Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

ハンドラーとして、AIと並走する

Sponsored · Your Podcast. Everywhere. Effortlessly. Share. Educate. Inspire. Entertain. You do you. We'll handle the rest.

 ハンドラーとして、AIと並走する

青山学院大学の特別講義で説明した内容です。

全体の流れ

- タイトル・自己紹介
- 現在地(9割使う/自信は中間/用語は知らない→今日の問い)
- 個人と組織のズレ(学生の声→中小企業6割→同型構造→でも時間はある)
- デモ導入(見てほしい3点)
- 単発Q&A vs 目的駆動の構造対比
- 飛躍の3条件(目的・環境・検証眼)
- アジリティ比喩と3条件の対応→第2幕まとめ
- 「考える力が落ちる」への回答/AIネイティブ世代/明日からの3行動
- クロージング/Q&A

Avatar for Takaaki Yayoi

Takaaki Yayoi

July 13, 2026

More Decks by Takaaki Yayoi

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 1 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する SELF INTRODUCTION 自己紹介 弥生 隆明 やよい

    たかあき Databricks シニア スペシャリスト ソリューションアーキテクト 2020年からDatabricks Japanにおいて、プレセールス、POCに従事 専門領域は生成AI、Databricks Apps(Webアプリ)、データエンジニアリング 青山学院大学 特別研究員 (2026年4月〜) 共著『MLflowで実践するLLMOps』(技術評論社・2026年4月) Qiitaで2,400本以上の技術記事を公開 @taka_yayoi (Qiita) @taka_aki (X / SpeakerDeck)
  2. ORIGIN / なりたち 実は、⼤学発のスタートアップ。 2013年、カリフォルニア⼤学バークレー校(UC Berkeley)の研究室から誕⽣。 🎓 ⼤学院⽣と教授が創業 Apache Spark

    を⽣んだ研究チームが⽴ち上 げた 🌐 オープンソースが原点 世界中で使われる分散処理エンジン Apache Spark から発展 🚀 掲げるミッション 「データとAIの⺠主化」を誰もが使える形に = 研究の最先端が、そのまま世界中の企業のデータ基盤になった。
  3. USE CASES たとえば、こんな⽤途。 01 需要予測 過去データから売上や在庫を先読みする 02 レコメンド ⼀⼈ひとりの好みに合う商品を提案する 03

    異常検知 不正やトラブルをすばやく⾒つける = 学びも仕事も、データを“使える形”にする⼟台。
  4. 2 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 01 あなたたちの現在地 ほぼ全員が、もう使っている 89 % が、生成AIを

    週に数回以上 利用している。 ほぼ毎日 45名 / 週に数回 30名 / ときどき 8名 / 1〜2回 1名 事前アンケート Q4 (n=84)
  5. 3 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 01 あなたたちの現在地 でも、使えている自信は中間止まり 5 とても 4

    4 37 3 37 2 6 1 あまり 0 自己評価は3〜4に集 中 「まあまあ使えている」がボ リュームゾーン。「使いこなし ている」とまでは言いきれな い。 事前アンケート Q6 (n=84)
  6. 6 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 02 個人と組織のズレ あなたたちが、本当に気にしていること “ プログラマーはAIに取って代わられると聞くが、実際にそうな のか。今後どのような仕事があるのか。

    — 3年生 “ 来年度から総合コンサル会社に就職が決まっている。能力面 ではすでにAIを実装した方が経営上有益な段階に来ているの か。 — 4年生 “ 「AIは使えた方がいい」という当たり前ではなく、AIに使われな いようにするにはどうするか、を聞きたい。 — 3年生 “ 生成AIでESに差が出にくくなる中、他者との差別化にどんな 考え方が有用か。 — 3年生 自由記述 (Q12) より抜粋
  7. 7 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 02 個人と組織のズレ 同じ場所に、もうひとつのグループが立っている 6割 超 の中小企業が、生成AIを

    「会社として導入せず、使用は個人の判断に任せる」 業務活用を組織的に推進している層は、約3割にとどまる。 つまり「使ってはいるが、組織として意味づけられていない」状態。 商工中金「中小企業の生成AI活用に関するアンケート」(2026年1月) / 情報通信白書 令和7年版 参照
  8. 8 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 02 個人と組織のズレ 並べると、構造が同じだと分かる あなたたち • 毎日使っている

    • でも、影響が読めない • 考える力が落ちないか不安 • どう使えば「正解」かわからない = 日本の中小企業6割 • 社員は個人で使っている • でも、組織活用には進めない • 何に効くか、リスクが読めない • ルール整備が追いつかない
  9. 10 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 03 見てみましょう 見ていてほしいこと 01 私の指示は、たった一行です。 「このアンケートデータを分析して、レポートを作って」と渡すだけ。

    02 そのあと、AIが何ステップ展開するか。 指示していないステップを、自分で組み立てて進んでいきます。 03 「自分が普段やっていること」と何が違うか。 それを、頭の片隅で比べながら見ていてください。
  10. → 11 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ

