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最適化ではなく最大化 生産性と生産量を上げるためにどう考えるか?

SansanTech
February 19, 2024

最適化ではなく最大化 生産性と生産量を上げるためにどう考えるか?

■イベント
最適化ではなく最大化を - Sansan西場さんが考える開発生産性を学ぶ
https://developer-productivity-engineering.connpass.com/event/309513/

■登壇概要
タイトル:最適化ではなく最大化生産性と生産量を上げるためにどう考えるか?
登壇者:執行役員/VPoE 西場 正浩

■技術本部 採用情報
https://media.sansan-engineering.com/

SansanTech

February 19, 2024
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Transcript

  1. - 開発者体験はユーザー体験と同等に重要である。 - 開発者体験が個⼈の⽣産性向上に⼤きく寄与する。 - 私が多くのことを考えても開発者体験の向上は難しい。 ◦ そのためにボトムアップの組織を作りたい。 ◦ トップダウンでボトムアップにする。

    ◦ ”Disagree and Commit”でやっていきましょう。 - 常に仮説を持ちながら新しい情報を探索し ⾃分の考えをアップデートしていきたい。 - ⾊々やっているわけではなく、 グローバルテックカンパニーにするために、 ボトルネックを発⾒し解消しスループットを増やしている。 ⻄場 正浩 VPoE/VPoP/CPO補佐 主にプロダクト開発に責任がある ※ VPoE/VPoPについては別途話したい
  2. - ⽬標と⽅向性が明確になっており、⼀丸となって⽬標達成に取り組んでいる。 コミュニケーションも円滑であり、互いに情報共有や意⾒交換、相談が必要に応じて活発に⾏わ れている。 - 開発プロセスも常に改善していっている。無駄な作業をなくしたり、⾃動化している。 同じ作業を年に数回⾏うのであれば費⽤対効果をみて改善している。 さくっとできるものであれば空き時間を使ってさくっと改善している。 - 組織の技術⼒が⾼い、または⽇々⾼くしようと取り組んでいる。

    Growth Mindset(※1) であり、新しいことを学び、昨⽇よりもスキルが上がる状態を⽬指している。 ネガティブなフィードバックも最⾼の贈り物だと捉えている(※2) 。 そのため⼼理的安全性が⾼い(感情的安全性ではなく)。 - プロジェクト管理がされており、メンバー全員がプロジェクト達成のためにどのようなタスクが あるかを把握している。 メンバーが⾃発的に将来起こりうるリスクについて議論しており、そのリスクに対する対処が⾏ われている。 開発組織の⽣産性が⾼い状態とは何だろう? ※1マインドセット:「やればできる!」の研究 ※2 Hit Refresh マイクロソフト再興とテクノロジーの未来
  3. - 分割統治が⾏われており、同じ⽬標に向かっていない。 互いに互いの業務について⼝も⼿も出さない。 コミュニケーションが乏しく、困っていてもなかなか相談する時間がない。 リーダーが個別に対応しており、リーダーが常に忙しくしている。 - 業務に無駄が多い。⾃動化できるタスクが⾃動化されていない。 ⾃分が担当したときに⼀⼿間かければ他の⼈が楽になることに対して意識が向いていない。 また新しいツールの導⼊やプロセス変更でもっと楽になることには気づいている。 しかし誰も提案しない。

    無駄な会議や参加する必要のない会議に呼ばれる事が多い。 - 開発しているシステムに対して技術⼒やスキルが⾜りていない。 学習するための時間が必要だが時間を確保できていない。また学習の環境が整っていない。 そのことを分かっているが誰に相談したら解決できるのかも分からない。 - プロジェクト管理が⾏われておらず、リスクへ事前の対応ができていない。 それゆえに⾏き当たりばったりで問題に対応する必要があり、必要以上にプロジェクトが⽌まってしま っている。 逆に開発組織の⽣産性が低い状態とは何だろう?
  4. カテゴリ 衛⽣要因 動機付け要因 個⼈ - 開発に必要な要件を ⼗分満たすPCやツールが整っている。 - ⼀緒に働きたいと思えるメンバーがいる。 -

