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投資戦略202509

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September 12, 2025
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 投資戦略202509

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  1. 利下げサイクル終盤戦の投資戦略 PWのポートフォリオ構築のための投資戦略骨子を確認します。 ◦経済情勢と大局観 2024年はインフレを鎮静化させ始めた欧米各国中銀がそろって政策金利の引き下げを進めましたが、米国は利下げサイクルの終盤戦に入りつつあるようです。今後の利 下げのペースはインフレおよび労働市場を反映したものになると想定されます。また、米大統領選挙ではトランプ氏が勝利し、議会選挙も共和党が完勝したことで、2025 年以降の政策動向が注目され、米国の持続的な財政赤字(債務動向)そしてインフレが米金利のキーワードとなっていきます。中央銀行と政府が連携し、債務を制 御する計画がなければ⾧期金利高止まりが想定され、その間は債券投資の実行に有利な局面。一方で、高金利による株価のリプライシング、実体経済の悪化が顕在 化してくれば、株式・AT1(優先株式預託証券、CoCos)といったリスクアセットに好機が訪れるでしょう。ヒストリカルには種々のアセットクラスがピーク圏にあるため、ポー トフォリオのバランスをとること、およびインフレヘッジ資産(株式、不動産、金等)も考慮したポートフォリオ運営を実施することを推奨します。(2025年1月時点) 株式

    債券 通貨 オルタナティブ 1. 金利 ✓ 米10年利回りは、インフレ動向にも 左右されるが、米国債務を制限する ための施策がなければ高止まり想定。 買いの好機にも。 ✓ 市場のポジションの偏り解消による突 発的な金利低下には注意 ✓ 超⾧期については水準次第 2. クレジット ✓ ポートフォリオのインカムゲインを維持す るパーツとして利用 ✓ ⾧期の高クオリティ銘柄の活用 ✓ 景気後退時に時間分散・円ベース単 価を勘案しながらAT1を仕込む 3. デュレーション ✓ イールドカーブがスティープ化し、短期 から⾧期セクターに妙味が遷移 ✓ ポートフォリオとしては緩やかなラダーを 構成 4. セクター・エリア ✓ 新興国については、米金利の高止ま りによる相対的な魅力低下、インフレ リスク・取引コスト等の観点から引き 続き慎重な見方 ✓ 2025年はトランプの政策発動の 影響及び日銀の利上げスタンスが 注目ポイント。上下どちらにもぶれ る可能性があることを心しておく。 ✓ 一方、構造的にドル安円高が進 みにくくなっていることにも留意。 ✓ 想定レンジは140-160。この間で ボラティリティ高く上下する展開を予 想。 ✓ ドルの押し目は積極的かつ丁寧に、 タイミングを分散してドル購入を進 める。 ✓ 原則、外貨は米ドルのみで良い 1. REIT ✓ 日本は個別銘柄中心に検討。歴 史的割安水準であるが円金利上 昇リスクがあることに留意 米国はインデックス投資を推奨 2. コモディティ ✓ インフレヘッジを目的とした金投資 は検討していく 3. ヘッジファンド ✓ ヘッジファンドの銘柄を見て一部検 討 ✓ 流動性と残高に留意しつつファン ドマネージャーを吟味する 4. プライベート投資 (エクイティ、デット) ✓ プライベートデットは、有望な投資 機会につき検討する 仕組債 ✓ 円建てのニーズに対しては私募SB, CLNの活用を検討 Pragmaworksの投資戦略骨子 ✓ ⾧期運用前提で考えると、2025 年の下げ相場は良い買い場と考え られ、まさに足下の暴落は絶好の買 い場である。 ✓ 26年は大統領任期2年目で、アノ マリー的には任期4年中最もパ フォーマンスが悪い。今から高値を狙 うのは非常にリスクが大きい。 ✓ 銘柄選択としては、構成銘柄の幅 広さ、優良銘柄の組入及び過去の リスクリターンを勘案し、S&P500指 数を推奨。また、ハイテク中心の QQQ(ナスダック100)も併せて 注目。 ✓ Mag7を筆頭に大型テック系企業 は2025年も相場を一定牽引する 見込み(年後半に期待)。 ✓ ハイパーグロースや赤字決算のハイ テク企業は、Fedの金融緩和に伴 い時間分散でエントリーすることを推 奨(基本は押し目買い)。但しグ ロース企業が須らく上昇するわけで はなく、強靭なビジネスモデルを有す る一部のグロース企業が選好される 可能性が高い。選別が重要。 2
  2. 投資戦略(株式) 12 株式(Equity) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 株式投資の原則 株式投資は、投資先の事業の中身に着目し、マーケットタイミングは考えない。ウォーレン・バフェットですらマーケットタイミングは判断できないとしており、バフェットでも実行できないことを目指すことは 合理的とは言えないのがその理由。 また、全米もしくはその一部をカバーする指数(例.S&P500)や、ファンダメンタルズが強靭な企業の株式をターゲットとするも、購入はマーケット要因あるいは個社の一過性要因などで株価が大き

