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電気通信大学「社会シミュレーション」講義資料

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November 16, 2025

 電気通信大学「社会シミュレーション」講義資料

2025年夏学期;ソーシャルデータサイエンス;ユーザー行動分析と事業活用;大規模言語モデル;事業への活用;社会シミュレーション最前線

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Ryo Adachi

November 16, 2025

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  1. © DeNA Co., Ltd. 2 安達 涼 ~2009: 東京大学計数工学科 ~2011:

    東京大学情報理工学系研究科 修士 ~2017: PhD in Social and Decision Neuroscience @ California Institute of Technology 2018/4~: 株式会社 ディー・エヌ・エー IT本部AI・データ戦略統括部AI技術開発部 @ryoatsat [email protected] © DeNA Co., Ltd. 自己紹介
  2. © DeNA Co., Ltd. 3 話すこと • DeNAのAI事業 〜さまざまな分野におけるAI活用〜 • ソーシャルデータサイエンス

    ◦ 計算社会科学 ◦ ユーザー行動分析と事業活用 • 大規模言語モデル ◦ 事業への活用 • 社会シミュレーション最前線
  3. © DeNA Co., Ltd. 5 話すこと • DeNAのAI事業 〜さまざまな分野におけるAI活用〜 • ソーシャルデータサイエンス

    ◦ 計算社会科学 ◦ ユーザー行動分析と事業活用 • 大規模言語モデル ◦ 事業への活用 • 社会シミュレーション最前線
  4. © DeNA Co., Ltd. 7 © DeNA Co., Ltd. 7

    BUSINESS PORTFOLIO [ 事業ポートフォリオ ] ライブコミュニティ ゲーム スポーツ・スマートシティ ヘルスケア・メディカル 新領域・その他
  5. © DeNA Co., Ltd. 8 © DeNA Co., Ltd. 8

    AI研究開発 AI技術を活用した新しいサービス・プロダクトの開発 Kaggle社内ランク制度 • データサイエンスチームのメンバーに対して、業務時間に Kaggleへの参加を認める制度 • 日本企業としては最多となるGrandmaster5名、Master7名 が在籍(2025年7月14日時点、自社調べ) AIの技術研究・事業活用を行い、各事業で適用 • AIを活用したサービス設計をおこない、そこから生まれる 大規模なデータをもとに、さらに強固なビジネスを構築 • パートナー企業のDX推進の支援事業も
  6. © DeNA Co., Ltd. 10 全社経営方針: AIにALL IN AIによる 全社生産性向

    上 1 2 人員シフト 人員シフト • Sports • Smart City • Games • Pococha、IRIAM • Healthcare • Medical 「3,000人 → 1,500人!」 • 全社の業務効率向上、AIツール活用促進 • QA業務の抜本的改革 • 全社員のAI native人材化(評価指標策定) AIによる 全社生産性向上 AIによる 既存事業の 競争力強化 1 2 AI新規事業の 創出・グロース 3 • AIイノベーション事業本部 • DeNA AI Link(新会社) • Delight Ventures
  7. © DeNA Co., Ltd. 15 Pocochaとは? Pocochaと AI / DS

    ライブ配信アプリ 類似サービス:LINE LIVE, SHOWROOM, 17 Live Pocochaの特徴:多様な小規模コミュニティ 戦略・企画 運用効率化 リスナーとライバーの最適なマッチング(パーソナライズシステム) を開発し、双 方のサービス体験品質を向上させる 配信内容やコメントの健全性チェック を行い、 運用の効率化を目指す カスタマージャーニーなどを考えて企画を作る UX向上       におけるAI活用概要
  8. © DeNA Co., Ltd. 17 • コミュニティで発生する現象を、データ駆動で発見・解釈する ◦ リスナーのライバー探索行動が離脱と相関することを発見 ◦

    ユーザネットワーク可視化ツールの開発 ◦ 国内会議CSSJ2024で発表、トップ国際会議ICWSMへ論文投稿 ネットワークのソーシャル科学
  9. © DeNA Co., Ltd. 19 横浜DeNAベイスターズのアナリストと密連携して 分析課題の設計・報告・検証のPDCAを回す 映像解析技術 ・ピッチングフォーム、バッティングフォーム、守 備、走塁、捕手能力など

    データサイエンス技術_ ・膨大な入力データ(解析映像、トラックマンデー タなど)から、 選手の成績、調子、疲労(怪我の可能性)など への関係性を分析 横浜DeNAベイスターズチーム強化
  10. © DeNA Co., Ltd. 22 ・医療関係者同士のコミュニケーションを円滑にすることが出来るアプリ(チャット、音声 /ビデオ通話等) ・「迅速な患者対応」「正確かつ半自動的な情報管理による確実な臨床プロトコル」、さらに「分析結果に基づく業務 改善」を目指して開発 課題

    • 病院や国によって医療ワークフローが異なり、 一貫した方法で医療情報を構造的に抽出することが困難 • 緊急対応が必要とされる臨床現場では、症例などをその場で 長い臨床フォームに記載することにかなりの労力がかかる AIを活用した解決策 • LLM(大規模言語モデル)を用いて ワンアクションでチャット情報を症例フォームに自動転記する ◦ 非構造な臨床データ(チャット等)から構造化されたデータの 自動抽出により作業負荷を大幅に軽減 ◦ データの正確性担保のため、人間が介在して精度と患者の 安全を確保( Human-in-the-loop) • 構造化データの蓄積により、データ分析や予測が可能となる メディカル: AIを活用した医療情報の効率的構造化(R&D)
  11. © DeNA Co., Ltd. 23 ヘルスケア: 生成AIを活用した認知機能の維持・改善に関する情 報提供サービス「KENNOライフアシスト(仮称)」 「KENNOライフアシスト(仮称)」では、 認知症予防に関する研究(※

    1、※2) を基に、生成AIを活用した認知機能の 維持・改善に役立つとされる情報アド バイスを提供 日々の暮らしに簡単に取り入れられる ことで、認知機能の低下を抑えたり、 健康な生活をサポートしたりすることを 目指します ※1 出典:厚生労働省「 自治体における認知症の『予 防』に資する取り組み例集 」 ※2:出典:厚生労働省「 あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」
  12. © DeNA Co., Ltd. 24 新規キャラクタ を扱えるAI AI同士の大量 対戦による検証 結果集計