    気軽に質問や相談ができるチームである。 - まとまった開発時間を確保できる。 - 適切に休息がとれる。 - 楽しくチャレンジングな仕事がある。 - スキルアップができる環境がある。 - 解決すべき課題や解決策を提案することが 推奨されている。 - チームへの貢献を評価される。 開発組織 - みんなで課題を解決するためにチーム全体で 円滑なコミュニケーションが⾏われている。 - 無駄なタスクをなくしたり、作業を⾃動化し、 開発業務を改善している。 - 適切なプロジェクト管理が⾏われており、 メンバーが互いに互いの業務を理解し、 将来起こりうるリスクについて対策できている。 - ⽬標と⽅向性が明確で共通理解がある。 - ⼼理的安全性(感情的安全性ではなく)が⾼く、 互いにネガティブなフィードバックも⾏い、 ともに成⻑できる。 - 業務に必要なスキル向上のための⽀援がある。 - チームの成果を適切に評価される。 プロダクト 開発 - ユーザーからフィードバックを集め、 適切にPDCAを⾏い、改善の効果がでている。 - PdMによって適切に仮説検証が⾏われており、 開発したものがユーザーから評価されやすい。 - 実現すべき顧客価値を関係者が理解しており、 実現のために協⼒し合っている。
  5. - 対策せずに従業員数を増やすと⼀般的に個⼈の⽣産性は下がる。 - コミュニケーションコストが増える。 コミュニケーションパスは組織の⼈数の増加に対して指数的に増えていく。 - 個⼈の責任感が低下する。 個々⼈の貢献が⾒えにくくなる。 - 組織の慣性⼒が増加する。

    何か新しいことを始めるためのコストが⼤きくなり、無駄なことも継続されがちになる。 - マネジメントの質が低下する。 ⼤きなシステムや⼤きな組織はマネジメントの難易度が⾼いが、 組織のマネジメント⼒の総和が増えない。 - 開発案件の質が低下する。 価値の⾼いプロジェクトが⼗分にないことにより、価値が⾼くない案件を開発している。 前述のパレートの法則(20:80の法則)のとおり。 - ゆえに従業員を増やしながら⽣産性を上げるためには、 組織・技術・プロダクトのマネジメントやリーダーシップの強化も不可⽋である。 例:従業員数を増やしながら、⽣産量をそれ以上に増やす。
  6. - 連結売上⾼が 34.6%(※) 成⻑している。 Sansanは成⻑し続けている。 - さらにマルチプロダクト化も成功しており、 新しいプロダクトが⽴ち上がっている。 - その成⻑を牽引するために、

    プロダクト開発組織は全ポジションを積極的に採⽤している。 ※2024年5⽉期第2四半期決算において 連結ARRは前年同期⽐34.6%増 ※グラフは各年5⽉期の売上⾼(2016年5 ⽉期以前は単体売上⾼、2017年5⽉期以 降は連結売上⾼)
  7. もちろんバランスを取りながらやっていく必要があるが、 どちらのフェーズなのかを意識しておくと会社全体で⽅向性が揃う。 最適化と最⼤化は考え⽅が違う。 最適化 最⼤化 - 既存のメンバーで最⼤の成果を得るために 調整や改善を⾏う。 - 付加価値⽣産性が⾼い事業に⼈を寄せる。

    共通基盤を開発し効率化を図る。 - 事業やプロダクト単体ではなく 横断的に組織の機能の共通化も⾏う。 - 各事業やプロダクトが独⾃に判断し、 採⽤を⾏う。 - ⾜並みをそろえる必要がある共通化な どは⾏わない。 各事業等で最適な体制や開発を⾏う。
  8. ⽣産性や⽣産量が上がっているようで実際は上がっていない。 最適化と最⼤化の罠 最適化の罠 - ⾃⼰中⼼な局所最適の罠:⾃分たちだけは 良くても周りの⼈達に悪影響がある。 - 過度な標準化の罠:柔軟性が失われ、 イレギュラーな事象で多⼤な⼯数がかかる。 -

