Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
なぜあなたのコードには「コシ」がないのか?〜AI時代に問う、最後まで美味しい設計と戦略〜 #p...
Search
Sponsored
·
Ship Features Fearlessly
Turn features on and off without deploys. Used by thousands of Ruby developers.
→
shogogg
May 09, 2026
Programming
88
0
Share
なぜあなたのコードには「コシ」がないのか?〜AI時代に問う、最後まで美味しい設計と戦略〜 #phpconkagawa / phpconkagawa2026
2026年5月9日に開催されたPHPカンファレンス香川2026の登壇資料です。
shogogg
May 09, 2026
More Decks by shogogg
See All by shogogg
我々はなぜ「層」を分けるのか〜「関心の分離」と「抽象化」で手に入れる変更に強いシンプルな設計〜 #phperkaigi / PHPerKaigi 2026
shogogg
2
1k
AI 時代だからこそ抑えたい「価値のある」PHP ユニットテストを書く技術 #phpconfuk / phpcon-fukuoka-2025
shogogg
1
900
PHPに関数型の魂を宿す〜PHP 8.5 で実現する堅牢なコードとは〜 #phpcon_hiroshima / phpcon-hiroshima-2025
shogogg
1
670
PHP開発者のためのSOLID原則再入門 #phpcon / PHP Conference Japan 2025
shogogg
6
2.1k
PHPer のための プロポーザル駆動アウトプット入門 #phpcon_niigata / PHP Conference Niigata 2025
shogogg
1
680
技術的負債を正しく理解し、正しく付き合う #phperkaigi / PHPerKaigi 2025
shogogg
7
3.3k
5分で理解する SOLID 原則 #phpcon_nagoya
shogogg
1
1.2k
パスワードよもやま話
shogogg
1
410
readonly class で作る堅牢なアプリケーション
shogogg
2
2.4k
Other Decks in Programming
See All in Programming
検索設計から 推論設計への重心移動と Recall-First Retrieval
po3rin
5
1.4k
Don't Prompt Harder, Structure Better
kitasuke
0
800
AIベース静的検査器の偽陽性率を抑える工夫3選
orgachem
PRO
4
380
PHPでローカル環境用のSSL/TLS証明書を発行することはできるのか? #phpconkagawa
akase244
0
270
属人化しないコード品質の作り方_2026.04.07.pdf
muraaano
0
280
Claude Codeをカスタムして自分だけのClaude Codeを作ろう
terisuke
0
150
SREに優しいTerraform構成 modulesとstateの組み方
hiyanger
2
160
PCOVから学ぶコードカバレッジ #phpcon_odawara
o0h
PRO
0
290
YJITとZJITにはイカなる違いがあるのか?
nakiym
0
400
UIの境界線をデザインする | React Tokyo #15 メイントーク
sasagar
2
410
ふりがな Deep Dive try! Swift Tokyo 2026
watura
0
260
Swift Concurrency Type System
inamiy
1
570
Featured
See All Featured
世界の人気アプリ100個を分析して見えたペイウォール設計の心得
akihiro_kokubo
PRO
70
39k
Dominate Local Search Results - an insider guide to GBP, reviews, and Local SEO
greggifford
PRO
0
160
HU Berlin: Industrial-Strength Natural Language Processing with spaCy and Prodigy
inesmontani
PRO
0
360
New Earth Scene 8
popppiees
3
2.2k
Introduction to Domain-Driven Design and Collaborative software design
baasie
1
760
Exploring the relationship between traditional SERPs and Gen AI search
raygrieselhuber
PRO
2
3.9k
The Anti-SEO Checklist Checklist. Pubcon Cyber Week
ryanjones
0
130
Believing is Seeing
oripsolob
1
120
RailsConf 2023
tenderlove
30
1.4k
Lightning Talk: Beautiful Slides for Beginners
inesmontani
PRO
1
530
The browser strikes back
jonoalderson
0
1k
GitHub's CSS Performance
jonrohan
1032
470k
Transcript
Shogo Kawase / @shogogg なぜあなたのコードには「コシ」がないのか? 〜AI時代に問う、最後まで美味しい設計と戦略〜 May. 9 2026 PHP
Conference Kagawa 2026
Photo: Ryosuke Sekido, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons うどん食べてますかー?
None
None
自己紹介 河瀨 翔吾 / Shogo Kawase エンジニアリングマネージャー I LOVE...
妻 / 型安全 / アジャイル / ももいろクローバーZ 麻雀 / F1 / マリオカート / ACE COMBAT shogogg shogogg
注意事項 • この資料(トーク)は2026年4〜5月頃の状況を元に作られています • AI エージェントや AI を使った開発手法はまさに日進月歩であり、数日後〜 数ヶ月後には陳腐化している可能性があります •
異論・反論は大歓迎!