    可視化 設計 完了 NG 対戦環境 投入 評価 OK 設計案 検証 賢い対戦AI 統計シミュレーション AI デッキ編成 AI 画像生成AI 強化学習 マーケティング AI オセロ・Othelloは登録商標です。TM&© Othello,Co. and MegaHouse / © 2016 DeNA Co.,Ltd. ゲームにおけるAI活用
  13. © DeNA Co., Ltd. 25 現代の複雑なゲームにおいて対人戦で勝利できるAIを開発 データ無しにゲームエンジンのみから対戦AIが作れることを実証 AI が ⅘

    勝利 「100 点満点で 95 点くらいの強さ」 「全く気が抜けない」「恐れ知らずの手を打ってくる」 他にも複数人と戦いトップクラスと認定 現代ゲームでの最強対戦 AI の作り方! 『逆転オセロニア』 AI がトップレベルの強さに到達した理由 https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/2646 【人間vs最強AI】トップレベルに到達した対戦 AI【逆転オセロニア】 https://youtu.be/zEhgFIuXNzg 強化学習を用いた対戦AI開発
  14. © DeNA Co., Ltd. 26 音声合成と音声変換をコア技術として事業横断でさまざまなプロジェクトを推進 セコムバーチャル警備システム 
 集英社AIルフィ 


    オセロニアエイプリルフール企画 
 ハッカドールVTuber 
 音声生成プロジェクト リアルタイム音声変換デモ動画
  15. © DeNA Co., Ltd. 27 抱えていた課題 Mobage事業では、長年の運営により蓄積されたアバターアセットの利活用を重視していた。 しかし、従来のキーワード検索では、名称を推定しづらいアセットを発見できなかった 実現した結果 AIによるファジーな検索を実現するシステムを開発・導入

    多様なアセットの中からでも、名称やタグと一致しない語句や画像による検索が可能となり、 希望のアセットにスムーズに到達できるようになった 曖昧なキーワードによる検索 キーワードの特徴に合致する アセットを検索できる 画像による検索 画像の特徴に合致する アセットを検索できる マルチモーダルAIによる社内アセット検索
  16. © DeNA Co., Ltd. 28 2020/09/01 「JapanTaxi」アプリと「MOV」が統合し、新たなタクシーアプリとしてリリース × AI技術 プローブデータのリアルタイム

    収集処理基盤 道路セグメントレベルの 需要予測 高精度なタクシー交通 シミュレータ マルチエージェント強化学習の 経路推薦への応用 タクシーと乗客の マッチングを効率化 道路単位での 需要予測 車両供給と乗車需要を解釈
 最適なルートを探索・選択して
 個別車両ごとリアルタイム配信
 リアルタイム 
 プローブ収集 
 処理基盤 
 ※画像はイメージです GO Inc.主管プロジェクトに 
 DeNAより出向 
 タクシー配車アプリ「GO」: お客様探索ナビ(乗務員向けサービス)
  17. © DeNA Co., Ltd. 29 GO Inc.主管プロジェクトに 
 DeNAより出向 


    タクシー配車アプリ「GO」: ドライブレコーダー × AIで地図を最新に保つ取り組み 【DeNA × AI Day】ドライブレコーダー × AIで地図を最新に保つGOの取り組み 2020/09/01 「JapanTaxi」アプリと「MOV」が統合し、新たなタクシーアプリとしてリリース
  18. © DeNA Co., Ltd. 30 話すこと • DeNAのAI事業 〜さまざまな分野におけるAI活用〜 • ソーシャルデータサイエンス

    ◦ 計算社会科学 ◦ ユーザー行動分析と事業活用 • 大規模言語モデル ◦ 事業への活用 • 社会シミュレーション最前線
  19. © DeNA Co., Ltd. 31 Social Data Science とは? •

    Social DS = Social Science (社会科学) * Data Science (データサイエンス) • 一橋大, 広島大, 立教大, Oxford, LSE, … *一橋大学HPより引用
  20. © DeNA Co., Ltd. 32 計算社会科学とは • 社会科学:個人や集団、そして社会を定量的に研究する学術分野 • 2010年頃~:

    ◦ 人間行動のデジタルトレースが利用可能に ◦ 大量のデータを処理する計算機の演算能力の向上と新たな分析手法の開発 • 計算社会科学: ◦ “ビッグデータやその分析手法を駆使し、個人や集団、   そして社会を定量的に研究する学際分野” ◦ “社会科学とコンピューターサイエンスの融合”
  21. © DeNA Co., Ltd. 34 方法論 • オンライン相互作用のデジタルトレースの分析 ◦ 行動データや社会的相互作用のビッグデータの分析

    ◦ 例:SNSデータを使った感情リズムの分析 引用 : 計算社会科学入門 Golder et al., 2011
  22. © DeNA Co., Ltd. 35 方法論 • バーチャルラボ ◦ Web

    (e.g. Amazon Mechanical Turk) やデジタルツールを使った大規模行動実験 ◦ 例:Facebookの情動感染実験 引用 : 計算社会科学入門 Kramer et al., 2014
  23. © DeNA Co., Ltd. 36 方法論 • 計算モデルとシミュレーション ◦ 人間行動や社会現象のモデリングとシミュレーション

    ◦ 例:ハッシュタグの拡散シミュレーション 引用 : 計算社会科学入門 Weng et al., 2012
  24. © DeNA Co., Ltd. 37 関連学会・学術誌 • 国外 ◦ KDD,

    NeurIPS, ICML ◦ WSDM, WWW, ICWSM ◦ IC2S2 (2025で第11回目) • 国内 ◦ JSAI (OSあり) ◦ 計算社会科学会 (2025で第4回目) • 学術誌 ◦ Nature, Science, Nature Human Behavior, PNAS, Scientific Reports,... その他それぞれの分野の雑誌
  25. © DeNA Co., Ltd. 38 弊社で取り組むSocial DS • ビジョン:ユーザー行動とつながりの仕組みの解明を通じて、事業課題を発見・解決し、 サービスの持続的な成長に貢献する

    • ミッション:PF上での複雑なユーザー行動の解明を、社会科学とデータサイエンスの学術 知見とツールを融合した定量分析を通じて可能にする
  26. © DeNA Co., Ltd. 40 © DeNA Co., Ltd. 40

