Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

エンジニアの思い付きをプロダクトにした話 ~SkyWayの9年間のHARD THINGS~ プロダクトマネージャーカンファレンス2022

Ryosuke Otsuya
November 07, 2022

エンジニアの思い付きをプロダクトにした話 ~SkyWayの9年間のHARD THINGS~ プロダクトマネージャーカンファレンス2022

プロダクトマネージャーカンファレンス2022の講演スライドです。 #pmconf #pmconf2022 #webrtc #skyway

Ryosuke Otsuya

November 07, 2022
Tweet

More Decks by Ryosuke Otsuya

Other Decks in Business

Transcript

  1. SkyWayとは SkyWayは ビデオ通話のSDK(WebRTC PaaS)※ 数⼗⾏のプログラムでアプリやWebサイトに ビデオ・⾳声通話を追加できる。 ※ SDK … ソフトウェアの部品

    ※ WebRTC … ビデオ・⾳声通話の標準技術 ※ PaaS … アプリ開発に必要な機能を提供するサービス ビジネスモデルはB2B2X型 開発者 ユーザー SkyWay アプリ SDK ソフト ウェア 利⽤ ¥ ¥ ¥ B X to B to C 消費者 B ビジネス E 従業員
  2. セッションの内容 エンジニアの「思いつき」を プロダクトとして成⽴させた9年間の学び SaaS / PaaS / IaaS、BtoB / BtoC、⼤企業

    /ベンチャー / スタートアップに 関わらず活⽤可能なノウハウを、体験談を通じてご紹介 HARD THINGS(1) SkyWay のはじまり テクノロジードリブンのプロダクトの作り⽅ 学び HARD THINGS(2) SkyWay の事業化 事業化の「死の⾕」を越える4つのコツ 学び HARD THINGS(3) SkyWay 最⼤のリスク コントロールできないリスクと向き合う⽅法 学び
  3. 無料β版リリース後、開発者が順調に増加。 顧客の課題を理解していないが、解決策を作れた(= ⼀応、Problem Solution Fit ) 0 200 400 600

    800 1000 1200 2013/12 2014/03 2014/06 2014/09 SkyWay のはじまり Problem Solution Fitを達成! 開発者数 無料β版リリース 初⽇69名/初⽉381名
  4. SkyWay のはじまり プロダクトマネージャーをアサイン プロダクトマネージャー ⽔嶋彬貴さん(pmconf実⾏委員) マネージャー兼 プロダクトチームメンバー テクニカルリード 岩瀬義昌さん(fukabori.fmの⼈) プロダクトチーム

    開発チーム マネージャー兼 なんちゃってプロダクトマネージャー兼 なんちゃってテクニカルリード メンバー 「なんちゃって」を解消し、プロダクトチームと開発チームを作り、それぞれにリードをアサイン
  5. SkyWay のはじまり 1876 2004 電話の 発明 Skype LINE SkyWay 2012

    2013 プロダクトの4階層のCore/Whyを定義 128年 8年 電話会社が独占 (資本による参⼊障壁) インターネット 登場 独占 終了 競合不在 (技術による参⼊障壁) NTT⾃ら通話を ⺠主化したい! プロダクトマネージャーとやったこと① 通話の歴史を振り返りながら、ミッションステートメントを考えた
  6. リーンキャンバスを定義し 現状を理解しようとした SkyWay のはじまり プロダクトマネージャーとやったこと② 及川 卓也, ⼩城 久美⼦, 曽根原

    春樹. プロダクトマネジメントのすべて テクノロジードリブンによる プロダクトの作り⽅を発⾒!
  7. ⼀般的なリーンキャンバスの使い⽅ 課題 Problems ソリューション Solution 独⾃の価値提案 Unique Value Proposition (UVP)

    圧倒的な優位性 Unfair Advantage カスタマー セグメント Customer Segment 既存の代替品 Existing Alternatives 主要指標 Key Metrics ハイレベル コンセプト High Level Concept チャネル Channels アーリー アダプター Early Adopters コスト構造 Cost Structure 収益の流れ Revenue Streams テクノロジードリブンのプロダクトの作り⽅ 1 顧客 2 課題 3 価値 4 ソリューション 9 テクノロジー
  8. ⼀般的なリーンキャンバスの使い⽅ テクノロジードリブンのプロダクトの作り⽅ 顧客起点でソリューションを考える 顧客 課題 価値 ソリューション テクノロジー XXXXX XXXXX

    XXXXX XXXXX XXXXX XXXXX XXXXX XXXXX XXXXX • テクノロジーが出てくるのは⼀番最後 • 1パターンだけ書くのではなく、たくさん書いて、その中でベストを選ぶ
  9. 次に「正順」で確かめる テクノロジードリブンのプロダクトの作り⽅ 電話 LINE@ リアル店舗 オンライン英会話 事業者、オンライ ン診療事業者 (エキスパートと ⼀般⼈をマッチン

