Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

ソフトウェア開発現代史: "LeanとDevOpsの科学"の「科学」とは何か? - DORA ...

ソフトウェア開発現代史: "LeanとDevOpsの科学"の「科学」とは何か? - DORA Report 10年の変遷を追って - #開発生産性_findy

開発生産性Conference 2025 予習会 の資料です!
https://developer-productivity-engineering.connpass.com/event/355385/

Avatar for Hiroyuki TAKAHASHI

Hiroyuki TAKAHASHI

June 11, 2025
Tweet

More Decks by Hiroyuki TAKAHASHI

Other Decks in Technology

Transcript

  1. ◆ 1989 株式会社ジェーシーイ SESとして日立通信システム株式会社に常駐。NTT交換機ソフトウェア開発や、TRONプロジェク トに参加し国産OSのCTRON開発に従事。その後、会社が倒産。 ◆ 1993 フリーランス 日立通信システム株式会社と準委任契約を結び、NTT交換機開発プロジェクトに参画。基本OSや通 信プロトコルソフト開発に従事。

    ◆ 1995 株式会社メイテック SESとしてJUKI株式会社に常駐。ICチップマウンターの組み込み開発に従事。 ◆ 1996 日立通信システム株式会社(現・株式会社日立情報通信エンジニアリング) 正社員として復帰。携帯電話のCDMA2000交換機やIPv6機器開発に従事。また、システムエンジニ アとしてJP1の導入支援を担当。 ◆ 2002 ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社 RTOSや組み込みLinuxの専門家として、主にコンシューマ向けカメラ開発に従事。 また、ソフトウェア開発の諸問題に取り組むため、組織横断型プロセス改善(SEPG)に従事。 ◆ 2013 ウイングアーク1st株式会社 プロセス改善コーチ兼アジャイルコーチとして活動。2018年よりソフトウェアプロセス&品質改善 部部長、製品品質管理責任者、オープンソース管理責任者を務める。 ◆ 2021 株式会社ビズリーチ プロセス改善コーチ兼アジャイルコーチとして活動。QAとプロセス改善部門のマネジャーとして、 DevOpsアプローチによる開発透明性向上とDORA(Four Keys)メトリクスを用いた開発生産性によ る改善活動を実施。SODA(Software Outcome Delivery Architecture)構想を立案し、プロダクト の事業影響を定量化・可視化する組織変革をリード。 ◆ 2024 ファインディ株式会社 ソフトウェアプロセス改善コーチ兼アジャイルコーチとして活動。チームトポロジー(Team Topology)の思想に則り、自組織全体の新技術・方法論導入支援のイネーブルメントを担当。 1989年より組込みエンジニアとして、OS開発、通信プロトコル 開発、RTOSや組込みLinuxを基盤としたガジェット開発に16年 携わる。2005年、それまでの経験を活かし、エンジニア人材と 組織の課題解決に特化したSPI(ソフトウェアプロセス改善)の 専門家へ転身。現在は、SPIコーチおよびアジャイルコーチとし て活動し、DORAメトリクスを活用したプロセス改善活動を得 意とする。ソフトウェアエンジニアリングの潜在能力向上支援 (イネーブルメント)に注力し、組織のパフォーマンス最適化 に貢献している。 高橋 裕之 / Hiroyuki Takahashi ファインディ株式会社 CTO室 Software Engineer, SPI Coach, Agile Coach @Taka_bow takabow hiroyukitakah 3
  2. © 2024 Findy Inc. 会社概要 挑戦するエンジニアの プラットフォームをつくる。 ビジョン つくる人がもっとかがやけば、 世界はきっと豊かになる。

    経営理念 会社名 ファインディ株式会社 / Findy Inc. 代表取締役 山田 裕一朗 設立 2014 年 2 月 ※ 本格的な事業開始は2016年7月 社員数 297 名 資本金 18 億 5,043 万円 ※ 資本準備金含む 住所 東京都品川区大崎1-2-2 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー 5階 事業許可番号 13-ユ-308478 サービス ・ スカウト型リクルーティングサービス「Findy」 ・ ハイスキルな業務委託エンジニア紹介サービス「Findy Freelance」 ・ 外国籍エンジニア紹介サービス「Findy Global」 ・ エンジニア組織支援SaaS「Findy Team+」 ・ 開発ツールに特化したレビューサイト「Findy Tools」 投資家 グローバル・ブレイン、ユナイテッド、SMBCベンチャーキャピタル、 KDDI、JA三井リース、みずほキャピタル、博報堂DYベンチャーズ、 Carbide Ventures、等
  3. © Findy Inc. ファインディが展開するエンジニアプラットフォーム サービス紹介 ToC / ToB SaaS /

    ToB マッチングサービス 組織分析SaaS ToC / ToB 開発ツールメディア ※ 各種数値は、2024年6月時点のFindy転職、Findy Freelance、Findy Team+、Findy Globalの4サービスの累計での社数及び登録者数です。 なお、1社又は1名の方が複数のサービスに登録している場合は、そのサービスの数に応じて複数のカウントをしています。 β 版 GitHubやJiraを解析し、エンジニア組織の 見える化と生産性向上をサポート。 エンジニア組織の見える化 5万人以上のフリーランスエンジニアの 成功報酬型の人材紹介サービス。 フリーランスエンジニアの採用 約12万人のエンジニアと880社以上の テック企業をマッチング。 正社員エンジニアの採用 実際に利用している企業の声を元に、 開発ツールの導入や検討に必要な情報を 集約。企業の技術選定をサポート。 開発ツールのレビューサイト 6
  4. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイ ク ロソ フ

    ト 、 GitHub を 75 億ド ルで買収 2001/2/11: アジャ イ ルソ フ ト ウェ ア開発宣⾔ 2005/10 1991〜: バブル崩壊「 失われた◦◦年」 1988〜: ⽇本を含む諸外国へ「 通商法スーパー301条」 発動 ソ フ ト ウェ ア開発現代史年表 Ver2.08 © 2025 フ ァ イ ンディ 株式会社. All rights reserved. ( 写真および他社ロゴを除く ) 本資料はフ ァ イ ンディ 株式会社が独⾃に編集‧ 作成し たも のです( ⼀部、 パブリ ッ ク ド メ イ ン素材を含みます) 。 Findy™ および Team +™ はフ ァ イ ンディ 株式会社の商標です。 使⽤さ れている写真や他社ロゴは、 各権利者に帰属し 、 説明⽬的でのみ使⽤し ています。 その他の商品名やロゴは、 各社の商標または登録商標です。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リ リ ース UNIXが商業化‧ 断⽚化し ていく 中、 Linuxはオープンソ ースの⼒で 統⼀的な開発基盤と なり 、 世界中の技術⾰新を⽀えた ( 1991/9/17) CVS 誕⽣ ( 1990) Subversionリ リ ース ( 2000) ( 2005) GitHub リ リ ース ( 2008) Bugzilla リ リ ース ( 2000) Jira リ リ ース ( 2002) AWS サービス開始 ( 2006) Jenkins 誕⽣ ( 2011) GitHub Actions ( 2018) ChatGPT ⼀般公開 ( 2022/11/30) GitHub Copilot ( 2021/6/29) Java v1.0 正式リ リ ース Javaはオブジェ ク ト 指向と 仮想マシン技術を普及さ せ、 後の⾔語設計にも 影響を与えた ( 1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多く の企業や政府機関が「 ウォ ータ ーフ ォ ールモデル」 を公式な開発プロセスと し て採⽤。 同時に、 Royceの思惑と 違う 、 誤解さ れた「 ウォ ータ ーフ ォ ール」 が広まる Azure サービス開始 ( 2010) 1990〜2000: 第⼀次ブラ ウザ戦争。 Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第⼆次ブラ ウザ戦争 Google Chrom eの躍進、 Internet Explorerの衰退 ( 2018) ( 2004) Google Cloud サービス開始 ( 2008) 欧州の⾃動⾞メ ーカ が中⼼と なっ て公開( 2005) ( 2011) 1985〜1990: 国家プロジェ ク ト 「 Σ 計画」 が頓挫 ( 2006) ( 2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: ⽶国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソ フ ト ウェ ア調達 条件と し て要求し 始める。 2000年代〜: ⽶国を中⼼にでアジャ イ ル⼿法が急速に広まり 、 ウォ ータ ーフ ォ ールは特にWeb系‧ スタ ート アッ プ企業ではほぼ使われなく なる。 1990年代: ウォ ータ ーフ ォ ールのリ スク を軽減する開発⼿法が次々 と 誕⽣( イ ンク リ メ ンタ ル、 スパイ ラ ル、 RUP など) 1980年後半〜1990年前半: ⽶国防総省(DoD)の発注し たソ フ ト ウェ アに問題が多 発。 ⽶会計局でも 多く の遅延∕ 途中での挫折が発⽣‵ 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 ⽂ ‧ ⽂ 献 2010年〜: ⽶国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「 迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」 (第804条)をDoDに命じ 、 事実上アジャ イ ル型開発の原則を法制化 * 1980年〜: ⽶国防総省(DoD) がウォ ータ ーフ ォ ールを採⽤ 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕⽣( 1981〜) ワーク ステーショ ンの時代: Sun SPARCstation ( 1989〜1994) Window s95 リ リ ース コ ンシュ ーマ向けOSに TCP/IPが標準搭載さ れ ワーク ステーショ ン並みに ( 1995) 初代iMac ( 1998〜) Apple Macintosh ( 1984〜) DynaBook ( 1994〜) 家庭向けADSL‧ FTTHの普及、 ブロード バンド 時代に突⼊ (2001〜) ICT の 進 化 メ イ ンフ レーム時代: IBM System 360と VT100( 1970〜1980) MacBook Pro M4 Max ( 2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リ リ ース ( 2004/2) Point: ⽶国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 ( 2023/3/14) Team + ( 2021/10) Gem ini 1 ( 2023/12/6) Devin ( 2024/3/12) Cline ( 2024/7) 2021〜: AI( GenAI) が前提の時代へ 2000年代〜: ⽇本は⼤企業を中⼼に、 ウォ ータ フ ォ ールモデルを採⽤し 続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム( ⽇本) ( 1992〜1996) F501i HYPER iモード 開始 ( 1999/2/22) テレホーダイ ( 1995〜2023) PC-9800シリ ーズ( 1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Sam sung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテク チャ のSoC Apple M1 ⽣産( 2020) 1970年代後半〜1980年代末: ⽇本⾞と 家電がアメ リ カ 市場を席巻。 こ れが、 徐々に⽇⽶貿易摩擦の⽕種に…… "ウォ ーク マン” 1号機 TPS-L2 ( 1979) 世界初のポータ ブル CDプレーヤー D-50( 1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 ( 1980〜) “ト リ ニト ロン” ⽇本製品が欧⽶で⼈気 1979〜: ⽇本の製造業の⾼品質、 も のづく り の強さ を研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利⽤率がパソコン利⽤率を超える) 1974年: 「 TCP/IP」 の最初の仕様がRFC 675と し て公開 1982年〜: ⽶国防総省(DoD)は全ての軍⽤コ ンピュ ータ 網のためにTCP/IP標準を作成。 その後、 コ ンピュ ータ ー産業に開放さ れ、 4.2 BSD UNIXを⽪切り にほと んどの商⽤OSにTCP/IPが実装さ れた。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John Allspaw と Paul Ham m ondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を⾏う 2000年代後半〜: ク ラ ウド フ ァ ースト ‧ ク ラ ウド ネイ ティ ブ時代に突⼊ 2008/9〜: リ ーマンショ ッ ク 2010年以降〜: ⽇本のスタ ート アッ プはク ラ ウド フ ァ ースト で事業を⽴ち上げ、 初期から アジャ イ ル⼿法を採⽤ ★ピアソ ンショ ッ ク ( 2013年8⽉1⽇) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 ⻄ 暦 Netflixが⽇本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイ ン © The Deming Institute
  5. 12 1991〜: バブル崩壊「 失われた 1988〜: ⽇本を含む諸外国へ「 通商法スーパー301条 ソ フ ト

    ウェ ア開発現代史年表 Ver2.08 © 2025 フ ァ イ ンディ 株式会社. All rights reserved. ( 写真および他社ロゴを除く ) 本資料はフ ァ イ ンディ 株式会社が独⾃に編集‧ 作成し たも のです( ⼀部、 パブリ ッ ク ド メ イ ン素材を含みます) 。 Findy™ および Team +™ はフ ァ イ ンディ 株式会社の商標です。 使⽤さ れている写真や他社ロゴは、 各権利者に帰属し 、 説明⽬的でのみ使⽤し ています。 その他の商品名やロゴは、 各社の商標または登録商標です。 Linux 0.01 リ リ ース UNIXが商業化‧ 断⽚化し ていく 中、 Linuxはオープンソ ースの⼒で 統⼀的な開発基盤と なり 、 世界中の技術⾰新を⽀えた ( 1991/9/17) CVS 誕⽣ ( 1990) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多く の企業や政府機関が「 ウォ ータ ーフ ォ ールモデル」 を公式な開発プロセスと し て採⽤。 同時に、 Royceの思惑と 違う 、 誤解さ れた「 ウォ ータ ーフ ォ ール」 が広まる 1990〜2000: 第⼀次ブラ ウザ戦争。 Netscape Navigatorの消滅 1985〜1990: 国家プロジェ ク ト 「 Σ 計画」 が頓挫 1990年代: ウォ ータ ーフ ォ ールのリ ス と 誕⽣( イ ンク リ メ ンタ ル、 スパイ ラ ル 発。 ⽶会計局でも 多く の遅延∕ 途中での挫折が発⽣‵ 主 な 出 来 事 がウォ ータ ーフ ォ ールを採⽤ Window コ ンシュ TCP/IPが ワーク ス ( 1995) Point: ⽶国防総省(DoD)が与えた影響 1970年代後半〜1980年代末: ⽇本⾞と 家電がアメ リ カ 市場を席巻。 こ れが、 徐々に⽇⽶貿易摩擦の⽕種に…… "ウォ ーク マン” 1号機 TPS-L2 ( 1979) 世界初のポータ ブル CDプレーヤー D-50( 1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 ( 1980〜) “ト リ ニト ロン” ⽇本製品が欧⽶で⼈気 1979〜: ⽇本の製造業の⾼品質、 も のづく り の強さ を研究。 © The Deming Institute
  6. 13 2018: マイ ク ロソ フ ト 、 GitHub を

    75 億ド ルで買収 /11: アジャ イ ルソ フ ア開発宣⾔ ( 2005) GitHub リ リ ース ( 2008) a ース 2) AWS サービス開始 ( 2006) Jenkins 誕⽣ ( 2011) GitHub Actions ( 2018) ChatGPT ⼀般公開 ( 2022/11/30) GitHub Copilot ( 2021/6/29) Azure サービス開始 ( 2010) 2009〜2020: 第⼆次ブラ ウザ戦争 Google Chrom eの躍進、 Internet Explorerの衰退 ( 2018) ( 2004) Google Cloud サービス開始 ( 2008) 欧州の⾃動⾞メ ーカ が中⼼と なっ て公開( 2005) ( 2011) ( 2006) ( 2004) ⽶国を中⼼にでアジャ イ ル⼿法が急速に広まり 、 ウォ ータ ーフ ォ ールは特にWeb系‧ スタ ート アッ プ企業ではほぼ使われなく なる。 の実施」 (第804条)をDoDに命じ 、 事実上アジャ イ ル型開発の原則を法制化 * リ リ ース ( 2004/2) 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 ( 2023/3/14) Team + ( 2021/10) Gem ini 1 ( 2023/12/6) Devin ( 2024/3/12) Cline ( 2024/7) 2021〜: AI( GenAI) が前提の時代へ ⽇本は⼤企業を中⼼に、 ウォ ータ フ ォ ールモデルを採⽤し 続ける。 2020/3〜2023/5: COVID-19 ITバブル崩壊 2009: Flickrのエンジニアである John Allspaw と Paul Ham m ondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を⾏う 2000年代後半〜: ク ラ ウド フ ァ ースト ‧ ク ラ ウド ネイ ティ ブ時代に突⼊ 2008/9〜: リ ーマンショ ッ ク 2010年以降〜: ⽇本のスタ ート アッ プはク ラ ウド フ ァ ースト で事業を⽴ち上げ、 初期から アジャ イ ル⼿法を採⽤
  7. 14 1975 1977 1986 1995 1994/10/31 1989 1987 1970 1989/02/01

    1982 1979 1992/3/13 19 1979 1978 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 ⽂ ‧ ⽂ 献 PC/AT互換機が誕⽣( 1981〜) Dyna ( 19 ICT の 進 化 メ イ ンフ レーム時代: 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 1995/10 1976 1981 数字送信の開始による ポケベルブーム( ⽇本) ( 1992〜1996) パソコン通信 携帯電
  8. 15 2005/10 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 2 2010〜 2017/6/22 2024/7/11 2019/9/17

    2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 2024/9/13 2018/3/27 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 2021/8/1 2003/9/1 2021/12/1 2018/4/1 Sam sung 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利⽤率がパソコン利⽤率を超える) 2017/10/14 2003/9/1 11/8 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28
  9. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイ ク ロソ フ

