Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

オンプレミスからの移行先はやっぱりAWSでしょ! -損益分岐点を考えてみた-

0air
July 16, 2024
1.5k

オンプレミスからの移行先はやっぱりAWSでしょ! -損益分岐点を考えてみた-

0air

July 16, 2024
Tweet

Transcript

  1. ⾃⼰紹介 3 荒平 祐次 (Arahira Yuji) クラスメソッド株式会社 AWS事業本部 コンサルティング部 ソリューションアーキテクト

    - 経歴 ◦ SIer (約5年)→クラスメソッド(1年弱) - 資格・受賞 ◦ AWS Certification × 12 ◦ VMware vExpert 2022-2024 - 業務内容 ◦ AWS全般のインテグレーション・移行相談 ◦ ブログ執筆 - 趣味 ◦ Twitter (@0Air) ◦ サイクリング、アクアリウム、VTuber鑑賞 ◦ ゲーム (FF14, League of Legends) AWS re:Invent 2023にて 息子(11ヶ月)
  2. お詫び 5 - 本セッションは、 AWS (パブリッククラウド) VMware (オンプレミス) VMware Cloud

    on AWS Azure VMware Solution の費⽤感をざっくり⽐較して、仮想マシンXX台以下だとネイティブ AWSにしたほうがコスト⾯で有利!みたいな話をする予定でした - セッション登録後(4⽉末〜5⽉)の⼀部破壊的な変更により、 予定されていたお話を少し変更してお届けします🙇
  3. 先にまとめ! 12 選択肢 おすすめ度 (個人的見解) 特徴 AWS, Azure, Google Cloud,

    OCIへの マイグレーション ★★★★★ 移行の苦労を抜きにすれば全力でオススメ 状況によるが、移行の苦労は多かれ少なかれある Nutanix Cloud Clusters on AWS, Nutanix Cloud Clusters on Azure ★★★★☆ 今注目度が急上昇している本命 IPアドレス維持、VMDKがそのまま使える点で熱い VMware Cloud on AWS, Azure/OC VMware Solution, Google Cloud VMware Engine ★★★☆☆ 将来的なクラウドネイティブ化を見据えたうえで 一時利用としてのニーズは高い オンプレミス継続 (物理サーバ) ★★☆☆☆ VCF, VVFのライセンス料の高騰により急に出現した プラン。見積もりを取ってみないと不明だが、安い ことがある オンプレミス継続 (VMware by Broadcom) ★☆☆☆☆ サードパーティライセンスの制約やコンプライアン スの要件がなければ取らない選択 サポートが切れても何もしない ☆☆☆☆☆ 経営が現場に理解のないケースなどで発生しやすい エンジニアとしては推奨できない
  4. 概要 14 - サポートが切れても何もしない(放置)は、 - 技術的負債が溜まっていたり - アプリを作ってくれたベンダーが解散していたり - システムの需要が落ち、廃⽌を待っている

    ⼤⼈の事情によりそうしている、そうなっているケースが多い - vSphere 7.0 のEoLは 2027/04/02 であり、期限までに対策を 打っておきたい
  5. 概要 18 - 既存のVMware環境をサブスクリプションモデルで継続します - VVEP, VVS, VVF - VMware

    Cloud Foundation (VCF) <5/8 Update>大幅リニューアル!「vSphere」と「VMware Cloud Foundation」の新ラインナップ https://frontier.networld.co.jp/knowhow-vcf/vsphere-vcf-lineup/
  6. 【$$$$‧】 - OSなどライセンスは買い直しになる場合アリ - ただそれでも仮想化製品よりは安い? - UPSが必要な場合は、物理台数に応じた増設が必要 - 新規の学習コストは発⽣しない -

    ハードウェア交換の費⽤は今後数年単位で発⽣ - ファシリティが社外の場合は、ハウジング費⽤などが継続発⽣ - 台数増により、ハウジング費⽤肥⼤化の恐れあり コスト 24 • ▲ ✖ ✖
  7. 移⾏のハードル 27 - オンプレミスのバージョンが7.0以上に限り、L2延伸が可能となり vMotionができる(⼀番ラク) - ゲストOSの制約はないため、ハードルはかなり低い - バージョンが満たない場合は、VM Import/ExportかVeeamなどのバ

    ックアップソリューションを利⽤ - LBやセキュリティ製品が物理アプライアンスの場合は移⾏できない - 代替サービスを利⽤するか、AWS Marketplaceから調達 - 将来的なクラウドネイティブ化を⾒据えた時間稼ぎにも◎
  8. 【$$$$‧】 - VMwareのライセンス購⼊は必要無くなるが、利⽤にはBroadcomと 契約の上、クレジットの購⼊が必要 - 新規の学習コストは発⽣しない - ハードウェア交換の費⽤は発⽣しない - 既存データセンターは縮⼩できる

    - Elastic DRSにより、障害時に⾃動でホストのスケールアウト実⾏ - 追加分のホストは事前に購⼊しておく必要あり(余分になる) コスト 28 • ▲ • • ✖
  9. 移⾏のハードル 31 - 既存の仮想化基盤から”move”機能によりNC2 on AWSへ移⾏可 - データを事前同期しておけるため、ダウンタイムが少なく済む - VMwareのみならず、VMC,

