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トランスポートプロトコル標準動向(学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026)

 トランスポートプロトコル標準動向(学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026)

2026/07/15 開催
学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026 発表資料

トランスポートプロトコル標準動向
デジタル・クレデンシャル伝達プロトコルの現在地と今後の展望

発表者:富士榮 尚寛
所属:一般社団法人 OpenIDファウンデーション・ジャパン 代表理事

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OpenID Foundation Japan

July 15, 2026

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Transcript

  1. 学術 デジ タル ・ク レデン シャ ル円 卓会 議 20

    26 — 第一 部 標準 化の 動向 トランスポートプロトコル標準動向 デジタル・クレデンシャル伝達プロトコルの現在地と今後の展望 富士榮 尚寛 一般社団法人 OpenIDファウンデーション・ジャパン 代表理事 2026年7月15日|一橋講堂
  2. 課題:クレデンシャルの用途ごとに分断されたスタック 学修歴・マイクロクレデンシャル 学生証・身分証 フォーマット フォーマット Open Badges 3.0 (W3C VCベース)

    mdoc (ISO/IEC 18013-5) プロトコル プロトコル 発行・交換は Badge Connect API (1EdTech 独自/OAuth 2.0) 対面:18013-5 オンライン:18013-7(複数案) 用途別の個別最適化が進行中 — 運用の大きな壁に 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 卒業・成績証明(欧州) フォーマット ELM/SD-JWT VC 等 プロトコル OID4VCI/OID4VP (EUDIWのスキームで展開) フォーマットもプロトコルもバラバラなまま導入が進めば、国内外での相互 2
  3. 整理:3つのレイヤに分けて議論する トラストフレームワーク 発行者の信頼性・トラストリスト・レジストリ(OpenID Federation 等) ポイント フォーマットの選択とプ ロトコルの選択は別の意 思決定。 クレデンシャルフォーマット

    混ぜて議論すると「全部 入れ替え」の話になり前 に進まない。 W3C VC / SD-JWT VC / mdoc トランスポートプロトコル(本日のスコープ) 発行:OID4VCI / Badge Connect API 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 提示:OID4VP / 18013-5、-7 / DC API 3
  4. OpenID for Verifiable Credentials(OIDF) OID4VCI 1.0 (2025/9) /OID4VP 1.0 (2025/7)

    が Final 仕様に SD-JWT VC・mdoc・W3C VC いずれのフォーマットも運べる「フォーマット非依存」設計 HAIP (2025/12) が Final 仕様に:オプションを絞り込む相互運用プロファイル High Assurance Interoperability Profile。仕様上の選択肢を限定し「実装すれば繋がる」状態をつくる 適合性テスト(self-certification)が2026年2月に開始 OpenID Connectと同様のコンフォーマンス・エコシステムが立ち上がり、実装品質を客観評価できる段階へ 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 4
  5. ISO/IEC 18013 シリーズ(mdoc) 18013-7:2025:オンライン提示 QR/NFCエンゲージメント+BLE等でリーダーに提 示。モバイル運転免許証(mDL)で世界的に実績。 Annex A(Web API)/Annex B(OpenID4VP)に

    加え、W3C DC APIを用いるプロファイル(Annex C/D)の策定が進行。ISO WG10、FIDOアライアン ス、OpenID FoundationのジョイントWGで次世代 提示プロトコル策定中(DCHP WG/OIDFに設置) 「どれを選ぶか」問題 デジタル学生証への含意 オプションの組み合わせが多く、相互運用の単位が 定まりにくい。マイナンバーカードのスマホ搭載や モバイル免許証の検討でも顕在化した論点。 mdocベースの学生証も同じ選択問題に直面する。 プロファイルを決めずに個別実装が進むと、大学ご と・ベンダごとに非互換となるリスク。 18013-5:対面(proximity)提示 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 5
  6. W3C Digital Credentials API — ブラウザが収斂点に 1 navigator.credentials.get() Webサイトからウォレットを安全に呼び出す仕組み をブラウザ自体が標準装備。

    カスタムURLスキーム方式の課題(スキームの奪い 合い・フィッシング・UX断絶)を解消し、OSのウ ォレット選択UIに統合。 Chrome 141で正式出荷(2025年9月)。Android同一端末+QRのク ロスデバイス対応。発行APIはOrigin Trial中 2 Safari Safari 26(iOS/iPadOS/macOS 26)で対応。org-isomdocプロトコルをサポート 3 Firefox 実装に着手(UX作業が進行中) 対応プロトコルは仕様に明記: OpenID4VP / ISO 18013-7 Annex C(提示)、 OID4VCI(発行・試験段階) 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 4 EUDIW ARF W3C勧告化を条件に、加盟国ウォレットへDC API対応を要 求 → 提示チャネルの本命に 6
  7. DC API:利用者から見た体験とメリット 利用イメージ:卒業証明をオンラインで提出する 何が良くなるのか 1 サイトの「証明書を提示」ボタンを押す 検証サイト側は navigator.credentials.get() を呼ぶだけ 2

