Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

FastConnect の冗長性

FastConnect の冗長性

OCIの技術説明資料:FastConnect の冗長性です。
お客様ネットワークとOracle Cloud Infrastructure(OCI)間をプライベート回線で接続するサービス「FastConnect」に関する復習と、冗長化における考慮点について解説しています。

#oci #OCI #Networking #Connectivity #FastConnect #Redundancy

More Decks by Oracle Cloud Infrastructure ソリューション・エンジニア

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 1. インターネット • グローバルIP通信 • セキュリティはFWとSSL通信等で確保 • 通信速度・帯域はベストエフォート • 月10TBを超える外部へのデータ転送が課金対象

    2. VPN接続 (IPsec) • プライベートIP通信 • IPsecによりセキュリティを確保(認証,暗号化) • 通信速度・帯域はベストエフォート • VPNは無料、インターネット通信料金の対象 3. FastConnect • プライベートIP/グローバルIP通信 • プライベート回線による高いセキュリティ • 通信キャリアによる速度・帯域・品質の保証 • 固定額のポート料金のみ課金、データ転送に伴う従量課金な し、回線費用が別途必要 Oracle Cloud Infrastructure への接続方式 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 4 On-Premises 172.16.0.0/16 On-premise Data Center Oracle Cloud Infrastructure (Tokyo) VCN Dynamic Routing Gateway Internet Gateway CPE CPE CPE CPE Internet 1. インターネット VPN FastConnect 2. VPN接続 3. FastConnect 本資料では、 この接続方式における 冗長化について解説 2025/2/6
  2. FastConnect Location (東京 : Equinix TY4, 大阪 : NTTデータ 堂島4)

    外部ネットワークとOCIとの間をプライベート回線で接続するサービス • 外部ネットワークとOCIの間を、インターネットを経由せず信頼性・安定性・セキュリティの高い専用線や閉域網で接続 • パブリック・ピアリングとプライベート・ピアリングの2つのピアリング・タイプ • プライベート・ピアリングを経由した場合、外部データ転送料金(Outbound Data Transfer)の対象外 FastConnect とは Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 5 Oracle Cloud Infrastructure Region VCN Dynamic Routing Gateway On-Premises On-premise Data Center Customer/ Partner Edge Oracle Edge 通信キャリア回線 CPE オラクル提供範囲 Object Storage お客様・プロバイダ管理範囲 Public Peering Private Peering 2025/2/6
  3. プライベート・ピアリング 1. プライベート回線で「VCN内のリソース」 のみに接続する場合 (例 : コンピュート・インスタンス等) 2. 「パブリックIPを持つOCIサービス*」 と、「VCN内のリソース」

    の 両方にプライベート回線で接続したい場合 • VCNのサービスゲートウェイ経由のトランジットルーティングによって、パブリックIPをもつサービスとも接続可能 パブリック・ピアリング 1. 「パブリックIPを持つOCIのサービス*」 にプライベート回線で接続したい場合 * パブリックIPを持つOCIサービスの例 : - SaaSサービス/ オブジェクト・ストレージ/ Analytics Cloud などの パブリックIPを持つPaaSサービス/ APIエンドポイント - 一覧 : https://www.oracle.com/jp/cloud/networking/fastconnect/services/ (注意) OCIのコンソール画面については、現時点では完全な閉域での利用はできません(CDNを利用するため一部インターネット接続が 必要) プライベート・ピアリング/パブリック・ピアリング のユースケース Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 6 2025/2/6
  4. FastConnect 3つの接続モデル 2025/2/6 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates

    7 接続モデル 内容 課金単位 FastConnect パ ー ト ナ Oracleパートナー OCIリージョンまでの回線を持ち、接続サービスを提供している通信 事業者(Oracleパートナー)を利用して接続する方法 • リージョンごとのOracleパートナー一覧 https://www.oracle.com/jp/cloud/networking/fas tconnect/partners/#apac 仮想回線 (Virtual Circuit) 論理ポート : 1G 〜 100G プロバイダ帯域 : 10M〜 ※利用可能な帯域は通信事業 者によって異なります FastConnect ダ イ レ ク ト サードパーティ・ プロバイダ 「Oracleパートナー」 のリストにない通信事業者に回線を注文し、 FastConnectロケーションまで物理接続して使用する方法 クロスコネクト (Cross-Connect) 物理ポート : 1Gbps, 10Gbps, 100Gbps, 400Gbps コロケーション FastConnect ロケーションにお客様の通信機器を設置し、構内接 続で直接OCIへ接続する方法 • FastConnectロケーション : Equinix TY4(東京), NEC印西(東京), NTTデータ 堂島4(大阪) クロスコネクト (Cross-Connect) 物理ポート : 1Gbps/10Gbps/100Gbps/400G bps
  5. FastConnect ルーティング要件 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 8

