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科学教育におけるテクノロジー活用の全般的な効果:メタ分析を通した研究成果の統合
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Daiki Nakamura
August 19, 2018
Education
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27
科学教育におけるテクノロジー活用の全般的な効果:メタ分析を通した研究成果の統合
日本科学教育学会第42回年会 2018年8月19日
Daiki Nakamura
August 19, 2018
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Transcript
科学教育におけるテクノロジー 活用の全般的な効果 -メタ分析を通した研究成果の統合 - 町田市立七国山小学校 ◦中村 大輝 日本体育大学大学院教育学研究科 山根 悠平
日本体育大学大学院教育学研究科 西内 舞 日本体育大学大学院教育学研究科 雲財 寛 科学教育学会 2018-8-19 全23枚+補
研究概要 研究の目的 科学教育におけるテクノロジー活用の 全般的な効果を明らかにすること 2 1. 小~中程度の効果量 2. 出版バイアスは× 3.
活用目的が影響 統合した全体の効果量は0.42 他の指導法より高いとは言えない ゆがめられているとは言えない テクノロジーの活用目的が 効果量に影響 効果量 g の統合 (メタ分析)
発表の流れ 3 Ⅰ.研究の背景 Ⅲ.出版バイアス Ⅱ.全般的な効果 Ⅳ.影響する変数
テクノロジーの普及 4
テクノロジーの普及 5
国際的な情勢 6 21世紀を生きる子供に必要なリテラシーの1つとして, 情報・メディア・ICTリテラシーがある 教育におけるテクノロジー活用の推進 ⚫ UNESCO(2010) ⚫ 世界教育フォーラム(2015) ICTsについては教育システム,知識の普及,情報アクセ
ス,質の高い効果的な学習,さらに効果的なサービス提供 に生かされる
国外における投資 7 2030億円 教育テクノロジーのスタートアップへの投資額
国内における整備 8 ⚫ 第2期教育振興基本計画 教育用コンピューター1台当たり 児童生徒数3.6人を目指す ⚫ 教育のIT化に向けた環境整備4か年計画 4年間で総額6712億円の投資 (H26-29)
事例 9 ⚫佐竹(2014)中学校理科 タブレットPCを活用 学習内容の理解に正の効果 ⚫高橋ら(2009)小学校算数 提示用デジタルコンテンツを活用 学習内容の理解に正の効果 ⚫稲垣・廣瀬(2011)大学数学 統計学学習ゲームを活用
学習内容の理解に負の効果 -0.78 0.30 効果量 g 0.54 0 比較可能になった
研究目的 10 科学教育におけるテクノロジー活用の 全般的な効果を明らかにする 目的 小中高大 理数授業 電子機器 の使用 効果量
g を人数で 重み付き平均
研究の方法 11 論文 国内論文誌 8誌 キーワード検索 抽出 論文901件 ・理数授業内でテクノロジー活用 ・知識理解か思考力を測定
・効果量が算出可能 論文12件
研究の方法2 12 論文12件 𝒈 = 1 − 3 4 𝑛1+𝑛2−2
−1 × 𝜇1−𝜇2 𝑛1𝑠1 2+𝑛2𝑠2 2 𝑛1+𝑛2 重み付き平均 平均効果量 =全般的な効果 どの研究も、平均効果量付近に 収束するはず →出版バイアスの検討 平均 d プロット メタ分析 実験群-統制群
発表の流れ 13 Ⅰ.研究の背景 Ⅲ.出版バイアス Ⅱ.全般的な効果 Ⅳ.影響する変数
効果量の統合 14 論文12件 0.23 [-0.39, 0.86] 0.25 [-0.12, 0.62] 0.40