    Pococha 「Live Link Life 〜今この瞬間をいつまで も〜」ライブコミュニケーションアプリ • いつでも簡単にライブ配信と視聴ができるライブ コミュニケーションアプリ • 2017年1月にサービス開始、国内675万ダウンロード (2025年3月末時点) • ライバー(配信者)とリスナー(視聴者)の双方向コ ミュニケーションでつながるファンコミュニティ
  27. © DeNA Co., Ltd. 41 © DeNA Co., Ltd. 41

    Voice Pococha • 2022年1月にサービス開始 • 音声のみでユーザーの顔出し不要 • 容姿や年齢、性別を気にすることなく自分を中心 としたコミュニティが形成できる • 「自分の存在が認められるコミュニティの楽しさ を、すべての人に届ける」がミッション 「自分の存在が認められるコミュニティ の楽しさを、すべての人に届ける」 音声ライブ配信アプリ
  28. © DeNA Co., Ltd. 42 © DeNA Co., Ltd. 42

    IRIAM Vライブコミュニケーションアプリ • スマホと1枚のイラストだけで、簡単にVtuberのよ うにキャラになってライブ配信を楽しめる • ジャンルの多様化を伴いながらの市場成長を見据 え、IRIAM社を2021年8月100%子会社化 • 出資以降、ライバー・リスナーの獲得、イベント 等の施策のオペレーション構築等で協力 • 配信者数15万人を突破 • 463万ダウンロード(2025年3月末) • 2024年11月にアメリカでのサービスを開始
  29. © DeNA Co., Ltd. 43 DeNAで取り組むSocial DS • ライブコミュニティ事業での分析・事業貢献に注力 ◦

    ユーザーがライバーの配信を視聴する、コメントする、アイテムを送る、ファンになる、 といったソーシャルなデータ ◦ 他の事業会社にはないユニークなデータ ライブコミュニティ事業
  30. © DeNA Co., Ltd. 44 話すこと • DeNAのAI事業 〜さまざまな分野におけるAI活用〜 • ソーシャルデータサイエンス

    ◦ 計算社会科学 ◦ ユーザー行動分析と事業活用 • 大規模言語モデル ◦ 事業への活用 • 社会シミュレーション最前線
  31. © DeNA Co., Ltd. 46 デジタルコンテンツはどう消費されるか? デジタルコンテンツとの出会いと消費のサイクルをモデル化することで、 ユーザーのエンゲージメントを向上させる施策につながる ❖ “出会いと消費”のサイクルをどうモデル化するか?

    ❖ 最もよく使われるのはE/E(探索=Explorationと深化=Exploitation) 探索 深化 E/Eは一般的な概念である • 音楽を聴く [1] • 推薦システム [2, 3] • UGCユーザーの行動 [4, 5] • SciSci[6] [1] Mok L. Proceedings of the International AAAI Conference on Web and Social Media, 2022.[2] Wang C. In The World Wide Web Conference, 2019.[3] Pereira BL. in ACM Transactions on Recommender Systems, 2023.[4] Hamilton W. Proceedings of the International AAAI Conference on Web and Social Media, 2017.[5] Gómez-Zará D. Computers in Human Behavior, 2024.[6] Liu L.Nature Communications, 2021.
  32. © DeNA Co., Ltd. 48 ライブストリーミングコンテンツに焦点を当て、コンテンツ消費パターンのダイナミクスと、 それらが外部要因にどのように影響されるかを分析する 探索と深化(E/E)の行動と制約のあるコンテンツ データ E/Eの表現

    ❏ ライブコミュニケーションアプリ 「Pococha」のデータを使う ❏ 2年間(2020年から2021年)の約220万ユー ザーのデータ ❏ ターンオーバーレート ❏ 初めて訪問したライバーの割合  ❏ [#新規に視聴するライバーのセッション数] /[#総視聴セッション数]    ターンオーバーレート 高い 低い 探索 深化
  33. © DeNA Co., Ltd. 54 最初の推しライバーとの出会いがE/Eの行動に変化をもたらすトリガーになる お気に入りライバー発見前後でのターンオーバーレートの変化(Oshi) Oshi(推し) A romanization

    of the Japanese word for "push" (推 し). Among streaming communities, specifically Virtual Youtuber communities, it is used to refer to a streamer whom a person supports wholeheartedly, and in a manner greater than others within a particular industry or group. a manner greater than others within a particular industry or group.... From Urban Dictionary
  34. © DeNA Co., Ltd. 55 探索と深化のバランスは、推しライバーの変化と関係している *パネル回帰におけるユーザーレベル固定効果と 月ダミーによる回帰の推定結果 ❖ ユーザーはお気に入りのライバー(推し)を変

    えると探索行動を増やす ❖ ターンオーバーレートは、コンテンツ制作者 (ライバー)に対するリスナーのロイヤリティ のダイナミクスと関連する
  35. © DeNA Co., Ltd. 56 まとめ 1. E/E行動:最初は幅広く探索し、その後お気に入りのライバーに落ち着く 2. 概日リズム:ユーザー探索行動は概日リズムによって一日中変化する

    3. クリエイター戦略:ライバーがユーザーを惹きつけ維持するためには、 早期のエンゲージメントが鍵となる 4. ロイヤリティと推し:ユーザーの配信者(推し)に対するロイヤリティは、 最初の探索段階と関連している ライブストリーミングプラットフォームのユーザーは、その嗜好を安定させる前に、 最初は幅広く探索する。そして、ユーザーの探索行動は概日リズムの影響を受け、 ユーザーロイヤリティーとライバーパフォーマンスの両方と関係している
  36. © DeNA Co., Ltd. 58 感情的な体験(affective experience)と行動の関係 • これまでの分析はユーザーの行動ログを利用した観察データの分析 •

    ユーザーのプラットフォーム上での感情的な体験との関連が重要 ◦ この研究では、HCI (Human Computer Interaction)の文脈で重視されるaffective (感情的)に関連 する体験をサーベイ調査する • サーベイ (n=76000) で得られた回答とその行動ログを統合 ◦ 感情的な体験と行動の関連を分析 • 定量的なデータと質的なデータの分析を組み合わせた分析 ◦ デジタルプラットフォームのユーザー行動分析では近年よく行われる ▪ Facebook、Snapchat、オンラインゲームなど
  37. © DeNA Co., Ltd. 60 サーベイ項目 サーベイした項目を • プラットフォームにおける全体的な体験 ◦