    Hyper-Vからも移⾏可能 - 技術的な障壁は少ない - .vmdkや.ovaファイルなどがNutanix上でも稼働できる - レガシーなOSも広く対応している - ⼀⽅で、学習コストはそれなりにある - Nutanixの使い⽅のキャッチアップやUI/UXへの馴染みが必要
  10. 【$$$‧‧】 - AWS Marketplace+AWS ベアメタルインスタンスの⽀払いで済む - ⼀般的にはかなり費⽤を抑えられる - 新規の学習コストは発⽣する -

    ハードウェア交換の費⽤は発⽣しない - 既存データセンターは縮⼩できる - VMC on AWSと違い、ハイパーバイザーのパッチ適⽤など運⽤が必要 コスト 32 • ▲ • • ✖
  11. 概要 34 - AWSのネイティブサービスを利⽤してリフトを⾏います - Application Migration Service (AWS MGN),

    VM I/E - Database Migration Service (AWS DMS) - AWSに慣れていない場合、使い勝⼿や思想が180度変わる
  12. 移⾏のハードル 35 - 移⾏先のアーキテクチャや、移⾏中のネットワーク、IPアドレス変更 など考慮するものは多い - AWS MGNが対応していないほどレガシーなOSは移⾏できない可能性 - VM

    Import/Exportにより、古いインスタンスタイプでのみ起動 できる可能性はある - 学習コストは⾼い - 組織内にAWSをキャッチアップしている⼈材がいない場合は、 学習から始める必要があり⼤変かも - (ただAWS学習は⼈気があり、キャリアとして挑戦する⼈もいる)
  13. 【$$‧‧‧】 - クラウドを最⼤限活⽤することによりコストは圧縮できる可能性 - “リフトしただけ”の場合はトントンくらいになりそう - 新規の学習コストは発⽣する - ハードウェア交換の費⽤は発⽣しない -

    既存データセンターは縮⼩できる - AWS(やその他クラウド)に合わせた運⽤体制に変更が必要 - 「開発環境は夜間⽌める」など、時間課⾦に応じた使い⽅へ変更できる コスト 36 • ▲ • • ✖
  14. [補⾜]AWSと他クラウドの違い 37 - 情報量 - 1次情報は各クラウド横並び - 2次情報以降、AWSが圧倒的に多いと思われる - [参考]

    Qiita内の検索ヒット数 (重複あり, 7/13時点) 検索ワード 件数 “AWS” 73620 “Azure” 19344 “Google Cloud”, “GCP” 15988, 11414 “Oracle Cloud”, “OCI” 3453, 3159
  15. [補⾜]AWSと他クラウドの違い 38 - 情報量が増えると何かいいことが? - 学習コスト低減、新規ユーザーの取り⼊れ - エラー解消のヒット率向上 - ユースケース&新たなイノベーション

    etc… - ユーザーコミュニティの種類や広がりが⼤きいことも良い点 - “IaaSのみ”の価格⽐較だと、後発のクラウド(Oracle Cloudなど) にコスト⾯で軍配が上がる - クラウドネイティブ化や⼀歩進んだデータの利活⽤、 ⽣成AIの統合はやはりAWS(とAzure) - Google Cloudは開発者体験が優れている
  16. 取り上げていないもの 40 - 私の理解度が浅い、もしくはVMwareからの移⾏例を⾒ていないため 割愛させていただきました🙇 - Xen (Citrix Hypervisor) -

    Hyper-V - Linux KVM - Red Hat OpenShift Virtualization - etc… - 「こんな例あるよ!」があれば是⾮Xで教えて下さい!
  17. 先にまとめ! 41 選択肢 おすすめ度 (個人的見解) 特徴 AWS, Azure, Google Cloud,

    OCIへの マイグレーション ★★★★★ 移行の苦労を抜きにすれば全力でオススメ 状況によるが、移行の苦労は多かれ少なかれある Nutanix Cloud Clusters on AWS, Nutanix Cloud Clusters on Azure ★★★★☆ 今注目度が急上昇している本命 IPアドレス維持、VMDKがそのまま使える点で熱い VMware Cloud on AWS, Azure/OC VMware Solution, Google Cloud VMware Engine ★★★☆☆ 将来的なクラウドネイティブ化を見据えたうえで 一時利用としてのニーズは高い オンプレミス継続 (物理サーバ) ★★☆☆☆ VCF, VVFのライセンス料の高騰により急に出現した プラン。見積もりを取ってみないと不明だが、安い ことがある オンプレミス継続 (VMware by Broadcom) ★☆☆☆☆ サードパーティライセンスの制約やコンプライアン スの要件がなければ取らない選択 サポートが切れても何もしない ☆☆☆☆☆ 経営が現場に理解のないケースなどで発生しやすい エンジニアとしては推奨できない
  18. - クラウドエコノミクス(TCO診断) - 診断項⽬の例 - サーバー費 - ストレージ費 - ネットワーク費