    https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/Network/Concepts/fastconnectrequirements.htm#requirements 要件 サポートされるIPアドレス IPv4 および IPv6アドレス P2P IPアドレス ・ パブリック仮想回線の場合 : Oracle指定のIPアドレス ・ プライベート仮想回線の場合 : お客様指定のIPアドレス ※プライベート仮想回線ごとに、/30または/31 の1組のIPアドレス ※同じDRGに複数の仮想回線を送る場合、各仮想回線のエッジ・ルーターに異なるアドレスを使用する 最大IP MTU 9000 ルーティング・プロトコル BGPv4 BGP接頭辞の制限 ・ パブリック仮想回線の場合 : 200 ・ プライベート仮想回線の場合 : 2000 BGP ASN ・ パブリック仮想回線の場合 : 要パブリックASN ・ プライベート仮想回線の場合 : 2-byte または 4-byte の ASN をサポート ※特殊用途のASN [参考] および BGP ASN 65534 を除く ※プライベートASN : 64512〜65533が利用可(RFC-6996) ・ Oracle 側の BGP ASNは “31898” (Government Cloud等は各ドキュメントを参照) BGP MD5認証 最大128ビットのMD5認証をサポート BGPキープアライブ間隔 10秒 BGPホールドタイム間隔 30秒 高速なBGPコンバージェンスが必要な場合、CPE (顧客構内機器) にて、サポートされている範囲 (キープアライブ : 6~ 秒、ホールドタイム : 18~秒) の値を使用してください。BGP OPENメッセージの交換時にネゴシエーションされ、より低い 値で統一されます。 [Date]
  6. 障害・メンテナンス時の影響を最小限に抑えるために OCIへの接続の冗長化の必要性 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 10

    オンプレミス・ネットワーク と OCI上のネットワーク との接続は、物理的な拠点、物理的なポートを介して実現され、下記要 因などによって、中断が発生しうる。 • 機器障害 • 地域災害 • 計画メンテナンス 対象となるシステムの BCP (事業継続計画)/DR (災害復旧) 要件を順守するためには、「拠点」 や 「機器」 を冗長化し、 上記のような要因の影響を最小限に抑えることが必要。 2025/2/6
  7. 1. 接続回線の冗長化 • 接続回線の障害への対策 2. OCI側 FastConnect 物理デバイスの冗長化 • OCIのルーターの障害やメンテナンスへの

    対策 3. 通信キャリアの冗長化 • キャリア網、通信設備の大規模障害へ の対策 4. FastConnect ロケーションの冗長化 • OCIへの接続を行うデータセンターの障 害への対策 OCIへの接続の冗長化にあたっての考慮点 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 11 FastConnect Location TY4 OCI 東京リージョン VCN On-Premises Customer/ Partner Cage Oracle Cage Dynamic Routing Gateway FastConnect Location 堂島DC OCI 大阪リージョン VCN Customer/ Partner Cage Oracle Edge Dynamic Routing Gateway 1 4 2 Customer/ Partner Edge Customer/ Partner Edge CPE CPE CPE 3 1 2 3 4 2025/2/6
  8. FastConnect パートナー を利用して接続する場合 • 冗長化にあたっては、基本的にはFastConnect 2つ以 上を使用(ただし一部のFastConnectパートナーは FastConnect 1つ分で内部的に冗長化を行うものあり) •

    接続回線を提供するFastConnectパートナーやその サービスによって冗長化の方法が異なるため、利用す るパートナー様とご相談ください FastConnect ダイレクト(サードパーティ・プロバイダ or コ ロケーション) を利用して接続する場合 • 冗長化にあたっては FastConnect を2つ以上使用(2つ 分課金される) • FastConnectダイレクトを2つ作成することで、2つのクロ スコネクト(グループ)と2つの接続ポートが払い出される ため、それぞれに対して回線を接続する 考慮点1. 接続回線の冗長化 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 12 2025/2/6
  9. Internet OCI Region A VCN FastConnectのバックアップとしてインターネットVPN接続を利用することもできる 費用の削減や、多重障害時のバックアップ を目的として、FastConnectの他にIPsec VPNを利用する構成も可能 •