    どの程度 [楽しい、満足している、居心地がよい] と感じるか • 個別の感情 ◦ どの程度 [ライバーにシンパシーを感じるか、受け入れられていると感じるか、 仲間意識を感じるか] • 体験の認識 ◦ [ライバー、あなた、ほかのリスナー] が自然体でいられていると感じるか • ライブ配信特有のリアルタイムインタラクション ◦ [掛け合いが起きる、交流がリアルタイムに起きる、リアルタイムで変化するコンテンツ を体験している] と感じるか にカテゴリ分けして分析
  38. © DeNA Co., Ltd. 61 サーベイ項目と行動指標の対応 サーベイした感情的な体験と以下の行動指標との対応を考える • ターンオーバーレート •

    コミュニティの越境度合い • コメント量 • コメントの感情 これらに加えて、 • 感情的な体験と行動指標の関連が、ユーザーの活動時間帯で変化するのか も分析する
  39. © DeNA Co., Ltd. 62 感情的な体験と探索・深化(E/E)の度合い: ターンオーバーレート • ターンオーバーレートは探索と深化の度合いを表す •

    質問項目に対して同意しない(Disagree)リスナーのター ンオーバーレートは高い(探索の度合いが高い) • 行動データから計算される探索・深化のバランスター ンオーバーレートがユーザーの感情的な体験と関連す る
  40. © DeNA Co., Ltd. 63 感情的な体験と探索・深化(E/E)の度合い: ターンオーバーレート • ターンオーバーレートは探索と深化の度合いを表す •

    質問項目に対して同意しない(Disagree)リスナーのター ンオーバーレートは高い(探索の度合いが高い) • 行動データから計算される探索・深化のバランスター ンオーバーレートがユーザーの感情的な体験と関連す る
  41. © DeNA Co., Ltd. 64 感情的な体験とコミュニティの越境度合い • コミュニティの越境度合いとの関連 ◦ ライバー同士のネットワークからコミュニティ

    を抽出=“界隈” ◦ 「コミュニティでの行動=そのコミュニティに 所属するライバーのライブの視聴」と解釈 ◦ ユーザーがどの程度「多様な」コミュニティを 行き来するかを計測 ▪ Entropyを計算 • 全体的な満足度を聞く項目で差が顕著
  42. © DeNA Co., Ltd. 65 感情的な体験とコミュニティの越境度合い • コミュニティの越境度合いとの関連 ◦ ライバー同士のネットワークからコミュニティ

    を抽出=“界隈” ◦ 「コミュニティでの行動=そのコミュニティに 所属するライバーのライブの視聴」と解釈 ◦ ユーザーがどの程度「多様な」コミュニティを 行き来するかを計測 ▪ Entropyを計算 • 全体的な満足度を聞く項目で差が顕著
  43. © DeNA Co., Ltd. 66 感情的な体験とコメント量 • 配信におけるコメントの文字数を計算 ◦ Pocochaを含むライブ配信ではコメントは重要な

    役割果たす ▪ ユーザー・ライバーのインタラクション ▪ 盛り上がりなど • 傾向は他の指標とは異なる ◦ 項目に同意したリスナーが顕著に高い指標を示す ◦ 感情的な体験を強く感じたユーザーのエンゲージ メントが高い
  44. © DeNA Co., Ltd. 67 感情的な体験とコメント量 • 配信におけるコメントの文字数を計算 ◦ Pocochaを含むライブ配信ではコメントは重要な

    役割果たす ▪ ユーザー・ライバーのインタラクション ▪ 盛り上がりなど • 傾向は他の指標とは異なる ◦ 項目に同意したリスナーが顕著に高い指標を示す ◦ 感情的な体験を強く感じたユーザーのエンゲージ メントが高い
  45. © DeNA Co., Ltd. 68 感情的な体験とコメントの感情 • コメントの感情分析との関連 • 差があるが顕著ではない

    ◦ 数値の差はあるが大きくない • プラットフォームにおける感情的な体験の度合い は、投稿するコメントの感情に強く関連するわけ ではない
  46. © DeNA Co., Ltd. 69 感情的な体験と行動指標の関連は活動時間帯で変化するのか • 各項目にAgreeと答えるオッズを時間帯ごとに推定 • 活動時間がプラットフォームの活動が活発な夜の時間帯

    でオッズが高い • しかし、EnjoyableやRealTimeReactionsに関する質問は 昼間の時間帯でもある程度高いオッズを維持する 活動時間帯は「1: 6-12時、2: 12-18時、3: 18-21時、4: 21時-24時」で分類
  47. © DeNA Co., Ltd. 70 まとめ • 最初の分析で扱っていなかった、質的指標(感情的な体験)と定量指標の関連を明らかにした • 探索と深化の度合い(ターンオーバーレート)と感情的な体験が関連

    • ただし、因果関係は明らかでない ◦ 探索しているのは 1: 満足度を改善する余地があるからなのか? • つまり、これから深化するつもりなのか 2: それとも、深化できないからなのか といった複数の理由が考えられるが、背後にあるメカニズムまでは現段階は明らかでない
  48. © DeNA Co., Ltd. 72 背景 1 • ライブ配信サービスの人気は上昇傾向にある ◦

    TikTok Live, YouTube Live, Twitch, Pococha, ふわっち etc. • ライブ配信=ライバー+リスナーのコミュニケーション ◦ リスナーは “推し”ライバーを応援 ◦ チャット、コメント、アイテム投げ • オンラインコミュニティでのユーザー行動やコミュニティの性質の分析 ◦ Reddit, Patreonなど • ライブ配信での推し活動におけるユーザーの選好やコミュニティ指標の関連性の分析 Pocochaの配信画面イメージ
  49. © DeNA Co., Ltd. 73 リサーチクエスチョン 2 • RQ1: リスナーの推し活動(