おしながき 1 2026年の我々が置かれている現状 2 AI によって失われる「コシ」とは? 3 プロダクトに「コシ」を取り戻す戦略と戦術 4 まとめ
おしながき 1 2026年の我々が置かれている現状 2 AI によって失われる「コシ」とは? 3 プロダクトに「コシ」を取り戻す戦略と戦術 4 まとめ
時は2025年
厳しい修行を乗り越え 自らの手でうどんを作ってきた職人達 Photo generated by Gemini Nano Banana 2
「AIエージェント」という名の 全自動うどん製造機が大流行 Photo generated by Gemini Nano Banana 2
機械が茹でたうどんに お客様は大満足 Photo generated by Gemini Nano Banana 2
うどん職人不要論まで囁かれ その存在意義が問われる時代に Photo generated by Gemini Nano Banana 2
ここからはマジメに
AI 駆動開発流行の歴史 2022年6月 GitHub Copilot 正式サービス開始 2024年3月 Cognition が Devin
発表 2024年11月 Anthropic が MCP を発表 2025年2月 Anthropic が Claude Code CLI をリリース 2025年3月 OpenAI が MCP のサポートを発表 2025年4月 OpenAI が Codex CLI をリリース 2025年10月 Claude Code が Agent Skills を実装 2025年3月 OpenAI が MCP のサポートを発表 2025年12月 Agent Skills が業界標準化
AI 駆動開発流行の歴史 2022年6月 GitHub Copilot 正式サービス開始 2024年3月 Cognition が Devin
発表 2024年11月 Anthropic が MCP を発表 2025年2月 Anthropic が Claude Code CLI をリリース 2025年3月 OpenAI が MCP のサポートを発表 2025年4月 OpenAI が Codex CLI をリリース 2025年10月 Claude Code が Agent Skills を実装 2025年3月 OpenAI が MCP のサポートを発表 2025年12月 Agent Skills が業界標準化
AI 駆動開発流行の歴史 2022年6月 GitHub Copilot 正式サービス開始 2024年3月 Cognition が Devin
発表 2024年11月 Anthropic が MCP を発表 2025年2月 Anthropic が Claude Code CLI をリリース 2025年3月 OpenAI が MCP のサポートを発表 2025年4月 OpenAI が Codex CLI をリリース 2025年10月 Claude Code が Agent Skills を実装 2025年3月 OpenAI が MCP のサポートを発表 2025年12月 Agent Skills が業界標準化
https://zenn.dev/mizchi/articles/all-in-on-cline
AI 駆動開発流行の歴史 2022年6月 GitHub Copilot 正式サービス開始 2024年3月 Cognition が Devin
発表 2024年11月 Anthropic が MCP を発表 2025年2月 Anthropic が Claude Code CLI をリリース 2025年3月 OpenAI が MCP のサポートを発表 2025年4月 OpenAI が Codex CLI をリリース 2025年10月 Claude Code が Agent Skills を実装 2025年3月 OpenAI が MCP のサポートを発表 2025年12月 Agent Skills が業界標準化
2025年 = AIエージェント元年
AI とプログラマーの関係性の変化 2022年 副操縦士 Copilot ▶ 2025年 ドライバー Driver ▶
2026年 頼れる部下 Minions
プログラマー不要論
For the young, 20-year-old Jensen, that’s graduated now, he probably
would have chosen ... more of the physical sciences than the software sciences. Jensen Huang, NVIDIA CEO
https://www.educationnext.in/posts/there-are-no-programmers-in-five-years---emad-mostaque
https://x.com/rough__sea/status/2013280952370573666
コードレビューも AI が担いつつある
https://www.coderabbit.ai/blog/how-to-fix-20-common-php-issues-with-ai
None
https://zenn.dev/theaktky/articles/1c6c3b9333117c https://zenn.dev/nuits_jp/articles/2026-03-08-reviewing-ai-code https://qiita.com/hungryclimber/items/6ec8f643b1409e79a020 https://franciscomt.medium.com/will-humans-still-review-code-a6f7d3f0c39c
AI(エージェント)が コードの記述とレビューの “大半を担う”時代へ
おしながき 1 2026年・我々が置かれている現状 2 AI によって失われる「コシ」とは? 3 プロダクトに「コシ」を取り戻す戦略と戦術 4 まとめ
コードの生成・レビューを 全自動化し、AI に任せるべきか
全自動化するべき? • No. • 全自動化できる状況は存在するが、限定的 • 前衛的な意見に乗った全自動化は時期尚早 • AI による開発は「コシ」を失いやすい
• ところで「コシ」ってなんだ?