    ト 、 GitHub を 75 億ド ルで買収 2001/2/11: アジャ イ ルソ フ ト ウェ ア開発宣⾔ 2005/10 1991〜: バブル崩壊「 失われた◦◦年」 1988〜: ⽇本を含む諸外国へ「 通商法スーパー301条」 発動 ソ フ ト ウェ ア開発現代史年表 Ver2.08 © 2025 フ ァ イ ンディ 株式会社. All rights reserved. ( 写真および他社ロゴを除く ) 本資料はフ ァ イ ンディ 株式会社が独⾃に編集‧ 作成し たも のです( ⼀部、 パブリ ッ ク ド メ イ ン素材を含みます) 。 Findy™ および Team +™ はフ ァ イ ンディ 株式会社の商標です。 使⽤さ れている写真や他社ロゴは、 各権利者に帰属し 、 説明⽬的でのみ使⽤し ています。 その他の商品名やロゴは、 各社の商標または登録商標です。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リ リ ース UNIXが商業化‧ 断⽚化し ていく 中、 Linuxはオープンソ ースの⼒で 統⼀的な開発基盤と なり 、 世界中の技術⾰新を⽀えた ( 1991/9/17) CVS 誕⽣ ( 1990) Subversionリ リ ース ( 2000) ( 2005) GitHub リ リ ース ( 2008) Bugzilla リ リ ース ( 2000) Jira リ リ ース ( 2002) AWS サービス開始 ( 2006) Jenkins 誕⽣ ( 2011) GitHub Actions ( 2018) ChatGPT ⼀般公開 ( 2022/11/30) GitHub Copilot ( 2021/6/29) Java v1.0 正式リ リ ース Javaはオブジェ ク ト 指向と 仮想マシン技術を普及さ せ、 後の⾔語設計にも 影響を与えた ( 1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多く の企業や政府機関が「 ウォ ータ ーフ ォ ールモデル」 を公式な開発プロセスと し て採⽤。 同時に、 Royceの思惑と 違う 、 誤解さ れた「 ウォ ータ ーフ ォ ール」 が広まる Azure サービス開始 ( 2010) 1990〜2000: 第⼀次ブラ ウザ戦争。 Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第⼆次ブラ ウザ戦争 Google Chrom eの躍進、 Internet Explorerの衰退 ( 2018) ( 2004) Google Cloud サービス開始 ( 2008) 欧州の⾃動⾞メ ーカ が中⼼と なっ て公開( 2005) ( 2011) 1985〜1990: 国家プロジェ ク ト 「 Σ 計画」 が頓挫 ( 2006) ( 2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: ⽶国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソ フ ト ウェ ア調達 条件と し て要求し 始める。 2000年代〜: ⽶国を中⼼にでアジャ イ ル⼿法が急速に広まり 、 ウォ ータ ーフ ォ ールは特にWeb系‧ スタ ート アッ プ企業ではほぼ使われなく なる。 1990年代: ウォ ータ ーフ ォ ールのリ スク を軽減する開発⼿法が次々 と 誕⽣( イ ンク リ メ ンタ ル、 スパイ ラ ル、 RUP など) 1980年後半〜1990年前半: ⽶国防総省(DoD)の発注し たソ フ ト ウェ アに問題が多 発。 ⽶会計局でも 多く の遅延∕ 途中での挫折が発⽣‵ 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 ⽂ ‧ ⽂ 献 2010年〜: ⽶国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「 迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」 (第804条)をDoDに命じ 、 事実上アジャ イ ル型開発の原則を法制化 * 1980年〜: ⽶国防総省(DoD) がウォ ータ ーフ ォ ールを採⽤ 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕⽣( 1981〜) ワーク ステーショ ンの時代: Sun SPARCstation ( 1989〜1994) Window s95 リ リ ース コ ンシュ ーマ向けOSに TCP/IPが標準搭載さ れ ワーク ステーショ ン並みに ( 1995) 初代iMac ( 1998〜) Apple Macintosh ( 1984〜) DynaBook ( 1994〜) 家庭向けADSL‧ FTTHの普及、 ブロード バンド 時代に突⼊ (2001〜) ICT の 進 化 メ イ ンフ レーム時代: IBM System 360と VT100( 1970〜1980) MacBook Pro M4 Max ( 2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リ リ ース ( 2004/2) Point: ⽶国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 ( 2023/3/14) Team + ( 2021/10) Gem ini 1 ( 2023/12/6) Devin ( 2024/3/12) Cline ( 2024/7) 2021〜: AI( GenAI) が前提の時代へ 2000年代〜: ⽇本は⼤企業を中⼼に、 ウォ ータ フ ォ ールモデルを採⽤し 続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム( ⽇本) ( 1992〜1996) F501i HYPER iモード 開始 ( 1999/2/22) テレホーダイ ( 1995〜2023) PC-9800シリ ーズ( 1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Sam sung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテク チャ のSoC Apple M1 ⽣産( 2020) 1970年代後半〜1980年代末: ⽇本⾞と 家電がアメ リ カ 市場を席巻。 こ れが、 徐々に⽇⽶貿易摩擦の⽕種に…… "ウォ ーク マン” 1号機 TPS-L2 ( 1979) 世界初のポータ ブル CDプレーヤー D-50( 1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 ( 1980〜) “ト リ ニト ロン” ⽇本製品が欧⽶で⼈気 1979〜: ⽇本の製造業の⾼品質、 も のづく り の強さ を研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利⽤率がパソコン利⽤率を超える) 1974年: 「 TCP/IP」 の最初の仕様がRFC 675と し て公開 1982年〜: ⽶国防総省(DoD)は全ての軍⽤コ ンピュ ータ 網のためにTCP/IP標準を作成。 その後、 コ ンピュ ータ ー産業に開放さ れ、 4.2 BSD UNIXを⽪切り にほと んどの商⽤OSにTCP/IPが実装さ れた。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John Allspaw と Paul Ham m ondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を⾏う 2000年代後半〜: ク ラ ウド フ ァ ースト ‧ ク ラ ウド ネイ ティ ブ時代に突⼊ 2008/9〜: リ ーマンショ ッ ク 2010年以降〜: ⽇本のスタ ート アッ プはク ラ ウド フ ァ ースト で事業を⽴ち上げ、 初期から アジャ イ ル⼿法を採⽤ ★ピアソ ンショ ッ ク ( 2013年8⽉1⽇) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 ⻄ 暦 Netflixが⽇本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイ ン © The Deming Institute
  10. 17 これまでの「ソフトウェア開発現代史」 ⚫ 1960年頃、日本のものづくりは「品質管理」という武器を手に入れ躍進。日本製品が世界中で人気となる ⚫ 1979年、米ハーバード大学のエズラ・ヴォーゲル教授が出版した『Japan as Number One: Lessons

    for America』がベストセラーに “ウォークマン” 1号機 TPS-L2 (1979) Toyota Corolla Liftback SR5 001 (1980〜) ソニートリニトロンシリーズ (1968〜) Vogel, E. F. (1979). Japan as number one: Lessons for America. Cambridge, MA: Harvard University Press. W.E.Deming博士(1900〜1993) 世界初のポータブル CDプレーヤー D-50(1984)
  11. 18 これまでの「ソフトウェア開発現代史」 ⚫ 1960年頃、日本のものづくりは「品質管理」という武器を手に入れ躍進。日本製品が世界中で人気となる ⚫ 1979年、米ハーバード大学のエズラ・ヴォーゲル教授が出版した『Japan as Number One: Lessons

    for America』がベストセラーに “ウォークマン” 1号機 TPS-L2 (1979) Toyota Corolla Liftback SR5 001 (1980〜) ソニートリニトロンシリーズ (1968〜) Vogel, E. F. (1979). Japan as number one: Lessons for America. Cambridge, MA: Harvard University Press. W.E.Deming博士(1900〜1993) 世界初のポータブル CDプレーヤー D-50(1984) 戦後日本は愚直に学び、 品質を鍛え抜いて世界を驚かせた。 そして50年が経った・・・
  12. 19

  13. 21 ウォーターフォール ⚫ Winston W. Royce による“Managing the Development of

    Large Software Systems(1970)” Winston W. Royce (ウィンストン・W・ロイス)
  14. 22 ウォーターフォール ⚫ Winston W. Royce による“Managing the Development of

    Large Software Systems(1970)” 図3 顧客に引き渡すための大規模プログラムを開発するための実現ステップ 図4 反復(後戻り)は隣り合うステップに限定されない
  15. 犯人 ⚫ 「Software Requirements: Are They Really a Problem?」というT.E. Bellと

    T.A. Thayerによる論文では、Winston W. Royceの1970年の論文を参照し、 「開発活動のウォーターフォール(滝)」という表現を用いて、ソフトウェア 開発プロセスの段階的なアプローチを説明しています。この際、Royceの提案 を、各フェーズが順番に進む線形で非反復的なプロセスとして解釈しています。 ⚫ Royce自身は、元の論文で反復的なフィードバックと改善の必要性を強調して いましたが、この論文では、ソフトウェア要件の問題の重要性を強調し、要件 の不備が設計や実装段階での失敗につながると述べています。その結果、要件 の不備を防ぐために「トップダウン型で進む厳密なプロセス」が必要であると の主張が間接的にウォーターフォールの誤解に結びつきました。 ⚫ さらに、この概念が広く普及した背景には、Barry Boehm氏(COCOMOやスパ イラルモデルを提唱した人物)が1981年の著書「Software Engineering Economics」でRoyce氏のモデルをウォーターフォール型として紹介したこと も影響しています。これにより、ウォーターフォールモデルの誤解が強固なも のとなり、業界全体でそのイメージが固定化されました。 Bell, T. E., & Thayer, T. A. (1976). Software requirements: Are they really a problem? Proceedings of the 2nd International Conference on Software Engineering (ICSE '76), 61–68. https://doi.org/10.5555/800253.807650
  16. 35年前に痛い目にあっている 25 ⚫ 1970〜1980年代: 多くの企業や政府機関が「ウォーターフォールモデル」を公式な開発プロセスとして採 用。同時に、Royceの思惑と違う、誤解された「ウォーターフォール」が広まる ⚫ 1980年〜: 米国防総省(DoD)がウォーターフォールを採用 ⚫

    1980年後半〜1990年前半: 米国防総省(DoD)の発注したソフトウェアに問題が多発。米会計局でも多くの 遅延/途中での挫折が発生 1992/3/13 ※ただ自慢したいだけの写真 Edward Nash Yourdon これはエドワード・ギボンの古典的名著 「ローマ帝国衰亡史」(The History of the Decline and Fall of the Roman Empire, 1776-1788)を模したタイトルと思われる。
  17. 35年前に痛い目にあっている 26 ⚫ 1970〜1980年代: 多くの企業や政府機関が「ウォーターフォールモデル」を公式な開発プロセスとして採 用。同時に、Royceの思惑と違う、誤解された「ウォーターフォール」が広まる ⚫ 1980年〜: 米国防総省(DoD)がウォーターフォールを採用 ⚫

    1980年後半〜1990年前半: 米国防総省(DoD)の発注したソフトウェアに問題が多発。米会計局でも多くの 遅延/途中での挫折が発生 ⚫ 1990年代: ウォーターフォールのリスクを軽減する開発手法が次々と誕生(インクリメンタル、スパイラ ル、RUP など) ソフトウェアで復活を遂げたアメリカ 1992/3/13 1996/4/1 僅か4年後 アメリカ人プログラマーの台頭と復活
  18. 20年前にあった有識者からの警告 日経bizTech『日本のソフトウエア産業、衰退の真因』2005年10月 ⚫ 松原友夫氏(トム・デマルコ本の翻訳でおなじみ)による寄稿 ⚫ https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20070306/264055/ ⚫ 要約 ① 背景と警告

    1990年代、アメリカではエド・ヨードンがソフトウェア産業の危機を警告し、日本を模範的な存在として称賛しましたが、その後、アメ リカはオブジェクト指向やアジャイルなどの新しい開発手法により復活を遂げました。 ② 日本の遅れ 日本は、90年代においてメインフレームからクライアントサーバーへの移行に乗り遅れ、ソフトウェア開発における国際競争力を失いま した。また、技術伝承の断絶や不十分なプロジェクト管理が原因で、開発の質が低下しました。 ③ 産業構造の問題 日本のソフトウェア産業には多重下請け構造が蔓延し、派遣プログラマーに依存する状況が問題視されています。これにより、ソフト ウェア開発の品質と効率が損なわれ、さらに低賃金の海外労働力に仕事が流れる懸念が高まっています。 ④ 提言 日本のソフトウェア産業の再生には、「自立」が必要であると述べています。これは、ソフトウェア企業や技術者が自主的に技術と経営 の自立を目指し、プロジェクトマネジメント力を高めることで達成されるべきです。また、政府やユーザー企業も、この自立を支援する 役割を果たすべきであると提案しています。 松原友夫氏 (写真)http://www.kumikomi.net/archives/2005/02/04jasst.php
  19. 仮説 31 ⚫ 現代のソフトウェアが主体の「ものづくり」では、顧客への「完璧さ」よりも、エンドユーザーへのスピード と柔軟な改善が求められる。 ⚫ しかし日本のソフトウェア産業は正しいと信じ続けた価値観から抜け出せず、ウォーターフォール開発や人月 ビジネスといった旧来の慣習にとどまり続けた。 ⚫ その結果、世界のソフトウェア産業を牽引するBig

    Techの中に日本企業の姿は見当たらない。なぜ、こうなっ てしまったのか? ⚫ さまざまな原因分析と解決策はこれまでも幾度となく提言されてきたはず。 ⚫ いま必要なのは、新しい解決策ではなく—— “なぜ今こうなっているのか?”という歴史を振り返る視点なのかもしれない。 私の仮説:「正しいと信じ続けた価値観は、実は間違った歴史認識から来ている」
  20. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイ ク ロソ フ

    ト 、 GitHub を 75 億ド ルで買収 2001/2/11: アジャ イ ルソ フ ト ウェ ア開発宣⾔ 2005/10 1991〜: バブル崩壊「 失われた◦◦年」 1988〜: ⽇本を含む諸外国へ「 通商法スーパー301条」 発動 ソ フ ト ウェ ア開発現代史年表 Ver2.08 © 2025 フ ァ イ ンディ 株式会社. All rights reserved. ( 写真および他社ロゴを除く ) 本資料はフ ァ イ ンディ 株式会社が独⾃に編集‧ 作成し たも のです( ⼀部、 パブリ ッ ク ド メ イ ン素材を含みます) 。 Findy™ および Team +™ はフ ァ イ ンディ 株式会社の商標です。 使⽤さ れている写真や他社ロゴは、 各権利者に帰属し 、 説明⽬的でのみ使⽤し ています。 その他の商品名やロゴは、 各社の商標または登録商標です。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リ リ ース UNIXが商業化‧ 断⽚化し ていく 中、 Linuxはオープンソ ースの⼒で 統⼀的な開発基盤と なり 、 世界中の技術⾰新を⽀えた ( 1991/9/17) CVS 誕⽣ ( 1990) Subversionリ リ ース ( 2000) ( 2005) GitHub リ リ ース ( 2008) Bugzilla リ リ ース ( 2000) Jira リ リ ース ( 2002) AWS サービス開始 ( 2006) Jenkins 誕⽣ ( 2011) GitHub Actions ( 2018) ChatGPT ⼀般公開 ( 2022/11/30) GitHub Copilot ( 2021/6/29) Java v1.0 正式リ リ ース Javaはオブジェ ク ト 指向と 仮想マシン技術を普及さ せ、 後の⾔語設計にも 影響を与えた ( 1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多く の企業や政府機関が「 ウォ ータ ーフ ォ ールモデル」 を公式な開発プロセスと し て採⽤。 同時に、 Royceの思惑と 違う 、 誤解さ れた「 ウォ ータ ーフ ォ ール」 が広まる Azure サービス開始 ( 2010) 1990〜2000: 第⼀次ブラ ウザ戦争。 Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第⼆次ブラ ウザ戦争 Google Chrom eの躍進、 Internet Explorerの衰退 ( 2018) ( 2004) Google Cloud サービス開始 ( 2008) 欧州の⾃動⾞メ ーカ が中⼼と なっ て公開( 2005) ( 2011) 1985〜1990: 国家プロジェ ク ト 「 Σ 計画」 が頓挫 ( 2006) ( 2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: ⽶国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソ フ ト ウェ ア調達 条件と し て要求し 始める。 2000年代〜: ⽶国を中⼼にでアジャ イ ル⼿法が急速に広まり 、 ウォ ータ ーフ ォ ールは特にWeb系‧ スタ ート アッ プ企業ではほぼ使われなく なる。 1990年代: ウォ ータ ーフ ォ ールのリ スク を軽減する開発⼿法が次々 と 誕⽣( イ ンク リ メ ンタ ル、 スパイ ラ ル、 RUP など) 1980年後半〜1990年前半: ⽶国防総省(DoD)の発注し たソ フ ト ウェ アに問題が多 発。 ⽶会計局でも 多く の遅延∕ 途中での挫折が発⽣‵ 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 ⽂ ‧ ⽂ 献 2010年〜: ⽶国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「 迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」 (第804条)をDoDに命じ 、 事実上アジャ イ ル型開発の原則を法制化 * 1980年〜: ⽶国防総省(DoD) がウォ ータ ーフ ォ ールを採⽤ 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕⽣( 1981〜) ワーク ステーショ ンの時代: Sun SPARCstation ( 1989〜1994) Window s95 リ リ ース コ ンシュ ーマ向けOSに TCP/IPが標準搭載さ れ ワーク ステーショ ン並みに ( 1995) 初代iMac ( 1998〜) Apple Macintosh ( 1984〜) DynaBook ( 1994〜) 家庭向けADSL‧ FTTHの普及、 ブロード バンド 時代に突⼊ (2001〜) ICT の 進 化 メ イ ンフ レーム時代: IBM System 360と VT100( 1970〜1980) MacBook Pro M4 Max ( 2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リ リ ース ( 2004/2) Point: ⽶国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 ( 2023/3/14) Team + ( 2021/10) Gem ini 1 ( 2023/12/6) Devin ( 2024/3/12) Cline ( 2024/7) 2021〜: AI( GenAI) が前提の時代へ 2000年代〜: ⽇本は⼤企業を中⼼に、 ウォ ータ フ ォ ールモデルを採⽤し 続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム( ⽇本) ( 1992〜1996) F501i HYPER iモード 開始 ( 1999/2/22) テレホーダイ ( 1995〜2023) PC-9800シリ ーズ( 1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Sam sung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテク チャ のSoC Apple M1 ⽣産( 2020) 1970年代後半〜1980年代末: ⽇本⾞と 家電がアメ リ カ 市場を席巻。 こ れが、 徐々に⽇⽶貿易摩擦の⽕種に…… "ウォ ーク マン” 1号機 TPS-L2 ( 1979) 世界初のポータ ブル CDプレーヤー D-50( 1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 ( 1980〜) “ト リ ニト ロン” ⽇本製品が欧⽶で⼈気 1979〜: ⽇本の製造業の⾼品質、 も のづく り の強さ を研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利⽤率がパソコン利⽤率を超える) 1974年: 「 TCP/IP」 の最初の仕様がRFC 675と し て公開 1982年〜: ⽶国防総省(DoD)は全ての軍⽤コ ンピュ ータ 網のためにTCP/IP標準を作成。 その後、 コ ンピュ ータ ー産業に開放さ れ、 4.2 BSD UNIXを⽪切り にほと んどの商⽤OSにTCP/IPが実装さ れた。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John Allspaw と Paul Ham m ondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を⾏う 2000年代後半〜: ク ラ ウド フ ァ ースト ‧ ク ラ ウド ネイ ティ ブ時代に突⼊ 2008/9〜: リ ーマンショ ッ ク 2010年以降〜: ⽇本のスタ ート アッ プはク ラ ウド フ ァ ースト で事業を⽴ち上げ、 初期から アジャ イ ル⼿法を採⽤ ★ピアソ ンショ ッ ク ( 2013年8⽉1⽇) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 ⻄ 暦 Netflixが⽇本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイ ン © The Deming Institute
  21. 2018: マイ ク ロソ フ ト 、 GitHub を 75