    - サポート費 - ソフトウェアライセンス - ファシリティ維持費(施設の維持‧運⽤‧管理のために要す る費⽤) - ⼈件費 現状を把握する 45
  19. サンプルケース 50 - ⾮常に曖昧な仮定に基づくため、参考に留めてください - 実際の環境での試算等は、お近くのベンダーやCMにお声がけく ださい - 仕切り率等も⼀切確認しておりません -

    移⾏に係るSI費などのイニシャルコストは加味していません - 1ドル = 160円で計算 - (余談) 資料作ってから思いましたが、ユーザー企業により実態が180度 変わると思うので、本当に難しいです
  20. サンプルケース試算 51 - 移⾏前 (条件) - VMware 仮想マシン 100台 (Windows

    Server OS) - ESXi ホスト 4台(センドバック保守込) - 外部ストレージなし(vSAN/HCI) - データベースはMySQL準拠 - ライセンスは5年更新(製品保守込) - 監視は外部委託、運⽤保守はパートナーに依頼
  21. サンプルケース試算 52 - 移⾏前 カテゴリ 項目・条件 年間費用 (仮定) 費用発生回数 (10年間)

    設備 データセンターハウジング (48U) 年額 ¥ 3,000,000 10 コンピュート HPE, DELL, Lenovoなどの中堅サーバ × 4台 ¥ 20,000,000 2 ネットワーク Cisco Catalyst 8300 など × 2台 (コアSW除く) ¥ 6,000,000 2 ストレージ バックアップ用ストレージ × 1台 ¥ 4,000,000 2 ライセンス インフラ部分(VCF, Windows Server DC, Veeam, PCNS など) ¥ 25,000,000 2 監視 有人社外監視 (24/365), 一次対応のみ ¥ 12,000,000 10 運用・保守 セキュリティ対応/パッチ適用などをBP 2人(単価100万)に委託 ¥ 24,000,000 10 教育 キャッチアップ工数, 試験受験補助, イベント参加 など ¥ 5,000,000 10 計 / 10年計 ¥ 99,000,000 ¥ 550,000,000
  22. サンプルケース試算 53 - AWS移⾏後 カテゴリ 項目・条件 年間費用 (仮定) 費用発生回数 (10年間)

    設備 ハウジングなし - - コンピュート EC2 (Windows, r6i.large(2C/16G), 1YSP, Upfront) × 100台 ¥ 27,000,000 10 ネットワーク Internet-Out 年間100TB ¥ 1,500,000 10 ストレージ EBS, EFS, AWS Backup, FSx NetApp ONTAP 100TB ¥ 5,000,000 10 ライセンス インフラ部分(なし) - - 監視 一次対応をマネージドサービス化 - - 運用・保守 セキュリティ対応/パッチ適用などをBP 3人(単価100万)に委託 ¥ 36,000,000 10 教育 キャッチアップ工数, 試験受験補助, イベント参加 など倍化 ¥ 10,000,000 10 計 / 10年計 ¥ 79,500,000 ¥ 527,000,000
  23. 横に並べると 54 - 移⾏前 AWS移⾏後 年間費用 (仮定) 費用発生回数 (10年間) -

    - ¥ 27,000,000 10 ¥ 1,500,000 10 ¥ 5,000,000 10 - - - - ¥ 36,000,000 10 ¥ 10,000,000 10 ¥ 79,500,000 ¥ 527,000,000 カテゴリ 年間費用 (仮定) 費用発生回数 (10年間) 設備 ¥ 3,000,000 10 コンピュート ¥ 20,000,000 2 ネットワーク ¥ 6,000,000 2 ストレージ ¥ 4,000,000 2 ライセンス ¥ 25,000,000 2 監視 ¥ 12,000,000 10 運用・保守 ¥ 24,000,000 10 教育 ¥ 5,000,000 10 計 / 10年計 ¥ 99,000,000 ¥ 550,000,000 約95.8%!
  24. 変わらないケースもある 56 - 為替、クラウドサービス価格、ライセンス価格など、不確定要素が 多すぎて⼀概には⾔えない - リフトしただけでは変わらない、むしろ⾼くなることも - 「移⾏しただけ」で絶対終わりにしない! -

    IaaSレベルの話だと、インスタンスタイプの最適化、ストレージボリ ュームの縮⼩、アーキテクチャ変更等いろいろある - コスト最適化の⼿法は、AWSにはたくさんあります - 困ったらクラスメソッドを頼ってください!
  25. さいごに 58 - 移⾏先としてAWSを選ぶ理由 - 情報取得ハードルの低さ、リフト&シフトによるコスト圧縮、 ベストプラクティスに基づくセキュリティ維持のし易さ、 理不尽な値上げがない、など - 仮想マシン100台未満の場合、オンプレミス継続はやや厳しい印象

    (もちろん状況による) - 100台以上では、保管データ量やトラフィックによってオンプレ 有利に傾く可能性がある - しっかり現状を把握し、未来予想図を描いてみてください!