ソフトウェアの複雑性と認知負荷/Software Complexity and Cognitive Load

dip株式会社との合同勉強会での発表資料です。

■参考リンク

「快適な」学習のために〜認知負荷理論入門 - 教育のスゴい論文
https://note.com/sugo_ron/n/na8d0916b1f55

Transcript

1. Genki Sano ソフトウェアの複雑性と認知負荷 @dip株式会社×株式会社カオナビ 合同勉強会 2025/09/11
2. 自己紹介 2 佐野 元気 Genki Sano 所属 : 株式会社カオナビ 職種 : バックエンドエンジニア（PHPer） 役割 : エンジニアリングマネージャー 趣味 : キャンプ、コーヒー、サウナ、ライブ参戦 @sanogemaru
3. 3 複雑性 説明できる方？
4. 4 認知負荷 説明できる方？
5. 5 分かるようでよく分からん（？）
6. 6 みなさんに 「完全に理解」 してもらいます (※諸説あり)
7. 7 複雑性
8. 8 複雑性 • 複雑性とは「コードが理解しづらくなる性質」 • 本質的複雑性と偶有的複雑性の2種類が存在する
9. 9 Jr FrederickP.Brooks 『人月の神話』 (滝沢徹, 牧野祐子, 富澤昇 訳) 丸善出版, 2014年, 16章 すべてのソフトウェア構築には、本質的作業 として抽象的なソフトウェア実体エンティ ティを構成する複雑な概念構造体を作り上 げること、および、偶有的作業としてそうし た抽象的実在をプログラミング言語で表現 し、それをメモリスペースとスピードの制約 内で機会言語に写像することが含まれてい る。
10. 10 複雑性 本質的複雑性 偶有的複雑性 問題領域そのものが 難しいせいで発生する複雑さ （例：暗号化アルゴリズム） 実装や設計の仕方で 余計に増える複雑さ （例：意味不明な変数名、大量のif文） 減らしたい↓
11. 11 複雑性 • 複雑性とは「コードが理解しづらくなる性質」 • 本質的な複雑さと偶有的な複雑さを分離して考える • 偶有的複雑性を最小化することを目指すと◎
12. 12 認知負荷
13. • 認知負荷とは「人間が理解するための脳の負担」 • 課題外在性負荷と課題内在性負荷が存在する ※1 13 認知負荷 ※1 他にも 「精緻化負荷（Germane Load）」 が存在します。ここでは分かりやすさのために触れていません。
14. 課題外在性負荷 14 認知負荷 課題内在性負荷 課題そのものの難しさを 理解するために必要な負荷 （例：業務ロジックを理解する） 表現の仕方や 情報の出し方で増える負荷 （例：ネスト地獄、無意味な変数名） 減らしたい↓
15. 15 認知負荷 • 認知負荷とは「人間が理解するための脳の負担」 • 内在的な負荷と外在的な負荷を分離して考える • 課題外在性負荷を最小化することを目指すと◎
16. 16 まとめ
17. まとめ 17 • 複雑性 = ソフトウェアの性質 ◦ コードや設計がどれくらい理解しにくい構造を持っているか ◦ 本質的複雑性（問題自体の難しさ） ◦ 偶有的複雑性（実装のせい） • 認知負荷 = 人間の脳の負担 ◦ ソフトウェアを理解・操作するために頭を使う量 ◦ 課題内在性負荷（理解に必要） ◦ 課題外在性負荷（ムダに増える）
18. まとめ 18 複雑性 が高いと 認知負荷 が爆発
19. まとめ 19 偶有的複雑性 を減らすことで 課題外在性負荷 を減らし 人に優しいコードを書きましょう
20. 20 おまけ
21. どうやったら偶有的複雑性を 減らせるか知りたい 21 おまけ
22. おまけ シンプル で 捨てやすい コード を書きましょう！ 22
23. https://speakerdeck.com/sanogemaru/lets-make-software-easy-to-discard 23
24. Thanks！ 相談・指摘・その他 下記のX(Twitter)アカウントまでお願いします！ 24
25. 参考資料 • Jr FrederickP.Brooks 『人月の神話』 (滝沢徹, 牧野祐子, 富澤昇 訳) 丸善出版, 2014年 • 「快適な」学習のために〜認知負荷理論入門 - 教育のスゴい論文 • ソフトウェアの複雑性と認知負荷 - Genki Sano • ソフトウェアは捨てやすく作ろう - Genki Sano 25