    推しの数 やロイヤリティ )とリスナーの継続率 の関係は? • RQ2: リスナーの 推しポートフォリオの多様性 とリスナーの継続率 の関係は? • RQ3: リスナーがロイヤルな関係をもつライバーとその コミュニティの多様性 の関係は? • RQ4: コミュニティのロイヤリティ とコミュニティの多様性 の関係は?
  50. © DeNA Co., Ltd. 74 データ 2 • ライブ配信アプリ “Pococha”

    ◦ 652万DL (2024年12月末時点 ) • 使用するデータ ◦ 2022年のライブ配信データ ◦ リスナーの視聴ライバー , 視聴時間 , コイン消費額 ◦ ユーザー数 : 50万以上, レコード数 : 1500万以上
  51. © DeNA Co., Ltd. 75 • 推し(リスナーがライバーを “推す”) ◦ *コアファン(

    100コイン, 3日視聴, 3時間視聴) & 総消費コインの 10%以上を使用( e.g. 20000コイン, 100コイン→推し1人) • リスナーロイヤリティ(推しの継続性) ◦ 当月+その前 3ヶ月間“推し”である • ライバーとリスナーの埋め込み表現 ◦ 期間内の全視聴データに対し word2vecを用いて作成 分析手法 3
  52. © DeNA Co., Ltd. 76 • リスナーダイバーシティ=推しポートフォリオの多様性 ◦ GSスコア ▪

    ライバーの埋め込み表現を用いて算出 ▪ スコア大= Specialist=多様性低 スコア小= Generalist=多様性高 • コミュニティダイバーシティ=コミュニティ内のリスナーの多様性 ◦ リスナーの埋め込み表現を用いて算出 • コミュニティロイヤリティ ◦ コミュニティ内のロイヤルリスナーの割合 分析手法 3 Waller and Anderson, 2019
  53. © DeNA Co., Ltd. 77 RQ1: リスナーの推し活動(推しの数)とリスナーの継続率 • *継続:3ヶ月後で PFにおけるアクティビティがある

    • 推しの数が増えるにつれて継続率が上昇する • 効果は逓減し , 推しの数が 3人以上ではほぼかわらない 4
  54. © DeNA Co., Ltd. 78 RQ1: リスナーの推し活動(ロイヤリティ)とリスナーの継続率 4 • *ロイヤル:ある月+その前

    3ヶ月間“推し”である • 推しの数と継続率の正の相関はロイヤリティに関わらず成立する • ロイヤリティの効果は大きいが逓減する • 推しの数を増やすと同時に、ロイヤリティ形成がより大切
  55. © DeNA Co., Ltd. 79 RQ2: リスナーの推しポートフォリオの多様性とリスナーの継続率 4 Specialist=多様性低 Generalist=多様性高

    • *GSスコア ◦ 大=Specialist=多様性低;小= Generalist=多様性高 • 推しの数が増えると , その多様性は高くなる • インストール後徐々に多様性が高くなっていく ◦ 探索の過程を反映している
  56. © DeNA Co., Ltd. 80 RQ2: リスナーの推しポートフォリオの多様性と継続率 4 GSスコア G:

    多様性高 S: 多様性低 • *GSスコア ◦ 大=Specialist=多様性低;小= Generalist=多様性高 • 推しの数と継続率の正の相関は推しの多様性に関わらず成立する • 推しの多様性が高いほど継続率が高い ◦ 推しの数 >=4よりも推しの数 =3&多様性高が継続率が高い
  57. © DeNA Co., Ltd. 81 RQ3: リスナーがロイヤルな関係をもつライバーと そのコミュニティの多様性 4 •

    *コミュニティダイバーシティ=コミュニティ内のリスナーの多様性 • コミュニティのダイバーシティが低いほど、     リスナーはライバーにロイヤリティを形成しやすい
  58. © DeNA Co., Ltd. 82 RQ4: コミュニティのロイヤリティとコミュニティの多様性 4 • *コミュニティロイヤリティ

    =コミュニティ内のロイヤルリスナーの割合 *コミュニティダイバーシティ=コミュニティ内のリスナーの多様性 • ロイヤリティと多様性は負の相関を示す (r=-0.22*) • ソーシャルインフルエンス , ホモフィリーと整合性がある
  59. © DeNA Co., Ltd. 83 まとめと展望 5 • ライブ配信 PFでのユーザー行動とコミュニティにおけるロイヤリティと多様性の役割を検証

    ◦ リスナーの推しの数が増えると継続率は上昇するが , ロイヤリティの影響の方が顕著 ◦ リスナーの推しの多様性が高いほど継続率が高い ◦ コミュニティの多様性の低いライバーに対しリスナーはロイヤリティを形成しやすい ◦ コミュニティの ロイヤリティが高いと多様性は低い • オンラインコミュニティのプラットフォーマーにとって重要な示唆を提示 ◦ コミュニティデザイン , コミュニティメンテナンスにおいて活用できる • 方向性:時系列でのロイヤリティ形成過程 , ロイヤリティと多様性の因果関係など
  60. © DeNA Co., Ltd. 84 • 事業活用の手段 ◦ 施策への活用 ▪

    満足度を上げるためにはxxxという行動が重要 →アプリ内外で行動を促す施策を行う ◦ レコメンドアルゴリズムへの適用 ▪ 現状のTRに応じて推薦するライバーを制御(新規or既存) ▪ 役割ベースのマッチング まとめ
  61. © DeNA Co., Ltd. 85 課題とこれから(アカデミア観点) • 産学連携の加速 ◦ 単発の共同研究だと、透明性・再現性に難あり

    ◦ 研究と企業のインセンティブが相反 ▪ Covid19という社会課題を解決する→Twitter、Cuebiqがデータを提供 ▪ 継続させるには?例えばSDGsと絡める • データ基盤面 ◦ セキュリティ・プライバシーガイドラインの作成とデータ保存基盤の作成 ◦ 透明性&再現性:データのオープン化、収集プロセスなどメタデータの記録 • 組織面 ◦ 社会科学とCSでの横のつながりを促進していく ◦ 学際的な研究への予算配分を増やす ◦ 学生の教育プログラムを整備する Lazer et al., 2021
  62. © DeNA Co., Ltd. 86 話すこと • DeNAのAI事業 〜さまざまな分野におけるAI活用〜 • ソーシャルデータサイエンス