    億ド ルで買収 2001/2/11: アジャ イ ルソ フ ト ウェ ア開発宣⾔ 2024 998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Subversionリ リ ース ( 2000) ( 2005) GitHub リ リ ース ( 2008) Bugzilla リ リ ース ( 2000) Jira リ リ ース ( 2002) AWS サービス開始 ( 2006) Jenkins 誕⽣ ( 2011) GitHub Actions ( 2018) ChatGPT ⼀般公開 ( 2022/11/30) GitHub Copilot ( 2021/6/29) リ ース ク ト 指向と を普及さ せ、 も 影響を与えた Azure サービス開始 ( 2010) rの躍進、 2009〜2020: 第⼆次ブラ ウザ戦争 Google Chrom eの躍進、 Internet Explorerの衰退 ( 2018) ( 2004) Google Cloud サービス開始 ( 2008) 欧州の⾃動⾞メ ーカ が中⼼と なっ て公開( 2005) ( 2011) ( 2006) ( 2004) 2026 7〜2010年代: ⽶国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソ フ ト ウェ ア調達 件と し て要求し 始める。 2000年代〜: ⽶国を中⼼にでアジャ イ ル⼿法が急速に広まり 、 ウォ ータ ーフ ォ ールは特にWeb系‧ スタ ート アッ プ企業ではほぼ使われなく なる。 発⼿法が次々 2010年〜: ⽶国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「 迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」 (第804条)をDoDに命じ 、 事実上アジャ イ ル型開発の原則を法制化 * に リ リ ース ( 2004/2) 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 ( 2023/3/14) Team + ( 2021/10) Gem ini 1 ( 2023/12/6) Devin ( 2024/3/12) Cline ( 2024/7) 2021〜: AI( GenAI) が前提の時代へ 2000年代〜: ⽇本は⼤企業を中⼼に、 ウォ ータ フ ォ ールモデルを採⽤し 続ける。 2020/3〜2023/5: COVID-19 2000/3〜: ITバブル崩壊 ー産業に開放さ れ、 4.2 BSD UNIXを⽪切り にほと んどの商⽤OSにTCP/IPが実装さ れた。 2009: Flickrのエンジニアである John Allspaw と Paul Ham m ondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を⾏う 2000年代後半〜: ク ラ ウド フ ァ ースト ‧ ク ラ ウド ネイ ティ ブ時代に突⼊ 2008/9〜: リ ーマンショ ッ ク 2010年以降〜: ⽇本のスタ ート アッ プはク ラ ウド フ ァ ースト で事業を⽴ち上げ、 初期から アジャ イ ル⼿法を採⽤ ★ピアソ ンショ ッ ク ( 2013年8⽉1⽇)
  22. DevOps誕生以前(〜2000年代前半) ⚫ 2000年代前半までのソフトウェア開発では、開発と運用は完全に分断され、しばしば対立関係にありました。 開発チームの目標は「新機能を素早くリリース」、運用チームの目標は「システムの安定性維持」であり、こ の2つの目標はしばしば衝突していました。 ⚫ 開発チームは「とにかく早くリリースしたい」 → 変更を加えたがる ⚫

    運用チームは「安定稼働が最優先」 → 変更を嫌う ⚫ 結果として、開発は「リリース遅延」に苛まれ、運用は「障害対応」に追われる ⚫ 変更のリスクを最小限にするために、厳格なリリースプロセスが敷かれ、開発者は運用チームから「勝手にデ プロイするな」と釘を刺されていました。その結果、リリースサイクルは長期化し、開発の俊敏性が犠牲にな っていったのです。 ⚫ 特に、大規模なリリースでは手作業によるデプロイが行われることが多く、設定ミスや環境差異が原因で障害 が頻発していました。こうした問題を解決し、開発と運用のギャップを埋める新たなアプローチが強く求めら れていました。
  23. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイクロソフト、GitHub を 75 億ドルで買収

    2001/2/11: アジャイルソフ トウェア開発宣言 2005/10 1991〜: バブル崩壊「失われた◦◦年」 1988〜: 日本を含む諸外国へ「通商法スーパー301条」発動 ソフト ウェア開発現 代史年表 Ver2.08 © 2025 ファ インデ ィ株式 会社. All rights reserved. (写真 および 他社ロ ゴを除 く) 本資 料はフ ァイン ディ株 式会社 が独自 に編集 ・作成 したも のです (一部 、パブ リック ドメイ ン素材 を含み ます) 。 Findy およ び Team+ はフ ァイン ディ株 式会社 の商標 です。 使用 されて いる写 真や他 社ロゴ は、各 権利者 に帰属 し、説 明目的 でのみ 使用し ていま す。そ の他の 商品名 やロゴ は、各 社の商 標また は登録 商標で す。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リリース UNIXが商業化・断片化していく中、 Linuxはオープンソースの力で 統一的な開発基盤となり、 世界中の技術革新を支えた (1991/9/17) CVS 誕生 (1990) Subversionリリース (2000) (2005) GitHub リリース (2008) Bugzilla リリース (2000) Jira リリース (2002) AWS サービス開始 (2006) Jenkins 誕生 (2011) GitHub Actions (2018) ChatGPT 一般公開 (2022/11/30) GitHub Copilot (2021/6/29) Java v1.0 正式リリース Javaはオブジェクト指向と 仮想マシン技術を普及させ、 後の言語設計にも影響を与えた (1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多くの企業や政府機関が「ウォーターフォールモデル」を公式な開発プロセスとして採用。 同時に、Royceの思惑と違う、誤解された「ウォーターフォール」が広まる Azure サービス開始 (2010) 1990〜2000: 第一次ブラウザ戦争。Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第二次ブラウザ戦争 Google Chromeの躍進、 Internet Explorerの衰退 (2018) (2004) Google Cloud サービス開始 (2008) 欧州の自動車メーカ が中心となって公開(2005) (2011) 1985〜1990: 国家プロジェクト 「Σ計画」が頓挫 (2006) (2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: 米国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソフトウェア調達 条件として要求し始める。 2000年代〜: 米国を中心にでアジャイル手法が急速に広まり、ウォーターフォールは特にWeb系・スタートアップ企業ではほぼ使われなくなる。 1990年代: ウォーターフォールのリスクを軽減する開発手法が次々 と誕生(インクリメンタル、スパイラル、RUP など) 1980年後半〜1990年前半: 米国防総省(DoD)の発注したソフトウェアに問題が多 発。米会計局でも多くの遅延/途中での挫折が発生` 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 文 ・ 文 献 2010年〜: 米国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」(第804条)をDoDに命じ、事実上アジャイル型開発の原則を法制化* 1980年〜: 米国防総省(DoD) がウォーターフォールを採用 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕生(1981〜) ワークステーションの時代:Sun SPARCstation (1989〜1994) Windows95 リリース コンシューマ向けOSに TCP/IPが標準搭載され ワークステーション並みに (1995) 初代iMac (1998〜) Apple Macintosh (1984〜) DynaBook (1994〜) 家庭向けADSL・FTTHの普及、 ブロードバンド時代に突入 (2001〜) ICT の 進 化 メインフレーム時代: IBM System 360とVT100(1970〜1980) MacBook Pro M4 Max (2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リリース (2004/2) Point: 米国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 (2023/3/14) Team+ (2021/10) Gemini 1 (2023/12/6) Devin (2024/3/12) Cline (2024/7) 2021〜: AI(GenAI)が前提の時代へ 2000年代〜: 日本は大企業を中心に、ウォータフォールモデルを採用し続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム(日本) (1992〜1996) F501i HYPER iモード開始 (1999/2/22) テレホーダイ(1995〜2023) PC-9800シリーズ(1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Samsung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテクチャのSoC Apple M1 生産(2020) 1970年代後半〜1980年代末: 日本車と家電がアメリカ市場を席巻。これが、徐々に日米貿易摩擦の火種に…… "ウォークマン” 1号機 TPS-L2 (1979) 世界初のポータブル CDプレーヤー D-50(1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 (1980〜) “トリニトロン” 日本製品が欧米で人気 1979〜: 日本の製造業の高品質、ものづくりの強さを研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利用率がパソコン利用率を超える) 1974年: 「TCP/IP」の最初の仕様がRFC 675として公開 1982年〜: 米国防総省(DoD)は全ての軍用コンピュータ網のためにTCP/IP標準を作成。その後、コンピューター産業に開放され、4.2 BSD UNIXを皮切りにほとんどの商用OSにTCP/IPが実装された。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John AllspawとPaul Hammondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を行う 2000年代後半〜: クラウドファースト・クラウドネイティブ時代に突入 2008/9〜: リーマンショック 2010年以降〜: 日本のスタートアップはクラウドファーストで事業を立ち上げ、初期からアジャイル手法を採用 ★ピアソンショック(2013年8月1日) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 西 暦 Netflixが日本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイン © T he Deming In stitute
  24. 38 Extreme Programming Explained: Embrace Change(1999) Kent Beck 1. 反復的な開発:

    短期間のイテレーション(通常1〜2週間)を繰り返し、各イテレーションで動作するソフトウェアを提供する。 2. 顧客の関与: 顧客が開発チームの一員として積極的に関与し、要求を直接伝え、フィードバックを提供する。 3. ペアプログラミング: 2人のプログラマーが1台のコンピューターで共同作業を行い、コードの品質を向上させる。 4. テスト駆動開発(TDD): コードを書く前にテストを作成し、そのテストに合格するコードを書くことで品質を保証する。 5. リファクタリング: コードの機能を変えずに内部構造を改善し、コードの保守性を向上させる。 6. シンプルな設計: 必要最低限の機能を持つシンプルな設計を行い、後で必要に応じて機能を追加する。 7. 継続的インテグレーション(CI): 新しいコードを頻繁に統合し、自動化されたビルドとテストを実行して問題を早期に発見す る。 8. 持続可能なペース: 開発チームが過労にならないように、持続可能なペースで作業を進める。 9. コレクティブオーナーシップ: チーム全員がコードの責任を共有し、誰でもコードを変更できるようにする。 10. メタファーの使用: プロジェクト全体の理解を助けるために、共通のメタファーや比喩を使用する。 11. コードの共有: すべての開発者がコードを共有し、どの開発者も任意のコードを改善できるようにする。 Martin Fowler
  25. 39 Extreme Programming Explained: Embrace Change(1999) 1. 反復的な開発: 短期間のイテレーション(通常1〜2週間)を繰り返し、各イテレーションで動作するソフトウェアを提供する。 2.

    顧客の関与: 顧客が開発チームの一員として積極的に関与し、要求を直接伝え、フィードバックを提供する。 3. ペアプログラミング: 2人のプログラマーが1台のコンピューターで共同作業を行い、コードの品質を向上させる。 4. テスト駆動開発(TDD): コードを書く前にテストを作成し、そのテストに合格するコードを書くことで品質を保証する。 5. リファクタリング: コードの機能を変えずに内部構造を改善し、コードの保守性を向上させる。 6. シンプルな設計: 必要最低限の機能を持つシンプルな設計を行い、後で必要に応じて機能を追加する。 7. 継続的インテグレーション(CI): 新しいコードを頻繁に統合し、自動化されたビルドとテストを実行して問題を早期に発見す る。 8. 持続可能なペース: 開発チームが過労にならないように、持続可能なペースで作業を進める。 9. コレクティブオーナーシップ: チーム全員がコードの責任を共有し、誰でもコードを変更できるようにする。 10. メタファーの使用: プロジェクト全体の理解を助けるために、共通のメタファーや比喩を使用する。 11. コードの共有: すべての開発者がコードを共有し、どの開発者も任意のコードを改善できるようにする。 現在“モダン”と言われる 開発プラクティスは ほぼ、ここで出尽くしたと 言っても過言ではない あとは実践研究と発展の歴史である Kent Beck Martin Fowler
  26. 40 アジャイルソフトウェア開発宣言(2001) 私たちは、実際にソフトウェアを開発し、他の人々がそれを 実践するのを助けることによって、より良い開発方法を発見 しています。この作業を通じて、次のような価値を見出しま した: ⚫ プロセスやツールよりも個人と対話 ⚫ 包括的なドキュメントよりも動作するソフトウェア

    ⚫ 契約交渉よりも顧客との協力 ⚫ 計画に従うことよりも変化への対応 つまり、左側の項目にも価値はありますが、私たちは右側の 項目により価値を置きます。 ※日本語訳ページもあるのですが、表現が硬いので勝手に柔らかく訳し直しました https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html ⚫ アジャイルソフトウェア開発宣言(Agile Manifesto)は、2001年2月にアメリカ・ユタ州の スノーバードスキーリゾートで開発された。この宣 言は、17人のソフトウェア開発の専門家たちが集ま って、ソフトウェア開発プロセスの改善について議 論し、アジャイルというアプローチが生まれたこと から発表された。 ⚫ その中で主要な貢献者として知られているのは、 ケント・ベック、マーティン・ファウラー、 ロン・ジェファリーズ、ジム・ハイスミス、 ジョン・カーンズ、ウォード・カニンガム、 ジョン・ハント、アンドリュー・ハント、 ブライアン・マリック、ロバート・マーティン、 デイブ・トーマス、マイク・ビードル、 アリスター・コーバーン、ジェームズ・グレニング、ジェフ・サザ ーランド、ケン・シュワイバー、 ジョン・ブラント ⚫ これらの人々は、それぞれ異なるソフトウェア開発 手法(例:Scrum、Extreme Programming)を提 唱・開発していたが、アジャイル宣言を通じて、共 通の価値観と原則に基づいてソフトウェア開発を行 うことで合意した。
  27. 41 アジャイルソフトウェア開発宣言(2001) ボブ・マーティンの思い出: (略) 2000年の春、Kent Beckがオレゴン州メドフォードにある自宅近くのRogue River Lodgeで会議を開きまし た。彼はこれをExtreme Programming

    Leadership Conferenceと名付けました。出席者には私、Ron Jeffries、Ken Auer、Martin Fowler、そしてXP運動の立ち上げに尽力した他の数名がいました。 (略) Alistairは事実上のオーガナイザーになりました。彼は開催地をアンギラからソルトレイクシティのスノー バードに変更することを提案しました。ほとんどの他の招待者がフライトが簡単になるため同意しました。 AlistairとJim Highsmithが部屋、食事、アクティビティの手配を行いました。物事は急速に進展しました。 会議には約20人の招待者のうち17人が出席しました(出席者のリストはwww.agilemanifesto.orgを参照)。 残念ながらGrady BoochとBig Dave Thomasは参加できませんでしたが、彼らの影響はその後の議論に強く 感じられました。 (略) Martin FowlerとWard Cunninghamは事実上のファシリテーターになりました。彼らの助けを借りて、私た ちは2日間のアジェンダと意思決定の方法をすぐにまとめました。 実際に、これらの異なるアイデアを持つ人々が非常によく協力しているのを見るのは本当にスリルがありま した。私は、これほどポイントに集中し、目標を簡単に達成し、ほとんど争いのない会議に参加したことが ありませんでした。それはまるでピースがなんとなく一緒に収まったかのようでした。 初期の議論の一つは名前についてでした。誰も Lightweight という用語を気に入りませんでした。Leanや Adaptiveなどの他のオプションも提案されましたが、Agileという名前が勝ちました。 マニフェストの構造は相互に合意されました。私はWardが相対的価値のペアのアイデアをフレーミングす る上で大きな役割を果たしたことを覚えていますが、そのアイデアを思いついたのはMartinとPragmatic Dave Thomasかもしれません。PragDaveの回想は次のとおりです: 実際、それはMartinと私が昼食時にホワイトボードで考えを練っていた時のことです。最初の三つを思い ついたと思います。その後、グループが五つに増やし、それが四つに絞られました。実際、Wardは現在彼 のマニフェストサイトに飾られている、アイデアを議論している皆の写真を撮りました。 (略) スノーバードでの二日間の終わりまでに、マニフェストは完成し、原則が概説され、Agile Allianceが誕生 しました。 https://www.facebook.com/TotherAlistair/posts/10156214284634035 https://sites.google.com/site/unclebobconsultingllc/the-founding-of-the-agile-allianc
  28. Flickrの伝説的講演「10+ Deploys Per Day」 ⚫ 2009年のO'Reilly Velocity 09 Conferenceで行われ た、Flickrのエンジニアによる伝説的な講演です。

    ⚫ 当時Flickrのエンジニアだったジョン・オールスパウ (John Allspaw)とポール・ハモンド(Paul Hammond)が「10+ Deploys Per Day: Dev and Ops Cooperation at Flickr」のタイトルで発表し、 業界に衝撃を与えました。 ⚫ この講演で彼らは、当時としては驚異的な「1日に10 回以上のデプロイ」を実現している事実を明らかに しました。多くの企業が月に1回や四半期に1回のリ リースサイクルに苦しんでいた時代に、これは革命 的な実践だったのです。
  29. Flickrの伝説的講演「10+ Deploys Per Day」 ⚫ 彼らが強調したのは次のポイントです。 1. 開発と運用の協力関係 - 両チームが共通の目標(ユーザー価値の提供)に向かって協力する

    2. 小さな変更の頻繁なデプロイ - 大きな変更を一度にリリースするのではなく、小さな変更を頻繁にリリースする 3. 自動化の徹底 - テスト、デプロイ、モニタリングなど、あらゆる工程を自動化する 4. 「失敗は避けられない」前提 - 失敗を防ぐのではなく、素早く検知して回復する能力を高める ⚫ この講演により「高頻度デプロイは可能」との認識が広まり、多くの企業がFlickrの実践に触発されて自社の デプロイプロセスを見直すきっかけとなりました。この講演は、YouTubeで「10+ Deploys Per Day: Dev and Ops Cooperation at Flickr」として今でも視聴可能であり、DevOpsを学ぶ人々にとって必見の資料とな っています。
  30. パトリック・ドボアと「DevOps」という言葉の誕生 ⚫ 先述のFlickrの講演「10+ Deploys Per Day」に触発されたドボアは、エンジニアのナスラット・ナサー (Nasrat Nassar)からの「ベルギーで独自のVelocityイベントを開催してはどうか」というツイートをきっか けに行動を起こします。彼は「DevOpsDays」というイベントを開催することを決意しました。 ⚫

    2009年10月30日に開催されたこのカンファレンスには、開発者、システム管理者、ツール開発者など多様な 参加者が集まりました。カンファレンス終了後、議論はTwitterに移り、より覚えやすいハッシュタグとして、 ドボアは名前を「#DevOps」に短縮しました。これが「DevOps(Development + Operations)」という 言葉の誕生であり、それ以来、このムーブメントはDevOpsとして知られるようになりました。 Patrick Debois (パトリック・ドボア) 2009年、彼は最初のdevopsdaysイベントを主催することで「devops」という言葉を生み出しまし た。彼は世界各地で会議を開催し、新しいアイデアを収集・普及させました。パイオニアとして、彼 は常に実装・探求すべき新しいアイデアを探し求めています。現在はメディア業界で活動しており、 放送事業者が視聴者との閉じたフィードバックループによる対話に参入する移行を指導しています。 (参照: https://itrevolution.com/author/patrick-debois/ ) 45
  31. 2010年代前半:ジェズ・ハンブルとCIから継続的デリバリー(CD)への発展 Jez Humble(ジェズ・ハンブル) ジェズ・ハンブルは、『Accelerate』(シンゴ賞受賞)、『The DevOps Handbook』、『Lean Enterprise』、およびジョルト賞受賞の『Continuous Delivery』など、ソフトウェアに関する複数 の著書を共著した人物です。彼は20年にわたるキャリアの中で、3大陸にわたるさまざまな規模の企 業でコード、インフラ、プロダクト開発に携わってきました。オバマ政権下のテックサージの一環

