IJRU2020ルール (基礎・経験者向け)/Rules for IJRU 2020(basic-experienced)

なわとび世界大会International Jump Rope Union(IJRU) 2020 Championshipsのルール解説です。
想定対象：
1. FISAC-IRSF, WJRF 関係の本選や予選に参加したことがある (JRSF の全日本大会を含む 人
2. 上記のルールをある程度知っている人

Transcript

1. Rules for IJRU 2020 Championships (基礎的な内容・経験者向け) おかもん 2019年09月23日 Rev. 1
2. はじめに • IJRUの新しいルールの解説資料です(基礎的な内容・経験者向け) • どの団体の公式の資料でもありません • できるだけ正確であるように努力していますが、間違っていても何の責任 も取れませんのでご理解下さい • 最新版をSpeaker Deck上で公開していますので、定期的に最新版をチ ェック下さい • IJRUのJudge Trainingがオンラインで受けられます • 要望があれば説明会を開くかもしれませんので、お気軽にご連絡くださ い • IJRUのBlogを翻訳して、ルールができた軌跡・背景をブログで公開中で す(リンクをクリック、または「おかもん放浪中」で検索) 1
3. おかもん 1 • FISAC-IRSF – 元FISAC-IRSF ルール委員会アジア代表(2012-2013) – 元JRSF ルール委員 – JRSF ベーシック・アドバンスト・インターナショナルジャッジライセンス • World Jump Rope Federation – WJRジャッジ2015,2017 – WJRジャッジクリニシャン(2017-) ＊ジャッジ試験をしてジャッジを任命できる 資格。日本人で2名 • 日本で最も競技系ルールに詳しい1人 • JJRUから公開されるJudging Manual, Competition Manualの日本語 訳を担当 2
4. おかもん 2 • Team: Jump Like Walking, アカモクモドキ、＼(^o^)＼／(^o^)／, ／(^o^)＼ • Twitter: @OKAMON_u • Facebook: @OKAMON_u • Instagram: @okamon_u • blog: ~おかもん放浪中~ https://okamon-u.hateblo.jp/ 3
5. 本日の話 4 想定対象 • FISAC-IRSF, WJRF関係の本選や予選に参加したこ とがある(JRSFの全日本大会を含む)人 • 上記のルールをある程度知っている人 内容 • IJRUとは • IJRU Competition Manual • IJRU Judging Manual
6. IJRUとは 5
7. 2つのなわとび世界組織が合併してできた新しい世界組織 IJRU = International Jump Rope Union (国際ジャンプロープ連合) IJRUとは 6 FISAC-IRSF WJRF IJRU
8. COMPETITION MANUAL 7
9. 大会概要 • 大会区分 – WJRF方式で、シニア世界選手権大会だけ予選と決勝 – 決勝は各種目上位6人/チーム • 年齢区分 – FISAC-IRSF方式で、ジュニア(12-14歳)とシニア(15歳以上) – 大会が行われる年の8月31日の年齢が基準 – シニアのチームは過半数が15歳以上(残りは13-14歳可) • 性別区分 – 個人戦は男/女、団体戦は男/女/混合 8 大会 説明 (シニア)世界選手権大会 Senior World Championships • 15歳以上 • 2ラウンド(予選と決勝) ジュニア世界選手権大会 Junior World Championships • 12-14歳 • 1ラウンド インターナショナルオープン大会 International Open Tournament (IOT) • 15歳以上 • 1ラウンド • 世界大会ではないという位置づけ
10. 9 種目名 個人総合 30秒スピード かけ足とび 〇 3分スピード かけ足とび 〇 個人フリースタイル 〇 連続3重とび 個人種目 • FISAC-IRSF, WJRFと同様
11. 10 種目名 SR 総合 DD 総合 AA 総合 シングルロープスピードリレー 4人x30秒 〇 〇 シングルロープペア2重とび 2人x30秒 〇 〇 シングルロープペアフリースタイル 2人 〇 〇 シングルロープチームフリースタイル 4人 〇 〇 ホイールフリースタイル 2人 ダブルダッチスピードリレー 4人x30秒 〇 〇 ダブルダッチスピードスプリント 1人x60秒 〇 〇 ダブルダッチシングルフリースタイル 3人 〇 〇 ダブルダッチペアフリースタイル 4人 〇 〇 ダブルダッチトライアッドフリースタイル 5人 団体種目 • ざっくりいうと、FISAC-IRSFとWJRFの折衷案 • ダブルダッチスピードリレー、スピードスプリントは新しい種目 • フリースタイルは0-75秒(ダブルダッチトライアッドだけ0-90秒) *SR総合: シングルロープ団体総合、DD総合：ダブルダッチ団体総合、AA総合：オールアラウンド団体総合