    関わり方の構造が、まったく違う 普段の使い方 単発のQ&A 入力 → 応答 1 対 1 の関係 調べ物 / 文章作成補助 / 要約 / アイデア出し いま見せたもの 目的駆動 / エージェント ゴール → n個のステップ 1 対 n の関係 読み込み → 集計 → 可視化 → 文書化
  11. 12 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ 単発か複数ターンか、ではない

    AIに「何を」委ねているかが違う 普段の使い方は… 成果物の一部 を委ねている。目的は自分の中にあり、最後のひと区間だけAIに渡してい る。 エージェント的な使い方は… 目的を成果物に変換する過程ごと を委ねている。ゴールから逆算してステップを組み立て る作業をAIに任せる。
  12. 13 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ 使う側から、ハンドラー側へ

    飛躍を可能にする、 3つの条件 01 目的の具体性 02 道具とインフラの接続 03 レビューできる専門性
  13. 14 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ 01

    コース図を、頭に入れていること 目的の具体性 何のために何を達成するか。ゴールが具体的だから、エージェントに渡せる。「なんとなく良い感じに」で は、エージェントもどこに走ればいいか分からない。 例 「このシステムのパフォーマンスを改善したい」というゴールが明確だから、ログ解析→ボトルネック特定→改善提案→報告書、と いうステップを任せられる。
  14. 15 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ 02

    犬と設備が、揃っていること 道具とインフラの接続 AIが、データやツールに接続されている環境かどうか。スマホのチャットAIは、世界から切り離された箱 の中にいる。同じAIでも、外の道具に手を伸ばせるかで、できることは根本的に変わる。 例 業務環境では、AIエージェントが社内データやCRM・チャットツール等にアクセスできる。「実環境につながっているか」が能力の境 界を決める。
  15. 16 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ 03

    犬の動きを、読める目があること レビューできる専門性 出てきたものを判断できる目があるから、大きな仕事を委ねられる。エージェントに任せる量は、検証で きる目の深さに比例する。読めないものは、そもそも任せられない。 例 私はエージェントの出力を必ずレビューする。途中で軌道修正もする。これは「考えなくなる」のではなく「考える場所が変わる」だ け。
  16. 17 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ これを、別の角度から見ると

    AIエージェントとの関わりは、 ドッグアジリティ に、よく似ている。 (という比喩を、これから紹介します)
  17. 18 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ ドッグアジリティ

    犬とハンドラーが、コースを正確に、最速で走り切ることを競う競技 動画は YouTube から再生されます (会場ネット接続が必要)
  18. 19 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ ハンドラーが、何をしているか

    1 コース全体を、頭に入れている どの順番でどの障害物に行くか、どのラインを通れば最短か、すべて把握したうえで走り出している。 2 犬と、並走している ソファに座って結果を待っているわけではない。声、身体の向き、ジェスチャーで、走り続ける犬を誘導している。 3 犬の能力を、信頼している 目の前のハードルをどう飛ぶか、その瞬間の判断は犬に任せる。操縦するのではなく、戦略を渡している。
  19. 20 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ AIに重ねると、こうなる

    3つの条件 ハンドラーで言うと 01 目的の具体性 ⇄ コース図を頭に入れている 02 道具とインフラの接続 ⇄ 犬と設備が揃っている 03 レビューできる専門性 ⇄ 犬の動きを読む目がある
  20. 21 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 04 使う から 翻訳する へ 第2幕のまとめ

    AIに使われる側と使う側を分けるのは、 知識ではなく、 目的を定義し、検証する習慣 です。
  21. 23 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 05 あなたは、これからどう進むか でも、ハンドラーになると、頭はフル回転します 使う側 (単発Q&A) 考える対象は…

    「この問いに、どう答えるか」 → AIに答えを出してもらうと、自分で考える機会が減る。 → ハンドラー側 考える対象は… 「ゴールは何か」「検証は妥当か」 → 答えを出すのはAI、設計と判断は自分。考える量は、 むしろ増える。
  22. 24 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 05 あなたは、これからどう進むか あなたたちはすでに、波の上にいる 私が業界に入った頃と比べて 私が学生だった頃 「生成AI」は存在しなかった

    学ぶ環境も、使える道具も、ゼロから自分で組み立てる 必要があった。 あなたたち AIが当たり前にある世代 最初から、整った環境に立っている。問題は、それに気づ いていないことだけ。 ハンドラーになるかどうかは、技術スキルではなく関わり方の選択です。
  23. 25 / 25 ハンドラーとして、AIと並走する 05 あなたは、これからどう進むか 明日から始められる、3つのこと 01 目的を、一行で書いてから頼 む

    どんな小さな調べ物でも、「何のために何を得 たいか」を最初に書く。コース図を描く習慣。 02 出力を、必ず別の方法で検証 する 返ってきたものを、別の角度で確認する。検 索、別のAI、自分の手計算。検証する目を養 う。 03 「使われている」と感じる瞬間 に、気づく AIに思考を委ねすぎているサインに、自分で気 づけるようになる。気づけば、選び直せる。