    として、米国連邦政府の 18F チームで働いたほか、DevOps Research and Assessment LLC (DORA)を共同創業し、同社は 2018 年 12 月に Google に買収されました。現在は Google でサイ トリライアビリティエンジニア(SRE)として勤務しながら、カリフォルニア大学バークレー校の情 報学部で教鞭を執っています。 (参照: https://www.ischool.berkeley.edu/people/jez-humble ) 47 David(Dave) Farley(デイビッド(デイブ)・ファーリー) Dave FarleyはContinuous Delivery Ltdの創設者兼マネージングディレクター。30年以上にわたって コンピューターに関わる仕事をしており、ファームウェア、オペレーティングシステム、デバイスド ライバー、ゲーム開発、商用アプリケーションなど、あらゆる種類のソフトウェア開発に携わってき ました。 約30年前から大規模分散システムの開発に取り組み始め、疎結合でメッセージベースのシステム開 発の研究を行っていました。これは今日のマイクロサービスアーキテクチャの先駆けとなるもので した 。 (参照: https://www.amazon.com/stores/author/B003VSTZ72/about )
  32. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイクロソフト、GitHub を 75 億ドルで買収

    2001/2/11: アジャイルソフ トウェア開発宣言 2005/10 1991〜: バブル崩壊「失われた◦◦年」 1988〜: 日本を含む諸外国へ「通商法スーパー301条」発動 ソフト ウェア開発現 代史年表 Ver2.08 © 2025 ファ インデ ィ株式 会社. All rights reserved. (写真 および 他社ロ ゴを除 く) 本資 料はフ ァイン ディ株 式会社 が独自 に編集 ・作成 したも のです (一部 、パブ リック ドメイ ン素材 を含み ます) 。 Findy およ び Team+ はフ ァイン ディ株 式会社 の商標 です。 使用 されて いる写 真や他 社ロゴ は、各 権利者 に帰属 し、説 明目的 でのみ 使用し ていま す。そ の他の 商品名 やロゴ は、各 社の商 標また は登録 商標で す。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リリース UNIXが商業化・断片化していく中、 Linuxはオープンソースの力で 統一的な開発基盤となり、 世界中の技術革新を支えた (1991/9/17) CVS 誕生 (1990) Subversionリリース (2000) (2005) GitHub リリース (2008) Bugzilla リリース (2000) Jira リリース (2002) AWS サービス開始 (2006) Jenkins 誕生 (2011) GitHub Actions (2018) ChatGPT 一般公開 (2022/11/30) GitHub Copilot (2021/6/29) Java v1.0 正式リリース Javaはオブジェクト指向と 仮想マシン技術を普及させ、 後の言語設計にも影響を与えた (1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多くの企業や政府機関が「ウォーターフォールモデル」を公式な開発プロセスとして採用。 同時に、Royceの思惑と違う、誤解された「ウォーターフォール」が広まる Azure サービス開始 (2010) 1990〜2000: 第一次ブラウザ戦争。Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第二次ブラウザ戦争 Google Chromeの躍進、 Internet Explorerの衰退 (2018) (2004) Google Cloud サービス開始 (2008) 欧州の自動車メーカ が中心となって公開(2005) (2011) 1985〜1990: 国家プロジェクト 「Σ計画」が頓挫 (2006) (2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: 米国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソフトウェア調達 条件として要求し始める。 2000年代〜: 米国を中心にでアジャイル手法が急速に広まり、ウォーターフォールは特にWeb系・スタートアップ企業ではほぼ使われなくなる。 1990年代: ウォーターフォールのリスクを軽減する開発手法が次々 と誕生(インクリメンタル、スパイラル、RUP など) 1980年後半〜1990年前半: 米国防総省(DoD)の発注したソフトウェアに問題が多 発。米会計局でも多くの遅延/途中での挫折が発生` 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 文 ・ 文 献 2010年〜: 米国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」(第804条)をDoDに命じ、事実上アジャイル型開発の原則を法制化 * 1980年〜: 米国防総省(DoD) がウォーターフォールを採用 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕生(1981〜) ワークステーションの時代:Sun SPARCstation (1989〜1994) Windows95 リリース コンシューマ向けOSに TCP/IPが標準搭載され ワークステーション並みに (1995) 初代iMac (1998〜) Apple Macintosh (1984〜) DynaBook (1994〜) 家庭向けADSL・FTTHの普及、 ブロードバンド時代に突入 (2001〜) ICT の 進 化 メインフレーム時代: IBM System 360とVT100(1970〜1980) MacBook Pro M4 Max (2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リリース (2004/2) Point: 米国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 (2023/3/14) Team+ (2021/10) Gemini 1 (2023/12/6) Devin (2024/3/12) Cline (2024/7) 2021〜: AI(GenAI)が前提の時代へ 2000年代〜: 日本は大企業を中心に、ウォータフォールモデルを採用し続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム(日本) (1992〜1996) F501i HYPER iモード開始 (1999/2/22) テレホーダイ(1995〜2023) PC-9800シリーズ(1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Samsung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテクチャのSoC Apple M1 生産(2020) 1970年代後半〜1980年代末: 日本車と家電がアメリカ市場を席巻。これが、徐々に日米貿易摩擦の火種に…… "ウォークマン” 1号機 TPS-L2 (1979) 世界初のポータブル CDプレーヤー D-50(1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 (1980〜) “トリニトロン” 日本製品が欧米で人気 1979〜: 日本の製造業の高品質、ものづくりの強さを研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利用率がパソコン利用率を超える) 1974年: 「TCP/IP」の最初の仕様がRFC 675として公開 1982年〜: 米国防総省(DoD)は全ての軍用コンピュータ網のためにTCP/IP標準を作成。その後、コンピューター産業に開放され、4.2 BSD UNIXを皮切りにほとんどの商用OSにTCP/IPが実装された。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John AllspawとPaul Hammondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を行う 2000年代後半〜: クラウドファースト・クラウドネイティブ時代に突入 2008/9〜: リーマンショック 2010年以降〜: 日本のスタートアップはクラウドファーストで事業を立ち上げ、初期からアジャイル手法を採用 ★ピアソンショック(2013年8月1日) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 西 暦 Netflixが日本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイン © T he Deming In stitute
  33. 2010年代前半:ジェズ・ハンブルとCIから継続的デリバリー(CD)への発展 49 ⚫ CIが「コードの統合と検証の自動化」に焦点を当てているのに対し、継続的デリバリー(CD)はその先の 「デプロイメントまでの自動化」にまで範囲を広げた概念です。この概念を体系化したのが、ジェズ・ハンブ ルとデビッド・ファーリー(David Farley)による「Continuous Delivery: Reliable Software

    Releases through Build, Test, and Deployment Automation」(2010年、日本語訳は2012年)の書籍でした。 ⚫ ジェズ・ハンブルとデビッド・ファーリーは、この書籍で継続的デリバリーを実現するために次のような実践 を提唱しています。 ✓ デプロイメントパイプライン - コードの変更が自動的にビルド、テスト、デプロイされる一連のプロセス ✓ 自動化されたテスト - 単体テスト、統合テスト、受け入れテストなど、あらゆるレベルのテストを自動化 ✓ 本番環境と一致したステージング環境 - 「開発環境では動くのに本番では動かない」問題を解消 ✓ ブルーグリーンデプロイメント - ダウンタイムなしでのデプロイを可能にする手法
  34. 2010年代中盤:ジーン・キムとDevOpsの理論体系化 ⚫ 2010年代中盤、DevOpsムーブメントの中心人物として台頭したのがジーン・キム(Gene Kim)です。彼は優 れた技術者であると同時に、複雑な概念を分かりやすく伝える稀有な才能を持ち合わせていました。それまで 現場レベルの実践知として広がっていたDevOpsの考え方を、組織全体で取り組むべき体系的な方法論として 確立した功績は計り知れません。彼の著作は技術書の枠を超え、多くの組織でDevOps変革の指南書となって います。 Gene Kim(ジーン・キム)

    ジーン・キムは、1999年からハイパフォーマンスなテクノロジー組織の研究を続けてきました。彼 はエンタープライズ向けセキュリティソフトウェア企業である Tripwire, Inc. の創業者兼 CTO を務 め、13年間にわたり在籍しました。著書の累計販売部数は100万部を超え、『Wiring the Winning Organization』や『The Unicorn Project』ではウォール・ストリート・ジャーナルのベストセラー 作家に名を連ねています。また、『The Phoenix Project』『The DevOps Handbook』、そしてシン ゴ賞を受賞した『Accelerate』の共著者でもあります。2014年以降は DevOps Enterprise Summit (現在の Enterprise Technology Leadership Summit)の主催者として、大規模かつ複雑な組織にお けるテクノロジー変革を研究し続けています。 (参照: https://itrevolution.com/author/gene-kim/ ) 51
  35. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイクロソフト、GitHub を 75 億ドルで買収

    2001/2/11: アジャイルソフ トウェア開発宣言 2005/10 1991〜: バブル崩壊「失われた◦◦年」 1988〜: 日本を含む諸外国へ「通商法スーパー301条」発動 ソフト ウェア開発現 代史年表 Ver2.08 © 2025 ファ インディ株式 会社. All rights reserved. (写真およ び他社ロゴ を除く) 本資 料はフ ァイン ディ株式 会社が独自に編集・作成した もので す(一部、パブ リック ドメイン素材を含みま す)。 Findy およ び Team+ はフ ァイン ディ株式 会社の商標です。 使用されて いる写真や他社ロゴ は、各権 利者に帰属し、説明 目的での み使用していま す。その他の商品 名やロ ゴは、各社の商標また は登録 商標です。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リリース UNIXが商業化・断片化していく中、 Linuxはオープンソースの力で 統一的な開発基盤となり、 世界中の技術革新を支えた (1991/9/17) CVS 誕生 (1990) Subversionリリース (2000) (2005) GitHub リリース (2008) Bugzilla リリース (2000) Jira リリース (2002) AWS サービス開始 (2006) Jenkins 誕生 (2011) GitHub Actions (2018) ChatGPT 一般公開 (2022/11/30) GitHub Copilot (2021/6/29) Java v1.0 正式リリース Javaはオブジェクト指向と 仮想マシン技術を普及させ、 後の言語設計にも影響を与えた (1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多くの企業や政府機関が「ウォーターフォールモデル」を公式な開発プロセスとして採用。 同時に、Royceの思惑と違う、誤解された「ウォーターフォール」が広まる Azure サービス開始 (2010) 1990〜2000: 第一次ブラウザ戦争。Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第二次ブラウザ戦争 Google Chromeの躍進、 Internet Explorerの衰退 (2018) (2004) Google Cloud サービス開始 (2008) 欧州の自動車メーカ が中心となって公開(2005) (2011) 1985〜1990: 国家プロジェクト 「Σ計画」が頓挫 (2006) (2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: 米国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソフトウェア調達 条件として要求し始める。 2000年代〜: 米国を中心にでアジャイル手法が急速に広まり、ウォーターフォールは特にWeb系・スタートアップ企業ではほぼ使われなくなる。 1990年代: ウォーターフォールのリスクを軽減する開発手法が次々 と誕生(インクリメンタル、スパイラル、RUP など) 1980年後半〜1990年前半: 米国防総省(DoD)の発注したソフトウェアに問題が多 発。米会計局でも多くの遅延/途中での挫折が発生` 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 文 ・ 文 献 2010年〜: 米国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」(第804条)をDoDに命じ、事実上アジャイル型開発の原則を法制化 * 1980年〜: 米国防総省(DoD) がウォーターフォールを採用 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕生(1981〜) ワークステーションの時代:Sun SPARCstation (1989〜1994) Windows95 リリース コンシューマ向けOSに TCP/IPが標準搭載され ワークステーション並みに (1995) 初代iMac (1998〜) Apple Macintosh (1984〜) DynaBook (1994〜) 家庭向けADSL・FTTHの普及、 ブロードバンド時代に突入 (2001〜) ICT の 進 化 メインフレーム時代: IBM System 360とVT100(1970〜1980) MacBook Pro M4 Max (2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リリース (2004/2) Point: 米国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 (2023/3/14) Team+ (2021/10) Gemini 1 (2023/12/6) Devin (2024/3/12) Cline (2024/7) 2021〜: AI(GenAI)が前提の時代へ 2000年代〜: 日本は大企業を中心に、ウォータフォールモデルを採用し続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム(日本) (1992〜1996) F501i HYPER iモード開始 (1999/2/22) テレホーダイ(1995〜2023) PC-9800シリーズ(1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Samsung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテクチャのSoC Apple M1 生産(2020) 1970年代後半〜1980年代末: 日本車と家電がアメリカ市場を席巻。これが、徐々に日米貿易摩擦の火種に…… "ウォークマン” 1号機 TPS-L2 (1979) 世界初のポータブル CDプレーヤー D-50(1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 (1980〜) “トリニトロン” 日本製品が欧米で人気 1979〜: 日本の製造業の高品質、ものづくりの強さを研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利用率がパソコン利用率を超える) 1974年: 「TCP/IP」の最初の仕様がRFC 675として公開 1982年〜: 米国防総省(DoD)は全ての軍用コンピュータ網のためにTCP/IP標準を作成。その後、コンピューター産業に開放され、4.2 BSD UNIXを皮切りにほとんどの商用OSにTCP/IPが実装された。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John AllspawとPaul Hammondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を行う 2000年代後半〜: クラウドファースト・クラウドネイティブ時代に突入 2008/9〜: リーマンショック 2010年以降〜: 日本のスタートアップはクラウドファーストで事業を立ち上げ、初期からアジャイル手法を採用 ★ピアソンショック(2013年8月1日) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 西 暦 Netflixが日本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイン © T he Deming In stitute
  36. 2010年代中盤:ジーン・キムとDevOpsの理論体系化 53 ⚫ 2013年、ジーン・キムは、ケビン・ベア(Kevin Behr)、ジョージ・スパッフォード(George Spafford)と共に「The Phoenix Project: A Novel

    about IT, DevOps, and Helping Your Business Win(邦題:The DevOps 逆転だ!)」を出版しまし た。 ⚫ この小説形式の書籍は、架空の自動車部品メーカー 「Parts Unlimited」のIT部門が、DevOpsの原則を 採用することで危機を乗り越える物語を描いていま す。物語形式でありながら、DevOpsの本質的な考 え方を分かりやすく伝え、多くの読者に影響を与え ました。
  37. 2010年代中盤:ジーン・キムとDevOpsの理論体系化 54 ⚫ 2016年には、ジェズ・ハンブル、パトリック・ドボ ア、ジョン・ウィリス(John Willis)と共に「The DevOps Handbook: How to

    Create World-Class Agility, Reliability, and Security in Technology Organizations」を出版し、DevOpsの実践をより体 系的にまとめあげました。 ⚫ この書籍では、DevOpsの三つの原則(Three Ways) が提唱されています: ✓ フロー(Flow) - 開発からデプロイまでの流れを最適 化する ✓ フィードバック(Feedback) - 問題を早期に発見し、 素早く修正する ✓ 継続的学習と実験(Continual Learning and Experimentation) - 失敗から学び、継続的に改善する ⚫ ジーン・キムの貢献により、DevOpsは単なる技術 的プラクティスではなく、組織文化の変革として広 く認識されるようになりました。
  38. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイクロソフト、GitHub を 75 億ドルで買収

    2001/2/11: アジャイルソフ トウェア開発宣言 2005/10 1991〜: バブル崩壊「失われた◦◦年」 1988〜: 日本を含む諸外国へ「通商法スーパー301条」発動 ソフト ウェア開発現 代史年表 Ver2.08 © 2025 ファ インディ株式 会社. All rights reserved. (写真およ び他社ロゴ を除く) 本資 料はフ ァイン ディ株式 会社が独自に編集・作成した もので す(一部、パブ リック ドメイン素材を含みま す)。 Findy およ び Team+ はフ ァイン ディ株式 会社の商標です。 使用されて いる写真や他社ロゴ は、各権 利者に帰属し、説明 目的での み使用していま す。その他の商品 名やロ ゴは、各社の商標また は登録 商標です。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リリース UNIXが商業化・断片化していく中、 Linuxはオープンソースの力で 統一的な開発基盤となり、 世界中の技術革新を支えた (1991/9/17) CVS 誕生 (1990) Subversionリリース (2000) (2005) GitHub リリース (2008) Bugzilla リリース (2000) Jira リリース (2002) AWS サービス開始 (2006) Jenkins 誕生 (2011) GitHub Actions (2018) ChatGPT 一般公開 (2022/11/30) GitHub Copilot (2021/6/29) Java v1.0 正式リリース Javaはオブジェクト指向と 仮想マシン技術を普及させ、 後の言語設計にも影響を与えた (1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多くの企業や政府機関が「ウォーターフォールモデル」を公式な開発プロセスとして採用。 同時に、Royceの思惑と違う、誤解された「ウォーターフォール」が広まる Azure サービス開始 (2010) 1990〜2000: 第一次ブラウザ戦争。Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第二次ブラウザ戦争 Google Chromeの躍進、 Internet Explorerの衰退 (2018) (2004) Google Cloud サービス開始 (2008) 欧州の自動車メーカ が中心となって公開(2005) (2011) 1985〜1990: 国家プロジェクト 「Σ計画」が頓挫 (2006) (2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: 米国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソフトウェア調達 条件として要求し始める。 2000年代〜: 米国を中心にでアジャイル手法が急速に広まり、ウォーターフォールは特にWeb系・スタートアップ企業ではほぼ使われなくなる。 1990年代: ウォーターフォールのリスクを軽減する開発手法が次々 と誕生(インクリメンタル、スパイラル、RUP など) 1980年後半〜1990年前半: 米国防総省(DoD)の発注したソフトウェアに問題が多 発。米会計局でも多くの遅延/途中での挫折が発生` 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 文 ・ 文 献 2010年〜: 米国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」(第804条)をDoDに命じ、事実上アジャイル型開発の原則を法制化 * 1980年〜: 米国防総省(DoD) がウォーターフォールを採用 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕生(1981〜) ワークステーションの時代:Sun SPARCstation (1989〜1994) Windows95 リリース コンシューマ向けOSに TCP/IPが標準搭載され ワークステーション並みに (1995) 初代iMac (1998〜) Apple Macintosh (1984〜) DynaBook (1994〜) 家庭向けADSL・FTTHの普及、 ブロードバンド時代に突入 (2001〜) ICT の 進 化 メインフレーム時代: IBM System 360とVT100(1970〜1980) MacBook Pro M4 Max (2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リリース (2004/2) Point: 米国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 (2023/3/14) Team+ (2021/10) Gemini 1 (2023/12/6) Devin (2024/3/12) Cline (2024/7) 2021〜: AI(GenAI)が前提の時代へ 2000年代〜: 日本は大企業を中心に、ウォータフォールモデルを採用し続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム(日本) (1992〜1996) F501i HYPER iモード開始 (1999/2/22) テレホーダイ(1995〜2023) PC-9800シリーズ(1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Samsung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテクチャのSoC Apple M1 生産(2020) 1970年代後半〜1980年代末: 日本車と家電がアメリカ市場を席巻。これが、徐々に日米貿易摩擦の火種に…… "ウォークマン” 1号機 TPS-L2 (1979) 世界初のポータブル CDプレーヤー D-50(1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 (1980〜) “トリニトロン” 日本製品が欧米で人気 1979〜: 日本の製造業の高品質、ものづくりの強さを研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利用率がパソコン利用率を超える) 1974年: 「TCP/IP」の最初の仕様がRFC 675として公開 1982年〜: 米国防総省(DoD)は全ての軍用コンピュータ網のためにTCP/IP標準を作成。その後、コンピューター産業に開放され、4.2 BSD UNIXを皮切りにほとんどの商用OSにTCP/IPが実装された。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John AllspawとPaul Hammondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を行う 2000年代後半〜: クラウドファースト・クラウドネイティブ時代に突入 2008/9〜: リーマンショック 2010年以降〜: 日本のスタートアップはクラウドファーストで事業を立ち上げ、初期からアジャイル手法を採用 ★ピアソンショック(2013年8月1日) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 西 暦 Netflixが日本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイン © T he Deming In stitute
  39. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイクロソフト、GitHub を 75 億ドルで買収

