redmine.tokyo 14 登壇「なじむ Redmine」のスライドです。内容は Slideshare に公開しているものと同一となります。2022 現在はスライドを Speaker Deck で一元管理しているため、こちらへも公開することにしました。
なじむ RedmineRedmineを組織へ「なじませる」ための施策と課題@akabekobekoredmine.tokyo 14 - 2018/5/261
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自己紹介プログラマー。Web、モバイル、デスクトップまでなんでもやります。Redmineへの関わりとしては minimal at2というテーマを開発しています。ブログ アカベコマイリTwitterアカベコ(@akabekobeko)GitHub akabekobeko (akabeko)2
今回のお話以前ブログに書いた Redmine運用シリーズ記事Redmine運用について 1/3 –はじめにRedmine運用について 2/3 –運用ルールと諸設定Redmine運用について 3/3 –普及の施策と課題から普及の施策と課題を要約した内容となります。どのように組織へ Redmineを導入してなじませるか。そのための施策と課題についてお話します。3
OverviewRedmine導入事例現状分析業務管理の Redmine化Redmineをなじませる既存の仕組みを尊重する活況を演出するマメなサポート課題4
Redmine導入事例5
Redmine導入事例私の Redmine導入 &運用経験は足掛け 8年、2社。1社目はソフトハウス。過去に Tracの利用経験もあるため Redmineへの移行もスムーズでした。2社目 (現職)は印刷・出版系の企業。ソフトハウスほどの ITリテラシーはありませんが社をあげて業務改善に乗り出しており、私が移籍する前に Redmineを実験導入していました。ここでは主に 2社目の話をします。6
現状分析 1/2Redmineを実験導入してみたものの本格採用には至らない。では業務をどのように管理しているのか?まずは 2ヶ月ほど自分の部署に限定して様子を見てみることにしました。その結果、業務は主に上長の手による Excelシートで管理1~ 2週間ごとの定例で進捗と問題を共有定例の内容を Excelシートに反映のような感じになっていました。7
現状分析 2/2上長へのインタビューや定例で気になった点。1. Excelシート運用にかなり時間を割いている2.同じ議論が回をまたいで繰り返される3.ほとんどのメンバーに関係のない議論が多い4.進捗管理は作業の着手と終了のみで中間がない5.議事録をとらないRedmineなら 1~ 4をチケット、5は Wikiで対策できそう。8
業務管理の Redmine化 1/4というわけで業務管理を Redmien化。さきほどの課題をひとつひとつ対策してゆきます。1. Excelシート運用にかなり時間を割いているRedmineへ移行にともない Excelシート廃止シート管理していた要素と Redmineの対応づけ作業、担当者、進捗、期限あたりがあれば OKRedmineチケットですべて置き換えられそう9
業務管理の Redmine化 2/42.同じ議論が回をまたいで繰り返される3.ほとんどのメンバーに関係のない議論が多い課題と議論は主にチケットで運用参加者は必要最小になる他者へ共有したければウォッチャーを追加議論が自動的にテキストとして記録いつでもどこでも読める10
業務管理の Redmine化 3/44.進捗管理は作業の着手と終了のみで中間がないチケットのステータス、進捗率、期限を利用担当者が更新するので上長は管理から開放いつでもどこでも更新・確認できる進捗率を出しにくければ 0~ 100%更新も許可注記へ現状を文章として書くことも進捗とする進捗管理の目的は「現状」を把握すること11
業務管理の Redmine化 4/45.議事録をとらない議事録ドリブンを提案定例の前に Redmine Wikiへ議題を書くWikiを読んでから参加議題はチケットへのリンクとして記述定例では Wikiをエディタ編集 &プレビュー議題のみの Wikiを定例の場で埋める感じ必ず議事録がとれて読み返せる12
Redmineをなじませる13
既存の仕組みを尊重する 1/4なんらかのシステムやツールを採用する動機として以下があります。1.新しい課題を解決している2.既存の課題をよりよく解決1ならば賛同を集めやすそうです。しかし 2はどうでしょう。これは既存の仕組みや価値観を否定することになりがちです。素直に受け入れられるでしょうか?14
既存の仕組みを尊重する 2/4Redmine導入事例にあげた組織は Excelシートで業務を管理していました。これは複数人の同時編集が難しい履歴が取りにくいセル管理の破綻しやすさなどの問題があります。Webベースの TDD/BTSに比べるとメリットはほとんどないように見えます。それでも紙の帳票よりずっとマシで、例え紙でも管理されているだけで価値があります。15
既存の仕組みを尊重する 3/4業務が管理されているなら方法は非効率でも現状が可視化されています。そして管理したいことは大抵、ヒト、コト、モノのような典型があります。よって表現が異なっても概念は一緒なことが多く、加工すれば別の仕組みへ移行できるものです。事例であげた Excelシートも大半の項目は Redmineチケットに対応づけ可能でした。16