    IPsec VPNはインターネット回線を利用 • FastConnect と IPsec VPN は、ともに DRGに接続され、経路はDRGで制御さ れる • 通常は、FastConnectを優先経路、 IPsec VPNを代替経路となるように構 成する 考慮点1. 接続回線の冗長化 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 13 FastConnect Location A On-Premises FastConnect パートナ ネットワーク Oracle Edge Dynamic Routing Gateway VPN CPE CPE 1 2 3 4 2025/2/6
  10. FastConnectロケーション内の、複数の物理デバイス (=エッジルーター) に接続 • FastConnectを終端する物理デバイス (=エッジルーター) は複数あり、メンテナンスはローリングで実施される • 複数の物理デバイスを利用することで、機器の障害やメンテナンスによる接続断を回避/軽減することができる 考慮点2.

    FastConnect 物理デバイスの冗長化 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 14 FastConnect Location (東京 : Equinix TY4, 大阪 : NTTデータ 堂島4) Oracle Cloud Infrastructure Region VCN On-Premises On-premise Data Center Customer/ Partner Edge Oracle Edge 通信キャリア回線 /顧客ネットワーク CPE Dynamic Routing Gateway FastConnect ロケーションで提供される物 理デバイスの2つ以上に接続 ※単一障害点となり得るので、オンプレミス・ ネットワークの機器も冗長化を推奨 動的ルーティング・ゲートウェイ (DRG) 以 降の仮想ネットワークは、Oracle によって インフラの冗長化がされている 論理的なコンポーネント 物理的なコンポーネント FastConnect 1 FastConnect 2 物理デバイス1 物理デバイス2 2025/2/6
  11. FastConnect 物理デバイス冗長化の指定方法 ※ FastConnectダイレクトの場合のみ 考慮点2. FastConnect 物理デバイスの冗長化 Copyright © 2024,

    Oracle and/or its affiliates 15 • FastConnectダイレクトの場合は、2つ目以降のクロスコネクト作成時に 「ルーターの近接性の指定」を行うことで、既 存のクロスコネクトと別のルーター(物理デバイス)を指定して作成できる • 冗長化を行う場合、このオプションを必ず有効化し、別のルーターを指定する必要がある • 指定せずにクロスコネクトを作成すると、同じルーター上で2つのクロスコネクトが終端してしまう可能性がある 2025/2/6
  12. FastConnect 物理デバイス名の確認 • 作成済のクロスコネクト によって使用されている FastConnect ロケーションの物理デバイス名は、FastConnect の詳細 画面から確認が可能 •

    この値が異なっていることで、クロスコネクトがそれぞれ別のルーターに接続されていることを確認できる • もし2つのクロスコネクトの物理デバイス名が同一の場合は、OCIの機器メンテナンスで両方の接続が同時にダウンする 設定になっている。修正するにはクロスコネクトの再作成が必要 考慮点2. FastConnect 物理デバイスの冗長化 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 16 2025/2/6
  13. • OCIまでの接続回線を提供する通信キャリア(回線事業者)を2つ以上持つことで、キャリア網/キャリア設備の障害や 計画メンテナンスへの対策を行う • FastConnectパートナーを利用して接続を行う場合は、異なる通信キャリアを利用する2つ以上のパートナーを選んで FastConnectを2つ作成することで、キャリアの冗長化が実現できる • 参照 : FastConnectパートナー一覧

    https://www.oracle.com/jp/cloud/networking/fastconnect-providers.html • 異なるFastConnectパートナーであっても、バックエンドで利用するキャリアが同じ場合もあります。詳細は各FastConnectパートナー までお問い合わせください 考慮点3. 通信キャリアの冗長化 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 19 2025/2/6
  14. 2つ以上のパートナー接続を利用してキャリア冗長を図る場合は、物理デバイスの配置に特に注意が必要 もし、2つ以上のFastConnectパートナーを利用してキャリア冗長を図る場合は、パートナー同士の情報連携は自動ではさ れないため、 2つの接続が同じ物理デバイスにアサインされてしまわないように、顧客から物理デバイスの情報を FastConnectパートナーに伝えて開通時に考慮してもらう必要がある • 作業手順のイメージ 1. OCIコンソールから1つ目のFastConectパートナーを選んでFastConnect接続を構築 2.

