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生成は「AI」、編集は「人間」 〜AIを活用した開発プロセスの現在地と未来
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Takuya Asako
August 03, 2025
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生成は「AI」、編集は「人間」 〜AIを活用した開発プロセスの現在地と未来
2025/08/06 @PhramaX LLM Night〜生成AI時代のプロダクト開発プロセス
Takuya Asako
August 03, 2025
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Transcript
生成は「AI」 、編集は「人間」 〜AIを活用した開発プロセスの現在地と未来 @PharmaX LLM Night〜生成AI時代のプロダクト開発プロセス note株式会社 プロダクトマネージャー 浅子 拓耶
自己紹介 浅子 拓耶 / @taku_yeah 略歴 プロダクトマネージャー@note ※ 2025/08で退職( )
クリエイターの収益化を軸にしたグロースを担当 過去、Adobe, MonstarLabなどに在籍 Webディレクター・PjM・スクラムマスターを経てPdM 好き嫌い 好きなもの:旅・音楽・写真・動物 嫌いなもの:ネタバレ・早起き・臓物系の食べ物
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本日の流れ 1. 実践編:noteの開発プロセスにおけるAI活用の現在地 2. 課題編:直近感じている課題 - PRD作成を例に、事例を添えて 3. 解決策:AIは生成、人間は編集 4.
展 望:AIとの協働の現在地と未来
Disclaimer Asakoがプロダクトマネージャーである、また、エンジニア・デザイナーなど 他職種出身でないため、プロダクトマネージャー視点に寄った発表になります
1. 実践編 noteの開発プロセスにおけるAI活用の現在地
企画でのAI活用事例 競合・事例調査 ペルソナ・ジャーニーの作成 ユーザーインタビューの質問項目作成 ユーザーインタビュー結果の構造化 データ分析のためのクエリ作成・データ解釈 PRD・実験計画書の作成 ユーザーストーリーの作成 施策優先順位、スコープの切り方の壁打ち 戦略・KPI設計などの壁打ち
※ 利用ツール:Cursor, ChatGPT/Gemini Deep Researchなど
️ 開発でのAI活用事例 仕様・影響範囲調査 実装計画策定 コーディング テストデータ生成 テストコード作成 コードレビュー 受け入れテストケース作成 バグ修正
技術スタックリプレイス ※ 利用ツール:Claude Code, Cursorなど
挑戦中/まだできていないこと バグ修正・小さい機能実装をissue→PRD作成→実装まで完全自動化 Vibe Codingでのハイファイなモックの作成 社内ドキュメントのAI最適化・MCP等での接続 Rules等コンテキストの共通化(最低限のものはあるが統合運用はこれから)
PdMとして直近よく使っている事例を2つ紹介
️ 事例1:PRDの作成 プロダクト概要・戦略などをインプットに、PRD作成のパートナーとしてAIを活用 ツール: Cursor インプット: プロダクト概要・戦略・定性/定量データなど アウトプット: PRDの骨子 効果:
PRD作成の高速化・観点漏れ防止・質の向上 ※ 参考:プロダクトマネジメント業務をCursorで爆速プロトタイピングしてみた🔥 https://note.com/taku_yeah/n/n8695ff505ce0
️ 事例2:ペルソナ・ジャーニーの作成 戦略検討のために、事業概要・事業戦略案をインプット ツール: Cusror, ChatGPT インプット: 事業概要・戦略案など アウトプット: 複数のペルソナ、カスタマージャーニー
効果: ジャーニー作成の高速化・ジャーニーをベースにした議論高速化・観点漏れ防止
2. 課題編 直近感じている課題 PRD作成を例に、事例を添えて
