Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
アジャイルに向かう組織に聴いてほしいアジャイルへの第一歩
Search
TK
November 06, 2020
Technology
0
43
アジャイルに向かう組織に聴いてほしいアジャイルへの第一歩
Scrum Fest Sapporo 2020
TK
November 06, 2020
Tweet
Share
More Decks by TK
See All by TK
私のチームが実践しているスプリントに集中するための取り組み
tkredman
0
2k
アジャイルであり続けるために技術スキルと向き合う
tkredman
4
3.5k
覗いてみよう!現場のスクラムチーム
tkredman
0
2.9k
「守破離の守!」スクラムガイドをみんなで読んでみた。
tkredman
0
1.6k
効果的なスプリントプランニングのトライ
tkredman
0
100
スクラム開発と向き合うことでスクラムを習得する
tkredman
0
100
たった一つの質問でマインドセットの灯をともせ!
tkredman
0
24
Other Decks in Technology
See All in Technology
Gov-JAWS4回_某団体でのAmazon Bedrock活用検証で見えた“使う側”の課題精度よりもリテラシー
takuma818t
0
160
ソースコードを読むときの思考プロセスの例 ~markdownのレンダリング方法を知りたかった2 markdownパッケージ~
sat
PRO
0
110
窓口業務を生成AIにおまかせ!Bedrock Agent Coreで実現する自治体AIエージェント!
rayofhopejp
0
230
コミュニティと共に変化する 私とFusicの8年間
ayasamind
0
320
어떤 개발자가 되고 싶은가?
arawn
1
460
ソフトウェアエンジニアとデータエンジニアの違い・キャリアチェンジ
mtpooh
1
640
なぜ新機能リリース翌日にモニタリング可能なのか? 〜リードタイム短縮とリソース問題を「自走」で改善した話〜 / data_summit_findy_Session_2
sansan_randd
1
140
品質保証の取り組みを広げる仕組みづくり〜スキルの移譲と自律を支える実践知〜
tarappo
1
490
ソフトウェアテストのAI活用_ver1.50
fumisuke
0
220
LLM APIを2年間本番運用して苦労した話
ivry_presentationmaterials
11
10k
Amazon Q Developer CLIをClaude Codeから使うためのベストプラクティスを考えてみた
dar_kuma_san
0
360
InsightX 会社説明資料/ Company deck
insightx
0
210
Featured
See All Featured
Easily Structure & Communicate Ideas using Wireframe
afnizarnur
194
16k
VelocityConf: Rendering Performance Case Studies
addyosmani
333
24k
Thoughts on Productivity
jonyablonski
73
4.9k
Testing 201, or: Great Expectations
jmmastey
46
7.7k
KATA
mclloyd
PRO
32
15k
The Success of Rails: Ensuring Growth for the Next 100 Years
eileencodes
46
7.8k
[RailsConf 2023 Opening Keynote] The Magic of Rails
eileencodes
31
9.7k
Chrome DevTools: State of the Union 2024 - Debugging React & Beyond
addyosmani
9
960
Why Our Code Smells
bkeepers
PRO
340
57k
XXLCSS - How to scale CSS and keep your sanity
sugarenia
249
1.3M
Intergalactic Javascript Robots from Outer Space
tanoku
273
27k
The Power of CSS Pseudo Elements
geoffreycrofte
80
6k
Transcript
アジャイルに向かう組織に聴いてほしい アジャイルへの第一歩 NECネクサソリューションズ 今井 貴明 Scrum Fest Sapporo 2020
本日の内容 • アジャイルが浸透していない社内でアジャイル(スクラム)やろうと してうまくいかなかったのでふりかえりをしました。 • その結果見えてきた“最初にやったらよさそうなこと”をお話しします。 2 @t_k_redman
こんなものを作りました • 始めてスクラムをやってみて大ゴケした後の振り返りから誕生。 • 前例がほぼ無い組織では何から始めたらよかったのか。 ↑こんなかんじの目次 3 @t_k_redman
こんな人には役立つかも • WF開発メインの組織にアジャイルを取り入れたい。 • アジャイルをやりたいけど何から始めていいかわからない。 • アジャイルを実践しているけどうまく進まない。効果を実感できない。 4 @t_k_redman
TK 自己紹介 TK(Imai Takaaki/@t_k_redman) • https://takaremo.com • NECネクサソリューションズ所属 • 千葉県在住
/ 27歳 • アジャイルの推進やスクラムマスターなど • AWSやらAngularを嗜む程度 • 先日、第2子爆誕 5 @t_k_redman
始めてのスクラムでやったこと ★お題は社内部門の業務アプリケーション刷新 ① スクラムの勉強会を開催 • スクラムガイドを読み合わせながら進め方やルールを確認。 • 使用するプラクティスの説明。 ② プロジェクトのルールや体制を決定
• スプリント期間、ツール、アーキテクチャなどを決める。 • ステークホルダを含めて役割を確認。 ③ 開発スタート そのときの失敗談:https://www.slideshare.net/ssuser21f6db/ss-238917492 6 @t_k_redman
起こったこと① • それぞれの「アジャイルってこういうもんでしょ」 7 @t_k_redman そうは言っても スケジュールは 引かないと 全部終わらな いと困るよ!