12. 総合 • 個人 – 個人総合(ISRO) • 団体 – シングルロープ団体総合(TSRO) – ダブルダッチ団体総合(TDDO) – オールアラウンド団体総合(TAAC) • 総合部門は要件を満たした人/チームが自動的にエントリー • 個人総合 – 3種目に出場 – 順位点の和で順位付け(個人フリースタイルの順位点は2倍) • 団体総合 – 必要種目に出場 – 順位点の和で順位付け – チーム人数4-6人 – 全ての種目で同じ性別(男/女/混合) 11
13. JUDGING MANUAL 12
14. スピード、多回旋種目 • かけ足とびは右足カウント • 2,3重とびは両足着地カウント • 不正スタート/スイッチは↓ – 縄が回り始める – ターナーから縄をもらう – 縄に入る • エリア違反は跳んでいない選手も対象(例：スピードリレー) • ダブルダッチスピードリレー(4x30)はFISAC-IRSF方式 – 入れ替わりはこのページ参照(ただしIJRUでは30秒であることに注意) http://jrsf.jp/?p=1312 13
15. フリースタイル種目・得点計算 • FISAC-IRSF, WJRFと大きく変わっているので注意 • おおざっぱには↓ – ディフィカルティスコアが基礎点 – プレゼンテーションは基礎点を割合で増減 – リクエレ・減点は基礎点を割合で減 14 項目 例1 例2 例3 ディフィカルティ(D) 50点 40 点 100 点 プレゼンテーション(P) 80 % 120 % 65 % 減点(M) 95 % (-5 %) 100 % (-0 %) 90 % (-10 %) リクエレ(Q) 90 % (-10 %) 95 % (-5 %) 85 % (-15 %) 合計(R) 34.2 点 45.6 点 49.725 点 R = D x P x M x Q *リクエレ=リクワイヤードエレメンツ
16. フリースタイル種目・得点計算2 15 項目 説明 ディフィカルティ(D) • 難易度点 • 1回のジャンプ(=1技)ごとに1つのレベル・点 • 全ての点を加算 • 上限点数なし プレゼンテーション(P) • 見栄え、表現点 • 優れた(+, 1ポイント), 平均的な(✓, 0ポイント), 基本的な(-, -1ポイント) の平均 • -35 %(平均 = -1) ~ +35 %(平均 = +1) 減点(M) • ミス、エリア違反、タイム違反1つにつき -5 % • ミスは1種類 リクエレ(Q) • できなかったリクエレ1つにつき -2.5 %
17. ディフィカルティ • レベルは「レベル表」にある通り • 複数の項目が満たされているものは、レベルが足される – シングルロープ • 2重でトード：1(2重)+1(片手制限)=2 • 3重クルーガー：2(3重)+1(片手制限)=3 • 宙返り3重トード：3(宙返り)+2(3重)+1(片手制限)=6 – ダブルダッチ • ドンキー(フロッグ)を2重で通す：2(ドンキー)+1(2重)=3 • 3回目以降の繰り返しはレベルが取られない 16 レベル x 0 0.5 1 2 3 4 5 6 7 8 点数 L(x) 0.00 0.13 0.18 0.32 0.58 1.05 1.89 3.40 6.12 11.02 L(x) = 0.1 x 1.8x
18. ディフィカルティ (シングルロープ) • 多回旋 – 2,3,4,5,6,7重とび：レベル1,2,3,4,5,6 • パワー – とばない：レベル1 – とぶ：レベル2 – 片手：レベル3 • 体操 – 側転、ロンダート：レベル1 – ハンドスプリング、跳ね起き、歌舞伎(スーサイド)：レベル2 – 宙返り：レベル3 • ロープ操作 – 片手の制限(トード、クルーガー、EBなど)：レベル1 – 両手の制限(AS、CL、TS、カブース、エレファント、ウィーブ)：レベル2 • リリース – 基本：レベル1 – ミックリリース、グリップ2本リリース：レベル2 – 更に複雑：レベル3 • スクープ/インタラクション – 1人が跳ぶ：レベル1 – 複数が跳ぶ：レベル2 – XXX：レベル3 17
19. レベル表(原文) シングルロープ 18
20. レベル表(日本語) シングルロープ 19 英語の部分はIJRUに問い合わせ中 Starting level 0 0.5 1 2 3 4 5 6 多回旋 1重とび 2重とび 3重とび 4重とび 5重とび 6重とび 7重とび パワー Bubble (regardless of the number of wraps) 基本的なパワー技 ( ロープを通さない)： 基 本ドンキー(フロッグ)、 基本プッシュアップ、 おしりとび、back jump ロープを通すパワー 技：ドンキー(フロッグ )から戻る、プッシュ アップ、クラブ、両足 踏切ドンキー(フロッ グ) 片手パワー技 Backwards power： examples- darkside, sunny D 体操 側転、ロンダート ハンドスプリング、跳 ね起き、歌舞伎(スー サイド) 宙返り ロープ操作 サイドス イング クロス、地上 で180 片手が制限されてい る：トード(レッグオー バークロス)、クルー ガー(レッグオーバー)、 EB(片手が背中の後 ろ) 両手が制限されてい る：AS、CL、TS、カ ブース、エレファント、 ウィーブ リリース 基本的なリリース、 inversed release、 snake release、 floater ミックリリース (mambaリリース)、 グリップ2本を離すリ リース Lasso (頭上で スネイクリリー ス、空中で キャッチ) スクープ/イン タラクション 1人がスクープされる、 基本のホイールジャン プ、基本の馬とび 複数のジャンパーが スクープで跳ぶ、ス クープ中に複数の ロープが動く (Multiple ropes moving during scoop)、馬とび(ス クープ) スクープ中に複 数のロープ+複 数の選手が動 いている multiple athletes moving フットワーク フットワーク
