本スライドでは、深海堆積物に含まれる放射性同位体「鉄60 (⁶⁰Fe)」の検出と、その半減期測定を通じて明らかになった過去の超新星爆発の痕跡について解説します。
鉄60は天然には存在せず、大質量星の内部で生成され、超新星爆発に伴って宇宙空間に放出される元素です。
深海堆積物に含まれる鉄60の存在は、数百万年前に地球近傍で発生した超新星爆発を直接示唆するものです。
本スライドでは以下の内容を扱います。
・鉄60の基本的性質と崩壊系列(⁶⁰Fe → ⁶⁰Co → ⁶⁰Ni)
・微量かつ長半減期核種の測定が抱える課題
・銅への高エネルギープロトン照射による人工合成と、副産物核種による妨害の問題
・副産物除去のための冷却期間および化学分離プロセス
・相対測定法(⁶⁰Fe/⁵⁵Fe比測定)を用いたAMS(加速器質量分析装置)による革新的半減期決定手法
・世界各地の深海堆積物における鉄60の全球的分布と、1.7–3.2百万年前および6.5–8.7百万年前の流入ピーク
・単一超新星では説明できない長期間の流入に基づく「複数超新星説」および局所泡(Local Bubble)形成過程との関連性
鉄60の半減期は、従来の推定値に比べてより正確に決定され、宇宙年代学における新たなクロノメーターとしての意義が強調されています。
本スライドは、放射性核種測定の実験的手法と、深海探査による地球外現象の解明がどのように結びついているかを示します。