    構築したFastConnectの物理デバイス名を確認 3. 2つ目のFastConnectパートナーに対して、あらかじめ1つ目のFastConnect接続の物理デバイス名を伝達しておく 4. OCIコンソールから2つ目のFastConnectパートナーを選んでFastConnect接続を構築 5. 2つ目のFastConnectパートナーが開通処理を行う際に、物理デバイスの冗長を考慮して作業 6. 2つ目のFastConectが開通したら、OCIコンソールから物理デバイスの冗長化が構成されていることを確認 考慮点3. キャリアの冗長化 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 20 2025/2/6
  15. リージョン内の複数ロケーションの利用 または 複数リージョンのロケーションを利用する 考慮点4. FastConnect ロケーションの冗長化 Copyright © 2024, Oracle

    and/or its affiliates 21 ロケーションの冗長化により、地域災害などへの対策が可能 1リージョン内に2つの FastConnect ロ ケーションがあるリージョンを活用 同じ国内の複数リージョンの FastConnect ロケーションを活用 2025/2/6
  16. 別リージョンを経由した代替経路の構成 別リージョンを経由したFastConnectの経路を持つことで、 FastConnectロケーションの冗長化を図ることができる 左図の構成例 • OCIは東京リージョンを利用 • 通常時は東京リージョンに直接FastConnectで接続 • 東京リージョンへの接続障害時は、大阪リージョン経由の代

    替経路で接続 • OCIの東京-大阪間はリモート・ピアリング接続によるOCIバッ クボーン回線を利用(アウトバウンド転送料金の対象、月 10TBまで無償) • 各リージョン間のレイテンシは OCIコンソールより確認できる 考慮点4. FastConnect ロケーションの冗長化 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 22 Oracle Cloud Infrastructure (Tokyo) Oracle Cloud Infrastructure (Osaka) VCN Remote Peering Connection Remote Peering Connection FastConnect On-premise Data Center Dynamic Routing Gateway Dynamic Routing Gateway FastConnect 優先経路 東京リージョンに直接接続 代替経路 大阪リージョン経由で接続 東京 (NRT) と 大阪 (KIX) 間のレ イテンシが 8.76msec と分かる ※確認時点 2025/2/6
  17. • DRGはOCIのマネージドサービスで、内部的には複数のコンポーネントにまたがって冗長化されているため、DRG自体を2 つ以上作成して冗長化することは不要 • また、そもそもVCNに対しては1つのDRGしか紐づけることができないため、たとえDRGを2つ作ったとしても、同一VCNから 外部ネットワークに到達するにあたり、2つのDRGを使うことができない 補足 : DRGの冗長化は不要 2025/2/6

    Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 23 Oracle Cloud Infrastructure Region VCN FastConnect On-premise Data Center Dynamic Routing Gateway FastConnect Dynamic Routing Gateway Oracle Cloud Infrastructure Region VCN FastConnect On-premise Data Center Dynamic Routing Gateway FastConnect ×そもそも1つのVCNに2つの DRGはアタッチできない DRGは1つだが内部的に は冗長化されている
  18. https://oracle-japan.github.io/ocidocs/services/networking/dynamic-routing-gateway/ • FastConnect や IPsec VPN 接続が冗長化されている 場合、DRGと対向ルーターの間に複数の経路が存在 することになる •

    その場合、DRGおよび対向ルーターのそれぞれで、自 身が参照するルート表のエントリーに従って経路が決 定され、パケットが転送される • 冗長化構成時の経路選択を知るにあたり、DRGその もののについて説明した資料も参考にしてください 参考 – 外部接続 詳細 動的ルーティング・ゲートウェイ 2025/2/6 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 25
  19. BGP属性 「AS_PATH」 の利用 • OCI → オンプレミス・ネットワークへの経路制御は、BGP属性の一つである「AS_PATH」を用いる • 具体的には、オンプレミス・ネットワークのデバイスにて 「as