同じテーマで、Cursor縛りで『PRD作成RTA』してみた お 題: 「noteで〇〇ができるようにするために、✕✕ 機能をつくりたい」 参加者:PdM/PjM 計6名 前 提:事業・プロダクトについてのコンテキストは共通のファイルを利用 ※ RTA =
Real Time Attackの略。ゲームクリアまでに掛かる速さを競う競技
『PRD作成RTA』 、やってみてどうだった? 個々人・PdMとして/AI活用の熟練度でアプローチがバラバラ PdMとしてのスタイル まずはWhyを深堀り、What・Howの妥当性を壁打ちするパターン とりあえず全部出力して、気になるところを壁打ちして修正するパターン AI活用スタイル PRDテンプレに沿って、一気にPRD出力するパターン PRDテンプレに沿って、項目ごとに順々に出力・壁打ちするパターン
『PRD作成RTA』を通して再確認した課題
「とりあえず全部出力」は、 「それっぽさ」に引っ張られる ドメイン知識・社歴・熟練度など、個々人のレベル/スキルで判断基準がゆれる AI出力を適切に疑い、カイゼンためのクリティカルシンキングが必要 Howありきで、Whyを疑うプロセスを飛ばすことで出力の質が下がる
Howありきではじめると、AIが考えるWhatやWhyがHowに引っ張られる 生成AIは、 「ユーザーの入力をもとに、それに続く言語を推論する」もの ゆえに、Howありきだと、Why, Whatもそれに引っ張られて架空のものが生成されがち
AIと人間で把握しているコンテキスト量に差がある 現状は、コンテキストを食わせすぎると出力の質が下がる(らしい)という話もある そもそも、人間が把握しているすべてを言語化してAIに食わせられていない 最終的には、AIに食わせていないコンテキストも踏まえて、人間が意思決定する必要
コンテキストを言語化したり、AIが読み取りやすい粒度に調整すること、 レビュープロセスを回すことで、ある程度のガードレールを設けることはできるが、 AI or 人間が進化しないと「それっぽさ」を根本的に回避することは難しい
3. 解決策 「AIは生成、人間は編集」という役割分担
現時点での最適な役割分担 【AI】 生成 = 発散・構造化・高速な敲きの生成 【人間】 編集 = 収束と意思決定
編集としての意思決定 AIが生成したPRD案は 「たたき」 「選択肢」 と捉える AIに付与できていないコンテキストなどを踏まえて、人間が 「編集」 を行う 生成結果を鵜呑みにせず、AIとの会話を通じて 漸進的にアウトプットを磨く
60点の生成結果を活用し、意思決定の速度を上げる まずは、AIで爆速でたたきをつくる たたきをベースに議論を進める 議論の結果をAIにフィードバックし、爆速でカイゼンのループを回す => 0→1よりも、たたきにツッコミを入れるほうがはやく議論が進む(こともある)
4. 展望 AIとの協働の現在地と未来
期待 vs 現実 期待: AIの進化で「生成」の質はさらに向上 より複雑なタスクもAIが 自律的に 、高品質で生成できるようになる より多くのコンテキストをAIに与え、品質を損なわずに生成できるようになる
現実: 判断・意思決定のための「評価」は人間の手に残る 最終的なビジネス価値を判断し、責任を負うのは人間。 => Human-in-the-Loop (HITL) で考えることが不可欠 コンテキストを与えすぎると生成結果の品質が下がる問題 人間と同等のコンテキストを与えるに至っていない =>
言語化・プロンプトエンジニアリング・コンテキストの充実化が必須
遅かれ早かれAIが進歩し、できることが増えるのは間違いない 期待: AIの進化で「生成」の質はさらに向上 より複雑なタスクもAIが 自律的に 、高品質で生成できるようになる より多くのコンテキストをAIに与え、品質を損なわずに生成できるようになる
現実を駆け抜け、未来で躓かないようにするために 短期的戦略 HITLを前提に、AIとの最適な協働フロー(=編集プロセス)を模索・実装・カイゼンする 長期的戦略 将来AIが賢くなる時に備え、ドメイン知識を構造化・意思決定背景などを言語化し、 AIにコンテキストを的確に与える(言語化する)能力を磨く・準備を怠らない
5. さいごに note社、プロダクトマネージャー募集してます! 募集職種一覧から連絡、またはasakoに連絡いただければお繋ぎします
ご清聴ありがとうございました