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論文紹介: SKILLHARM

論文紹介: SKILLHARM

ひなたいLT会#1

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Radish

June 06, 2026

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Transcript

  1. 論文紹介: SKILLHARM スキルを悪用した攻撃に、最新エージェントはどこまで耐えら れるか 論文タイトル: SkillHarm: Lifecycle-Aware Skill-Based Attacks via

    Automated Construction Yuting Ning, Zhehao Zhang ほか(*Equal Contribution) ¹The Ohio State University (OSU NLP) ²Amazon AGI ³Stanford University https://arxiv.org/abs/2606.02540 ひなたいLT会 #1
  2. 自己紹介 Radish 居住地: 宮崎県 所属:フリーランス / XTM(クロステック・マネジメント) 職種:SWE 好きな言語:Go /

    Ruby / TypeScript / Clojure / Rust X: @ruby-engineer GitHub: @radish-miyazaki ひとこと:最近GitHub公式ショップで買い物して、円安を痛感しま した🫠 ひなたいLT会 #1
  3. 背景:スキルとは何か、なぜ危険か スキルとは 再利用可能なパッケージ 自然言語の指示( SKILL.md ) 参照資料(reference docs) 実行スクリプト(scripts) Claude

    Code などが、タスクのために読み込んで使う。 なぜ危険か Web文書やツール出力=「外部情報」は、エージェ ントが疑って扱う。 一方スキルは 従い・参照し・実行する前提。 = ワークフロー上の特権的な位置。 ファイル・シェル・認証情報・ツールに、エージェント権限 で静かに作用しうる。 実際 26.1% の公開スキルが少なくとも1つの脆弱性を含む(Liu et al., 2026b) ひなたいLT会 #1
  4. 既存研究の2つの限界 1. 1回のタスク実行しか見ていない スキルは導入後もセッションをまたいで再利用・改変され る。その流れ(ライフサイクル)を評価できていない。 2. 被害の分類が場当たり的 どんな害が起きうるかを体系立てて整理していない。 ベンチマーク ①セッション跨ぎ

    を評価 ②リスクを 体系分類 SKILL-INJECT ✗ ✗ PoisonedSkills ✗ ✓ SkillTrojan ✗ ✗ SkillSafetyBench ✗ ✓ SKILLHARM (本論文) ✓ ✓ Table 1: 既存ベンチマークとの比較(SKILLHARM だけが両方 ✓) 著者らは、既存のスキル攻撃ベンチマークには2つの欠落があると指摘する。 ひなたいLT会 #1
  5. 2つの攻撃シナリオ Figure 1: SKILLHARM の2つの攻撃シナリオ FPP — Fixed-Payload Poisoning インストール時から固定の攻撃が仕込まれている。スキルを呼

    ぶ同一セッション内で発動する直接攻撃。 SMP — Self-Mutating Poisoning 新規性 初回は無害に実行しつつ永続スキルを密かに改変。害は後続セ ッションでの再利用時に初めて発動。 ひなたいLT会 #1
  6. リスク分類:3カテゴリ・12種 著者らは「ワークフローのどこが侵害されるか」で12種のリスクを3つに整理。 データパイプライン 処理するデータ・成果物を狙う データの外部流出 出力の改ざん データ・設定の汚染 システム環境 実行基盤(ファイル・権限・設定) を狙う

    権限昇格 ファイルの改ざん・削除 バックドア設置 サービス妨害(DoS) マルウェア展開 システム破壊 エージェント自律性 委譲された権限・目的を狙う 目的の乗っ取り 証拠隠滅 踏み台化(権限の悪用) ひなたいLT会 #1
  7. AutoSkillHarm:攻撃の自動構築 Figure 2: AutoSkillHarm の3段階パイプライン ① 対象選定 → ② 攻撃設計

    → ③ 品質フィルタ  (生成物の70%が通過) 設計のポイント 攻撃を自動生成 自然言語の指示書(ハーネス)でコーディン グエージェントを駆動し、多様な攻撃を量産 AI が攻撃を設計 Claude Code (Opus 4.7) が、人手をかけず に攻撃を設計 成否を機械判定 決定論的な評価器で成否を判定(LLMの判定 だけに頼らず信頼できる) ひなたいLT会 #1
  8. SKILLHARM ベンチマーク 前ページの AutoSkillHarm で自動生成した攻撃を、71スキル横断で集めた評価セット。 規模 値 対象スキル 71 リスク種別