    path prepend」 を設定し、経路の優先度を制御する • これにより、OCIから オンプレミス・ネットワークへ トラフィックを発信する際、AS_PATH が最も短いルートが採用され、着 信する • MEDや、DRG側でのLOCAL_PREF設定による制御は不可 冗長化された経路の制御 : OCI → オンプレミス・ネットワーク Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 26 Oracle Cloud Infrastructure On-Premises 172.16.0.0/16 On-premise Data Center VCN 10.0.0.0/16 Dynamic Routing Gateway FastConnect仮想回線1 FastConnect仮想回線2 CPE CPE 優先度を下げたい経路に as path prepend をセッ トし、OCIへルートをアドバタイズ AS_PATHが最も短いルートが優先されるため、 FastConnect仮想回線1 のルートが採用される ASN 65000 ASN 31898 AS_PATH [65000] AS_PATH [65000 65000] 2025/2/6
  20. (参考) DRGによる競合ルートの解決 DRGルート表で同じCIDRを宛先とするルートが複数検出された場合、DRGは次の基準で競合を解決する 1. 静的ルートは、常に動的ルートよりも優先される • 静的ルート同士で競合することはない (静的ルート・ルール内で競合するルート・ルールは定義不可) 2. 動的ルート間ではASパス長が最も短いルートが優先される

    • VCNに対しては、ASパスは常に空となる (AS_PATH=0) • 仮想回線に対しては、BGPピアから広報を受けたASパスが設定される (AS_PATH=1以上) • BGPルーティングが設定されたIPsec接続に対しては、BGPピアから広報を受けたASパスにDRGが+1して設定する (AS_PATH=2以上) • 静的ルーティングが設定されたIPsec接続に対しては、常に3が設定される (AS_PATH=3) • リモートピアリング接続(RPC)は、ピア先のDRGが持つASパスと同じ値が設定される (宛先がVCNの場合はAS_PATH=0、宛先が外部の場合はAS_PATH=1以上) 3. ASパス長が最短の経路が複数ある場合、アタッチメントの種類の優先度に従う • VCN > 仮想回線(VC) > IPsec VPN > リモートピアリング接続(RPC) 4. ASパス長が最短で同じ、かつアタッチメントの種類が同じ場合、ECMPが有効であれば全てのルートが有効になる • 仮想回線/IPsec接続でルート表のECMPが有効の場合・・・全てのルート(最大8)が有効となる 5. いずれにも当てはまらない場合は、いずれか1つのルートがランダムかつ決定論的に選択される Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 27 仮想回線のBGPピアからASパス長が4以上 を持つルートが広報された場合、静的ルー ティングが設定されたIPsec接続よりも優先 度が下がるため要注意 (特にL3で FastConnect接続する場合) https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/Network/Concepts/routingonprem2.htm#oracle-to-on-prem 2025/2/6
  21. BGP属性 「LOCAL_PREF」 の利用 • オンプレミス・ネットワーク → OCI への経路制御は、BGP属性の一つである「LOCAL_PREF」を用いる • 具体的には、オンプレミス・ネットワークの各デバイスにて

    優先したい経路の「local-preference」 の値を高く設定し、優 先度を制御する • これにより、オンプレミス・ネットワークから OCI へトラフィックを発信する際、Local Preference の値が最も高いルートが 採 用される • DRGからCPEに広報するAS_PATHやMEDの値の変更は不可 冗長化された経路の制御 : オンプレミス・ネットワーク → OCI Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 28 Oracle Cloud Infrastructure On-Premises 172.16.0.0/16 On-premise Data Center VCN 10.0.0.0/16 Dynamic Routing Gateway FastConnect仮想回線1 FastConnect仮想回線2 CPE CPE 優先度したい経路の local-preference を、 他の経路よりも高い値で設定 Local-preference が高い (200に設定されている) FastConnect仮想回線1 のルートが採用される ASN 65000 ASN 31898 LP [200] LP [100] 2025/2/6
  22. ECMPの有効化 • ECMP (Equal Cost Multi Path/等コストマルチパス) ルーティング とは、BGPを使用して、複数の FastConnect

    仮想回 線、または、複数のIPSecトンネル (ただし、回線タイプの混在ではない) を介した、ネットワーク・トラフィックのフローベース のロード・バランシングを可能にする機能 • ECMPを使用すると、最大8つの回線間のネットワーク・トラフィックの Active – Active ロード・バランシングと、フェイルオー バーが可能になる • ECMPは デフォルトでは無効化されており、動的ルーティング・ゲートウェイ(DRG) のDRGルート表ごとに有効化することが 可能 • ECMP転送の対象とみなされるのは、同じCIDR宛のルート設定を持つ経路のみ 複数仮想回線のロードバランシング Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 30 Oracle Cloud Infrastructure On-Premises 172.16.0.0/16 On-premise Data Center CPE VCN 10.0.0.0/16 Dynamic Routing Gateway 仮想回線またはIPSecトンネル (x up to 8) ECMPの有効化 ECMPの有効化 2025/2/6
  23. ECMPの注意点 • ECMPが有効化された構成において、トラフィックは必ずしも 均等に負荷分散される訳ではない OCI は 以下5つの要素を基に、一貫性のある (=ランダム性のない) 決定論的アルゴリズムに従って、トラフィックを 負荷分散させる