    2001/2/11: アジャイルソフ トウェア開発宣言 2005/10 1991〜: バブル崩壊「失われた◦◦年」 1988〜: 日本を含む諸外国へ「通商法スーパー301条」発動 ソフト ウェア開発現 代史年表 Ver2.08 © 2025 ファ インディ株式 会社. All rights reserved. (写真およ び他社ロゴ を除く) 本資 料はフ ァイン ディ株式 会社が独自に編集・作成した もので す(一部、パブ リック ドメイン素材を含みま す)。 Findy およ び Team+ はフ ァイン ディ株式 会社の商標です。 使用されて いる写真や他社ロゴ は、各権 利者に帰属し、説明 目的での み使用していま す。その他の商品 名やロ ゴは、各社の商標また は登録 商標です。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リリース UNIXが商業化・断片化していく中、 Linuxはオープンソースの力で 統一的な開発基盤となり、 世界中の技術革新を支えた (1991/9/17) CVS 誕生 (1990) Subversionリリース (2000) (2005) GitHub リリース (2008) Bugzilla リリース (2000) Jira リリース (2002) AWS サービス開始 (2006) Jenkins 誕生 (2011) GitHub Actions (2018) ChatGPT 一般公開 (2022/11/30) GitHub Copilot (2021/6/29) Java v1.0 正式リリース Javaはオブジェクト指向と 仮想マシン技術を普及させ、 後の言語設計にも影響を与えた (1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多くの企業や政府機関が「ウォーターフォールモデル」を公式な開発プロセスとして採用。 同時に、Royceの思惑と違う、誤解された「ウォーターフォール」が広まる Azure サービス開始 (2010) 1990〜2000: 第一次ブラウザ戦争。Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第二次ブラウザ戦争 Google Chromeの躍進、 Internet Explorerの衰退 (2018) (2004) Google Cloud サービス開始 (2008) 欧州の自動車メーカ が中心となって公開(2005) (2011) 1985〜1990: 国家プロジェクト 「Σ計画」が頓挫 (2006) (2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: 米国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソフトウェア調達 条件として要求し始める。 2000年代〜: 米国を中心にでアジャイル手法が急速に広まり、ウォーターフォールは特にWeb系・スタートアップ企業ではほぼ使われなくなる。 1990年代: ウォーターフォールのリスクを軽減する開発手法が次々 と誕生(インクリメンタル、スパイラル、RUP など) 1980年後半〜1990年前半: 米国防総省(DoD)の発注したソフトウェアに問題が多 発。米会計局でも多くの遅延/途中での挫折が発生` 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 文 ・ 文 献 2010年〜: 米国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」(第804条)をDoDに命じ、事実上アジャイル型開発の原則を法制化 * 1980年〜: 米国防総省(DoD) がウォーターフォールを採用 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕生(1981〜) ワークステーションの時代:Sun SPARCstation (1989〜1994) Windows95 リリース コンシューマ向けOSに TCP/IPが標準搭載され ワークステーション並みに (1995) 初代iMac (1998〜) Apple Macintosh (1984〜) DynaBook (1994〜) 家庭向けADSL・FTTHの普及、 ブロードバンド時代に突入 (2001〜) ICT の 進 化 メインフレーム時代: IBM System 360とVT100(1970〜1980) MacBook Pro M4 Max (2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リリース (2004/2) Point: 米国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 (2023/3/14) Team+ (2021/10) Gemini 1 (2023/12/6) Devin (2024/3/12) Cline (2024/7) 2021〜: AI(GenAI)が前提の時代へ 2000年代〜: 日本は大企業を中心に、ウォータフォールモデルを採用し続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム(日本) (1992〜1996) F501i HYPER iモード開始 (1999/2/22) テレホーダイ(1995〜2023) PC-9800シリーズ(1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Samsung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテクチャのSoC Apple M1 生産(2020) 1970年代後半〜1980年代末: 日本車と家電がアメリカ市場を席巻。これが、徐々に日米貿易摩擦の火種に…… "ウォークマン” 1号機 TPS-L2 (1979) 世界初のポータブル CDプレーヤー D-50(1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 (1980〜) “トリニトロン” 日本製品が欧米で人気 1979〜: 日本の製造業の高品質、ものづくりの強さを研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利用率がパソコン利用率を超える) 1974年: 「TCP/IP」の最初の仕様がRFC 675として公開 1982年〜: 米国防総省(DoD)は全ての軍用コンピュータ網のためにTCP/IP標準を作成。その後、コンピューター産業に開放され、4.2 BSD UNIXを皮切りにほとんどの商用OSにTCP/IPが実装された。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John AllspawとPaul Hammondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を行う 2000年代後半〜: クラウドファースト・クラウドネイティブ時代に突入 2008/9〜: リーマンショック 2010年以降〜: 日本のスタートアップはクラウドファーストで事業を立ち上げ、初期からアジャイル手法を採用 ★ピアソンショック(2013年8月1日) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 西 暦 Netflixが日本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイン © T he Deming In stitute
  40. 10年前 20年前 30年前 40年前 50年前 2018: マイクロソフト、GitHub を 75 億ドルで買収

    2001/2/11: アジャイルソフ トウェア開発宣言 2005/10 1991〜: バブル崩壊「失われた◦◦年」 1988〜: 日本を含む諸外国へ「通商法スーパー301条」発動 ソフト ウェア開発現 代史年表 Ver2.08 © 2025 ファ インディ株式 会社. All rights reserved. (写真およ び他社ロゴ を除く) 本資 料はフ ァイン ディ株式 会社が独自に編集・作成した もので す(一部、パブ リック ドメイン素材を含みま す)。 Findy およ び Team+ はフ ァイン ディ株式 会社の商標です。 使用されて いる写真や他社ロゴ は、各権 利者に帰属し、説明 目的での み使用していま す。その他の商品 名やロ ゴは、各社の商標また は登録 商標です。 1974 2024 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 Linux 0.01 リリース UNIXが商業化・断片化していく中、 Linuxはオープンソースの力で 統一的な開発基盤となり、 世界中の技術革新を支えた (1991/9/17) CVS 誕生 (1990) Subversionリリース (2000) (2005) GitHub リリース (2008) Bugzilla リリース (2000) Jira リリース (2002) AWS サービス開始 (2006) Jenkins 誕生 (2011) GitHub Actions (2018) ChatGPT 一般公開 (2022/11/30) GitHub Copilot (2021/6/29) Java v1.0 正式リリース Javaはオブジェクト指向と 仮想マシン技術を普及させ、 後の言語設計にも影響を与えた (1996) 1980年代後半〜1990年代前半: UNIX戦争 1970〜1980年代: 多くの企業や政府機関が「ウォーターフォールモデル」を公式な開発プロセスとして採用。 同時に、Royceの思惑と違う、誤解された「ウォーターフォール」が広まる Azure サービス開始 (2010) 1990〜2000: 第一次ブラウザ戦争。Internet Explorerの躍進、 Netscape Navigatorの消滅 2009〜2020: 第二次ブラウザ戦争 Google Chromeの躍進、 Internet Explorerの衰退 (2018) (2004) Google Cloud サービス開始 (2008) 欧州の自動車メーカ が中心となって公開(2005) (2011) 1985〜1990: 国家プロジェクト 「Σ計画」が頓挫 (2006) (2004) 1975 1999 2018/11/22 2004/11/16 2006/10/19 1977 1986 2002 1995 2010〜 2017/6/22 1994/10/31 1989 2024/7/11 1987 1970 1989/02/01 1982 1979 2019/9/17 1992/3/13 1996/4/1 2010/10/12 2011/7/16 2022/12/17 2011/10/18 2021/3/15 2001/5/18 1996/8 1979 2004/7/16 2013/8/1 2014/4/22 2019/9/30 2021/12/10 1978 2024/9/13 1972 2026 1997〜2010年代: 米国防総省(DoD)が CMMレベル3以上を防衛関連のソフトウェア調達 条件として要求し始める。 2000年代〜: 米国を中心にでアジャイル手法が急速に広まり、ウォーターフォールは特にWeb系・スタートアップ企業ではほぼ使われなくなる。 1990年代: ウォーターフォールのリスクを軽減する開発手法が次々 と誕生(インクリメンタル、スパイラル、RUP など) 1980年後半〜1990年前半: 米国防総省(DoD)の発注したソフトウェアに問題が多 発。米会計局でも多くの遅延/途中での挫折が発生` 主 な 出 来 事 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 文 ・ 文 献 2010年〜: 米国議会は2010会計年度国防権限法(NDAA 2010)において「迅速なITシステム獲得のための新たな取得プロセス の実施」(第804条)をDoDに命じ、事実上アジャイル型開発の原則を法制化 * 1980年〜: 米国防総省(DoD) がウォーターフォールを採用 初代iPhone発表 (2007/1/9) PC/AT互換機が誕生(1981〜) ワークステーションの時代:Sun SPARCstation (1989〜1994) Windows95 リリース コンシューマ向けOSに TCP/IPが標準搭載され ワークステーション並みに (1995) 初代iMac (1998〜) Apple Macintosh (1984〜) DynaBook (1994〜) 家庭向けADSL・FTTHの普及、 ブロードバンド時代に突入 (2001〜) ICT の 進 化 メインフレーム時代: IBM System 360とVT100(1970〜1980) MacBook Pro M4 Max (2024) 2018/3/27 2000/12/1 2010/7/27 2016/10/6 2005/10/7 1990/10/10 1978/5/1 1988/3/1 1984 2021/8/1 1995/10/1 2003/9/1 1976 リリース (2004/2) Point: 米国防総省(DoD)が与えた影響 1981 2021/12/1 2025/1/3: Agile AllianceがPMBOK などを策定するPMIに加盟 Claude 1 (2023/3/14) Team+ (2021/10) Gemini 1 (2023/12/6) Devin (2024/3/12) Cline (2024/7) 2021〜: AI(GenAI)が前提の時代へ 2000年代〜: 日本は大企業を中心に、ウォータフォールモデルを採用し続ける。 2018/4/1 数字送信の開始による ポケベルブーム(日本) (1992〜1996) F501i HYPER iモード開始 (1999/2/22) テレホーダイ(1995〜2023) PC-9800シリーズ(1982〜2003) 初代iPad発表 (2010/4/3) Samsung Galaxy S II (2011/5/2) 2020/3〜2023/5: COVID-19 ARMアーキテクチャのSoC Apple M1 生産(2020) 1970年代後半〜1980年代末: 日本車と家電がアメリカ市場を席巻。これが、徐々に日米貿易摩擦の火種に…… "ウォークマン” 1号機 TPS-L2 (1979) 世界初のポータブル CDプレーヤー D-50(1984) Toyota Corolla Liftback SR5 001 (1980〜) “トリニトロン” 日本製品が欧米で人気 1979〜: 日本の製造業の高品質、ものづくりの強さを研究。 2024/12/25 2013/1/10 2014/8/18 2023/11/21 2000/3〜: ITバブル崩壊 パソコン通信 携帯電話・PHSの普及、インターネット黎明期 携帯電話の多機能化、ブロードバンド時代 スマートフォン普及時代(2010年、モバイル端末利用率がパソコン利用率を超える) 1974年: 「TCP/IP」の最初の仕様がRFC 675として公開 1982年〜: 米国防総省(DoD)は全ての軍用コンピュータ網のためにTCP/IP標準を作成。その後、コンピューター産業に開放され、4.2 BSD UNIXを皮切りにほとんどの商用OSにTCP/IPが実装された。 2017/10/14 2003/9/1 2002/11/8 2009: Flickrのエンジニアである John AllspawとPaul Hammondが初めてDevOpsに繋がる伝説的な講演を行う 2000年代後半〜: クラウドファースト・クラウドネイティブ時代に突入 2008/9〜: リーマンショック 2010年以降〜: 日本のスタートアップはクラウドファーストで事業を立ち上げ、初期からアジャイル手法を採用 ★ピアソンショック(2013年8月1日) 2012/3/15 2009/11/27 2008/12/30 2023/11/28 西 暦 Netflixが日本に上陸(2015/9/2) ※ では2007/1にサービスイン © T he Deming In stitute
  41. 59

  42. 60 DORA Metrics ⚫ 原書は「Accelerate: The Science Behind Devops: Building

    and Scaling High Performing Technology Organizations」 ⚫ 2018年3月出版、日本語版は2018年11月に出版。 ⚫ 迅速かつ高品質なデリバリを実施している組織とそうでない組織の違いに関する研究結果をDORAがまとめて いる。 https://book.impress.co.jp/books/1118101029 https://www.oreilly.com/library/view/accelerate/9781457191435/ この調査結果は チームや組織のサイズ、 業種は無関係である
  43. LeanとDevOpsの科学: テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する ⚫ 原書タイトルは「Accelerate: The Science Behind Devops: Building and

    Scaling High Performing Technology Organizations」 ⚫ 2018年3月出版、日本語版は2018年11月に出 版。 ⚫ 迅速かつ高品質なデリバリを実施している組織 とそうでない組織の違いに関する研究結果を DORAがまとめている。 64 ⚫ この書籍がきっかけで有名になったり、その重要性 が広く認識されるようになったりした法則、概念 1. Four Keys(4つの主要指標) 2. 速度(スループット)と安定性はトレードオフではな い 3. 継続的デリバリー (Continuous Delivery / CD) の効果 の証明 4. 疎結合アーキテクチャの重要性 5. リーン(Lean)の原則の適用 6. Westrum(ウェストラム)の組織文化類型 7. ケイパビリティモデル (Capability Model) 8. バーンアウト(燃え尽き症候群)と組織文化・ツール の関係
  44. 65 1. Four Keys(4つの主要指標) ⚫ ソフトウェアデリバリーのパフォーマンスを客観的に測定するために定義された、以下の4つの指標群です。 これらは DORA(DevOps Research and

    Assessment)の研究の中核であり、「DORA メトリクス」とも呼 ばれます。 ⚫ DevOps の成果や組織のソフトウェアデリバリー能力を測定・比較するためのデファクトスタンダードとなり ました。 指標 内容 Deployment frequency (デプロイ頻度) 変更を本番環境に push する頻度。 Lead time for changes (変更のリードタイム) コードの変更を commit してからデプロイするまでの時間。 Change failure rate (変更失敗率) デプロイにより障害が発生し、すぐに対処する必要が生じる頻度。 Failed deployment recovery time (失敗デプロイの復旧時間) デプロイの失敗時に復旧にかかる時間。
  45. (出典) Infrastructure as Code, 2nd Edition , Figure 1-2. Speed

    and quality map to quadrants 67 2. 速度(スループット)と安定性はトレードオフではない スピードより 品質を重視 品質より スピードを重視 スピードと品質 の両立 壊れやすい 厄介な状態 高品質 低品質 遅い 速い 右下の象限: 品質よりスピードを重視 • いわゆる「早く作って壊す」という考え方です。ス ピードを重視して品質を犠牲にするチームは、乱雑 で脆弱なシステムを構築します。その粗悪なシステ ムによって作業が遅くなり、左下の象限に滑り落ち ていきます。このやり方を続けてきたスタートアッ プの多くが「勢い」を失ったと嘆きます。以前な ら素早く対応できた簡単な変更が、システムが複雑 に絡み合っているために、今では何日も何週間もか かるようになっています。 左上の象限: スピードより品質を重視 • 「私たちは重要な仕事をしているのだから、きちんとやらなければならない」という考え方です。しか し、納期のプレッシャーにより「場当たり的な対応」を強いられます。重厚なプロセスが改善の障壁とな り、技術的負債は「既知の問題」リストとともに増大します。これらのチームは左下の象限に落ち込みま す。改善が困難なため、結果として低品質なシステムになってしまいます。失敗への対応として更にプロ セスを追加します。このプロセスが改善をより困難にし、脆弱性とリスクを増大させます。これがさらな る失敗とプロセスの追加を招きます。特にリスクに敏感な業界では、このように働く組織の多くの人々 が、これが普通だと思い込んでいます。
  46. 3. 継続的デリバリー (Continuous Delivery / CD) の効果の証明 68 ⚫ Four

    Keys で測定されるパフォーマンス(速度と安 定性の両方)を高める上で、バージョン管理、自動 テスト、自動デプロイといった CD の具体的なプラ クティスが直接的に貢献することを科学的に証明し ました。 ⚫ CD が単なる理想論ではなく、ビジネス成果に繋が る実践であることの説得力を高め、その普及を後押 ししました。 Grégoire Détrez, original by Jez Humble, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
  47. 6. Westrum(ウェストラム)の組織文化類型 71 ⚫ 組織文化を情報の流れ方で分類し(病的、官僚的、生成的)、情報共有、協力、学習を促す「生成的 (Generative) 文化」が、Four Keys で測られるような高いパフォーマンスと強く関連していることを示しまし た。