    12 タスク数 57 攻撃サンプル 879(FPP 687 / SMP 192) Table 3: ベンチマークの規模 攻撃サンプル1件の中身(そのまま実行できる) 左の 879 件は、それぞれ次を同梱: 再現可能な Docker 環境 汚染されたスキルファイル 決定論的な評価器(成否を機械判定) 本論文が構築した、スキルベース攻撃のベンチマーク。 ひなたいLT会 #1
  9. 主結果:最新エージェントも脆弱 ハーネス/モデル FPP の ASR SMP の ASR Claude Code

    · Sonnet 4.6 52.4 51.6 Claude Code · Opus 4.7(最堅牢) 27.4 9.4 Codex · GPT-5.4(最脆弱) 86.3 69.3 Codex · GPT-5.5 81.4 65.6 Gemini CLI · Gemini 3 Flash 63.8 45.8 OpenCode · Qwen-3.6 27B 53.9 51.6 Table 4: 攻撃成功率 ASR(Attack Success Rate, %) 表からの読み取り ① 最新エージェントでも広く脆弱(ASR は FPP 最大 86.3% / SMP 最大 69.3%) 。 ② Codex が最脆弱、Claude Code (Opus 4.7) が最堅牢。同じ攻撃でも構成差が大きい。 ひなたいLT会 #1
  10. 落とし穴:低い ASR = 安全ではない 重要 前ページで「失敗」とされた攻撃の多くは 耐性ではなく、 「そもそも汚染ファイルに触れなかった」だけだっ た。 →

    そこで、汚染ファイルに関与した場合だけに絞った成功率 = cASR(Conditional ASR)を見る。 「触れたうえで防げたか」とい う本当の頑健性。 SMP の構成 ASR cASR 増分 Opus 4.7 9.4 41.5 +32.1 Sonnet 4.6 51.6 70.2 +18.6 Codex GPT-5.4 69.3 77.4 +8.1 Table 4: SMP での ASR と cASR の比較 最も堅牢に見えた Opus 4.7(SMP)でさえ、関与すれば +32.1pt 跳ね上がる。 低い ASR は「安全」を意味しない。 ひなたいLT会 #1
  11. 防御は不十分 著者らは2つの防御を検証した。どちらも不十分。 ① スキルスキャナー:スキルを検査して悪意を見つけるツール 検出手法 FPP SMP Skill Scanner (Opus

    4.7) 55.6 68.8 Skill Scanner (GPT-5.5) 21.5 5.2 Agent Scan 7.4 9.9 Table 5: スキルスキャナーの検出率 FPP 55.6% / SMP 68.8% しか検出できない(文脈に 溶け込んだ注入を見逃す) 。 ② 防御的システムプロンプト(DSP) :エージェントに「危険なスキルに注意」とあらかじめ警告する防御 ほぼ全構成で ASR > 70% が残存。警告しても効果は不安定。 プロンプトだけでは防げない。 必要なのは、実行時に危険な動作を監視・遮断する仕組み(ランタイムガード)や、危険なスキルを見抜くための追加の安 全学習(安全 post-training) 。 ひなたいLT会 #1
  12. まとめ 著者らの3つの貢献 ① ライフサイクル視点 FPP(同一セッション)と SMP(セ ッションをまたぐ)の2シナリオで 評価 ② 体系的なリスク分類

    3カテゴリ・12種でリスクを網羅的 に整理 ③ 潜在リスク(cASR) 「触れなかっただけ」を見抜き、真 の脆弱性を可視化 結論 ・ 安全訓練済みの最新エージェントでも、スキルベース攻撃に広く脆弱。 ・ スキャナーも防御プロンプトも止めきれない。 ・ スキルへの信頼を突く攻撃は、ツール/Web経由の攻撃とは別物。専用の対策がまだ無い。 ひなたいLT会 #1