 Claude Code を中心に以下の要素でハーネスを構成している 構成要素 数 役割 Skills 71 コミット・PR・レビューなど手続きの定型実行
Hooks 8 破壊的操作や機密混入を止めるガードレール Subagents 15 セキュリティ・ドメインなど領域別の専門家にタスクを委譲 MCP 連携 7 Linear・Figma・Datadog など外部システムへの接続 Docs 188 ナレッジ・ルール 108 + DBスキーマ自動生成 80 Memory - 状態を保存し、セッション開始時に自動注入 Feedback Loop - テスト・リンター・型・CI で自動評価し再試行 22
AI ハーネスのイメージ図 ⼈ 依頼 結果/質問 AIエージェント (Claude Code) 呼ぶ Skills
(71) Subagents (15) MCP 連携 (7) 参照 ⾃動で発⽕ Docs (188) Memory Hooks (8) Feedback Loop 結果を返す ⾃動評価 テスト / リンター / 型 / CI Skills/Hooks/Subagents からも Feedback を呼ぶ 23
AIエージェントが自律的に動くことでエンジニア以外でも実装できる 進め方:文脈取得 → 計画・実装 → コミット・PR まで、専用 Skills が実行 専門知識:ドメイン・セキュリティなど15体のSubagentsが、計画とコードをレビュー
事故防止:危険コマンドや機密・PII の混入を、コミット前にHooksが自動で止める →エンジニアの知識・スキルの形式化 24
実装イメージ PdM・デザイナー・エンジニア 意図を⼊⼒ 意図(要件・設計・受け⼊れ条件) AI ハーネス|この中で AI エージェントが⾃⾛ Docs /
Memory / MCP ⽂脈を供給 (Linear などからも取得) ガードレール AI 実装 事故を遮断 専⾨エージェント + ⾃動テスト 評価 ⾃⼰修正ループ 成果物 エンジニア 最終承認・マージ 25
例1: PdM がCSVエクスポート機能を実装 業務データをエクスポートする機能を FE/BE まで自分で実装 DB スキーマ・業務ドメインの構造を踏まえないと実装できない領域 性能対応(DB インデックス追加)や共通化リファクタまで含む
26
例2: PdM が外部APIとの接続を含む機能を実装 郵便番号APIを使って住所を自動補完する機能を FE/BFF まで自分で実装 API 連携の注意が必要な部分(トークンキャッシュ・エラーハンドリング)まで自分で実装 27
例3: デザイナーによるデザインシステムの実装 デザイナーが、管理画面のデザインシステムを自ら整備した デザイントークン → コンポーネント定義 → コード実装 を一人で段階的に進めた 整えた定義は、AI
レビューの基準としても使われている 28
ハーネスで「誰でも実装できる」土台ができた 職種を問わず、意図を伝えれば AIエージェントがPR作成まで行う PdM・デザイナーは、プロダクションコードにコミットできるように エンジニアは、実装を任せた分、設計・レビューなどの判断に注力できるように では、この土台をチームの成果につなげるには? 29
事例として話すこと 01 前半の 3 つの方針の具体策 02 AI ハーネスの全体像 「誰でも実装できる」状態を実現した土台 方針を開発プロセスにどう落とし込んだか
30
前半の 3 つの方針の具体策
方針 ① 合意を前に倒す ② 人間と AI の責務を分ける ③ 職種間で、ストックを守る観点を分ける 32
方針は「仕組み」だけでなく「開発プロセス」も設計する 仕組みを整えるだけでは成果につながりにくい (例) ビルドトラップ 各方針について「仕組み」と「開発プロセス」の両方を設計する 設計する内容 仕組み Skills / Hooks
/ Agents / Docs / Feedback Loop 開発プロセス 誰が何を判断するか・コミュニケーション設計・レビュー体制 33
① 合意を前に倒す
誰でも開発できるようになり、一見順調に進んでいたが、、、 コードレビューで手戻りが発生するように 35
原因: 合意形成がないまま開発が進んでいた 各職種が自律的にタスクを進められる分、背景や文脈がよく分からないままコードレビューに直面 結果として、 レビュー時に機能の背景が分からず、仕様の議論に戻ってしまう 設計思想に合わないコードを最初から実装し直してもらう (最適ではない実装も増幅してしまう) 36
対策: 合意の方法を設計する コンテキストを集約 実装計画レビュー 気軽に話せる場 Linear からリポジトリへ 実装の前に合意を取る 朝会で⽇々の合意を拾う 37
コンテキストをIssueに集約し、リポジトリに反映する 合意に至るには文脈や背景の理解が重要 情報が1か所に集まることで、人も AI も文脈を拾いやすい 要件定義〜設計(PRD, Design Doc)を、1つの Linear Issue
に記載する 大きなIssueの場合にはSub-Issuesに分割 重要な知識は実装と同時にコード側の Docs へ反映し、最終的にはリポジトリに集約 あとからも追いやすいように 38
事例: Slack の会話も、Linear の Issue に集約される Slack と Linear を連携し、スレッドから直接
Issue を起票できる 会話の文脈が、元スレッドへのリンク付きで Issue に残る 39