既存の仕組みを尊重する 4/4以上を踏まえ既存の仕組みや管理者を尊重します。よくぞ管理してくれていました、と。そしてRedmine導入や移行に際してはあなたの管理してきた情報は価値あるもので、それをより便利なツールに移行するだけという点を強調。これは事実でもありますし、あえて明示的に強く伝えることで雰囲気もよくなります。17
活況を演出するRedmineを導入しても使われなければ意味がありません。そして使われるとしても、それが自発的でなければすぐに廃れるでしょう。ではどのように動機づけするか。ひとつの施策として活況の演出を提案します。18
活況を演出する多くのユーザーに利用されて勢いのある状態を活況と定義します。この状態になれば黙っていてもユーザーは維持され、増えます。レストランに例えると、流行っている店は流行っていること自体が客を呼び込みます。Redmineの場合、みんなに使われているから使うとなるでしょう。19
活況を演出するみんなに使われているように見せるため、Redmine導入 &推進者が積極的にコンテンツを増やしましょう。Redmineの主なコンテンツはWikiチケットです。これらを増やしてゆきます。20
活況を演出するチケットよりも先に Wikiページの構築をオススメします。理由は以下。文章を書くだけなので心理的に楽覚える規則がすくないMarkdown/textileもさほど難しくない開発知識なしに Webページ作成を体験できる環境面はすべて Redmienが面倒みてくれるWebページ、便利なのはわかるけど難しそう...というハードルを解決21
活況を演出するWikiページに書くものとしては1.資料2.業務メモ3.議事録4.日報あたりがよいでしょう。定期もの (例えば議事録)があれば前回のを見本に書いてみてくださいという感じで Redmine経験の機会をつくりやすいです。22
活況を演出するWikiページが自発的に書かれるようになったらチケットの普及に挑戦してみましょう。先に Redmine導入 &推進者がチケットで業務や雑務を管理して、それを見本とします。といっても Wikiに比べると心理的なハードルはかなり高いはず。私が見聞きした範囲だとなにをチケットにすればよいかわからないという意見が多かったですね。23
活況を演出するなにをチケットにすればよいかわからない理由としては1.チケット =業務の可視化、に抵抗感がある2.業務を小さく分解するのに慣れていない3. Redmineに関する理解の不足という感じ。3は時間と経験が解決してくれるとして、1と 2は心理的なハードルと概念の教育が絡むので解決するのはけっこう難しい。24
活況を演出する対策として必ず短期で終了する雑務のチケット化はオススメです。例えば備品購入掃除など。長くても 1日かからず、効果を目視しやすいものがよいでしょう。目的と期間がはっきりしているためチケットにする抵抗感はかなり小さいはず。25
活況を演出するこのような感じで Wikiやチケット運用を体験してもらう人数を増やしてゆくと演出されていた活況が本物になります。Redmine以外にもチャットワークやSlackなども組み合わせると更によいです。Wikiやチケットを更新したらチャットでお知らせします。Redmineにもメール通知機能はありますが、チャットなら同時・多数・即時に通知できるため活況感を強調できます。26
マメなサポートRedmineに関する疑問トラブル要望はマメに対応しましょう。こうした問題は Redmineと組織のギャップにあたります。ギャップは放置すると忌避感を生みます。解決すれば逆に親近感を得られるでしょう。サポートがマメ =迅速ならば活況の演出にもなります。27
マメなサポートサポートの方法としてはチャットRedmine WikiRedmineチケットあたりが考えられます。コストや記録の観点から非同期なテキスト ベースの仕組みで対応することをオススメします。対面は最後の手段です。28
マメなサポート近年は業務でチャット サービスが普及しています。代表的なものだとSlackChatWorkなど。このようなサービスを利用しているならRedmine専用のチャット ルームを用意します。ここにはユーザー全員を招待して、Redmineに関する議論ならなんでも投稿できるようにします。29
マメなサポートチャットや対面などで Redmineに関する質疑応答や知見がたまってきたら Wikiに FAQなどの形で記録しましょう。テキスト ベースな仕組みで固めているならコピペで運用できます。より高度に効率化するならチャットと Redmineを連携させてこの辺を自動化するのもよいですね。例えば Redmineルームの書き込みを REST APIでWikiページ化するなど。30
マメなサポートチャット以外の対話方法として Redmineチケットもオススメ。チャット代替となるだけでなく、チケットに親しむ機会としても有用です。例えばプロジェクト作成依頼リポジトリー作成依頼といった Redmine運用に関わるものはそれ自体をチケットで管理します。31
課題32
課題ここまでの内容をみると大成功しているように見えますが、Redmineのなじまない人、部署があるタスクや工数管理に別サービスが利用されているといった課題もあります。これは教育や不足している機能のプラグイン補完などによる対応を検討していますが、道のりは長い...33
課題最近、日本の Redmine界隈で話題?になった記事Redmineの直近の課題~競合ツールGitlabに対抗できるか:プログラマの思索↑で挙げられている内容は Redmine運用していて強く実感させられる課題です。私的には環境面の運用が厳しい。インストール、更新、プラグインやテーマの配布と互換性など。34
ご静聴、ありがとうございました!!35