    く下落したポイントや、時間分散で小刻みにエントリーすることを基本とする。 1. AIブームは⾧期トレンドに乗る可能性が高い。生成AI⇒エージェントAI⇒物理AI へと進化していく中、各AIを駆動する基盤であるAI半導体は⾧期で期待できる。 2. AIによる生産性向上がもたらすソフトランディングと利下げが同時に実現した場合、 米国株式市場には強力な追い風となる。 3. トランプ任期中のマーケットリスクは極めて大きい。ボラティリティが非常に高く、⾧期 投資家には居心地の悪い相場が続くものの、”Stay Invested”, “Stay Market”が結局は最良の方法であることを再確認したい。 4. 2025年は大統領就任初年度の年。大統領選4年サイクルの中では就任初年度 の年のリターンは3番目(つまり下から2番目)。 【原則】 1. 強固な参入障壁を持ち、決算が順調な会社はホールド(相場全体が崩れても、決 算に問題ない限り売却しない)。 2. もし決算をミスした場合、そのミスの内容を確認することが重要。一過性の要因で決算 が不調だった場合はホールドを継続。 3. 利下トレンドに入っており、これは株式には強力な好材料だが、地政学リスク・米政府 財政問題・インフレ再燃リスク等には警戒を要するため、購入は時間分散を推奨。また、 景気後退懸念が顕在化した場合は、しばらく様子見を決め込み、マクロ経済データを 観察しながらエントリーポイントを探る。トランプリスクにも要注目。 4. 株式市場全体の下落に連れて優良銘柄も下落している局面は、それら優良銘柄を 購入する好機であるため積極的に購入する。 【具体的戦略】 1. チャートだけを頼りに順張りで上値を追うことなく、安値圏で推移しているタイミングで、 S&P500連動のETF購入(構成銘柄の幅広さ、米国市場を代表する優良銘柄の組 入状況、及び過去のリスクリターンを勘案)を推奨。また、ハイテクが集中するQQQ(ナ スダック100)にも併せて注目。 2. Mag7を筆頭に大型テック系企業は2025年も相場を一定牽引する見込み(年後半 に期待) 。 3. 利下げトレンドにおいては、強靭なビジネスモデルを有する一部のグロースは選好される 可能性が高い。個社事由とは関係なく、市場全体が大きく下がったところでは買い向か いたい。 4. 2024年はアノマリーが殆ど的中しなかったが、25年は基本に立ち返りつつ、アノマリーを 参考にしながら押し目があれば時間分散で丁寧に拾いに行くことを推奨。 5. 2026年は大統領選挙サイクルアノマリー2年目の年であり、4年任期の中で最もパ フォーマンスが悪いことで知られる。実際、2018年・2022年はいずれも就任2年目の 年であったが、S&P500の2018年パフォーマンスは▲4.23%、2022年は ▲18.04%とマイナスに終わっている。つまり、今から高値を狙うのは非常にリスクが大 きいため、この先は相場が大きく下落したところだけを丁寧に拾いにいきたい。 3 1. Fedの利下げは株式には強力な追風。 2. MMFは依然高水準。投資に向かう大量の実弾とも言えるが、利下げによってMMFか ら得られるリターンも減少するため、投資家はよりリターンの高い他のリスク資産に目を向 ける可能性が高い。 3. 米国10年債利回りは足下は4%まで下落。8月の非農業部門雇用者数が予想を大 きく下回った影響が大きい。関税絡みで再び5%を目ざす展開になれば株式には下押 圧力となる可能性大だが、その蓋然性は現時点では低い。 4. 8月末時点で、第2四半期決算を開示したS&P500企業のうち81%がアナリストの売 上及び利益予想を上回っており企業業績は絶好調。株式は結局のところ、①企業業 績が伸⾧し、②金利が下がれば、必ず株価が上昇するメカニズムとなっており、株式に は引き続き強気の姿勢を堅持する。加えて、米国企業の過去最大級の自社株買いに よって、株式の需給と自己資本圧縮によるROE改善効果が期待され益々追風。 5. トップ企業群のビジネスモデルは収穫逓増であり、売上が増えるほど利益率が高まる構 造。重厚⾧大が支配していた僅か20年前とは状況が一変していることを認識する必 要がある(重厚⾧大は収穫逓減であり、過去との対比で現代のPERが割高になること は自然な現象と言える)。
  3. 投資戦略(債券) 債券(Fixed Income) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 債券投資の原則 債券投資は、クオリティの高い発行体を選択し、時価に一喜一憂せず、ポートフォリオの中核資産として腰を据えて維持することが基本。発行体 の信用が著しく毀損した場合や、ポートフォリオ内の著しい偏りが生じた場合などを除いては、拙速な売買は避け、中⾧期目線でキャッシュフローを しっかりと受取り、積み上げていくスタンスが肝要。