実装の前に、「実装計画」をレビューする 実装計画 = 何を作るか、どう作るか、どの順で作るか 実装に入る前にエンジニアと認識合わせすることで、手戻りを減らせるように 実装計画は、AIエージェントとエンジニアの両方でレビュー AIレビューは、専門領域ごとの縦軸 × 全体設計を見る横軸 エンジニアは重要な部分の判断
レビュー全体のコストを下げられるように 40
気軽に仕様や設計を相談できる場をつくる リモートワークなこともあり、徐々に同期コミュニケーションの割合が減っていた 短時間の朝会を復活させ、気軽に相談のきっかけとなる場を用意した 非同期では伝わりづらい文脈や背景を補完する 41
まとめ: ① 合意を前に倒す 01 コンテキストを Issue に集約し、リポジトリに反映する 02 実装の前に、実装計画をエンジニアと AI
でレビューする 03 気軽に相談できる同期の場で、日々の小さな合意を拾う 42
② 人間と AI の責務を分ける
AIが自分で評価・検証できる部分は、仕組みで自動化する 金融ドメインの各指針・基準を遵守するための人間のチェックは欠かせない 一方、AIが生成したものを人がレビューし続けるとスケールしない 人が判断する部分を事前に決める → 仕様策定 / 設計方針 / マージ前の最終確認
他の部分はAIが自動評価可能な状態にした 44
AIが自動評価する仕組み: 推論の過程に決定論的なチェックを埋め込む Hooks・Skills・CI が、それぞれのタイミングで自動で検査する(内容は一例) タイミング チェック内容の例 コマンド実行 deny リストで危険操作をブロック( rm
-rf ・本番 DB・ .env 読取) ファイル編集 不可視文字の混入 / 機密情報・PII のハードコード 特定の変更 Controller・DTO → 監査ログ漏れ / 金額計算 → 型安全性 コミット テスト・フォーマット・機密情報を再チェック CI 機密スキャン・lint・テストを再実行 45
自動評価によって、AI が自律実行できる チケット 計画 計画承認 実装 PR 作成 ⼈間が判断 AI
が実⾏ PR 監視 マージ ⾃⼰修正ループ:テスト・リンター・CI の結果を受けて、⾃分で直す ※ ⾦額計算・認証・DB スキーマなど影響が⼤きい変更は、途中でも⼈間が確認する 46
QAもAIに任せる テストの設計から実行まで:計画時に9つの観点の表を作り、全件通るまで生成と修正を繰り返す 動作確認も AI で実施:実 DB+シードデータで起動し、実操作・スクリーンショットで自己検証 ※ 重要なロジックの人のレビューやQA エンジニアによるテストも引き続き実施 47
まとめ: ② 人間と AI の責務を分ける 01 人が判断する部分を事前に決め、他は AI が自動評価する 02
推論の過程に決定論的なチェックを埋め込む 03 自動評価を土台に、実装も QA も AI が自律実行する 48
③ 職種間で、ストックを守る観点を分ける
AI が理解しやすいよう、Docs を観点で構造化している 観点 Docs 職種 目的・背景 ドメイン Docs PdM
UI・UX デザインシステム Docs Designer 責務境界・データモデル 設計 Docs Engineer 品質リスク・検証可能性 テスト観点 Docs QA → 結果的に、職種ごとの観点の構造になっている 50
構造化されているから、各職種が自分の領域をメンテできる 51
構造化された Docs が、AI の並行作業の土台になる 1つの巨⼤なドキュメントの場合 巨⼤なドキュメント すべての知識が1か所に 観点で構造化した場合 ドメイン デザイン
Docs Docs 設計 Docs テスト Docs Subagent Subagent Subagent Subagent Subagent Subagent Subagent コンテキストが混ざり、精度と効率が落ちる ⾃分の専⾨ Docs だけを読む → 並⾏で動ける 52
AI 自身も学びを抽出して、Docs・Skills・Agents に還元する 定期実⾏で反映 (Skill) PR ごとに抽出 PR レビュー (Skill)
学び Docs 学び・知識を反映 Skills チェックリストを改善 Agents レビュー観点を改善 次の開発・レビューの基準になる AI が参照する知識と実行する手順を、常に実装と一致した状態で保てる 53
DocsやSkillsを陳腐化させず、適切に保つ DocsをCIで定期点検:適切なコンテキストを保ち、トークンも抑えられる Skills作成時にもテストを実施:実行テストと整合性チェック。劣化したら検知 54
まとめ: ③ 職種間で、ストックを守る観点を分ける 01 Docs を観点で構造化し、各職種が自分の領域を保つ 02 構造化された Docs が、AI
の並行作業の土台になる 03 AI 自身も学びを抽出し、Docs・Skills・Agents に還元する 55
今後の課題 人間側 AI に任せられる範囲は拡大したが、人の判断はなくならない 人が判断する部分を、どれだけ加速させられるか 新たな取り組み例 議論を保存・整理して、人の判断材料を準備する Skill など 生産性だけでなく、価値創造の割合を増やしていくことも重要
AI側 自律起動(ループエンジニアリング) 56
まとめ 前半: ボトルネックが「書く速さ」から「判断」へ移った。しかも、移り続ける 後半: 合意を前に倒す / 責務を分ける / 観点を分けて保つ、の3つで開発プロセスを設計した 重要なポイント
01 AIエージェントに任せる仕組み(ハーネス)と開発プロセスの両方を整える 02 人間が対応する範囲を事前に決め、人間はそこに集中する 03 仕組みは作って終わりにせず、改善し続ける 57
ご清聴ありがとうございました