[ 0.07, 0.72] 0.54 [ 0.37, 0.71] -0.78 [-1.48, -0.08] 0.30 [ 0.06, 0.54] 0.14 [-0.33, 0.62] 1.95 [ 1.14, 2.76] 0.37 [ 0.09, 0.66] 0.88 [-0.01, 1.78] 0.58 [-0.06, 1.22] 0.59 [ 0.41, 0.77] 0.42 [ 0.19, 0.65] 研究 8 稲垣・廣瀬(2011) 研究 7 高橋ら(2009) 研究 6 横山ら(2007) 研究 5 高垣・田原(2006) 研究 4 中高下ら(2002) 研究 3 鳥居 ら(1998) 研究 2 白石(1996) 研究 1 白石・中野・吉田・武藤(1991) 研究 12 相馬(2016) 研究 11 中野ら(2016) 研究 10 及川・加藤・横山(2015) 研究 9 佐竹(2014) 文献 効果量 [95%信頼区間] 平均効果量 𝒈 = 1 − 3 4 𝑛1 + 𝑛2 − 2 − 1 × 𝑑 0 Ntotal = 1471
平均効果量の解釈 15 平均効果量 g=0.42 Cohen基準:小~中程度の大きさ • Lipsey & Wilson(1993):心理・教育分野 <0.50>
• Hattie(2009) :指導法全体 <0.40> • Hattie(2009):コンピューターを利用した指導 <0.37> →先行研究と近い数値 ◆先行研究との比較 →費用対効果の問題も存在 →資質・能力の育成という観点からいえば、 他の指導法より高い効果があるとは言えない
発表の流れ 16 Ⅰ.研究の背景 Ⅲ.出版バイアス Ⅱ.全般的な効果 Ⅳ.影響する変数
漏斗プロット 17 効果量 標準誤差 0.456 0.342 0.228 0.114 0 -1
-0.5 0 0.5 1 1.5 2 出版バイアスの 傾向は見られず 平均効果量 g=0.42
フェイルセーフ N 18 この先,効果量が0という研究結果を 何個追加したときに, 全体の平均効果量が有意でなくなるか フェイルセーフ N 効果がないという研究結果が多少存在したとしても、 プラスの効果があるという結果は揺るがない
=300 効果がない ↓ 未公開の研究によって結果が揺らぐ?
発表の流れ 19 Ⅰ.研究の背景 Ⅲ.出版バイアス Ⅱ.全般的な効果 Ⅳ.影響する変数
調整変数ごとの効果量 20 調整変数 研究数 g QB 教 科 理科 7
.53 1.64 (p =.20) 数学 (算数) 5 .26 被 験 者 小学生 3 .56 2.96 (p =.40) 中学生 5 .38 高校生 2 .59 大学生 2 -.08 年 代 1990s~ 3 .64 2.35 (p =.31) 2000s~ 4 .51 2010s~ 5 .23 資質 能力 知識・理解 2 .39 0.03 (p =.87) 思考力 10 .42 活 用 目 的 拡大・ 可視化 2 .68 7.26* (p =.03) 動機づけ 2 -.20 理解支援 8 .46 下位変数間 のばらつき →テクノロジーの活用目的が効果量に影響する可能性
年代推移 21 1990 1995 2000 2005 2010 2015 -0.5 0.0
0.5 1.0 1.5 2.0 西暦 効果量 年代による変動 は見られない
提案 22 × このテクノロジーを使うと効果がある 〇 このテクノロジーをこの目的でこのように 使うと、これくらいの効果がある 転換 効果量という共通の 物差しで比較を
使用目的を意識 して効果検証を
今後の課題 23 ⚫研究の蓄積が必要 ⚫他の調整変数の検討
研究概要 研究の目的 科学教育におけるテクノロジー活用の 全般的な効果を明らかにすること 24 1. 小~中程度の効果量 2. 出版バイアスは× 3.
活用目的が影響 統合した全体の効果量は0.42 他の指導法より高いとは言えない ゆがめられているとは言えない テクノロジーの活用目的が 効果量に影響 効果量 g の統合 (メタ分析)