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『知るということ 認識学序説』第五章「言語・論理的相対性」
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Shinto
May 29, 2025
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『知るということ 認識学序説』第五章「言語・論理的相対性」
Shinto
May 29, 2025
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Transcript
第5章 ⾔語・論理的相対性 『知るということ認識学序説』 北海道⼤学情報科学院修⼠2年 進藤稜真-RyomaSHINTO 2025/5/29(Thu)
「認識学」の⽬指すもの(輪読会終了後追加) P. S. 論理実証主義への批判 1 「⼈間は感覚を通じて世界に⽣起する客観的事実を受け取るだけ」と⾔う知識論上の前提仮説 ⇨⼈間の知識はパターンによって⾏われ,科学においてそれを可能にするのが⼈間の側の理論 知式論的相対主義 科学の世界では、アインシュタインの相対性理論以降「相対主義」が⼀種の鍵概念になる 知識論的相対主義もまた、何らかの変換に対して不変となるべきである
⇨知識論において⽤いられる⽤語は哲学分野のもの。数学的定式化は難しい。 ⇨知識論から形⽽上学的な表現を削り落とし、数学的表現に置き換えようとする⇨ 例:肺のX線写真 関連する医学的・⽣理学的知識を持つ者だけが、肺結核の病巣のパターンを⾒る ⇨「認識は価値(重みづけ)が無ければ成り⽴たない」(5.5節):認識の相対的な性格 ・ボーアの相補性 例:電⼦や素粒⼦を「波」と⾒るか「粒⼦」と⾒るか ⇨論理的に⼀貫した主張はそれぞれの視点のみに基づくと可能。混ぜると⽭盾が⽣じる。 ⇨どちらか⼀⽅だけでは不完全。これらの間には数学的に表現された「変換法則」が存在。 5章(本章)では、 ⾔語についての 相対主義を展開 認識学
5.1 交的概念 5.2 グルー色のエメラルド 5.3 論理的原子論 5.4 人工知能 5.5 認識と価値 2 目次
3 交的概念 5.1
AとBという2つの概念があるとする →図4.3(p.88)のように16個の述語(図4.3) →「交」で作ったものはOK →「合」で作ったものはOK →「¬A,¬B」を使ったものはOK 交的概念 5.1 交的概念とは 4 参考1:本節で⽤いられている「交」と「合」の解説(ChatGPT)
参考2:排他的論理和(A⊕B)の真理値表(左)とベン図(右) →「交」と「合」が⼀緒の式で混ざったものは許さない →A⊕Bと¬A⊕¬Bの2種 →概念として排他的論理和は不⾃然すぎるため?(例:⾚いかつ⾞でないまたは⾚くないかつ⾞) 図4.3束論的図形:束縛の無い場合 交的概念の説明として正しいのか...? memo
「A⊕Bと¬A⊕¬Bだけ除く」ことに、論理的な理由は無い 交的概念 5.1 交的概念によるパターン認識への渡辺の主張 5 A,Bではなく、X,Yからはじめてみる(X=A,Y=A⊕B) →A=X,B=X⊕Yになる = ⊕ ⅹ
Y(=A⊕B) 参考3-1:B=X⊕Yになる 上記への反論(交的概念側の主張):A,Bが⾃然であれば,X,Yは⾃然でない 渡辺の再反論: A:背が低い B:太っている notA:背が⾼い notB:痩せている 上記のようにした時、Y=A⊕Bは Y:「背が低くて痩せている」or「背が⾼くて太っている」であり、「バランスが取れている」 →A,Bは⾃然であるが、X,Yもまた⾃然である 交的概念だけを使ってパターン認識を⾏うのは問題がある
6 グルー⾊のエメラルド 5.2
2つの仮説を考える H1:「すべてのエメラルドはグリーンである」 H2:「すべてのエメラルドはグルー⾊である」 ※グルー:2050/12/31まではグリーン、それ以降はブルーとなる⾊ グルー⾊のエメラルド 5.2 グルー⾊のエメラルド(Goodman,1950)とは 7 現在(2025年)までの証拠からは、この2つの仮説は(論理的には)どちらも正しいと⾔える 反論:仮説H2は、時間に依存する述語を使っているので正しくない
