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「守破離の守!」スクラムガイドをみんなで読んでみた。
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TK
October 02, 2021
Technology
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「守破離の守!」スクラムガイドをみんなで読んでみた。
Scrum fest mikawa 2021
TK
October 02, 2021
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Transcript
「守破離の守!」スクラムガイドをみんなで読ん でみた。 Retty株式会社 今井貴明 Scrum Fest Mikawa 2021 2021/10/02
自己紹介 • TK (Imai Takaaki) • エンジニア ◦ 2015〜SIer ◦
2021〜Retty株式会社 • @t_k_redman
今日のお話
スクラムガイドをみんなで読んだ話です https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf
わたしの所属するスクラムチーム • Devチーム6名 + Bizチーム3名 スクラムマスター プロダクトオーナー
開発の流れ • 木曜日区切りの1週間スプリント ◦ AMにスプリントレビュー ◦ 午後イチにふりかえり ◦ 空いた時間にスプリントプランニング •
デイリースクラムとリファインメントは日々開催
風通しの良い明るい職場です • チームの雰囲気は良好 ◦ ふりかえりで意見は出るしトライもしてる ◦ 気になることは率直に言い合える • ちゃんとスクラムやってる ◦
スクラムイベントやってる ◦ 必要なロールは揃ってる ◦ 改善しながら開発も進んでる
ある日のふりかえりで
その頃よく話されていたチームの課題 • 先の計画ってどのあたりまで考えておいたら良いだろう • タスクの見積もり精度をもっと高めた方が良いのでは • スプリント内でこなせるアイテムを増やせないか • 開発プロセスに関する漠然とした課題が多い
大きな一歩を踏み出せないような感覚があった
やりたいこと チームを一つ上のレベルに上げたい!
「スクラムのあるべき姿」ってなんだ? • スクラムやってはいるけど、実はそんなに知らない • 一度時間をとって学ぼう ◦ 勉強会でもやってみる? ◦ 何か本を教科書にしてみるのも良いかも ◦
何かオススメは?
スクラムガイドっていうのがあるんですよ • 要点が網羅されてるし簡潔にまとまっている良書ですよ
スクラムガイド、読もう • 旗振り役を任された! • せっかくなら効果を最大化したい • やっておしまいではなくて、次につながる活動になるよう準備 しよう!
読書会の開催
• 土台を作っていこう! チームを一つ上のレベルに上げたい作戦 最適化に向けてトライ スクラムのあるべき姿を 知る 現状と比較して課題を明 らかにする
読書会の進め方 • 一度に読む範囲を5つに分けて5週かけて読んでいく ◦ 各自対象範囲を読んでくる ◦ みんなで集まって議論する ナルホド 新発見 現状とのギャップ
どういうこと? 気になります! これは大切そう Next Actionの種 こんなことできそう
第1回は「スクラムの価値基準」まで • まずはスクラムがなんたるか、から ◦ スクラムガイドの目的 ◦ スクラムの定義 ◦ スクラムの理論 ◦
スクラムの価値基準
第1回のボードの様子
初回の所感 • 対象範囲がかなり抽象的な内容なので煮え切らない感じ • 三本柱のイメージがなかなかつかない様子
三本柱とは • スクラムガイドの「スクラムの理論」より抜粋 スクラムでは、検査と適応のための 4 つの正式なイベントを組み合わせてい る。それらを包含するイベントは「スプリント」と呼ばれる。これらのイベントが機 能するのは、経験主義のスクラムの三本柱「透明性」「検査」「適応」を実現して いるからである。 https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf
透明性ってなんだろう? • 開発に着手するために、タスクを正しく分割することじゃないか • プロダクトバックログアイテムのWhyを伝えられていること? • 問題が起きたときにすぐ共有できるかだと思う • やることが見える状態にあることでは?
検査ってなんだろう? • 作ったもののアウトカムを確認することじゃない? ◦ スプリントレビューがそれにあたりそう! • 5つのイベントが検査に該当しそう • 「ゴール」って書いてあるけどなんのこと? ◦
スプリントの終わりのことではないか ◦ Doneの定義に相当するとか? 抜粋:スクラムの作成物と合意されたゴールに向けた進捗状況は、頻 繁かつ熱⼼に検査されなければならない。これは、潜在的に望ましくな い変化や問題を検知するためである。
適応ってなんだろう? • 期待していた成果物になっていないと受け入れられない、ということを示し ているんじゃない? • スプリントレビューで思ったものと違う、となった場合に対応することじゃな いか • 受入条件を満たすこと?
