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WebRTC と Rust と 8K 60fps

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November 27, 2025

WebRTC と Rust と 8K 60fps

libwebrtc を Vibe Coding で制御したくて Rust で扱えるようにしてみました。あと 8K 60fps な WebRTC 送信装置を作ったので 8K 60fps やべぇ話です。

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November 27, 2025
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Transcript

  1. 自己紹介 tnoho なんだかんだでずっとWebRTC 時雨堂の momo や Sora Python SDK の原作者

    ずっとメンテしてる時雨堂の皆さん、すごいなーとみている
  2. 最近作ったもの • 8K 60fps • ミニPCサイズ • 110W なので。。。 •

    8K 30fps / 4K 120fps • お弁当箱サイズ • 60W Type-C PD対応 中身はいつも通り libwebrtc ベースのネイティブアプリケーション
  3. 脱 momo 昨年展示した QIKENC8KP は時雨堂のネイティブ WebRTC クライアントである momo のカスタム でも、

    8K や 4K の高画質を扱うと高画質なメインストリームの他に、 プレビューに使える低解像度なサブストリームが欲しくなる しかし、momo は1本しかストリームを扱えない よし、脱 momo だ! momo
  4. C++ つらい WebRTC のライブラリだと一番リッチな libwebrtc を使いたい でも、 C++ は LLM

    との相性が悪いのでイマイチ。。。 その上ストリームを複数本扱うとなると複雑になるのは確定 せめてもうちょっと LLM が得意な言語で書きたい そうだ!libwebrtc を Rust から扱えるようにしよう!
  5. Sora Python SDK で目指したこと Sora Python SDK は自由度の高さとPythonの利便性の両立を狙った • WebRTC

    の基本構造に忠実なクラス設計 ◦ Sora => PeerConnectionFactory ◦ SoraConnection => PeerConnection ◦ SoraVideoSource => VideoSource • 使う側がリソース管理を意識しないリソースマネージメント ◦ Pythonらしくつかえるように しかし、リソースマネージメントで課題に当たってしまった  ※解消済みです
  6. 起こった問題 Pythonのガベージコレクションが意図した動きをせずに、 デッドロックやメモリーリーク、セグメンテーション違反を引き起こしてしまう ※すでに解消されています Sora ③ SoraConnection ① SoraVideoSource ②

    AddTrack Sora SoraConnection SoraVideoSource AddTrack ①=>②=>③で消したい Python は最初に消そうとする 先に見るように伝える でも、先に消してくれない デッドロック or 循環参照でメモリーリーク 無理に消すとセグメンテーション違反 実際
  7. 実際のリソース管理は C++ 内で完結させる Rust SDK は弱参照を保持するイメージ これでリソースの解放は C++側の都合でできるので、 セグメンテーション違反はなくなる C++とRustのインターフェイスはフラットとし、

    親子関係はRustの中で再構築する いずれは解放されるので問題がない Rust SDK でどうしたか Rust SDK C++ ライブラリ libwebrtc Rust クライアント リソース管理
  8. これでシグナリングやPeerConnection制御は楽勝! あとは LLM に任せればいいぜ! だと、思っていたことが僕にもありました。 Q: WebRTC のシグナリングプロセスを文字だけで説明してください なお、 PeerConnection

    は 2 本張るものとします。 あー。もう自分でプログラム書いた方が早くね。。。? でもまぁ、Rustにしたおかげでだいぶ楽になりました。WebSocketとか。
  9. 8K 60fps の撮れるカメラって? 8K 120fps まで撮れる 業務用のカメラ • 出力は 12G

    SDI ケーブル x 4 • 一人で持てないくらい重い • 光源が結構必要 ニコンの一眼Zシリーズの HDMIから8K 60fps出て欲しい。。。
  10. でも 8K 60fps って…? エンコーダに入力する 8K の I420 データは 7680

    x 4320 x 1.5 byte だから。。。1フレーム 50 MB かぁ。。。 秒間 60 フレームだから。。。50 x 60 = 3000。。。1秒で3GB。。。 1秒で3GB!? やばい、全然いける気がしない。。。 ※元信号が「12G」 SDI 4 本という時点で察するべき
  11. YUY2からNV12にする計算量を想像する 実際にやるのは • Y 取り出して並べるだけ • UV は取り出して 一つしたの行の UV

    と足して並べる それを 8K 60 fps だと 7680 x 4320 x 3 = 約 20 億...2G…1命令で終わるわけないから CPUだとマルチコアでも、それだけで使い切る。。。
  12. そんなこんなで 結構大変だったんですが 8K 60fps を達成 その技術を横展開するとQIKENC8KP も 安定性が向上 難しいことへのチャレンジは大切 というわけで

    Vibe Coding での開発が可能な WebRTC Native Client ができました お貸し出しのリクエストは ミサオネットワークさんまで!
  13. カメラちゃんと選んでますか? • 光をちゃんと集めないとノイズまみれになってしまう ◦ 場所もレンズも明るい方が良い ◦ 明るいレンズは大きなレンズ ◦ センサーサイズも大きい方がよい ◦

    じゃあ、解像度は?フレームレートは? • 小さなレンズほど磨くのは難しいし粗の影響が出る ◦ 工学的にはレンズは大きい方が綺麗に写る そのみなさんの手の中にある小さなカメラは、 果たして本当に書かれている解像度の性能がありますか?
  14. じゃあ 4K, 8K が綺麗に撮れるカメラって イチオシはニコンの一眼レフ Nikon Z8 / Z9 •

    HDMI から 4K 120fps / 8K 30fps が出力可 • 量販店で普通に買える • フルサイズの大きなセンサー • ニコンの明るく高精度なレンズ 皆さんが経費で買えるかもしれない一眼レフ! というか、買ってくれないと機能がなくなっちゃうかも。。。