コシ ≠ 麺の固さ
コシ = しなやかな弾力
引用元:Faros, AI “AI Enginnering Report 2026 THE ACCELERATION WHIPRASH”
引用元:Proxify “What Stanford’s study of 100,000 developers reveals about AI’s
real impact on engineering productivity”
AI does not reduce risk: it front-loads speed while back-loading
failure AI はスピードを前倒しにする一方で、失敗のリスクを後回しにしているに過ぎない 引用元:Opsera, Inc. “AI Coding Impact 2026 Benchmark Report”
なぜ「コシ」が失われるのか 1. AI は未来を見据えない 2. AI は恐怖を知らない 3. AI は発見を共有しない
4. AI は責任を負わない
AI は未来を見据えない Photo generated by Gemini Nano Banana 2
現在と未来における価値の違い • 要求通りに動くこと • すばやく提供されること • テストを通過すること 現在 • 可読性に優れていること
• 変更や拡張が容易であること • 壊れた場合に検知できること 未来
AI は未来を見据えない • AI は要求通りのコードをすばやく提供する • 目の前のコードは、要求通りに動いているかもしれない • しかしそれは、長期的な運用に耐えられるのか?
AI は恐怖を知らない Photo generated by Gemini Nano Banana 2
rm -rf /
https://www.xda-developers.com/an-ai-agent-deleted-a-companys-entire-database-in-9-seconds-then-confessed-it-guessed-instead-of-asking/
AI は恐怖を知らない • 人間であれば怖くて実行できないコマンドがある • AI は恐怖を感じないため、気軽に実行してしまう • 「この設計は怖い」「この実装はヤバイ」と感じることが ソフトウェアの安全性を高めるためには重要では?
AI は発見を共有しない Photo generated by Gemini Nano Banana 2
Shift Left Image: DonFiresmith, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
Planning/feedback loops (XP) Image: DonWells, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia
Commons
あれ?ここって…… この仕様、マズいのでは? コーディング中の発見
AI は発見を共有しない • ソフトウェア開発は早期のフィードバックが肝要 • エンジニアはコーディング中の気付きからプロダクトの問 題点を発見・解決してきた • AI に任せると「気付き」を得ることができなくなる
開発のミニ・ウォーターフォール化 Photo generated by Gemini Nano Banana 2
開発のミニ・ウォーターフォール化 • コーディングを任せる場合 AI に渡すタスクの指示(仕様 書・プロンプト)の完成度が重要 • 特に、レビューも含めた全自動化では指示の精度が品質に ダイレクトに影響 •
なんだかスゴくウォーターフォールっぽい
ウォーターフォールは悪くはないが、難しい • ウォーターフォールが悪い訳ではない • ただし、めちゃくちゃ難しい • 多くの人間はウォーターフォールでソフトウェア開発を成 功させられるほど賢くない
AI は責任を負わない Photo generated by Gemini Nano Banana 2
あなたはこれが許せますか?〜レストラン編〜 うええ……なんだこれ、味がおかしい。 すいません、これってこういうお料理ですか……? 全自動料理マシーンが作っているので……。 私にはわからないですね。我慢してください。
あなたはこれが許せますか?〜医療ミス編〜 診断ミスで重い障害が残ってしまった……。 この責任は、どう取っていただけるんでしょうか? 診断は AI が行っているので責任は取れないワン。 文句があるならAIの開発元を訴えて欲しいワン。
「AI がやったので」で済ませてOK? システムのバグのせいで大損害だ! 理由を説明しろ!賠償も忘れるな! AI が作ったので原因はわからないですね…… 賠償と言われても、私がやった訳じゃないので……
「AI がやったので」で済ませてOK? システムのバグのせいで大損害だ! 理由を説明しろ!賠償も忘れるな! AI が作ったので原因はわからないですね…… 賠償と言われても、私がやった訳じゃないので…… 許される訳がない
AI は責任を負わない • AI は責任を負うことができない • AI に「責任感」を期待することは不可能 • AI
の生成するコードにも人間が責任を負う必要がある • 責任感がもたらす設計や実装の工夫がソフトウェアには必 要なのでは……?