個人的な感想 • 初見だと、三本柱はプロダクトに対してのことだと受け止めら れるんだな、というのが面白い気づきだった 「透明性」はプロダクトバックログアイテム のWhyを伝えられていること? 「検査」は作ったもののアウトカム を確認することじゃない? 「適応」期待していた成果物になる ように開発することでは?
どうやったらこの機会の効果を最大化できそうか? • この三本柱に納得感を持てると各イベントの目的がイメージし やすくならないか? • 何か気づきの機会を作りたい
宿題を出してみた • 以前CSMトレーニングで体験したワークの縮小版 ◦ 当時はあまり理解できなかった ◦ 今思うとすごい有効に感じる
三本柱とスクラムイベントについて考えるワーク • スクラムの各イベントでどのような「透明性」「検査」「適応」を実現するのか考え て表を埋める • 「スクラムにおける定義だとこういうことかな?」という感覚で現時点での理解を 書いてもらうことにした •
学習効果の最大化を狙いたい • 正解を求めてないし答え合わせの予定はない • 三本柱の存在を知ったこのタイミングで、このワークで悩んで おくということが重要だと考えた
その後の会の様子 • 自分たちが日々取り組んでいるイベントやロールの話に入っ ていく • 比較的具体的な話になっていくので割と議論は捗った
読書会で起こったこと① • 知らなかったことがたくさん知れた ◦ 正直、これだけでもやってよかったと思える
読書会で起こったこと② • 自分たちの現状とのギャップを認識できた ◦ 「これって意識できてるかな?」という会話がいくつも生ま れた ◦ すぐにできる具体的なNext Actionがすぐに出てきた
読書会で起こったこと③ • みんなで解釈を深められた ◦ わからなかったことを教えあったり、話し合ったりできた
チームの変化
変化① 共通言語が生まれた • スクラムのロールやイベントについてそれぞれの解釈で話して いたために空中戦になることがあった • 「検査」「適応」という言葉が使われていた ◦ スクラムイベントに紐付けて使われていた
変化② スプリントゴールが意識されるようになった • スプリントで何を達成したいかが話されるようになった ◦ 「スプリントには達成すべきゴールがある」という感覚が無 意識に根付いている気がする • 今現在ではスプリントの開始時にスプリントゴールを明文化し ている
変化③ スプリントレビューの目的を話すようになった • 最も認識の乖離があった模様 • 自分たちにとってどんなスプリントレビューが良いのかを話す ようになった ◦ 出席するステークホルダを再検討して声をかけるなど、具 体的な動きもあった
スクラムガイドを読んでチームは変化した • 5週に渡り実施した期間中から、少しずつ変化が起こった • 開発の中身に当たっていたスコープが、外側のプロセス自体 にも当たるようになったような感覚 開催趣旨の「チームを1段階上に上げるための土台」というのは 作られてきた!
私のふりかえり
慌ててスクラムやろうとしない!のがよかった • 過去、スクラム勉強会やったらスクラムが目的化した経験が あったからちょっと心配だったけど杞憂だった ◦ 「このチーム頼もしい!」って思った • 「完成された方法論からエッセンスを読み取る会」として機能し た
「三本柱」はもうちょっと深めたい • 個人的には満を持して出したワークが思ったより機能しなかっ た ◦ スプリントレビューでの「検査」「適応」は浸透してきたと思う ◦ 他のイベントでも同じくらい話せるようになりたい • 三本柱を共通言語にできたのは意味があったと思う
進め方は最後まで悩んだ • 今回は段階的に読んでいくスタイルをとったけど、後半に説明 される用語が前半に出てくるとわからない ◦ 実際、「インクリメントの説明が最初に知りたかった」という 声は出ていた • ワークと同じで最初はよくわからなくて後から「そういうこと か!」って繋がった方が学習効果が高い気もする
おわりに
まとめ • 教科書としてスクラムガイド単体をただ渡しても難しい ◦ みんなで読んで深められるならこれほどシンプルにまとまっ ている教科書はない! • チームの状態で議論のポイントや深さが変わりそう ◦ 暫くしてもう一度やったら新たな気づきがありそう
◦ スクラムガイドと読書会というスタイルを組み合わせること で、その時のチームに合った学習方法になる • モブワーク感あって楽しいし、連携深まった気がする!
ご清聴ありがとうございました!