    ◦ 計算社会科学 ◦ ユーザー行動分析と事業活用 • 大規模言語モデル ◦ 事業への活用 • 社会シミュレーション最前線
  63. © DeNA Co., Ltd. 89 ここ1年で起こったこと 古典的な分析とプロダクトの距離がぐっと縮まる • 分析が爆速に:高品質でロバストな分析でもコードを書く時間が大幅短縮 •

    共有が動的に:プロトを駆使した活用イメージの湧く形での共有 • コミュニケーションが円滑に:プロダクト側の人間のAIリテラシーの向上
  64. © DeNA Co., Ltd. 92 話すこと • DeNAのAI事業 〜さまざまな分野におけるAI活用〜 • ソーシャルデータサイエンス

    ◦ 計算社会科学 ◦ ユーザー行動分析と事業活用 • 大規模言語モデル ◦ 事業への活用 • 社会シミュレーション最前線
  65. © DeNA Co., Ltd. 94 ブレスト:生成AI活用@ポコチャ 生成AIを活用してプロダクト改善するには? 外部データから 新規ターゲット 層を特定

    RAGを使って自動 応答ボットを作成 テキストや画像 から違反検知 アクティビティ の高い・低い ユーザーの理由 を分析 マルチモーダルLLM を使ったレコメンド インタビューの 要約生成 イベントのハイ ライト動画作成 新規ギフト アイテムの 生成補助
  66. © DeNA Co., Ltd. 95 リスナーのマイルストーン分析 • マイルストーンとは何か? ◦ リスナーがライバーとの関係を深めていく過程で通過する、

    様々なコミュニケーション上の節目 • マイルストーン分析とは何か? ◦ ライバーとリスナーの関係性における転換点(マイルストーン)を、 主にチャットデータから推定・定義する分析手法 • マイルストーンの具体例 ◦ 「ニックネームで呼ばれる」「個人的な相談をする」「冗談やユーモアを交わす」 といった、ライブ配信中の特徴的なコミュニケーションイベント 初視聴 2回目 3回目 4回目 “初コメント・ 挨拶” “質問”、“フォロー” “コアファン取得” “自己紹介”、 “パーソナルな相談”
  67. © DeNA Co., Ltd. 96 リスナーマイルストーン抽出アルゴリズム 配信でのリスナーのコメント群 1回目 2回目 4回目

    5回目 3回目 N回目 マイルストーン候補の列挙 Gemini 頻度による枝刈り 同類のマイルストーンのマージ マイル ストーン マイル ストーン マイル ストーン 何回目の訪問のコメントかでグループ化 Gemini マイルストーンは複数 付与を許す User1の live1におけ るコメント 群 User2の live1におけ るコメント 群 User3の live1におけ るコメント 群 user毎に一つの枠で 書いたコメントをまと めて文脈を与える
  68. © DeNA Co., Ltd. 97 知り合う 自己紹介 初コメント・挨拶 質問 地域情報共有

    専門知識共有 配信情報把握 カジュアルに繋がる リアクション 共感コメント 感謝 リクエスト メンション・返信 次回配信への期待 コミュニティーとの絆を深める 冗談・ユーモア 内輪ネタ 他のリスナーと交流 特定話題への参加 ニックネーム使用 リーダーシップ発揮 感情表現 ステータスを高める フォロー コアファン・貢献 レベルアップ ファミリー加入 ファンマークの使用 体験を共有する ライバーのイベントに参加する オフライン交流 継続的なオフライン交流 特別なイベントへの参加 ライバーをサポートする ライバーへの配慮 応援メッセージ ライバーへのアドバイス 他ライバーとの比較 フィードバック 配信内容に対する感想 ライバーのSNSをフォロー アイテム グッズ購入 経済的支援 継続コメント 継続視聴 長時間視聴 ライバーとの絆を深める ライバーへの深い愛情表現 ライバーへの深い理解を表現 ライバーの重要な出来事への参加 プライベート情報の共有 プライベートな相談・話題 特別な扱い・関係 記念日・目標達成のお祝い 長文コメント 緊張・テンション 迷惑な態度 対立的な意見 他を批判する アプリの機能を発見する ランクの仕組みを理解する 〇〇の仕組みを理解する コアファンのしくみを理解する。 ファミリーのしくみを理解する リスナーマイルストーンサンプル *マイルストーンは実際 のものではありません
  69. © DeNA Co., Ltd. 98 • 非構造化データの構造化 ◦ 従来は捉えにくかったコメントのような非構造化データから、関係構築における重要な行動パターン(マイルストーン)を客 観的に特定・定義

    • 関係構築プロセスの可視化と体系的理解 ◦ 感覚的に理解されていたライバーとリスナーの関係構築プロセスを、データに基づいて段階的かつ体系的に把握 • データドリブンな関係性分析 ◦ マイルストーン達成のタイミングと、視聴時間やギフト数といった具体的なリスナー行動の変化との関連性の定量的な分析 • 継続視聴に繋がる要因の特定 ◦ どのコミュニケーション(マイルストーン)がリスナーの継続視聴に実際に貢献するのかを統計的に特定(例:「冗談・ユー モア」「プライベートな相談・話題」) • 具体的な施策への応用 ◦ 分析結果に基づき、ライバーがリスナーとの関係を効果的に深めるための具体的なコミュニケーション戦略や指標を提案 (例:初見リスナーに取るべきコミュニケーションの提案など) まとめ
  70. © DeNA Co., Ltd. 100 ブロードリスニングの一般的な重要性 • 包括的な視聴者理解 - 一部の声やエンゲージメント指標のみでは見逃す潜在ニーズや微弱シグナ

    ルを、広範な配信内容とコメント分析から検出し、競合に先んじた施策を展開 • 先見的なトレンド把握 - 事後的なアンケートやレポートでは遅れる市場変化を、リアルタイムの 多角的データ収集により早期に察知し、迅速な対応でユーザー満足度を向上 • 精度の高い投資判断 - 限定的なフィードバックに基づく主観的判断ではなく、大規模かつ多様な データに基づく客観的分析により、コンテンツ開発や機能改善の投資効率を最大化
  71. © DeNA Co., Ltd. 101 ブロードリスニング@Pococha • AIを活用した音声→テキストの文字起こし、コメントと組み合わせて配信内容を抽出 ◦ 音声認識技術により配信者の発言を正確に文字化し、