    ⚫ DevOps 成功における健全な組織文化の構築が不可欠であることをデータで示し、その重要性を広く認識させ ました。 特性 病理的(権力重視) 官僚的(ルール重視) 生成的(成果重視) 組織の価値観・指向性 権力と統制が重視される 規則と手続きが重視される ミッションや成果が重視される 協力の姿勢 協力はほとんど見られない 必要最低限の協力が行われる 積極的に協力し合う文化がある 問題を報告した人への対応 報告した人が責められる(処罰され る) 報告しても関心を持たれず無視される 報告が歓迎され、問題対応力が育てら れる 責任の取り方 責任を押しつけあう(逃げる) 形式上の責任だけを取る チームで責任を共有し、積極的に対応 する 部門間の連携(橋渡し) 他部署との連携は妨げられる 最低限は許容される 積極的に部門を越えて連携する 失敗への対応 スケープゴートを探して責任追及する 誰が悪かったかを調査する 失敗から学び、次に活かす姿勢がある 新しいアイデアへの対応 新しいことは否定され、抑え込まれる 新しいことは規則に反するとして懸念 される 新しいことに挑戦し、積極的に取り入 れる
  48. 7. ケイパビリティモデル (Capability Model) 72 ⚫ CDプラクティス、アーキテクチャ、リーン原則、組織文化などを含むパフォーマンス向上に統計的に有意な 影響を与えることが特定された具体的な技術的・プロセス的・文化的な「能力(Capability)」の集合体で す。 ⚫

    Four Keys で現状を測定した後、具体的にどの能力を開発・強化すればパフォーマンスが向上するのかを示す 実践的なガイドを提供し、組織が改善活動を進める上でのロードマップとなりました。 LeanとDevOpsの科学[Accelerate] 図A.1 本研究の全体の構成 を元に筆者が作成
  49. LeanとDevOpsの科学: テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する ⚫ この書籍がきっかけで有名になったり、その重要性 が広く認識されるようになったりした法則、概念 1. Four Keys(4つの主要指標) 2. 速度(スループット)と安定性はトレードオフではな

    い 3. 継続的デリバリー (Continuous Delivery / CD) の効果 の証明 4. 疎結合アーキテクチャの重要性 5. リーン(Lean)の原則の適用 6. Westrum(ウェストラム)の組織文化類型 7. ケイパビリティモデル (Capability Model) 8. バーンアウト(燃え尽き症候群)と組織文化・ツール の関係 ⚫ 原書タイトルは「Accelerate: The Science Behind Devops: Building and Scaling High Performing Technology Organizations」 ⚫ 2018年3月出版、日本語版は2018年11月に出版。 ⚫ 迅速かつ高品質なデリバリを実施している組織 とそうでない組織の違いに関する研究結果を DORAがまとめている。 76
  50. バグ曲線 79 ⚫ QA部門がプロダクト出荷可否を判断する際に使っていた「バグ曲線」 ⚫ 横軸:テスト経過時間(時間、日数、またはテストケースの進捗) ⚫ 縦軸:発見された累計バグ数(累計または日別) ⚫ 大抵、左記のような「発見バグ数」の累計グラフを描き、

    ⚫ 最初は急増 ⚫ 中盤で減速 ⚫ 最終的には「バグ収束傾向」が見られるか という減衰カーブをもって「品質は安定した」と判断する手法です。 ⚫ 「信頼度成長曲線」「PB曲線」などとも呼びます。
  51. バグ曲線 80 ⚫ QA部門がプロダクト出荷可否を判断する際に使っていた「バグ曲線」 ⚫ 横軸:テスト経過時間(時間、日数、またはテストケースの進捗) ⚫ 縦軸:発見された累計バグ数(累計または日別) ⚫ 大抵、左記のような「発見バグ数」の累計グラフを描き、

    ⚫ 最初は急増 ⚫ 中盤で減速 ⚫ 最終的には「バグ収束傾向」が見られるか という減衰カーブをもって「品質は安定した」と判断する手法です。 ⚫ 「信頼度成長曲線」「PB曲線」などとも呼びます。
  52. バグ曲線 83 1. 発見バグ数≠品質の保証 ⚫ バグが出なくなったのは「テスト網羅率が低いから」「疲弊したから」「検証が 表面的だったから」かもしれません。 ⚫ 見つかっていないだけで、潜在的なバグは依然として残っている可能性が高い。 2.

    観測バイアス(Observer bias) ⚫ 観察者が期待した結果を得たいときに、その結果だけを意識しすぎてしまう心理 効果 ⚫ 観測されたバグ数は「テスト範囲」「テストの質」「発見力」に強く依存しま す。 ⚫ 広く深いテストを行わなければ「収束したように見える偽陽性」になるリスク。 3. 反復型開発や継続的デリバリーには不向き ⚫ 品質は工程で作り込むものであり、出口で測る時代ではありません。(アジャイ ルやCI/CDに限らず、品質管理とはそうであったはずなのですが…) ⚫ 「最後の検問」としてのバグ曲線は現代のスピードが求められる開発の流れには 合いません。 「まだ発見数が減少トレンドに入っていませ んね。このままでは出荷は難しいです。」 「検出率が横ばいです。テスト範囲に漏れが ないか、もう一度洗い出してください。」 「ピークアウトしていない以上、潜在バグが まだ相当数あると見ています。」
  53. Tom DeMarco (1940 - ) 84 ⚫ ソフトウェア・エンジニア ⚫ コンサルタント

    ⚫ DFD(data flow diagram)の生みの親 Photo of Tom DeMarco by Hans-Rudolf Schulz (*1) *1: https://www.oreilly.com/library/view/peopleware-productive-projects/9780133440706/pref02.xhtml
  54. Tom DeMarco (1940 - ) 85 ⚫ ソフトウェア・エンジニア ⚫ コンサルタント

    ⚫ DFD(data flow diagram)の生みの親 ⚫ 彼は、1982年の論文(*2)で次のような言葉を発しま した。 ⚫ これは、当時のエンジニアにとって、しばらくのあ いだ呪言となりました。 Photo of Tom DeMarco by Hans-Rudolf Schulz (*1) *1: https://www.oreilly.com/library/view/peopleware-productive-projects/9780133440706/pref02.xhtml *2: ”Controlling Software Projects: Management, Measurement, and Estimation” (Prentice Hall/Yourdon Press, 1982) 「計測できないものは制御できない」 “You can’t control what you can’t measure.”
  55. 「測定できないものは制御できない」は誤りだった? 86 ⚫ 2009年7月、Tom DeMarco がIEEE Software誌7月8 月合併号に、衝撃的な記事を寄稿しました。タイト ルは ”Software

    Engineering: An Idea Whose Time Has Come and Gone?(ソフトウェアエンジニアリ ング:その考えは、もう終わったことなのか?)” https://www.cs.uni.edu/~wallingf/teaching/172/resources/demarco-on-se.pdf 「計測できないものは制御できない」 “You can’t control what you can’t measure.” このセリフには本当の真実が含まれているのですが、 私はこのセリフを使うことに違和感を覚えるようにな りました。 (中略)例えば、過去40年間、私たちはソフ トウェアプロジェクトを時間通り、予算通りに終わら せることができないことで自らを苦しめてきました。 (Tom DeMarco, 2009)
  56. 「測定できないものは制御できない」は誤りだった? 87 https://www.cs.uni.edu/~wallingf/teaching/172/resources/demarco-on-se.pdf 「計測できないものは制御できない」 “You can’t control what you can’t

    measure.” このセリフには本当の真実が含まれているのですが、 私はこのセリフを使うことに違和感を覚えるようにな りました。 (中略)例えば、過去40年間、私たちはソフ トウェアプロジェクトを時間通り、予算通りに終わら せることができないことで自らを苦しめてきました。 (Tom DeMarco, 2009) ⚫ この論文は当時、Tom DeMarco 自身が「測定でき ないものは制御できない」は誤りだった、と認め た!ということで業界に衝撃が走りました。 ⚫ しかし、Tom DeMarco が本当に言いたかったこと は、次の文章に含まれていると私は思います。
  57. 「測定できないものは制御できない」は誤りだった? 88 https://www.cs.uni.edu/~wallingf/teaching/172/resources/demarco-on-se.pdf ⚫ この論文は当時、Tom DeMarco 自身が「測定でき ないものは制御できない」は誤りだった、と認め た!ということで業界に衝撃が走りました。 ⚫

    しかし、Tom DeMarco が本当に言いたかったこと は、次の文章に含まれていると私は思います。 しかし、先ほども申し上げたように、これは決して至 上命題ではありませんでした。 もっと重要なのは、世界を変えるような、あるいは企 業やビジネスのあり方を変えるようなソフトウェアを 作るという「変革」です。 (Tom DeMarco, 2009)
  58. 「測定できないものは制御できない」は誤りだった? 89 https://www.cs.uni.edu/~wallingf/teaching/172/resources/demarco-on-se.pdf ⚫ これはTom DeMarco本人のパラダイムシフトだった のではないでしょうか? ⚫ DeMarcoが指摘したように、時代は「裁判ごっこ」 よりも、もっとエンドユーザーとの関係性を重視す

    る方向に確実に変化してきました。 ⚫ それが、リーンであり、アジャイルでありDevOpsな のだと思います。 しかし、先ほども申し上げたように、これは決して至 上命題ではありませんでした。 もっと重要なのは、世界を変えるような、あるいは企 業やビジネスのあり方を変えるようなソフトウェアを 作るという「変革」です。 (Tom DeMarco, 2009)
  59. あるカレー店の人気の秘密 93 ⚫ あるカレー店の人気の秘密を科学的に考えてみまし ょう。 ⚫ 「このカレーが美味しいのはなぜか?」という問い に対して― ⚫ 「シェフの腕が良いから」:個人的な感想

    ⚫ 「創業100年の伝統の味だから」:言い伝え これらは、科学的な説明とはいえません。 ⚫ 科学的なアプローチでは、次のような調査と実験を 行います。 ⚫ このような過程を経て、「このスパイスの配合で、 この温度で30分煮込むと、8割以上のお客さんが美味 しいと感じるカレーができる」と言った、誰でも確 認できる答えにたどり着けるのです。 ✓ 100人のお客さんに同じ条件で食べてもらい、評価を集める ✓ スパイスの配合を少しずつ変えて、味の変化を測定する ✓ 調理時間や火加減を細かく記録し、最適な条件を探る ✓ 異なる調理人が同じレシピで作っても、同じ味になるか確 認する
  60. 科学的リサーチプロセスは次の4段階で進みます 95 向後, 千春. (2016). 18歳からの「大人の学び」基礎講座: 学ぶ, 書く, リサーチする, 生きる.

    北大路書房. 図3-3に筆者が加筆 Step 説明 1 現象の観察 「DevOpsの実践は本当にビジネスの成果に繋 がるのか?」といった問いからDORAの研究 が始まりました。 2 概念の特定 DORAは、継続的デリバリー、継続的インテ グレーション、自動化テストの実施などを概 念として特定しました。 3 変数への変換 概念を測定可能な形に変換します。例えば、 デプロイ頻度、変更リードタイム、障害復旧 時間、変更失敗率などの具体的指標として定 義します。 4 モデルの構築 収集したデータを統計的に分析し、相関また は因果関係を明らかにします。DORAの研究 では、自動化テストの実施が変更リードタイ ムを短縮することや、チームの独立性がサー ビスの信頼性向上につながることを実証しま した。
  61. 科学的リサーチプロセスは次の4段階で進みます 96 Step 説明 1 現象の観察 「DevOpsの実践は本当にビジネスの成果に繋 がるのか?」といった問いからDORAの研究 が始まりました。 2

    概念の特定 DORAは、継続的デリバリー、継続的インテ グレーション、自動化テストの実施などを概 念として特定しました。 3 変数への変換 概念を測定可能な形に変換します。例えば、 デプロイ頻度、変更リードタイム、障害復旧 時間、変更失敗率などの具体的指標として定 義します。 4 モデルの構築 収集したデータを統計的に分析し、相関また は因果関係を明らかにします。DORAの研究 では、自動化テストの実施が変更リードタイ ムを短縮することや、チームの独立性がサー ビスの信頼性向上につながることを実証しま した。 バグ曲線は 科学的と言えるでしょうか?
  62. 科学的リサーチプロセスは次の4段階で進みます 97 Step 説明 バグ曲線で品質を見る場合 1 現象の観察 「DevOpsの実践は本当にビジネスの成果に繋 がるのか?」といった問いからDORAの研究が 始まりました。

    「バグが時間経過とともに減るかを観察」 → 観察はしている。ただし問いが「観察止まり」で深掘りしない。 2 概念の特定 DORAは、継続的デリバリー、継続的インテグ レーション、自動化テストの実施などを概念 として特定しました。 △ 「バグ数減少=品質改善」 という単一概念に依存してはだめ → 他の成功要因(テスト網羅率、カバレッジ、リスク分析など) を概念として捉えていない。 3 変数への変換 概念を測定可能な形に変換します。例えば、 デプロイ頻度、変更リードタイム、障害復旧 時間、変更失敗率などの具体的指標として定 義します。 △ 「累積バグ数」や「検出ペース」だけで判断してはだめ → 指標はあるが、非常に限定的で不十分。リスクの分布や バグの深刻度など多変数で見る必要がある。 4 モデルの構築 収集したデータを統計的に分析し、相関また は因果関係を明らかにします。DORAの研究で は、自動化テストの実施が変更リードタイム を短縮することや、チームの独立性がサービ スの信頼性向上につながることを実証しまし た。 ? データの観察はするが、相関または因果関係まで解明できない。 → なぜバグが減ったのか、他の変数がどう影響したのか検証しない (できない)まま「減ったから OK」としがち。
  63. 科学的リサーチプロセスは次の4段階で進みます 98 Step 説明 バグ曲線で品質を見る場合 1 現象の観察 「DevOpsの実践は本当にビジネスの成果に繋 がるのか?」といった問いからDORAの研究が 始まりました。

    「バグが時間経過とともに減るかを観察」 → 観察はしている。ただし問いが「観察止まり」で深掘りしない。 2 概念の特定 DORAは、継続的デリバリー、継続的インテグ レーション、自動化テストの実施などを概念 として特定しました。 △ 「バグ数減少=品質改善」 という単一概念に依存してはだめ → 他の成功要因(テスト網羅率、カバレッジ、リスク分析など) を概念として捉えていない。 3 変数への変換 概念を測定可能な形に変換します。例えば、 デプロイ頻度、変更リードタイム、障害復旧 時間、変更失敗率などの具体的指標として定 義します。 △ 「累積バグ数」や「検出ペース」だけで判断してはだめ → 指標はあるが、非常に限定的で不十分。リスクの分布や バグの深刻度など多変数で見る必要がある。 4 モデルの構築 収集したデータを統計的に分析し、相関また は因果関係を明らかにします。DORAの研究で は、自動化テストの実施が変更リードタイム を短縮することや、チームの独立性がサービ スの信頼性向上につながることを実証しまし た。 ? データの観察はするが、相関または因果関係まで解明できない。 → なぜバグが減ったのか、他の変数がどう影響したのか検証しない (できない)まま「減ったから OK」としがち。 バグ曲線は観察の域を出ず、「科学的リサーチプロセスとしては不十分」(モデル化が不十分) 複数の指標を組み合わせた多角的な分析が不可欠
  64. 科学的リサーチプロセスは次の4段階で進みます 99 向後, 千春. (2016). 18歳からの「大人の学び」基礎講座: 学ぶ, 書く, リサーチする, 生きる.

    北大路書房. 図3-3に筆者が加筆 Step 説明 1 現象の観察 「DevOpsの実践は本当にビジネスの成果に繋 がるのか?」といった問いからDORAの研究 が始まりました。 2 概念の特定 DORAは、継続的デリバリー、継続的インテ グレーション、自動化テストの実施などを概 念として特定しました。 3 変数への変換 概念を測定可能な形に変換します。例えば、 デプロイ頻度、変更リードタイム、障害復旧 時間、変更失敗率などの具体的指標として定 義します。 4 モデルの構築 収集したデータを統計的に分析し、相関また は因果関係を明らかにします。DORAの研究 では、自動化テストの実施が変更リードタイ ムを短縮することや、チームの独立性がサー ビスの信頼性向上につながることを実証しま した。
  65. 定量的データと統計分析がもたらす信頼性 101 ⚫ DORA Reportで用いられる科学的アプローチに対し て、「都合の良いデータ解釈をしているのではない か」という批判を目にすることがあります。 ⚫ しかし、この批判は科学的リサーチの本質を十分に 理解していないことから生じている可能性がありま

    す。科学的リサーチとは、単にデータを収集し結果 を得ることではなく、現象を客観的に理解し、実証 可能な方法で結果を導き出す「方法論」そのもので す。 ⚫ この考え方は、DORAの研究において左記のように 具体化されています。 ◼ 思考の方法の適用 ⚫ DORAの研究では、特定の仮説(例えば「継続的デリバリーは パフォーマンス向上に寄与する」)を立て、それを証明または 反証するために厳密な手法でデータを収集・分析しています。 これは、科学的な「疑う」姿勢と「検証する」姿勢の両立です。 ◼ 透明性と再現性 ⚫ 測定方法や分析手順を厳密に文書化し、他の研究者が追試可能 な形で公開しています。これは、科学が単なる知識の蓄積では なく、「共有されるべきプロセス」であることを象徴していま す。 ◼ 実践への応用 ⚫ 科学の思考方法をもとに導き出された成果が、現場での実践を 通じて再び検証されています。たとえば、継続的デリバリーや テストの自動化が現実の組織で具体的な効果をもたらすことが 示されています。
  66. DORA Report 10年の変遷 ⚫ 2024 DORA Reportでは、 "A decade with

    DORA"(DORAと共に過ごした10年)という章があります。 DevOpsの起源から、State of DevOps Report誕生の背景、今日に至るまでの歴史が書かれています。 ⚫ 私は、その説明内容と書籍「LeanとDevOpsの科学[Accelerate]」に書かれている内容から、これまでの変遷 を1枚の画にまとめてみました。 104
  67. 105

  68. State of DevOps Report のはじまり ⚫ 2011年、Puppet Labsで働いていたAlanna BrownはDevOpsについてより深く理解するための調査を開始しま した。この調査は、「'DevOps'的な働き方がITにおける新しいビジネスの方法として台頭している」というこ