21. ディフィカルティ (ダブルダッチ) • 多回旋 – 2重回し：レベル1 – 3,4重回し：レベル2 – 5,6重回し：レベル3 – 7,8重回し：レベル4 • パワー – 簡単なパワー(マウンテンクライマー、おんぶなど)：レベル1 – 基本的なパワー(ドンキー(フロッグ)、プッシュアップ、クラブ、おしりとび、スプリット、馬跳び、跳ね起き)：レベル2 – ラビット、両足ドンキー：レベル3 • 体操 – 側転、ロンダート：レベル1 – ハンドスプリング、歌舞伎(スーサイド)：レベル2 – 宙返り：レベル3 • ターナー関連技 – ホイール、片手が関与する技(クルーガー)：レベル１ – 両手が関与する技(両手の制限、パワー、体操)：レベル2 • リリース – 易しい：レベル1 – 難しい：レベル2 • スイッチ(シャー、ターナーチェンジ) – ほとんどレベル1 20
22. レベル表(原文) ダブルダッチ 21
23. レベル表(日本語) ダブルダッチ 22 英語の部分はIJRUに問い合わせ中 Skill level 0 0.5 1 2 3 4 多回旋 1重 2重 3重、4重 5重、6重 7重、8重 パワー Mountain climber, power without jumping the rope (ex： up the ladder push-up), piggyback ドンキー(フロッ グ)、プッシュアッ プ、クラブ、おし りとび、back jump、スプリット、 馬とび、跳ね起 き ラビット、両足ド ンキー(フロッグ)、 v kick、 後屈/ブ リッジ 体操 側転、ロンダート、 身体の360度回 転 ハンドスプリング、 歌舞伎(スーサイ ド) 宙返り ターナー関連技 基本ターニング 技(後ろ、前) 同時ホイール ピンホイール、ホ イール、片手の 動きのみ関連し ているターナー 技 (例： レッグ オーバー) 片手の動き以上 が関連している ターナー技(例： 両手の制限、パ ワー技、体操技) リリース Helicopter, floaters ミックリリース、2 つのグリップを 使ったリリース スイッチ 基本のスイッチ( 選手は次に回さ れる縄に入らな い) 素早いスイッチ、 ホイールスイッチ、 ホイール中のグ リップの交換、 ジャンパーとター ナーのすべての インタラクション フットワーク フットワーク
24. フリースタイル種目・プレゼンテーション 23 内容 説明 フォームと実施 • 1つの技ごとに(+, ✓, -) • 余裕を持って、身体と縄がきれいか エンターテインメント • 2秒ごとに(+, ✓, -) • ユニークな技、動き、技のつなぎ • リピートしていないか • ワオ要素 音楽性 • 2秒ごとに(+, ✓, -) • 効果的な音楽の使用 • 音楽と動きの相乗効果 • 開始と終了 • ビートに乗っているか + ：優れた ✓：平均的な - ：基本的な
25. フリースタイル種目・減点 • ミス – ミスは1種類(マイナー・メジャーミスという概念はない) – ミスは選手ごとではなく、(1セットの)ロープごとにカウント • エリア違反 – 選手の身体の一部が競技エリアの境界の外の地面に触れたとき – 線上はエリア内 • タイム違反 – 音楽が聞こえる前に選手が演技を開始するために動いたとき – 音楽が終了した後にジャンプまたは演技関連の動きを行ったとき 24
26. • ディフィカルティレベルがある技のみ有効 • 単独でもセットでも可 • 1つの技で複数のリクエレ取得可 • シングルロープ種目ではすべての選手が同時に行ったもののみ有効 フリースタイル種目・リクワイヤードエレメンツ 25 シングルロープ ダブルダッチ 4つの異なる多回旋 4つの異なるターナー関連技 4つの異なる体操/パワー 4つの異なる体操/パワー 4つの異なるラップ/リリース それぞれの選手が4つの技 4つの異なるインタラクション* 4つの異なるインタラクション** *シングルロープ団体フリースタイルのみ **ダブルダッチペアフリースタイル、トライアッドフリースタイルのみ
27. 注意点 • 再試技規定 – 何らかの問題があって正常に演技ができない場合は再試技(1回のみ) • ビデオの不具合 • ロープの破損(ステーションから出たら再試技を主張できないことに注意。2度目の試技でロープが切れた場 合、追加のロープをステーションに持ち込む必要がある。) • 音楽の不具合(音楽が機能していない場合でも競技を続ける。違う音楽が流れた場合は5秒以内に演技を止 める。) – 1度目の試技と2度目の試技の間には最低10分 • その他 – ロープの種類不問 – ビデオカメラに映っているように注意 – フリースタイルで音楽が使われるか今の時点では不明 26
28. 最後に 27 • 新しいルールをマスターして大会への準備をはじめよう！