    視聴者コメントデータと統合して配信全体の文脈を総合的に把握 • 抽出した配信内容をもとにさまざまな分析が可能 ◦ 収集したテキストデータから視聴者反応パターン、人気トピック、 エンゲージメント要因を多角的に分析し、配信効果を定量的に評価 ◦ 具体例 ▪ LLMを使って配信内容を要約し、キーワードを抽出 • 膨大な配信テキストから重要ポイントを自動要約し、 話題のキーワードを識別してコンテンツ戦略立案をサポート ▪ 日時ごとのトレンド変化、配信者ごとの話題の変化を分析 • 時間軸・配信者別の話題変遷をグラフィカルに可視化し、 ライブ配信のトレンド動向をリアルタイムで把握 ▪ Slackにトレンドを自動投稿 • 分析結果や最新トレンド情報を設定したSlackチャンネルへ自動配信し、 チーム全体での情報共有とスピーディーな意思決定を実現
  72. © DeNA Co., Ltd. 103 話題マップツール コメントのテキストデータ 配信A コメントのテキストデータ 配信B

    コメントのテキストデータ 配信C … Yes (演出が最高だった!) No Yes (次はどんなアイテムかな?) … 話題にしてる?どんな意見? (オプショナル) 発話内容の文字起こしテキスト 話題にしている界隈の可視化 話題を設定 話題にしている枠・内容の抽出 配信内容の分析 トピックを話題にしている配信の抽出 ◦ 話題の詳細内容 ◦ 話題の減衰やユーザーごとの違い ◦ 深堀りたいユーザーの選定 ◦ ユーザーの抱える感情の抽出 ◦ 施策の効果検証
  73. © DeNA Co., Ltd. 104 まとめ ユーザー体験最適化 • パーソナライズドレコメンド -

    コメント分析による適合ライバー提案、初心者向け"質の高い枠"抽 出、話題ベースの配信者マッチング • コンテンツ活用 - 配信ハイライト動画の作成・提供によるエンゲージメント向上と売上貢献 マーケティング強化 • データドリブン施策 - 定量的エビデンスによる広告営業効率化、トレンドを活用したデジマ最適化 • 施策効果測定 - 話題量分析による施策効果のリアルタイム検証と改善 サービス品質・収益向上 • 安全性向上 - コメント分析によるボット検知、マルチモーダルLLMによる違反配信自動検出 • 事業者向けソリューション - 人気トピック・リスナー関係性分析等のサブスク型ダッシュボード
  74. © DeNA Co., Ltd. 105 話すこと • DeNAのAI事業 〜さまざまな分野におけるAI活用〜 • ソーシャルデータサイエンス

    ◦ 計算社会科学 ◦ ユーザー行動分析と事業活用 • 大規模言語モデル ◦ 事業への活用 • 社会シミュレーション最前線
  75. © DeNA Co., Ltd. 106 2023年のこと • 4/7/2023: StanfordのPark et.

    al.のsocial simulacra論文がarxivにのる • 4/2023~: Xでバズり、さまざまなメディアで取り上げられる • 8/2023: レポジトリが公開される • 10/2023: UISTのbest paperに選ばれる • LLMエージェントを用いた社会シミュレーションが注目される ・・・ • さまざまな活用が生まれる、シミュレーションの規模が拡大する Park et. al., 2023
  76. © DeNA Co., Ltd. 107 社会シミュレーション • 25人のエージェントをsmallvilleで生活させる ◦ 各エージェントのペルソナはプロンプトで規定

    ◦ モデル: chatGPT (GPT3.5-turbo) • エージェントは人間らしい行動をする • その他みられる現象 ◦ 情報拡散 ▪ 選挙への立候補の情報 ◦ 協力 ▪ バレンタインパーティーの準備 Park et. al., 2023
  77. © DeNA Co., Ltd. 108 人間らしさを実現する工夫 • Retrieve ◦ プロンプトにいれる記憶を選定する

    ◦ recency, importance, relevanceで重み付け • Reflect ◦ 記憶をより抽象的な概念に昇華させる • Plan ◦ 再帰的に生成 ▪ 1日の予定→1時間ごとの予定→各予定の詳細 ◦ 環境の変化に適応する ▪ “トースターから煙がでています、どうしますか?” 全レコード Park et. al., 2023
  78. © DeNA Co., Ltd. 109 人間らしいか? • 問題点 ◦ Fail

    to retrieve : 聞いたことを思い出せない ◦ Hallucination : ないことをでっちあげる • 評価方法 ▪ 各モデルのエージェントにインタビュー • 自己紹介をしてください • Aさんはどんな人ですか? • 朝食が燃えています、どうしますか? ▪ 被験者が回答の人間らしさをランク付け Park et. al., 2023
  79. © DeNA Co., Ltd. 110 活用例(Park et. al., UIST, 2022)

    • ソーシャル空間の設計 ◦ SNS, コミュニティ, オフラインのイベント, etc ◦ 大人数の被験者で事前に実験することが難しい • social simulacraでできること ◦ インタラクションの生成 ▪ 予期せぬポジティブネガティブな発言の発見 ◦ What if ▪ 荒らしユーザーが発言したら ▪ モデレーターが介入したら ▪ コミュニティのルールを変更したら ◦ マルチバース ▪ いくつもの可能性をシミュレートできる • reactive → proactiveにコミュニティ設計ができる Park et. al., 2022
  80. © DeNA Co., Ltd. 112 意見のダイナミクス (Chuang et. al., 2023)

    • 10人のLLMエージェント (gpt3.5-turbo) • 5つのトピック ◦ 例:“地球は平らだ” • 各ステップにおいて任意のペアで意見交換 • 条件を変えて実験 ◦ トピックのフレーミング ◦ 意見の初期分布 ◦ 確証バイアス • 結果 ◦ バイアスの影響 ▪ 正しい情報に収束しがち ◦ 確証バイアスが意見の分断をうむ Chuang et. al., 2023
  81. © DeNA Co., Ltd. 113 SNSのシミュレーション (Gao et. al., 2023)