    過剰な指標依存の罠:⽣産性向上という⽬的 を忘れ、評価指標をハックする。 - 過度な技術依存の罠:新しいツールや技術は ⼀時的に⽣産性を向上させるが、本質的な課 題の解決にならない。 最⼤化の罠 - 過度な拡⼤による⽣産性低下の罠: 組織が⼤きくなったが付加価値⽣産性の⾼い 業務が⼗分にない。 - 過度な拡⼤による柔軟性低下の罠: 組織が多くなるほど慣性⼒が働き既存の⽅法 を好むようになる。それにより⽣産性の低い やり⽅を続ける。
  9. 仲間を増やす。 - 全ポジションで採⽤を進めている。 - 採⽤基準は徐々に引き上げている。 - 組織/技術/プロダクトをマネジメントできる⼈は意識的に強化している。 成⻑⽀援の環境を整える。 - 育成のための評価を⾏う。

    フィードバックを明確にし、サイクルを短くする。> speakerdeck: エンジニアの成⻑に向き合う評価と⽬標設定 - 状況を⾒ながら学習⽀援策を⾏う。 書籍購⼊補助、Udemy Business、各種研修(EVeM、Minervaなど)、GCPやAWSの学習コンテンツ。 - 挙⼿制の異動を活発にする。 Sansan社内やグループ会社には異なるフェーズのプロダクトがある。 また各開発組織で使っている技術スタックが違う。新しい環境で新しいことにチャレンジできる。 ⼟台:⼈が組織を作り、組織がプロダクトを作り、プロダクトが価値を⽣み出す。⼈が全てだ。
  10. Sansanのプロダクト開発組織 技術本部 Sansan Engineering Unit Eight Engineering Unit Bill One

    Engineering Unit Strategic Products Engineering Unit Quality Assurance Group データアライアンス部 海外開発拠点⽀援室 Digitization部 コーポレート システム部 Mobile Application Group 研究開発部(R&D) 情報セキュリティ部 VPoE室 CPO室 UXリサーチセンターグループ プロダクトデザイナーグループ プロダクトマネジャーグループ 約500名 約60名
  11. Sansanの技術スタック カテゴリ 技術 ⾔語 Typescript, C#, Kotlin, Go, JavaScript (Express),

    Ruby, Python フレームワーク React, Next.js, ASP.NET MVC, Ktor, Spring Boot, Rails インフラ AWS, GCP, Azure DB CloudSQL (PostgreSQL), Aurora (MySQL), Elasticsearch, Azure SQL Database, Azure Cosmos DB, BigQuery, Redshift 運⽤・監視 Zabbix, Grafana, New Relic, Amazon Elasticsearch Service, Fluentd, Chef CI/CD・テスト Jenkins, NUnit, JUnit, GitHub Actions その他 Elastic Cloud, GraphQL, REST, Auth0, GitHub, GitHub Copilot, Figma, Storybook, Teamflow
  12. - 希望者にEVeMやMinervaなどのマネジャー研修を⽀援している。 - 技術本部経営チームを作り、経営課題を議論し解決する。次期CXOを育てる。 組織マネジャーの成⻑⽀援や組織マネジャーの採⽤。 そのうえで組織の裁量と責任を⼤きくする。 成⻑⽀援 採⽤ 組織の裁量 と

    責任の拡⼤ - 開発組織の⼀番上のOKRのObjectiveは「1年で⽣産量2倍にする」であり、 ⽣産量の定義は各部で決めていい。各部は取り組み状況を報告する責任があり、 マネジャーは担当する組織の成果や周辺組織に貢献した成果で評価される。 - 説明責任を果たすのであれば裁量は増える。 「説明責任なしに⾃由にお⾦が使える」といった裁量はない。 - 笹川 裕⼈、⼤島 武徳がマネジャーとして⼊社している。 - ⼀つ⼀つの開発組織の裁量や責任がスタートアップのCTOと同等程度あるため チャレンジングである。
  13. 笹川 裕⼈ 技術本部 Sansan Engineering Unit 副部⻑ - コンピュータ・サイエンスで博⼠を取得。 -