    とを裏付ける助けとなりました。 ⚫ この調査の成功をベースに、2012年に新たな調査を開始、2013年 Puppet LabsとGene Kim氏が率いるIT Revolution Pressが共同で、最初のState of DevOps Reportを発行しました。 Alanna Brown(アラナ・ブラウン) ハイパーグロース(急成長)スタートアップのスケールアップを手がけたプロダクトマーケティン グのリーダー。受賞歴のある「State of DevOps Report」(DevOpsとハイパフォーマンスなIT組織 に関する10年にわたる研究)の創設者兼著者。 (参照: https://itrevolution.com/author/alanna-brown/ ) 106
  69. State of DevOps Report のはじまり ⚫ Gene KimはTripwire, Inc.の創業者兼CTOとして13年間務めたあと、IT Revolutionを創業し出版活動、

    DevOpsコミュニティへの貢献に尽力する人物でした。 ⚫ DevOpsDays Tokyo 2019 開催時には、キーノートセッション講演者として来日 Gene Kim(ジーン・キム) ジーン・キムは、1999年からハイパフォーマンスなテクノロジー組織の研究を続けてきました。彼 はエンタープライズ向けセキュリティソフトウェア企業である Tripwire, Inc. の創業者兼 CTO を務 め、13年間にわたり在籍しました。著書の累計販売部数は100万部を超え、『Wiring the Winning Organization』や『The Unicorn Project』ではウォール・ストリート・ジャーナルのベストセラー 作家に名を連ねています。また、『The Phoenix Project』『The DevOps Handbook』、そしてシ ンゴ賞を受賞した『Accelerate』の共著者でもあります。2014年以降は DevOps Enterprise Summit (現在の Enterprise Technology Leadership Summit)の主催者として、大規模かつ複雑な組織にお けるテクノロジー変革を研究し続けています。 (参照: https://itrevolution.com/author/gene-kim/ ) 107
  70. ⚫ Gene Kimから応援を頼まれる形でJez Humbleも参画 ⚫ Jez Humble は、カルフォルニア大学バークレー校で教鞭も執っているDevOpsの研究者でした。現在は Google でサイトリライアビリティエンジニア(SRE)として勤務しながら、教鞭を執っています。

    State of DevOps Report のはじまり Jez Humble(ジェズ・ハンブル) ジェズ・ハンブルは、『Accelerate』(シンゴ賞受賞)、『The DevOps Handbook』、『Lean Enterprise』、およびジョルト賞受賞の『Continuous Delivery』など、ソフトウェアに関する複数 の著書を共著した人物です。彼は20年にわたるキャリアの中で、3大陸にわたるさまざまな規模の企 業でコード、インフラ、プロダクト開発に携わってきました。オバマ政権下のテックサージの一環 として、米国連邦政府の 18F チームで働いたほか、DevOps Research and Assessment LLC (DORA)を共同創業し、同社は 2018 年 12 月に Google に買収されました。現在は Google でサイ トリライアビリティエンジニア(SRE)として勤務しながら、カリフォルニア大学バークレー校の情 報学部で教鞭を執っています。 (参照: https://www.ischool.berkeley.edu/people/jez-humble ) 108
  71. State of DevOps Report のはじまり 109 ⚫ Alanna Brown、Gene Kim、Jez

    Humbleらは、世界 の組織から4,000件の回答を集め、分析を行った。こ の種の調査では当時最大規模でした。 ⚫ 2013年 Puppet LabsとGene Kim氏が率いるIT Revolution Pressが共同で、最初のState of DevOps Reportを発行しました。
  72. 2013 State of DevOps Report 111 ⚫ 2013年当時のPuppet社は、ITインフラストラクチャ の自動化を支援するソフトウェアを開発・提供して いる会社でした。

    ⚫ その中心的なプロダクトは Puppet Enterpriseであ り、これはサーバーやクラウド環境、ネットワーク デバイスなどの管理を効率化し、DevOpsやインフ ラ管理の自動化を推進するツールでした。 ⚫ 2013 State of Devops Report は、当時あまり知られ ていなかったDevOpsという概念を広め、Puppet Enterpriseの市場を開拓することが主な目的だった と思われます。 ⚫ 実際、2013年版の調査による【主要な発見】は、や や意図的な印象を受けます。 ◼ 主要な発見 ⚫ DevOps導入状況 • 回答者の63%がDevOpsを導入(2011年から26%増加) • 導入期間が長いほど、高パフォーマンス達成の可能性が5倍 に上昇 ⚫ 高パフォーマンスを実現する共通実践 • バージョン管理システムの使用(89%) • コードデプロイの自動化(82%) ⚫ DevOpsスキルの需要 • コーディング/スクリプティング(84%) • コミュニケーションスキル(60%) • プロセス再構築スキル(56%)
  73. 2013 State of DevOps Report 112 ⚫ また、このレポートでは、後のDORAメトリクスの 基礎となる4つの主要指標、デプロイ頻度・変更のリ ードタイム・変更の失敗率・復旧までの平均時間、

    いわゆるFour Keysが登場します。 ⚫ しかし、現在の観点とは異なる分析結果でした。下 記に、2013 State of DevOps Reportのパフォーマン ス指標の解説と、左記にグラフを転載します。 ◼ ご覧の通り、4つの指標はそれぞれ、「DevOpsを導入しているか否か」で期間 分類されているのです。 ◼ このレポートは回答者の多くがDevOpsに関心の高い層に偏っている可能性を 検証しておらず、バイアスの制御が十分でないという問題も抱えていました。 DevOpsの成熟度(未導入から12ヶ月以上前に導入)に基づいて、 デプロイ頻度、変更のリードタイム、変更の失敗率、復旧までの平 均時間という4つの主要なDevOpsパフォーマンス指標を分析しまし た。DevOpsの導入が成熟している組織は、まだDevOpsを導入し ていない組織と比較して、すべての指標において著しく高いパフォ ーマンスを示しました。 2013 State of DevOps Report, p5 1. Not Implemented(未導入) 2. Currently Implementing(導入中) 3. Implemented <12 Months(導入後12ヶ月未満) 4. Implemented >12 Months(導入後12ヶ月以上)
  74. 113

  75. 114

  76. ⚫ 2014年、State of Devops Report に大きな転機が訪れます。 ⚫ 当時ユタ州立大学ハンツマンビジネススクールの教授であったDr. Nicole Forsgren(ニコール・フォースグレ

    ン博士)の参画です。 ⚫ 彼女は、ITインパクト、ナレッジマネジメント、ユーザー体験の専門家でした。 2014 State of DevOps Report Nicole Forsgren, PhD(ニコール・フォースグレン博士) ニコール・フォースグレン博士は、Microsoft Research のパートナーです。シンゴ賞を受賞した著 書『Accelerate』の著者であり、これまでで最大規模の DevOps 調査の主任研究者として広く知ら れています。これまでに、起業家(Google への売却を経験)、大学教授、パフォーマンスエンジニ ア、システム管理者としての経歴を持ちます。彼女の研究は複数の査読付き学術誌にも掲載されて います。 (参照: https://itrevolution.com/author/nicole-forsgren/ ) 115
  77. 2014 State of DevOps Report ⚫ 「LeanとDevOpsの科学[Accelerate] 」の「謝辞」 には、Nicole Forsgrenの次のようなコメントがあり

    ます。 ⚫ この謝辞から読み取れるように、Dr. Nicole Forsgren は2014年以降のState of Devops Reportに 科学的厳密性をもたらした重要な人物です。それま での調査手法に対して建設的なフィードバックをし、 その結果、2014年のレポートから、より体系的で科 学的なリサーチがもたらされます。 ⚫ そして、2014年から2017年までの間、State of Devops Report は次のメンバーによって調査・研究 がなされました。 私が初めて皆さんのところへお邪魔して、「ここは違ってい ます」などと指摘させていただいたとき(そのときの私の口 調、失礼じゃなかったですよね、ハンブルさん?)、皆さん は私を部屋から蹴り出したりしなかった。 おかげで私はその 後、忍耐力と共感力を養い、冷めかけていたテクノロジーへ の愛を再燃させることができた。また、「あともう1回だけ、 分析やってみて!」が口癖であるキム氏の無尽蔵の熱意と気 合いは、我々の仕事を堅牢で大変興味深いものにしてくれて いる。 1. Nicole Forsgren Velasquez(ニコール・フォースグレン・ベラスケス) 2. Gene Kim(ジーン・キム) 3. Jez Humble(ジェズ・ハンブル) 4. Nigel Kersten(ナイジェル・カーステン):Puppet LabsのCIO 5. Alanna Brown(アラナ・ブラウン) 116
  78. 2014 State of DevOps Report 117 ⚫ Dr. Nicole Forsgrenの参加は、リサーチプログラム

    に科学的な厳密さをもたらしました。 ⚫ このことで、最初のFour Keysは統計学的有意(= 確率的に偶然とは考えにくく、意味があると考えら れる)が検証されるようになります。 ⚫ このことで、Change Failure Rate(変更失敗率) は、他の3つの指標とは有意な相関が見られなかった ため、ITパフォーマンスの定義から除外されていま す。 ⚫ つまり、最初はFour Keysじゃなかったし、Eliteも 居なかったのです。 ⚫ 一方で「発見」もありました。 ◼ 2014 パフォーマンス指標 ◼ 発見 指標 High Medium Low Deployment Frequency 1日に複数回 週1回〜月1回 月1回〜6ヶ月 に1回 Lead Time for Changes 数分単位 1日〜1週間 1週間〜6ヶ月 MTTR 分単位 時間単位 日単位 「高パフォーマンスのITチームを持つ上場企業は、 低パフォーマンスのIT組織を持つ企業と比較して、 3年間で市場価値の成長率が50%高かった」 (2014 State of Devops Report)
  79. 2014 State of DevOps Report 118 ⚫ 2014 State of

    Devops Reportは、Nicole Forsgrenの「科学的リサーチ」によって次第にデータは説得力のあ るものに変わっていきました。 ところが、ここにきて大きな壁が立ちふさがります。 ⚫ それが、ソフトウェア界の巨匠Martin Fowler(マーティン・ファウラー)でした。
  80. ⚫ ソフトウェア設計やアジャイル開発の分野で世界的に影響力を持つスーパーエンジニアです。 ⚫ 「マイクロサービス」の提唱者であり、彼の著書『リファクタリング』は、コードの品質を向上させる方法論 としてエンジニアのバイブルとなりました。 巨匠の不満 Martin Fowler(マーティン・ファウラー) マーティン・ファウラーは、著者であり講演者であり、ソフトウェアに長年にわたって有用な機能を 柔軟に追加できるよう、どのように設計すべきかに強い関心を持っています。

    これまでに『リファクタリング』や『エンタープライズアプリケーションアーキテクチャパター ン』など、ソフトウェア開発に関する多くの書籍を執筆してきました。2001年には「アジャイルソ フトウェア開発宣言」の策定に参加し、アジャイルソフトウェア開発の先駆者のひとりとしても知ら れています。世界中のソフトウェアカンファレンスで講演を行う一方で、マサチューセッツの自宅で 記事の執筆に取り組む時間がもっとも幸せです。自身のウェブサイト「martinfowler.com」では、実 践者向けの詳しい技術記事を発信しています。 (参照: https://www.thoughtworks.com/profiles/leaders/martin-fowler ) 119
  81. 巨匠の不満 121 ⚫ Martin Fowler 本人によって、書籍「Leanと DevOpsの科学[Accelerate] 」*1の冒頭では、次の ようなエピソードが寄稿されています。 ⚫

    なかなか苛烈な文章です。 本書に寄せて 2、3年前、あるレポートを読んでいたら、こんな文に出くわ したーー「今や我々は自信をもって断言できる。IT部門のパ フォーマンスの高さには、生産性、収益性、そして市場占有 率を高める効果があり、組織全体の業績と高い相関をも つ」。この手のレポートは即、ゴミ箱に投げ捨てるのが私の 通常の反応である。大抵は「科学」を装ったたわごとにすぎ ないからだ。しかしそのとき読んでいたのは『2014 State of DevOps Report (DevOpsの現況に関するレポート2014年 版)』であったため、私はためらった。著者の1人が私の同僚 であり友人でもあるJez Humble氏で、私に負けず劣らずこの 種のたわごとを嫌う人物であることを知っていたからだ(も っとも、正直言ってゴミ箱に投げ捨てなかった理由はもう1つ ある。あのレポートはiPadで読んでいたのだった)。
  82. 巨匠の不満 122 ⚫ Martinは、さっそくNicole ForsgrenとJez Humble と3人で話す機会(電話会議)を作ります。 Forsgren氏は根気強く丁寧に研究の論拠を説明してくれた。 その説明は、そういった調査・分析方法には詳しくない私に とっても十分な説得力があり、通常をはるかに上回るレベル

    の(学術論文で発表される研究さえ凌ぐ)厳密な分析が行わ れている、ということが理解できた。 そのため、私はその後もState of DevOpsレポートを興味深く 読み続けていたが、その一方で不満も募ってきた。どの年度 のレポートも研究の成果を公表するばかりで、Forsgren氏が 電話で私にしてくれたような説明が一切ないのである。おか げでレポートの信頼性が大きく損なわれていた。推測だけに 基づいた研究ではないことを示す根拠がほぼ皆無なのだ。 そこで私も含めて内情を知る者が3人を説得し、研究の調査・ 分析手法を紹介・解説する本を執筆してもらった。
  83. 巨匠の不満から誕生した"LeanとDevOpsの科学" 123 ⚫ このように、Martin Fowlerの不満があったからこそ「LeanとDevOpsの科学[Accelerate] 」が存在すると言 っても過言ではありません。 ⚫ 「LeanとDevOpsの科学[Accelerate] 」が技術者からすると慣れない文体で書かれているのは、あれが技術書

    ではなく「研究の調査・分析手法を紹介・解説する本」だからだと思われます。統計手法の解説本なのです。 ⚫ 実際に書籍が出版されるのは、あの電話会議から4年後(2018年)になります…
  84. 124

  85. 125

  86. 2015 State of Devops Report ⚫ 前年と比べ分析に苦慮していた様子が伺えます。 ⚫ まず、Change Failure

    Rate(変更失敗率)は、あい かわらずITパフォーマンスの主要な構成要素 (construct)からは除外されています。のちの 「LeanとDevOpsの科学[Accelerate] 」には次のよ うな記述がありました。 ⚫ ちょっと分かりにくい文章なので整理すると、ソフ トウェアデリバリーのパフォーマンスを正確に測定 するには、 ⚫ 「リードタイム」「リリース頻度」「サービス復旧まで の所要時間」の3つの尺度だけなら信頼性高く妥当な評 価ができる。 ⚫ 変更失敗率も重要な指標であり、これら3つの尺度と強 い相関はある。が、独立した構成概念として扱うには適 していない。 ⚫ 「変更失敗率」は予測しずらい異質な指標であり、 分析や予測の際には補足的な要素として考慮する必 要がありそうです。昨年の2024 DORA Reportでも 「変更失敗率」はイレギュラーな結果を残していま す(後ほど触れます)。 クラスター分析では「ハイパフォーマー」「ローパフォーマー」「ミ ディアムパフォーマー」のいずれの集団についても、この4つの尺度で 有意な分類と差別化(チームのカテゴリー化)が行えた。ところが、 この4つの尺度で1つの構成概念を得ようとすると問題が生じた。妥当 性と信頼性を検証するための統計的仮説検定にパスしないのである。 分析の結果、リードタイム、リリース頻度、サービス復旧までの所要 時間の3つの尺度だけを使えば、妥当で信頼性のある構成概念が得ら れることが判明した。 126
  87. 129

  88. 130

  89. DORAの設立へ ⚫ 2016年10月、Nicole ForsgrenとJez HumbleはDevOps Research and Assessment (DORA)を立ち上げます。 これは、誰からの支援(投資)を受けずに立ち上げた会社だったそうです。

    ⚫ そもそも、なぜ会社設立に至ったのか?Jez Humbleのブログ* をもとに解き明かしたいと思います。 Nicole Forsgren, PhD Jez Humble * https://medium.com/@jezhumble/doras-journey-an-exploration-4c6bfc41e667 131
  90. 133 ◼ ビッグバン型変革の問題 多くの組織が陥った失敗パターンの代表例が「ビッグ バン型変革」でした。これは、アジャイル手法と成熟度 モデルを一度に導入しようとしたアプローチです。「ど んな組織にも当てはまるテンプレート」として導入され たものの、実際の組織の状況とは相容れないことが多 く、持続可能な改善にはなかなかつながりませんでし た。

    特に大きな問題は、現場で働く実務者の関与が不足し ていたことでした。日常業務の中で原則や実践を少しず つ試しながら改善していくプロセスが欠如しており、こ のことが変革の成功率を大きく下げる要因となっていま した。 ◼ コンサルタントモデルの問題 多くの組織は改革のためにコンサルタントを採用し、 現状分析と改善策の提案を求めました。しかし、このア プローチにも課題がありました。コンサルタントが話を 聞けるのは、実際に作業を行っている現場の人々のほん の一握りに過ぎません。さらに、改善提案はコンサルタ ント個人の専門知識に大きく依存することになり、客観 的に進捗状況を追跡することも難しくなりました。 実は、このやり方はコンサルティング会社にとっても 理想的なビジネスモデルとは言えませんでした。なぜな ら、優秀な人材を現場に配置しなければならないにもか かわらず、継続的な仕事が保証されているわけではなか ったからです。また、このアプローチは規模の拡大も難 しく、ビジネスとしての成長にも限界がありました。 * https://medium.com/@jezhumble/doras-journey-an-exploration-4c6bfc41e667
  91. 134 ◼ ビッグバン型変革の問題 多くの組織が陥った失敗パターンの代表例が「ビッグ バン型変革」でした。これは、アジャイル手法と成熟度 モデルを一度に導入しようとしたアプローチです。「ど んな組織にも当てはまるテンプレート」として導入され たものの、実際の組織の状況とは相容れないことが多 く、持続可能な改善にはなかなかつながりませんでし た。

    特に大きな問題は、現場で働く実務者の関与が不足し ていたことでした。日常業務の中で原則や実践を少しず つ試しながら改善していくプロセスが欠如しており、こ のことが変革の成功率を大きく下げる要因となっていま した。 ◼ コンサルタントモデルの問題 多くの組織は改革のためにコンサルタントを採用し、 現状分析と改善策の提案を求めました。しかし、このア プローチにも課題がありました。コンサルタントが話を 聞けるのは、実際に作業を行っている現場の人々のほん の一握りに過ぎません。さらに、改善提案はコンサルタ ント個人の専門知識に大きく依存することになり、客観 的に進捗状況を追跡することも難しくなりました。 実は、このやり方はコンサルティング会社にとっても 理想的なビジネスモデルとは言えませんでした。なぜな ら、優秀な人材を現場に配置しなければならないにもか かわらず、継続的な仕事が保証されているわけではなか ったからです。また、このアプローチは規模の拡大も難 しく、ビジネスとしての成長にも限界がありました。 * https://medium.com/@jezhumble/doras-journey-an-exploration-4c6bfc41e667
  92. 135 ◼ ビッグバン型変革の問題 多くの組織が陥った失敗パターンの代表例が「ビッグ バン型変革」でした。これは、アジャイル手法と成熟度 モデルを一度に導入しようとしたアプローチです。「ど んな組織にも当てはまるテンプレート」として導入され たものの、実際の組織の状況とは相容れないことが多 く、持続可能な改善にはなかなかつながりませんでし た。