    4 1. 8月の米雇用統計は再度減速。年次改定も下方修正となり労働市 場の鈍化が鮮明に。失業率も上昇。 2. ジャクソンホールでは、パウエル議長から労働市場を重視する旨のコメ ントあり。 3. 9月利下げは現状確実視されており、市場では年内2~3回の利下 げが織り込まれ始めている。利下げペースに注目が集まる。 4. 大規模減税案が上下院および大統領署名で承認。米国の財政赤字 の拡大及び債務持続性に対する懸念は燻る。(再掲) 5. 短期セクターでは利下げ、長期セクターにおいては財政懸念、インフレ 動向等からスティープニング圧力は継続。長短金利差は直近数年来 で最も拡大した水準で留まっており、イールドカーブ上は長期セクター に魅力がある状況。 1. 関税の影響が大きく顕在化していない状況では、労働市場を鑑みると 利下げ期待から短期金利は抑えられやすい。一方、⾧期的なインフレ 懸念や、債務持続性の観点から⾧期金利は短期セクター対比で高止 まりの展開が続くと想定(長短金利差は縮みづらい)。 2. 10年金利の下方へのレンジブレイク要因は、雇用大幅悪化と景気 後退と考えるが、その片方(雇用)が点灯しかけており、短期的に 4%を試す展開となる可能性。 3. 極端なインフレを伴わない経済・労働市場減速局面では、金利はじり じり低下する方向。(インフレが高進する場合、インフレ対応優先。) 4. クレジットスプレッドは非常にタイトな状態。リスクオフ時注意。 1. 質の高い発行体選択、分散(発行体・資本構成・タイミング)が重要。 ポートフォリオの中核資産として質の高い発行体のポジションを維持し、 中⾧期目線でキャッシュフローをしっかりと受取るスタンスを維持。ポート 内、ドル、円バランスに配慮。徐々にポートの中心デュレーションを少し 長めに推移させていくイメージでラダーポート構築を意識。 2. 金利低下時にアウトパフォームするのはIG債と想定。 シニア、劣後債を 優先的に取り組み、年限を分散したポートへ。発行体は各国トップ銀行、 生損保を中心に選択(現時点ではAT1も継続保有可)。欧州銀の ハイベータネーム新規はシニア、選択的に劣後債までが望ましい。相対 的に高リスク発行体、低弁済順位債はポート内の中短期ゾーンで活用。 3. イールドカーブがスティープニングし、長期ゾーンの妙味が上昇。欧米 金融IG債に投資妙味(金利上昇が続く局面では、随時償還する短 年限の債券を金利の高い環境下で順次再投資するのが有効)。現状 の為替水準を考えると5%後半~6%前後を目線としてエントリした い。 4. 確定利回りの目線をそれぞれ設定し、高クオリティの投資適格債を高金 利環境下で、為替とのバランスを考慮して買い付けていくことが肝要。 5. AT1のスプレッドに注意を払いたい。未だIG債優先は変わらないが、リ スクオフ時に買い下がれるよう準備を整えたい。 6. ⾧期債(10年近辺)は最終利回りのみならず途中売却も視野に入 れ、直利も考慮。金利低下ベット及び為替のダウンサイドリスクには10年 超~20年の米国ストリップス債や、ベース金利に近い(クレジットスプレッ ドよりもベース金利部分の影響が大きい)ハイクオリティ銘柄、IG債が選 択肢に。突発的な金利急騰、クレジットワイドニングに備えたい。
  4. 通貨(Currency)/米ドル円 ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 投資戦略(為替/ドル円) 1. 米国景気動向(特に雇用指数) 2. 2025.26年の米国利下げ姿勢 3.