繰り返しながら 作るんでしょ? スケジュール引 いても変わっ ちゃうんで… 優先順位を決め ながらですね… いやまあそうなん ですけど…
起こったこと② • 依頼部門は発注側、私たちは受注側 8 @t_k_redman 開発はあなたたちの役目でしょ!バリア 発注側 なんとか要望をくみ取らなきゃ!スクラム 受注側
ウォーターフォール VS アジャイル
ウォーターフォール VS アジャイル
軸足をどこに置くかという話 • 二項対立ダメ、絶対。 「あなたたちのWFはもう古いよ!」ではない。 「これからは全部アジャイルに一新しないと!」でもない。 「アジャイルならそんなのだめでしょ!」とも限らない。 • 一方で、ウォーターフォールに軸足がおかれているという事実 「開発=WF」みたいなバイアスがかかっている。 WF開発を基準としてアジャイルに派生していこうという感覚。
11 @t_k_redman
アジャイルを深く理解しようとする前に 認知できている部分から紐解く
①アジャイルを知る
アジャイルは「状態」 • アジャイルは開発手法を表すものではない。 開 発 方 法 論 WF開発 XP
スクラム アジャイル 具体的な方法論を表す 言葉ではない。 アジャイルに向いている 「スクラム=アジャイル」 と誤解されることが多い。 14 @t_k_redman
起源を知る http://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html 15 @t_k_redman
原則を知る http://agilemanifesto.org/iso/ja/principles.html 16 @t_k_redman
スタートラインに立つ • 多分説明してもまだよくわからないだろうけど、まずはこういうもの があることは知ってもらう。 • フレームワークとかではないよ!ということで、後の話が食い違いそ うな誤解を払拭しておきたい。 17 @t_k_redman
誤解を解く • アジャイルにどんなイメージをもっている? 18 @t_k_redman 品質気にせずに 爆速でガンガン作って 高生産性を叩き出す手法 SILVER BULLET
誤解を解く • アジャイルにどんなイメージをもっている? 19 @t_k_redman 品質気にせずに 爆速でガンガン作って 高生産性を叩き出す手法 SILVER BULLET
Outcomeの効率はいいかもね。 全部一気にはできないけど 小出しなら速いよ。 フィードバックから改善する前提 なのは良いけどバグは潰してね。
どうやら思っていたものとは違いそうだ • 「想像してたものと違う」ことは分かってもらえた。 • 次は開発というものに対する思い込みを解いていきたい。 • 比較的ギャップが大きそうな部分にフォーカスしてみる。 20 @t_k_redman
長期的な計画が立てにくい • 検証を繰り返し流動的に進めるので、長期計画が立てにくい。 21 @t_k_redman 計画 Sprint1 Sprint2 Sprint3 Sprint4
要件 A 要件 B 要件 C 要件 D 計画 Sprint1 Sprint2 Sprint3 Sprint4 要件 A 要件 B 要件 C 要件 D Done 追加 優先順位変更 取消 当初の計画: 1週間後:
計画と目的と進捗の指標 • なぜ計画を立ててそれを基準に進捗をトレースするのか。 計画を守ることが目的になっていないか。 当初の計画通りだとなぜ順調だと言えるのか。(逆も然り。) 目的を考えたときに何を指標にすると良さそうか。 22 @t_k_redman
目的を誰と共有するか • プロジェクトの目的を改めて確認したとき、どの範囲で共有すべきか。 23 @t_k_redman プロダ クト 目的 計画 実現
顧客 開発者 要件 価値? プロダ クト 目的 目的 顧客 開発者開発者
②適用判断をする
万事いける気がしてしまう • 「得体の知れない弾丸」から「チョット分かった弾丸」に昇格。 • 万能感を感じるかもしれないので、向き不向きや必要なことを確認し ていく。 25 @t_k_redman
顧客との共創体制をつくれそうか • 顧客と同じ方向を向ける状態じゃないと厳しい。 • 契約云々もあるけど、最低限歩み寄れそうかはポイントになる。 26 @t_k_redman プロダ クト 目的
顧客 開発者 契 約 目的 プロダ クト 顧客 開発者 開発者
向き不向きを考える • 「要件定義は終わってます」みたいなタイミングから納期までの開発 をアジャイルで、とかは意味ない。 • なんでアジャイルなのかは考えたほうがいい。 27 @t_k_redman
