高市トレード(積極財政・金融緩和維持スタンス) 1. 当初は想定外のドル高円安ではあったが、150円台に滞留して2カ月超 経過、円安が定着してきた。ドル高円安材料は、・日本の財政懸念 (日本売り)・国内金融緩和継続(利上げはするも連続利上げはし ない、マイナスの実質金利)・米国のインフレ⾧期化懸念、一方、ドル安 円高材料は、・日米金利差縮小。材料的にもドル高円安材料が多いよ うに見える。 2. 上記を鑑みると、足元の環境が激変しない限りドル高円安水準で推移 する可能性大。 年末年始を挟むため方向感は出にくいと想定。 年明け以降は再度日米金融政策、特に米国の変化に注目したい。 外貨投資の原則 外貨投資においては、為替の方向感にベットして為替差益を狙うような投機的な取引はしない。あくまでも、円資産への集中リスクを回避するための⾧ 期的な通貨分散、資産分散を目的とする。 よって、マーケットタイミングを判断するよりも、購入タイミングを分散することでリスクを軽減しながら、上記目的を達成することを推奨する。 1. 原則USDポジションをキープし、USD建運用のメリットを享受。 2. 各々の資産運用プラン(例:ドル建債券の購入)を実行するために必要なドルの 手当てについては積極的に進める。その際、購入する資産の円高抵抗力の検証を すること、及び購入タイミングを分散することが重要。 3. 既にUSD比率が高い方については150円以上のドル高円安水準ではドルを購入す る必要はなく150円割れを待ちたい(一方、ドル比率を高めている途上のケースは、 現状水準から慎重に押し目買いを進めたい)。 【Mr.EのFXコメント】 お手上げだ。今年後半は「金利差縮小=円買い」という反応が機能しなかった。米12 月利下げ観測、日銀利上げ観測、日本⾧期金利の上昇にもかかわらず円高は発生せ ず、円はキャリートレードの“原資通貨”として売られた。高市政権の積極財政が国債下 落リスクと通貨信認低下を意識させ、国内金利上昇は“投資妙味”ではなく“マクロ不均 衡の露呈”と解釈されたことが大きい。欧州・豪州もインフレ再燃を警戒し予防的利上げ 観測が台頭、「円以外の通貨バスケット」へのリバランスが進んだ構図だ。 一点考えたいのは、ドル円上昇が続いてもDXYが上昇しない限り、米国政府は静観す る可能性があることだ。通商政策はドル円単独でなく“ドル全体の競争力”で判断される。 他方、日本は円安が貿易赤字を拡大し、“構造的円安→赤字拡大→さらなる円安”と いう自己増幅リスクが見えてきた。短期的に金利差構造と円売りフローが崩れる兆しは 乏しく、押し目はドル買いが合理的。この力学が続くなら、160円再突破は過大予想で はない。市場は既に問いを投げ始めている――円高は金利で語れない局面に入ったの ではないか。 5