    • プロトコル • 宛先IP • 宛先ポート • 送信元IP • 送信元ポート • 従って、全ての 仮想回線 または IPSecトンネル を活用するには、複数の異なる要素(*)を持つトラフィックが必要となる • (*) プロトコル、異なる宛先IP/ポート、異なる送信元IP/ポートの 異なるトラフィック 複数仮想回線のロードバランシング (つづき) Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 31 2025/2/6
  24. • BFD (Bidirectional Forwarding Detection/双方向フォワーディング検出) とは、2つの隣接するデバイス間のリンクの 障害および停止の検出を可能にする機能 (RFC 5880) •

    BFDは、BGP Keepalive/Hold time の調整による切替よりも 高速なフェイルオーバーの実現に役立つ • このオプションを有効化すると、OCIデバイスは 300ミリ秒 ごとにメッセージを送信し、乗数は 3 を使用 • CPE (顧客構内機器) でも BFDが有効化されている必要があり、interval 等はネゴシエーション時により大きな値で統 一される 障害時の経路切替 : BFDを利用した高速な障害検知 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 32 https://blogs.oracle.com/oracle4engineer/post/announcing-bidirectional-forwarding-detection-and- enhancements-for-oci-fastconnect-ja お客様機器(CPE) FastConnect BFD有効 BFD有効 CPEの設定に従って、 経路を切替え 障害を検知 2025/2/6
  25. • CPE (顧客構内機器)においてBGPタイマーを調整することで、障害時の経路切替時間を短縮することが可能 • CPEがBFDに対応していない場合などは、こちらの方法で経路切替時間を調整 • DRG側は、 キープアライブ間隔 : 10秒、ホールドタイム間隔

    : 30秒で固定(変更不可) • CPE側で、サポートされている範囲 (キープアライブ : 6〜60秒、ホールドタイム : 18〜180秒) の値が指定可能 • BGP OPENメッセージの交換時にネゴシエーションされ、より低い値で統一される • 極端に短いBGPタイマーは、誤検出につながる可能性があるため、検証のうえ設定することを推奨 障害時の経路切替 : BGPタイマーによる切替時間の調整 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 33 お客様機器(CPE) FastConnect 障害の発生 BGPタイマーを短く設定 Keepalive : 6 Hold Time : 18 OCI側の設定値 Keepalive : 10 Hold Time : 30 最後のKeepaliveから、Hold Time で設定された秒 数(18秒) 経過した場合、その経路を破棄 ← Keepalive → 2025/2/6
  26. CPEでBGP Graceful Restart* を有効化していると、冗長化された機器の障害時にDRGはRestart Timerに設定された間 ルーターの再起動を待つため、冗長化されたCPEの片系障害時に、意図した時間(BGP Hold Timer, BFDで設定した値)で は経路が無効化されず、切り替えに予期せぬ時間**

    がかかってしまう → CPEでのGraceful Restart機能の無効化を推奨 * Graceful Restart - RFC4724 • ルーターが再起動しBGPセッションが切断された際、再起動が完了しBGPセッションが再確立するまで(最大値はRestart Timer値 まで)、ピア双方でRIB/FIBの内容を保持する機能 • BGPセッションを保持するため、単一ルーターの再起動に際しては短時間でセッションが回復し、通信障害からの回復が早くなる • 一部のルーター機器ではこの機能がデフォルトで有効化されている ** 例 • 例えばCisco Nexus 7000シリーズではRestart Time = 120秒が初期設定されているため、無効化しなかった場合は機器障害時に Hold Time + 120秒切り替えに時間がかかる (注意) CPEを冗長化している場合はGraceful Restart機能の無効化を推奨 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 34 2025/2/6
  27. リンクアグリゲーション (LAG/Link Aggregation) とは、複数の物理リンクを1つの論理リンクとして扱う技術 1つの物理リンクに障害が発生しても、残りの帯域で通信可能なため、帯域拡張だけでなく、耐障害性も高まる ※ただし、マルチシャーシLAG (MLAG) はサポートされないため、対象となるのは同一ルーター上のポートのみ FastConnect では