    特に大きな問題は、現場で働く実務者の関与が不足し ていたことでした。日常業務の中で原則や実践を少しず つ試しながら改善していくプロセスが欠如しており、こ のことが変革の成功率を大きく下げる要因となっていま した。 ◼ コンサルタントモデルの問題 多くの組織は改革のためにコンサルタントを採用し、 現状分析と改善策の提案を求めました。しかし、このア プローチにも課題がありました。コンサルタントが話を 聞けるのは、実際に作業を行っている現場の人々のほん の一握りに過ぎません。さらに、改善提案はコンサルタ ント個人の専門知識に大きく依存することになり、客観 的に進捗状況を追跡することも難しくなりました。 実は、このやり方はコンサルティング会社にとっても 理想的なビジネスモデルとは言えませんでした。なぜな ら、優秀な人材を現場に配置しなければならないにもか かわらず、継続的な仕事が保証されているわけではなか ったからです。また、このアプローチは規模の拡大も難 しく、ビジネスとしての成長にも限界がありました。 * https://medium.com/@jezhumble/doras-journey-an-exploration-4c6bfc41e667
  93. DORAの設立へ ⚫ これらの問題認識から、NicoleとJezは、アルゴリズ ムを活用して組織の改善領域を特定し、具体的な改 善戦略を提案できるプラットフォームの必要性を認 識しました。 ⚫ 特に注目すべきは、変革や改善を「どこから始める べきか?」という組織からの本質的な問いに、デー タとアルゴリズムを用いて客観的に答えられる仕組

    みを作ろうとした点です。 ⚫ 2016年にDORAは設立されました。同年10月には Nicoleがフルタイムでの経営を開始し、DevOps Enterprise Summitでは最初の顧客となったCapital One(米大手金融持株会社)とともに、DORAの正 式な「お披露目」が行われています。 * https://medium.com/@jezhumble/doras-journey-an-exploration-4c6bfc41e667 この話題が出た時、Nicoleの目が輝きました。 「ねえ、もしソフトウェアデリバリーのプロセス全体 から何十人もの人々のデータがあれば、その問いに答 えられるはずだよ。どのアルゴリズムを使うべきか、 それをどう修正すべきかも分かる。これは制約理論 (TOC)の問題に過ぎない。最も賢く効率的に戦略を 立てる方法を伝えられる。」 私は一瞬考えて言いました。 「待って、本当に?それならば作ってみよう!」そし て、そこからDORAは誕生したのです。私たちは翌日 からモックアップの作成に取り掛かりました。 Jez Humbleのブログ*から
  94. DORAの設立へ ⚫ これらの問題認識から、NicoleとJezは、アルゴリズ ムを活用して組織の改善領域を特定し、具体的な改 善戦略を提案できるプラットフォームの必要性を認 識しました。 ⚫ 特に注目すべきは、変革や改善を「どこから始める べきか?」という組織からの本質的な問いに、デー タとアルゴリズムを用いて客観的に答えられる仕組

    みを作ろうとした点です。 ⚫ 2016年にDORAは設立されました。同年10月には Nicoleがフルタイムでの経営を開始し、DevOps Enterprise Summitでは最初の顧客となったCapital One(米大手金融持株会社)とともに、DORAの正 式な「お披露目」が行われています。 * https://medium.com/@jezhumble/doras-journey-an-exploration-4c6bfc41e667 この話題が出た時、Nicoleの目が輝きました。 「ねえ、もしソフトウェアデリバリーのプロセス全体 から何十人もの人々のデータがあれば、その問いに答 えられるはずだよ。どのアルゴリズムを使うべきか、 それをどう修正すべきかも分かる。これは制約理論 (TOC)の問題に過ぎない。最も賢く効率的に戦略を 立てる方法を伝えられる。」 私は一瞬考えて言いました。 「待って、本当に?それならば作ってみよう!」そし て、そこからDORAは誕生したのです。私たちは翌日 からモックアップの作成に取り掛かりました。 Jez Humbleのブログ*から
  95. 1975 1977 1986 1989 1987 1970 1989/0 1982 1979 1979

    1978 ソ フ ト ウ ェ ア 関 連 の 論 ⽂ ‧ ⽂ 献 1 1978/5/1 1988/3/1 1984 1976 1981
  96. 2005/10 1999 2004/11/16 2002 1995 1994/10/31 1989 1989/02/01 2001/5/18 1996/8

    2000/12/1 2005/10/7 1988/3/1 1995/10/1 2003/9/1 2003/9/1
  97. 140

  98. 141

  99. 2016 - 2017 State of DevOps Report 142 ⚫ Puppet

    + DORA の連名で発表された2016年と2017年のState of DevOps Reportは、制約理論をベースにした アルゴリズムを活用し、数千の組織から得られたデータを統計的に分析することでDevOpsの実践と組織のパ フォーマンスの関係性を客観的に実証しました。 ◼ 2016 パフォーマンス指標 指標 High Medium Low Deployment Frequency オンデマンド (1日複数回) 週1回〜月1回 月1回〜6ヶ月 に1回 Lead Time for Changes 1時間未満 1週間〜1ヶ月 1ヶ月〜6ヶ月 MTTR 1時間未満 1日未満 1日未満* Change Failure Rate 0-15% 31-45% 16-30% ◼ 2017 パフォーマンス指標 指標 High Medium Low Deployment Frequency オンデマンド (1日複数回) 週1回〜月1回 週1回〜月1回* Lead Time for Changes 1時間未満 1週間〜1ヶ月 1週間〜1ヶ月* MTTR 1時間未満 1日未満 1日〜1週間 Change Failure Rate 0-15% 0-15% 31-45% * ローパフォーマーは概して(統計的に有意なレベルで)成績が悪かったが、中央値はミディアムパフォーマーと 変わらなかった。 * ローパフォーマーは概して(統計的に有意なレベルで)成績が悪かったが、中央値はミディアムパフォーマーと 変わらなかった。
  100. 144

  101. 145

  102. DORA激動の2018年 ⚫ 2018年は、DORAにとって激動の年でした。 ⚫ まず、2018年3月27日、かねてより進めていた新し い書籍が発売となります。 ⚫ Accelerate: The Science

    of Lean Software and DevOps: Building and Scaling High Performing Technology Organizations(邦題「LeanとDevOps の科学」)です。 ⚫ この本の出版でMartin Fowlerと約束を果たしたこと になります。この本はDORAの「研究の調査・分析 手法を紹介・解説する本」として生まれました。
  103. DORA激動の2018年 ⚫ 発行はIT Revolution Pressで、DORAの二人Nicole Forsgren、Jez Humble、そしてIT Revolutionの Gene Kimの名前で発行されました。

    ⚫ しかし、ここにPuppet Labsのメンバーはいません。 (謝辞の中には出てきますが) そして「LeanとDevOpsの科学」が出版された翌月―
  104. DORA激動の2018年 148 ⚫ 書籍名 "Accelerate" を冠した Accelerate State of DevOps

    Report という、新しいプログラムを発表します。 ⚫ これは、長年共に歩んできたPuppet社とのパートナ ーシップ解消を意味しました。DORAは、次のパー トナーとしてGoogle Cloudを選択したのです。* ⚫ 新しい Accelerate State of DevOps Reportは2018年 8月29日にリリースされました。 筆者としてクレジ ットされたメンバーは3人だけでした。 * https://www.infoq.com/news/2018/04/DORA-Google-Cloud-New-Research/ 1. Nicole Forsgren PhD(ニコール・フォースグレン博士) 2. Gene Kim(ジーン・キム) 3. Jez Humble(ジェズ・ハンブル)
  105. 2018 Accelerate State of DevOps Report 149 ⚫ 肝心の中身ですが、2018年のパフォーマンスの指標とレベルにはちょっとした変化が生じます。 ⚫

    それは、MTTRが"Time to restore service"という言い方に変わったことと、レベルに初めてEliteが登場した ことです。 ◼ 2018 パフォーマンス指標 指標 Elite High Medium Low Deployment Frequency オンデマンド(1日複数回) 1日1回〜週1回 週1回〜月1回 月1回〜6ヶ月に1回 Lead Time for Changes 1時間未満 1日〜1週間 1週間〜1ヶ月 1ヶ月〜6ヶ月 Time to restore service 1時間未満 1日未満 1日未満 1週間〜1ヶ月 Change Failure Rate 0-15% 0-15% 0-15% 46-60%
  106. DORAの終焉 150 ⚫ リサーチは順調であったようですがDORAのCEO兼主任研究員であったDr. Nicole Forsgrenには大きな重圧が かかっていたようです。 ⚫ この頃のことをJez Humbleはブログで次のように振り返っています。

    * https://medium.com/@jezhumble/doras-journey-an-exploration-4c6bfc41e667 経費を抑えた自力での会社運営には大きな代償がありました。それは燃え尽き症候群です。スタートアップは創 業者を疲弊させることで有名ですが、私たちも例外ではありませんでした。特に最も大きな負担を背負っていた のはNicoleでした。CEOとして彼女は、会社の戦略、財務、そして事業運営全般に責任を負っていました。それ だけではありません。CEOとして市場戦略の立案と実行をほぼ一人で担うだけでなく、State of DevOpsレポー トの主任研究者、『Accelerate』の主執筆者、そして買収交渉の責任者も務めていました。彼女が言うように、 これらの成果はすべて何年もかけて築き上げたものですが、驚くべき仕事の処理能力を持っていた彼女でさえ、 膨大な時間の労働なしにはこれらを実現することはできなかったでしょう。これこそが投資を受けなかったこと の代償でした - より大きなチームを雇って、この重荷を分散することができなかったのです。 Jez Humbleのブログ*から
  107. 152

  108. 153

  109. Puppet版State of DevOps Report ⚫ 一方、Puppet社も2018年は独自のState of DevOps Reportを発行します。 ⚫

    しかし、これはDORA版とは異なるポリシーで編集 されたものでした。2013年版に原点回帰するかの如 く、DevOpsの進化の段階を特定し、DevOpsへの変 革プロセスの定量化に舵を切っています。 ⚫ Puppet版 2018 State of DevOps Reportについて語 る人物は、あのAlanna Brownでした。 ⚫ Puppet社は、2022年4月にソフトウェア開発ツール 大手Perforce Software, Inc. に買収されましたが、 現在もState of DevOps Reportはシリーズを継続中 であり、主にDevOpsに取り組む現場での実用性に 重点を置いています。
  110. 入れ替わる著者陣 ⚫ Gene Kim は現在もIT Revolutionの代表であり、執 筆活動や講演を精力的にこなしています。 ⚫ 2019年に来日しており、DevOpsDays Tokyo

    2019のキ ーノートセッションに登壇しています。(私は現地で拝 聴できました) ⚫ Jez Humble は現在もGoogleに席を置きSRE(Site Reliability Engineering)のエンジニアとして活躍す る傍ら、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の教員も続けている。 Jez Humble Gene Kim
  111. 入れ替わる著者陣 158 ⚫ Dr.Nicole Forsgrenは現在Microsoft Research のパ ートナーとして Developer Experience

    Lab を率い ており、ACM Queue の取締役も務めています。 ⚫ 最近は、科学を活用しソフトウェア開発者をより楽 しくする研究を実践しています。DevExやSPACEフ レームワークに関する研究論文を発表し、精力的に 活動中です。 ⚫ 昨年6月に来日し当社主催の「開発生産性 Conference 2024」にて基調講演をご担当頂きまし た。 Dr. Nicole Forsgren (開発生産性Conference 2024にて)
  112. 入れ替わる著者陣 159 ⚫ 2022年と2023年の2年間だけ、著名なエンジニア David(Dave) Farley(デイビッド(デイブ)・ファ ーリー)が加わっていました。 ⚫ 彼は、Jez Humbleと共にベストセラー「Continuous

    Delivery」を書いた人物です。 ⚫ 書籍「Modern Software Engineering(継続的デリ バリーのソフトウェア工学)」の筆者でもあり、文 中、Dr. Nicole Forsgrenにまつわるエピソードや DORAの研究成果が引用されています。 David(Dave) Farley (Image source: InfoQ.com)
  113. 160

  114. 161

  115. Eliteが消えたり現れたり ⚫ 2022年の分析では、パフォーマンスレベルからEliteが消滅します。これは、最もパフォーマンスの高いクラ スタが、2021年のEliteの特徴を示していなかったためと述べられています。翌年2023年は復活しました。 ◼ 2022 パフォーマンス指標 指標 ― High

    Medium Low Deployment Frequency ― オンデマンド 週1回〜月1回 月1回未満 Lead Time for Changes ― 1日未満 1日〜1週間 1ヶ月〜6ヶ月 Time to restore service ― 1日未満 1日〜1週間 1週間以上 Change Failure Rate ― 0%〜15% 16%〜30% 30%以上 ◼ 2023 パフォーマンス指標 指標 Elite High Medium Low Deployment frequency オンデマンド(1日複数回) 1日1回〜週1回の間 週1回〜月1回の間 週1回〜月1回の間 Change lead time 1日未満 1日〜1週間の間 1週間〜1か月の間 1週間〜1ヶ月の間 Failed deployment recovery time 1時間未満 1日未満 1日〜1週間の間 1ヶ月〜6か月の間 Change Failure Rate 5% 10% 15% 64%
  116. 2023年からFour Keyの一部名称と定義が変更 164 指標 2023年の定義 2022年までの定義 変更点 Deployment frequency (デプロイ頻度)

    変更を本番環境に push す る頻度。 主なアプリケーションまたはサービスで、組 織が本番環境にコードをデプロイする頻度、 またはエンドユーザーにリリースする頻度は どのくらいか。 定義が簡潔化され、本番環境への変更適 用に焦点が絞られています。 Lead time for changes (変更のリードタイム) コードの変更を commit してからデプロイするま での時間。 主なアプリケーションまたはサービスで、変 更のリードタイム(commit されたコードが 本番環境で正常に実行されるまでの時間)は どのくらいか。 定義が簡潔化され、コミットからデプロ イまでの具体的な工程に限定。「本番環 境で正常に実行される」という表現が省 かれています。 Change failure rate (変更失敗率) デプロイにより障害が発 生し、すぐに対処する必 要が生じる頻度。 主なアプリケーションまたはサービスで、本 番環境に変更を加えた、またはユーザーに変 更をリリースしたとき、サービスの低下(サ ービス障害、サービスの停止など)が発生し て、対策(修正プログラム、ロールバック、 フィックス フォワード、パッチなど)が必 要になった割合はどのくらいか。 「デプロイにより障害が発生し」という 表現に変更され、障害の発生原因がデプ ロイに限定。具体的な対策例が削除され ました。 Failed deployment recovery time (失敗デプロイの復旧時間) (旧名称: Time to restore service (サービス復旧時間)) デプロイの失敗時に復旧 にかかる時間。 主なアプリケーションまたはサービスで、サ ービスのインシデントや、ユーザーに影響を 与える障害(計画外のサービス停止やサービ ス障害など)が発生した場合、サービスの復 旧に通常どれくらいの時間がかかるか。 指標名が変更され、定義が「デプロイの 失敗」に絞られました。例として挙げら れていた「計画外のサービス停止やサー ビス障害」が削除されました。
  117. リフレクション:DORA Reportを正しく読み解くために 1. DORA Report は単なるサーベイの結果ではなく、 2014年以降、統計学を用いた「科学的リサーチ」 に基づいて分析されている。 2. 「科学的リサーチ」の具体な内容は書籍『Leanと

    DevOpsの科学』で解説されている。 3. Four Keysを元にしたパフォーマンスレベルは統計 的な分析手法(クラスター分析)が用いられ、調査 年ごとに変化する。 4. DORA はこのレポートを用いて、各組織(企業)が 独自の実験や仮説を立てることを望んでいる。
  118. 166

  119. 167

  120. DORAが示す、AIのこれから 196 本レポートは、『Accelerate State of DevOps Report』で発表された DORA の研究を基盤とし、それ をさらに発展させています。現在の

    AI 導入状況を概観 し、開発者や組織への影響を探るとともに、AI の成功 する統合、測定、継続的改善のためのフレームワーク と実践的なガイダンスを提示しています。 新しいテクノロジーの導入は、短期的には生産性や影 響力の低下を伴うことがあるという点も忘れてはなり ません。持続的で長期的な改善を優先することで、生 成 AI 導入の恩恵をしっかりと享受できるようになるで しょう。 https://cloud.google.com/resources/content/dora-impact-of-gen-ai-software-development?hl=ja
  121. ソフトウェア開発は、今も昔も、どこか実験的である 198 ⚫ Tom DeMarcoは左記記事の最後で、こう締めくくっ ています。 ⚫ DORAが日々の実践と実験の中から何が本当にチー ムを強くし、ソフトウェアをより良いものにするの かを探求し続けたその姿勢、まさにDeMarcoが語っ

    た「ここに焦点」を当て続けた挑戦そのものだと感 じます。 ソフトウェア開発は、今も昔も、どこか実験的である。 実際のソフトウェアの構築はそれほど実験的ではあり ませんが、その構想は実験的です。そして、この点に こそ私たちの焦点が当てられるべきでしょう。私たち は常にここに焦点を当てるべきでした。 (Tom DeMarco, 2009) Photo of Tom DeMarco by Hans-Rudolf Schulz (*1) *1: https://www.oreilly.com/library/view/peopleware-productive-projects/9780133440706/pref02.xhtml *2: https://www.cs.uni.edu/~wallingf/teaching/172/resources/demarco-on-se.pdf
  122. "Applying insights from DORA"(DORAの知見を実践に活かすために) ⚫ DORAの研究成果は決して一時的なトレンドではありません。Four Keysなどを単なる「流行り」と捉えるの は誤りです。しかし、その一方で、すべてを鵜呑みにする必要もありません。 ⚫ 2024年で10周年を迎えたDORA

    Reportには、この取り組みが成熟してきたことを示す重要なメッセージが随 所に見られます。その代表例が"Applying insights from DORA"(DORAの知見を実践に活かすために)という 章です。 私たちの調査結果は、皆様が独自の実験や仮説を立てる際の参考にしていただけます。 チームや組織に最適なアプローチを見出すために、変更による影響を測定しながら実 験を重ねることが重要です。それにより、私たちの調査結果の検証にもつながります。 結果は組織によって異なることが想定されますので、ぜひ皆様の取り組みを共有して いただき、その経験から互いに学び合えればと思います。