おしながき 1 2026年・我々が置かれている現状 2 AI によって失われる「コシ」とは? 3 プロダクトに「コシ」を取り戻す戦略と戦術 4 まとめ
なぜ「コシ」が失われるのか 1. AI は未来を見据えない 2. AI は恐怖を知らない 3. AI は発見を共有しない
4. AI は責任を負わない 人間が AI を使いこなせていない
AI とプログラマーの関係性の変化(再掲) 2022年 副操縦士 Copilot ▶ 2025年 ドライバー Driver ▶
2026年 頼れる部下 Minions
求められる役割の変化 2022年 操作者 Manipulator ▶ 2025年 ナビゲーター Navigator ▶ 2026年
指揮者 Orchestrator
指揮者としてAIを理解し AIを使いこなす必要がある
前提 • AI は必要 • ただし、人間が責任を持って管理・監督する必要がある
①テスタビリティの優先
テスタビリティ? 層・責務の分離 単一責任 疎結合化 少ない分岐 シンプルな設計 DI 純粋関数 Immutability ステートレス
厳格な型定義 テスト実行速度 テスト並列化
AI 以前の考え方 • 堅牢な設計やコードは面倒 • デリバリー優先 • テスタビリティやユニットテスト自体が後回しに
AI によってコードの生産スピードは大幅に上昇 引用元:U-Site「AIは従業員の生産性を66%向上させる」
テスト自動化の重要性が増している • AI のハルシネーション対策、暴走抑止のため • そもそも、手動テストでは追いつかない
ユニットテストを 軽視する戦略は もはや通用しない
https://speakerdeck.com/shogogg/phpcon-fukuoka-2025
②テスト設計を AI に委ねない
最新モデルでもテスト能力は低い • AI が生成するテストは網羅率(カバレッジ)は高い 傾向 • 一方でバグ検知率が低く、テスト能力は低い ◦ トートロジーのアンチパターン ◦
フェイク・アサーション ◦ モックを多用しての「ごまかし」 ◦ 問題のあるスナップショット ◦ エッジケースの考慮漏れ
https://www.octavehq.com/post/how-to-generate-unit-tests-with-cursor
引用元:Kent Beck による LinkedIn の投稿
coding agents had a higher ratio of mock commits (36%)
compared to non-agents (28%). コーディングエージェントはモックを含むコミットの割合が36%であり 非エージェントの26%に比べて高いことがわかった 引用元:arXiv:2602.00409v1 “Are Coding Agents Generating Over-Mocked Tests? An Empirical Study”
AIのテスト能力は (まだ)信用できない
Shift Left (再掲) Image: DonFiresmith, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia
Commons
Shift Left (再掲) Image: DonFiresmith, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia
Commons テスト設計段階で介入する
テスト設計を AI に委ねない • テスト設計を人間がすべてやる、という意味ではない • AI によるテストを設計段階でレビューし、早めに軌道修 正する •
AI だけ・人間だけではなく、協力してよいテストを書く
③人間によるコードレビュー
なぜ「コシ」が失われるのか(再掲) 1. AI は未来を見据えない 2. AI は恐怖を知らない 3. AI は発見を共有しない
4. AI は責任を負わない
人間によるコードレビューはまだ必要 • マージする前に人間がちゃんとチェックする • AI が書いたコードをプルリクする前に、ちゃんと責任を 持ってレビューしよう
④ワークフローの整備・徹底
ワークフロー? • 作業の進め方を明示的に指示 • 人間によるレビュー・承認フローを挟むことで早期フィー ドバックを実現
個人的に愛用しているワークフローの紹介 調査 作業計画 テスト設計 ▶ 完了 レビュー 修正 ▶ 承認
レビュー ▶ 承認 修正 ▶ 完了 レビュー 修正 ▶ 承認 実装 ※ ※実装時にユニットテスト・PHP-CS-Fixer・PHPStan などの品質ツールを実行
https://github.com/yoshiko-pg/difit
https://github.com/yoshiko-pg/difit
https://github.com/nrslib/takt
⑤常に「常識」を疑う
AI駆動開発の世界はまさに日進月歩 Photo generated by Gemini Nano Banana 2
昨日までの常識が通用するとは限らない Photo generated by Gemini Nano Banana 2
ネットの情報を鵜呑みにしない Photo generated by Gemini Nano Banana 2
おしながき 1 2026年・我々が置かれている現状 2 全自動化によって失われる「コシ」とは? 3 プロダクトに「コシ」を取り戻す戦略と戦術 4 まとめ
本日のまとめ • まだ AI エージェントに「丸投げ」できる状況ではない • 人間が未来を見据え、 責任を持って 開発する必要がある •
テストの自動化 とテスト品質、そのための設計が超重要 • テスト設計や最終的なコードは しっかりレビュー • ワークフロー化 で高い品質を保つ • 常識を疑え
Photo generated by Gemini Nano Banana 2 誇り高き職人 Artisan でありつづけよう
宣伝
None
None
None
\中途採用やってます!!/