2050/12/31 現在 ↓ グリーン グルー H1 H2 グリーン グルー
グルー⾊のエメラルド 5.2 8 渡辺の反論:新たな仮説を加える H3:「すべてのエメラルドはブリーン⾊である」 ※ブリーン:2050/12/31まではブルー、それ以降はグリーンとなる⾊ グルー⾊とブリーン⾊を基にして考えると、 グリーン:2050/12/31まではグルー、それ以降はブリーンとなる⾊ ブルー :2050/12/31まではブリーン、それ以降はグルーとなる⾊ →グリーンとブルーの⽅が時間に依存していることになる
論理的にはグリーン/ブルー、グルー/ブリーンのどちらを使っても良く 「どちらがよいか」を決定するのは論理的なもの以外である 2050/12/31 グリーン ブルー グルー グルー ブリーン ブリーン
9 論理的原⼦論 5.3
原⼦:1つの主体ともう1つの形容詞で結び付けたもの 分⼦:原⼦の組み合わせ。論理的な命題を論理的な関数でつないだもの 論理的原⼦論 5.3 論理的原⼦論(Russel)とは 10 これまでの議論と同様に、このような論理的原⼦論はおかしい(次ページ反論) 例: 原⼦1:彼が背が⾼い 原⼦2:彼は太っている
分⼦1:彼は背が⾼くて太っている 分⼦2:彼は背が低くて痩せている → 分⼦3:彼は背が⾼くて痩せている 分⼦4:彼は背が低くて太っている 「釣り合いが取れている」分⼦ 「釣り合いが取れていない」分⼦ →「不釣り合い」=原⼦1⊕原⼦2 (原⼦1,原⼦2) (1,1) (0,0) (1,0) (0,1)
論理的原子論 5.3 先ほど分子だったもの(原子1 ⊕ 原子2)を原子3とする 11 Russelの論理的原子論は、(古典的)原子論になり得ない 例: 原子1 :
彼が背が高い 原子3 : 彼は不釣り合い 分子5:彼は背が高くて釣り合い◎ (1,0) 分子6:彼は背が低くて釣り合い× (0,1) → 分子7:彼は背が高くて釣り合い× (1,1) 分子8:彼は背が低くて釣り合い◎ (0,0) 「太っている」分子 「痩せている」分子 = ⊕ 原子1 原子3 (原子1⊕原子2) 参考3-2 : 原子3 = 原子1⊕原子2 になる → 原子1 ⊕ 原子3 が原子2そのもの → 原子だったものが分子になる(致命的) p.101 出発点は 「釣り合いが取れている」 ではなく 「不釣り合い」 ではないか? (原子1, 原子3) 原子2
12 ⼈⼯知能 5.4
⼈⼯知能 5.4 ⼈⼯知能の問題は論理的と⾔えない 13 図5.1:⼈⼯知能の問題の例 A:2つのものが正⽅形と三⾓形である B:sから始まるもの(starorsquere)が上か左にある C:2つの対象が縦に並んでいる 例:図5.1において、a→bの関係にあるc→xは何か(答えはx=3) このような
4 と 5 を追加 図5.1の図(+新図4,5)を以下のA,B,Cで分類する→表5.1 それぞれに2種類(α_i,α_i*)の名前(i)の付け⽅を考える ※4と6が逆転しているだけ α_i,α_i*どちらでも、 a → b はiが1→2(1増える) α_iのとき、 c のi(=3)が1増えたらi=4,それは 3 α_i*のとき、 c のi(=3)が1増えたらi=4,それは 2 ⼈間の持っている常識(個体である,個体の運動,...,etc)を使うのであって、論理の問題ではない 異なる 表5.1:8つの絵のA,B,Cによる分類
14 認識と価値 5.5
認識と価値 5.5 15 全てのものは同じ程度に似ているということが証明できる (4.5節) Q. なぜこのような事が言えてしまうのか? A. 述語の重要度をすべて同じものとして扱ってしまっていたから。 例:ゾウとクジラとマグロをどのように分類するか?
認識というものは「価値」がなければ成り立たない 動物学者: 水産庁の人: 哺乳類(ゾウとクジラ), 魚類(マグロ) 陸の生物(ゾウ), 海の生物(クジラとマグロ) → 水産庁の人にとって、海の生物かどうかの方が重要度高い → 重要度は論理的に決まるものではなく、関心相対的である(用途など) → グルー/ブリーン, 背が高い/太い : 各人の思う重要度によって決まる
END