    グするサービスの 提供者) 〇〇な時に 顧客と 通話したい 顧客 課題 価値 ソリューション テクノロジー WebRTC WebRTC PaaS 1. テクノロジーを活かすソリューションを考える 2. 顧客の課題を解決できるかを確かめる
  10. 次に「正順」で確かめる テクノロジードリブンのプロダクトの作り⽅ 電話 LINE@ リアル店舗 オンライン英会話 事業者、オンライ ン診療事業者 (エキスパートと ⼀般⼈をマッチン

    グするサービスの 提供者) 〇〇な時に 顧客と 通話したい 顧客 課題 価値 ソリューション テクノロジー WebRTC WebRTC PaaS 不⼀致 (顧客の課題を解決できない) 1. テクノロジーを活かすソリューションを考える 2. 顧客の課題を解決できるかを確かめる
  11. 次に「正順」で確かめる テクノロジードリブンのプロダクトの作り⽅ 電話 LINE@ リアル店舗 オンライン英会話 事業者、オンライ ン診療事業者 (エキスパートと ⼀般⼈をマッチン

    グするサービスの 提供者) 〇〇な時に 顧客と 通話したい 顧客 課題 価値 ソリューション テクノロジー WebRTC WebRTC PaaS ⼀致 (顧客の課題を解決できる) 直感的なUXを提 供したい&開発が 難しすぎる WebRTC PaaS 1. テクノロジーを活かすソリューションを考える 2. 顧客の課題を解決できるかを確かめる
  12. テクノロジードリブンのリーンキャンバスの使い⽅ 課題 Problems ソリューション Solution 独⾃の価値提案 Unique Value Proposition (UVP)

    圧倒的な優位性 Unfair Advantage カスタマー セグメント Customer Segment 既存の代替品 Existing Alternatives 主要指標 Key Metrics ハイレベル コンセプト High Level Concept チャネル Channels アーリー アダプター Early Adopters コスト構造 Cost Structure 収益の流れ Revenue Streams テクノロジードリブンのプロダクトの作り⽅ 3 顧客 4 課題 5 価値 ソリューション 1 テクノロジー 2 6
  13. SkyWay の事業化 オンライン英会話、オンライン診療、オンライン通訳など 有償サービスやミッションクリティカルなサービスに採⽤され、期待が⾼まった 顧客の期待はどんどん⾼まる… 無償だけど 信頼性は 本当に⼤丈夫? 商⽤サービスと 思って

    運⽤している 急にやめられると 困るが、いつ正式 サービスになるの? 全⼒で商⽤化を 進めているので 信じてください 収⽀をシミュレー ションしたいので料 ⾦を教えてほしい 案なので変わる かもしれません が、開⽰します
  14. 社内プロモーションに ⼒を⼊れる • プロトタイプは社内公開し使ってもらう。 • 例:Smart vLive(低遅延ライブ配信)のプ ロトタイプを使って、社内外のイベントの配 信を数⼗回実施。 2

    ⼊社式、⾃社イベント「NTT Com Forum」、 ラグビー部の記者会⾒、「始動」イベント 事業化の「死の⾕」を越える4つのコツ 多くの場合、⼈は形にして⾒せてもらうまで、⾃分は何が欲 しいのかわからないものだ。― スティーブ・ジョブズ
  15. 能動的に「外部リスク」に関わった SkyWay の標準化 WebRTCの 標準化に参加した • 標準化団体(W3C、IETF)に参加し情報収 集とロビイングを⾏った。 ⽇本にWebRTCの コミュニティを作った

    • WebRTC関連企業を集めて⼤規模カンファ レンスを開催した。 • WebRTCエンジニアの勉強会を始めた。 • 標準化を主導する海外の著名エンジニアを講演に招聘し、来⽇時に会⾷して仲良くなった。 • WebRTC利⽤者の声が聞けるようになり、ロビイングに説得⼒が出た。 相乗 効果
  16. その結果「賭け」に勝った SkyWay の標準化 WebRTC 対応ブラウザのシェア Chrome etc. Safari Other 95%

    ※ 2020年1⽉ EdgeのWebRTC対応時 Edge Firefox 2017年にSafariが、2020年にEdgeがWebRTCに対応し 対応ブラウザのシェアは95%になった
  17. まとめ エンジニアの「思いつき」を プロダクトとして成⽴させた9年間の学び SaaS / PaaS / IaaS、BtoB / BtoC、⼤企業

    /ベンチャー / スタートアップに 関わらず活⽤可能なノウハウを、体験談を通じてご紹介 HARD THINGS(1) SkyWay のはじまり テクノロジードリブンのプロダクトの作り⽅ 学び HARD THINGS(2) SkyWay の事業化 事業化の「死の⾕」を越える4つのコツ 学び HARD THINGS(3) SkyWay 最⼤のリスク コントロールできないリスクと向き合う⽅法 学び