【はじめに】
「原子は実在するのか?」—— 今では当たり前のように思える問いですが、19世紀末まで原子の存在は「仮説」に過ぎず、むしろ懐疑的な見方が主流でした。
このプレゼンテーションでは、ロバート・ブラウンが発見した微粒子の不規則な運動が、約80年の時を経てアインシュタインの理論とペランの精密実験によって「見えない原子」の実在を証明するに至った科学史上のドラマを追います。
【主な内容】
・ ブラウン運動の発見と80年にわたる謎
・ 19世紀末の科学論争:原子論 vs エネルギー論
・ アインシュタインの革新的発想:統計力学による定量的予測
・ アインシュタイン-ストークスの式と変位の二乗平均の法則
・ ペランの精密実験とアボガドロ数の決定
・ 「見えない原子」がいかにして「実在」と認められたか
【対象者】
・ 物理学の歴史に興味がある方
・ ブラウン運動や統計力学に触れてみたい方
・ 科学における「実在」とは何かを考えたい方
大学1-2回生程度の理工系基礎科目(微積分、統計力学)の知識を前提としています。
📚 参考文献
・ 江沢 洋『誰が原子をみたか』岩波書店 (1976)
・ 江沢 洋『ブラウン運動』朝倉書店 (2020)
・ 江沢 洋「ブラウン運動とアインシュタイン」大学の物理教育, 2006年 12巻 1号 p. 13-18 (2006)