    自民党総裁選(総裁の財政・金融政策へのスタンス) 1. 8月中旬以降、1カ月間のドル円市場は完全な夏枯れモードに突入。概 ね146.50-148.50の2円レンジで推移。米雇用情勢の失速で利下げ 織り込みが進み米⾧期金利も低下したが、ドル安トレンドは示現せず。 日米金利差でみると140円台前半をトライしていてもおかしくないが、イン フレ懸念及び静かに進む日本売りがドルの下支えになっている模様。 2. 米国の利下げ織り込みの進展と金利低下、及び日本の金利上昇と資 金の国内回帰はドル安円高要因。一方、これまではドル円市場の テーマになったことはないものの、日本の財政懸念由来の円売り(日本 売り)が進んでいる可能性も囁かれ出した。その意味でも自民党総裁 選が要注目(10/4投票)。高市総裁誕生が最も円安に振れるシナリオ。 3. ドルと円が最弱通貨の座を争っており当面膠着状態の継続がメインシナ リオ。ややドル売り材料の方が優勢と見るが、円が積極的に買われる環 境でもないことから円高余地も限定的と見る。 外貨投資の原則 外貨投資においては、為替の方向感にベットして為替差益を狙うような投機的な取引はしない。あくまでも、円資産への集中リスクを回避するための⾧ 期的な通貨分散、資産分散を目的とする。 よって、マーケットタイミングを判断するよりも、購入タイミングを分散することでリスクを軽減しながら、上記目的を達成することを推奨する。 1. 原則USDポジションをキープし、USD建運用のメリットを享受。 2. 各々の資産運用プラン(例:ドル建債券の購入)を実行するため に必要なドルの手当てについては積極的に進める。その際、購入する 資産の円高抵抗力の検証をすること、及び購入タイミングを分散する ことが重要。 3. 145円台前半から小分けにドルを購入するスタンスを推奨 【Mr.EのFXコメント】 ドル円を動かす要因には、①ドル買い要因、②ドル売り要因、③円買い 要因、④円売り要因がある。米金利低下という②の要因があるにもかか わらずドル円は底堅く推移している。即ち、②のドル売り以上に④の円売 りが出ているのであろう。円キャリートレードによる米株買い?外国人の日 本株買いに伴うヘッジの円売り?いずれにせよ、何かをきっかけにアンワイ ンド取引が起こる。それは③の円買い要因が引き金となろう。日銀の金融 政策決定会合に注目している。 5
  5. ご留意いただくポイント 〇想定リスク 各シミュレーションから算出された数値は、一定の前提条件の元で計算さ れた概算値のため、実行にあたっては、必ず金融商品取引業者等の専門 機関にご相談ください。 〇その他 本資料の内容は、2020年9月1日時点の税法、その他関連法規に準拠して います。今後の関連法規の改正等により相違が生じることがあり、対策内 容の見直しが必要になる場合があります。 今後の政治経済情勢、業界動向の変化によっては、本資料の内容が適合

    しなくなる可能性があります。 〇免責事項 本資料は、一般的な考え方の一部を参考資料として記載したものであり、 特定の取引の実現性・実効性を保証し、または実施を勧誘するものではあ りません。 弊社は、お客様に対し法律、税務、あるいは会計上の助言を供するもので はなく、本資料に関する法律、税務、あるいは会計上の十分性、適切性、有 効・妥当性について、いかなる見解を示すものでもありません。 〇その他 本資料に掲載された税務・会計・法律等に関わる事項に関しては、予めお 客様の顧問税理士、公認会計士、弁護士等の専門家にご相談のうえ、総合 的にご判断ください。 免責事項 7