    新卒でリクルートに⼊社。⼤規模データ基盤の 開発、データ分析(ABテスト設計など)、デー タ基盤のクラウド化に従事。 - エムスリーにSWEとして転職。⾃らも⼿を動か しながら、AI/ML、SRE、QA、グローバルチー ムなどのマネジメントを担当。 - 2023年4⽉より現職
  14. ⼤⻄ 真央 Order One 事業責任者 - SEとしてキャリアをスタートし、前職ではスクラム マスターを含むアジャイルな開発を推進。 - 2016/1にSansanに⼊社し、Sansanプロダクトの開発

    及び関⻄開発拠点の⽴ち上げを担当。 - 新規事業を⽴ち上げるエンジニアリング組織を⽴ち上 げ後、プロダクトマネジャー及び開発責任者として Bill Oneの⽴ち上げ及びグロースを担当。 - 現在は、第三の事業の柱を作るべく、Order Oneの事 業責任者にチャレンジ中。
  15. ⼤島 武徳 技術本部 研究開発部 副部⻑ - ゲーム機本体の組み込みソフトウェア開発者としてキャリ アスタート。動画ライブラリやストリーミングシステム、 パフォーマンス・チューニング、アプリ開発などを⾏う -

    ⾃動⾞メーカーに転職。クラウドでの開発にswitchし、⾃ 動運転向けのAI学習環境開発やdata pipeline開発を⾏う - このときにWaterfallからAgileへのswitchも経験する - その後、情報サービス系企業にてデータ基盤開発やデータ ガバナンスの整理などを⾏う - 2023年4⽉より現職。データ利活⽤推進及び新規データプ ロダクト開発の⽀援を⾏っている
  16. 三浦 俊介 技術本部 コーポレートシステム部 部⻑ - ⾳楽⼤学、芸術⾳楽の作曲学科卒 - 広告業界で⼤⼿企業のWEBプロモーション案件のWEBプ ロデューサー/ディレクターを担当

    - 楽天(株)にて電⼦書籍/本ジャンルの新規サービス開発や サービスグロースのPjM、UIUXデザイナーを担当 - (株)JCBにてデジタルマーケティングの企画制作を担当 - コインチェック(株)にてUX部⻑/社⻑室⻑/システム企 画などを担当 - 2022年1⽉より現職
  17. 柴野 亮 Bill One事業部 VPoP / 公認会計⼠ - 公認会計⼠試験に合格後、監査法⼈に⼊社 -

    2014年にSansan株式会社へ⼊社し、財務・経理 担当として経理実務に携わる - 請求書業務の⾮効率さに⼤きな課題を感じ、イ ンボイス管理サービス「Bill One」の事業開発に 着⼿ - 現在はプロダクトマネジャーとして、新しい請 求書業務の在り⽅を普及させるために尽⼒する
  18. 川瀬 圭亮 Sansan事業部 プロダクトマネジャー - 在学中は政治学を専攻しながら、フリーランスのWEBデザイ ナーとしても活動 - 卒業後、国内外のスタートアップやメガベンチャー、ビッグ テックでプロダクト開発に携わる

    - アジアの⼩中学⽣向け教育サービスから、国内⼤企業向け契 約管理サービスまで、様々なプロダクトマネジメントを担当 - 昨年、働きながら、オンラインでUSのMBAを取得 - 第⼀⼦、第⼆⼦ともに育休を取得 - 2023年8⽉にSansan株式会社に⼊社
  19. 尾花 政篤 Contract One Unit プロダクトマネジャー - コンサルティングファームのマネジャーを経て、 保険業界特化型のVertical SaaSを創業。

    - 2023年にSansan株式会社に⼊社。 - 契約データベース「Contract One」のプロダク トマネジャーとグループ⼦会社の⾔語理解研究 所を兼務。また社内の⽣成AI/LLMを含めた⾃ 然⾔語処理技術の活⽤を推進。