    LACP (Link Aggregation Control Protocol) を使用して実現可能 リンクアグリゲーションを利用する場合は、クロスコネクト・グループを作成する (1つのクロスコネクト・グループで最大8つま でのクロスコネクト(物理リンク)が追加可能) 参考 LAGを利用した帯域拡張 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 35 FastConnect Location A OCI Region A VCN On-Premises Customer/ Partner Cage Oracle Cage Dynamic Routing Gateway Customer/ Partner Edge CPE CPE LAG 利用時のオンプレミス・デバイス構成時の留意点 • LACPは、Oracleの物理デバイス (ルーター) に直接接続されたネッ トワーク・インタフェースで必要です。 • クロスコネクト・グループ内に単一のクロスコネクトのみが存在する 場合でも、LACPが必要です。 • サードパーティ・プロバイダがメディア変換を実行している場合は、 ユーザーのデバイスではなくプロバイダのデバイスでLACPを構成する 必要があります。 LAG ※ 異なる物理デバイス(ルーター) のポートは、対象に含められない (MLAGは未サポート) 予算上2つのクロスコネクトのみ利用可能な場合は、LAGよりもデバイスの冗長性を優先することを推奨 2025/2/6
  28. DRGの詳細画面から確認 冗長構成の確認 2025/2/6 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates

    37 DRGが単一の物理的なOracleルーターでオンプレミスへの接続を終端している場合、DRGは警告を表示します 例えば、2本のFastConnect が1つのDRGと接続されている状態で、 2本のFastConnectが単一の物理的なOracleルータで 終端されていれば以下の画像のような警告が表示される 単一のDRGに「FastConnectまたはサイト間VPN」による複数のOracleルータで終端した接続がある場合、DRGは冗長性 がある構成になっていると判断する
  29. このレッスンでは、次のことを学習しました • FastConnect とは - 復習 • 可用性を高める冗長構成 ベスト・プラクティス •

    冗長化の必要性と実装に役立つ3つのコンポーネント • 構成例と経路制御 • 冗長構成のテスト まとめ Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 39 2025/2/6
  30. 日本語マニュアル – FastConnect • https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/Network/Concepts/fastconnect.htm 日本語マニュアル – FastConnectのトラブルシューティング • https://docs.oracle.com/ja-

    jp/iaas/Content/Network/Troubleshoot/fastconnecttroubleshoot2.htm#FastConnect_Troubleshooting リージョンごとのプロバイダ • https://www.oracle.com/jp/cloud/networking/fastconnect/providers/ FastConnectに関するよくある質問 (FAQ) • https://www.oracle.com/jp/cloud/networking/fastconnect/faq/ Fastconnect 関連の技術情報 Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 40 2025/2/6
  31. Oracle Cloud Infrastructure マニュアル (日本語/ 英語) • https://docs.cloud.oracle.com/iaas/api/ - APIリファレンス

    • https://docs.cloud.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/General/Reference/aqswhitepapers.htm - テクニカル・ホワイ ト・ペーパー • https://docs.cloud.oracle.com/iaas/releasenotes/ - リリースノート • https://docs.cloud.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/knownissues.htm - 既知の問題(Known Issues) • https://docs.cloud.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/General/Reference/graphicsfordiagrams.htm - OCIアイコン・ダ イアグラム集(PPT、SVG、Visio用) ※ 日本語版は翻訳のタイムラグのため情報が古い場合があります。最新情報は英語版をご確認ください Oracle Cloud Infrastructure マニュアル・ドキュメント Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 41 2025/2/6
  32. Oracle Cloud Infrastructure 活用資料集 • https://oracle-japan.github.io/ocidocs/ チュートリアル - Oracle Cloud

    Infrastructureを使ってみよう • https://oracle-japan.github.io/ocitutorials/ Oracle Cloud ウェビナーシリーズ • https://www.oracle.com/goto/ocws-jp Oracle 主催 セミナー、ハンズオン・ワークショップ • https://www.oracle.com/search/events/_/N-2bu/ Oracle Cloud Infrastructure – General Forum (英語) • https://cloudcustomerconnect.oracle.com/resources/9c8fa8f96f/summary Oracle Cloud Infrastructure トレーニング・技術フォーラム Copyright © 2024, Oracle and/or its affiliates 42 2025/2/6