    ブラウザ/OSが標準UIで確認画面を表示 ウォレット選択も提示内容の確認もOSが提供。アプリを探して起 動する必要がない 3 生体認証で同意 — 開示する属性だけを選択 「学位のみ」「在籍のみ」など必要最小限の提示(選択的開示) 4 迷わない QR読み取り・アプリ切替・スキーム分岐が消え、 提示は「ボタン→生体認証」の2手に 騙されにくい 呼び出し元オリジンをブラウザが検証し、ウォレ ットに伝達。偽サイトへの誤提示を防ぐ 出しすぎない 属性単位の選択的開示が標準の同意UIに組み込ま れる 導入が軽い 検証完了。PCで受けた要求をスマホで応答も可 QRコード経由のクロスデバイス提示に標準対応 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 検証サイトはJavaScript数行。特定ウォレット・ 特定ベンダに依存しない 7
  8. DC API:利用者の画面イメージ recruit.example.jp 提示内容の確認 recruit.example.jp 提示先:recruit.example.jp 採用応募フォーム 氏名 学位・授与大学 証明書の選択

    recruit.example.jp からの要求 卒業年月 提出が完了しました 卒業証明書の提出 卒業証明書 証明書を提示 ウォレットから安全に提出できます 成績(提示しない) 署名 を検 証済 み 大学ウォレット 学位記 ◦◦ウォレット 生体認証で同意 ① ボタンを押す ② OSの標準UIで選択 ③ 確認して生体認証 ④ 検証完了 サイトは credentials.get() を 呼ぶだけ ウォレットと証明書をOSが提示。 アプリを探す必要なし 開示する属性だけを選択 (選択的開示) 応答がサイトに返り、 署名を検証して受理 ※画面はイメージ。②の選択UIと③の同意UIはOS・ウォレットが提供 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 8
  9. 欧州:EUDIW と学術クレデンシャル 2026年末 eIDAS 2.0:全27加盟国が EUDIWallet提供義務の期限 ARF(Architecture Reference Framework)はOID4VCI/OID4VPが 中核プロトコル

    DC4EU:教育分野の大規模パイロット 25カ国・100機関超が参加。卒業証明・マイクロクレデンシャルを EUDIWで発行・国境を越えて検証 ELM+QEAA として学術クレデンシャルを発行 European Learning Model形式。適格な属性証明(QEAA/PuBEAA)として法的効力を持たせる設計 「教育専用基盤」ではなく認定ウォレットに載せる 学生証・学位・資格を運転免許や保険証と同じウォレット・同じ プロトコルで流通させる方向 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 9
  10. 日本の現在地:基盤系と教育系が別トラックで進行 マイナンバーカードのスマホ搭載 マイナ免許証/モバイル免許証 iPhone搭載は2025年6月開始(mdoc採用)。Android のmdoc対応は2026年秋頃の予定 カード方式のマイナ免許証は2025年3月運用開始。ス マホ搭載(mDL)は「極力早期の実現」を目指す検討 段階で時期未定 デジタル学生証 オープンバッジ

    mdocベースの学生証プラットフォーム検討が進行( 本日のベンダセッションにも登場) 大学・資格団体での発行が拡大。ただし発行・交換は OpenBadges API(Badge Connect)が中心 基盤系はmdoc、教育系はOpenBadges/VC — 分野ごとの縦割りのまま進めば、欧州と同様の統合シナリオが描け なくなる 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 10
  11. 展望:収斂のトレンド 提示は「DC API + OID4VP」へ収斂の兆し。発行は OID4VCI と分野独自APIが併存 ブラウザ・EUDIW・ISO 18013-7 が同じ方向を向き始めた今が、方針を定める好機

    1. 日本のDXシナリオを標準化団体へ提示する 教育・学術のユースケースと要件を OIDF/1EdTech/ISO/W3C にインプットし、仕様とプロファイルに反映させる 2. 国内プロファイルで「選択の難しさ」を吸収する HAIPの考え方に倣い、学術分野で採用するオプションの組み合わせを合意・文書化して個別実装の分岐を防ぐ 3. 国際的な相互運用テスト・パイロットに参加する OIDFの適合性テストやinteropイベント、DC4EU等の枠組みと接続し、日本の実装を世界と繋がる状態に保つ 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 11
  12. NII+OIDF-Jでの検討タスクフォース Academic Ecosystem & Trust Framework Task Force 今後の学術界のアイデンティティ、トラストフレームワークの検討を行うタスクフォース。学認や機関IdP/SPが目指す姿を定義、国際連携を促進する。 WHO

    国立情報学研究所 × OpenIDファウンデーションジャパン を中核に構成メンバは検討中 WHAT 学認の次世代アーキテクチャ/トラストフレームワーク/ 移行ロードマップを支援 WHEN 2026年7月 〜 2030年3月(期間および目的を限定したタス クフォースとして運営) WHERE OpenIDファウンデーションジャパン内に設置。中立性確 保のため独立PM/事務局を配置 M I S SI O N 社会環境や技術動向への対応に柔軟性を持つ、 国際的な学術アイデンティティ・フェデレーションの実現 標準化団体や海外機関等とも連携し学認モダナイズの“技術中心”の議論を担い、国立情報学研究所(ガバナンス中心)と協調して推進 学術デジタル・クレデンシャル円卓会議 2026 12
  13. まとめ 1 フォーマットとトランスポートを分けて議論する 用途別の個別最適が相互運用の壁。レイヤを分ければ、既存投資を活かした接続シナリオを描ける 2 提示チャネルは DC API + OID4VP

    に収斂しつつある ブラウザ実装・EUDIW・ISO 18013-7 が同方向。発行側(OID4VCI vs 独自API)が次の論点 3 日本のシナリオを標準化へインプットする好機 OIDF等の標準化団体は各国のユースケースを求めている。本円卓会議をその出発点に ご清聴ありがとうございました | 質疑応答(5分)