なんでアジャイルなのかを考えてみる • 選択肢の一つであることは認識してもらう。 レッツトライの精神は歓迎! • ワークショップなんかで考える機会を設けるなど。 Why agile?(https://www.agilejapan.org/2018/session/d1_Why-Agile.pdf) 28 @t_k_redman
③体制を整える
周囲のアジャイル理解に対応する • WF開発とのギャップが大きく、開発チームやプロジェクト外の人に 理解されにくかったりする。 • 単純に「こういうものです」という説明はするとして、必要に応じて 抵抗を和らげる策を講じる。 30 @t_k_redman 管理体制
大丈夫なの? 状況を資料に まとめて! もっと細かく 進捗報告を プロジェクトルームに招き、朝会の様子 やかんばんボードを見てもらう。 メトリクスを可視化しておく。 スプリント内のイベントに参加してもらう。
目的の認識を合わせる • 明文化されていたとしても、個々の受け取り方に微妙に違いがあった りする。 • 開発チームだけでなく、必要に応じてステークホルダも含めて目的、 ゴール、ビジョンの共通認識を持てるようにする。 31 @t_k_redman https://agilewarrior.wordpress.com/2010/11/06/the-agile-inception-deck/
インセプションデッキ • もちろん全部できたほうがいいけど、1と2を回答できるとよい。 • 開発中に何度か実施して見失わないようにするのもよい。 • フランクにアイスブレイクっぽくやってみても面白い。 32 @t_k_redman https://github.com/agile-samurai-ja/support/tree/master/blank-inception-deck
1. われわれはなぜここにいるか 2. エレベーターピッチを作る 3. パッケージデザインを作る 4. やらないことリストをつくる 5. 「ご近所さん」を探せ 6. 解決案を描く 7. 夜も眠れなくなるような問題はなんだろう? 8. 期間を見極める 9. 何をあきらめるかをはっきりさせる 10. 何がどれだけ必要なのか
ロールの違い • これまで属人化していた役割が、必ずしも特定の人に割り振られるわ けではない。 • 既存のロールに無理やり別のロールをはめ込むようなことが無いよう に注意する。 33 @t_k_redman
④ルールを決める
チームのルールを決める • スプリントの期間、ツールやプラクティスの活用、などなど。 • プラクティスをトライ&エラーで試していくのもいいけど、トライの 成功率を高める努力はできる。 ⇒なぜそれが必要なのか、狙いは何か。 • いろんなプラクティスを知ってみる。 35
@t_k_redman 有名どころ • 朝会(デイリースクラム) • かんばん • プロダクトバックログ • スプリントバックログ • KPT • インセプションデッキ • スプリント(イテレーション) • ユーザストーリー • ストーリーポイント • etc. 参考:アジャイル型開発におけるプラクティス活用 リファレンスガイド https://www.ipa.go.jp/sec/reports/20130319.html
ルールは改善していく • 「狙い」をもって決めたルールはふりかえりで活きてくる。 • 一度決めたものに固執しなくていい。契機を待たなくたって、今有効 な改善は今やったっていい。 • プラクティスだってアレンジしていいし、自分たちで生み出したって いい。 36
@t_k_redman
まとめ
得体の知れないものを独自解釈しないようにする • いきなりいろいろ決めるよりかは、頭をゆっくり切り替えたい。 ⇒軸足の置き場所を確認する • 特に、「よくわからないもの」を「チョットワカル」ようにしておき たい。 38 @t_k_redman
社内向けスライドの着地点 • マインドセットしっかり!という結論でまとめてある。 39 @t_k_redman このあたり。 「アジャイルへの第一歩はこれだ!」 みたいな文脈になってる。
アカンぜ。 40 @t_k_redman いきなり 「マインドセット変えましょう!」 はアカンぜ。 ※許可もらった。
1年経って再考してみた「第一歩目」 • アジャイルのマインドセット≒アジャイルを理解する ⇒マインドセットというものでもなく、思い込みを無くすに尽きる。 • 「思ってるよりもこれまでとギャップがあるよ」をどう伝えられるか。 • 「意識」とか「思想」とか崇高なものでもない。 変化した後の姿を イメージしてもらえるかどうかの問題!!
イメージできた上で、それを採用するかどうかはその人次第。次のステップ。 41 @t_k_redman
ご清聴ありがとうございました。