    • 実際のSNSネットワーク上のエージェント ◦ 約10000ノード • “男女差別”, “原子力発電”の2つのトピックについて  以下の3つをLLMでシミュレーション ◦ 感情:calm, moderate, intense ◦ 態度:賛成、反対 ◦ 反応:拡散、新規投稿、何もしない • 結果 ◦ 個人レベルの行動を再現 ◦ 情報、感情、態度の伝播を再現 Gao et. al., 2023
  82. © DeNA Co., Ltd. 114 SNSのシミュレーション (Törnberg et. al., 2023)

    • 500人のLLMエージェント ◦ サーベイデータを活用してペルソナを作成 ◦ 各エージェントは政治思想の近い30人をフォロー ◦ 投稿に基づき反応をする(コメント、いいね) • 3つのタイムラインロジックを考える ◦ 1. フォロワーの中で反応が多い投稿 ◦ 2. 全体で反応が多い投稿 ◦ 3. 反対派閥の中で反応が多い投稿 • 結果 ◦ 3.においてもっとも発言の毒性が低く、 派閥間の交流が促進された ◦ バイアスの影響 Törnberg et. al., 2023
  83. © DeNA Co., Ltd. 115 マクロ経済シミュレーション (Li et. al., 2023)

    • 100人のLLMエージェント ◦ 意思決定:労働、消費 ◦ ペルソナ:名前、年齢、仕事、職業... • 環境:労働、消費、銀行、政府 ◦ 相互に影響を及ぼす ▪ 銀行は利率を変更 ▪ 政府は税率を変更 ▪ 労働 (時給) と消費 (価格) の需給関係 • 結果 ◦ 現実的な行動がみられる e.g. “インフレの際は消費を抑える” ◦ マクロ経済で知られる関係を再現 ▪ フィリップス曲線 ▪ オークンの法則 Li et. al., 2023
  84. © DeNA Co., Ltd. 116 社会シミュレーションv2 (Park et. al., 2024)

    • 1000人のLLMエージェント ◦ 意思決定:社会調査への回答、性格特性の表現 ◦ ペルソナ:インタビューに基づく個人の人生、記憶、信念 • 環境:インタビューと大規模言語モデルの統合 ◦ AIインタビュアーによる2時間のインタビュー ◦ 記憶を保持・統合し、文脈に応じた応答を生成 • 結果:本物の人間のような態度と行動を再現 ◦ 社会調査の回答を85%の精度で再現 ◦ 人種や思想的背景による精度の偏りを低減 • 用途 ◦ 倫理的に難しい社会実験の実装 ◦ 製品やサービスの開発補助 Park et. al., 2024
  85. © DeNA Co., Ltd. 117 Project Sid (Altera社, 2024) •

    Minecraft環境内でAIエージェントによる社会シミュレーション ◦ 10人から1000人以上のエージェント • PIANOという新しいアーキテクチャを用いることでハルシネーションを低減 • 結果:エージェントは自律的に以下の行動を示した ◦ 専門化: 指示なしに農家や鉱夫などの異なる職業に分かれた ◦ ルール形成 : 税金のような社会ルールに従い、 民主的な投票プロセスを通じてそのルールを改正した ◦ 文化伝達 : 「ミーム」や特定の宗教を自発的に生み出し社会内で広めた
  86. © DeNA Co., Ltd. 118 SocioVerse (Zhang et. al., 2025)

    • 1000万人の実世界のユーザーを再現するAIエージェントを シミュレーションするための世界モデル • コンポーネント ◦ 環境: 最新の社会情報を反映 ◦ ユーザーエンジン: SNSデータ、デモグラを学習しエージェントのプロファイ ルを生成 ◦ シナリオエンジン: 特定の社会現象(例:選挙、ニュース速報、経済調査)の シナリオ設定 ◦ 行動エンジン: エージェントが社会的相互作用の中でどのように行動し、 意思決定を行うかをモデル化 • 結果:現実的な社会動態の再現 ◦ アメリカ大統領選挙の予測: 実際の選挙結果と高い相関性を持つ予測を生成 ◦ ニュース速報へのフィードバック分析: ニュースに対する社会の反応を現実的 にシミュレート ◦ 中国の全国経済調査: 国民の経済に対する意識や行動をモデル化 Zhang et. al., 2025
  87. © DeNA Co., Ltd. 120 生成マーケティング 人間 AIインタビュアー • 音声インタビューの自動化

    • 返答に応じて動的に質問内容を変 化させる AIエージェント AIエージェントプール • 多様なバックグラウンドをもつAI エージェント群 • インタビューの返答を活用し、実 際の人間を「再現」 インタビュー候補者 新しい施策に関する ユーザー意見を収集し たいです。適当な回答 者を20人選んでくださ い。 調査サマリー • AIインタビュアーとAIエージェントの対話 • インタビュー内容は雛形に基づいて動的に 生成される • 調査サマリーを自動生成 新しい製品について ユーザー意見を集めたい 質問の雛形
  88. © DeNA Co., Ltd. 124 参考 • Social Simulacra: Creating

    Populated Prototypes for Social Computing Systems. Park et. al., UIST, 2022 • Generative Agents: Interactive Simulacra of Human Behavior. Park et. al., UIST, 2023 • Simulating Opinion Dynamics with Networks of LLM-based Agents. Chuang et. al., arXiv:2311.09618v1, 2023 • S3: Social-network Simulation System with Large Language Model-Empowered Agents. Gao et. al., arXiv:2307.14984v2, 2023 • Simulating Social Media Using Large Language Models to Evaluate Alternative News Feed Algorithms Törnberg et al., arXiv:2310.05984v1, 2023 • Large Language Model-Empowered Agents for Simulating Macroeconomic Activities. Li et. al., arXiv:2310.10436v1, 2023 • Generative Agent Simulations of 1,000 People. Park et. al., arXiv:2411.10109, 2024 • Project Sid: Many-agent simulations toward AI civilization. arXiv: 2411.00114, 2024 • SocioVerse: A World Model for Social Simulation Powered by LLM Agents and A Pool of 10 Million Real-World Users. arXiv: 2504.10157, 2025 • 役に立ったサーベイ ◦ マルチエージェント(日本語) https://speakerdeck.com/masatoto/llmmarutiezientowofu-kan-suru  ◦ LLM Multi-Agent Systems: Challenges and Open Problems. Han et. al., 2024 • その他 ◦ 逆転オセロニアにおけるデッキタイプ抽出 ◦ ネットワーク科学を活用したマーケティング支援 124