Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

科学教育におけるテクノロジー活用の全般的な効果:メタ分析を通した研究成果の統合

 科学教育におけるテクノロジー活用の全般的な効果:メタ分析を通した研究成果の統合

日本科学教育学会第42回年会 2018年8月19日

Daiki Nakamura

August 19, 2018
Tweet

More Decks by Daiki Nakamura

Other Decks in Education

Transcript

  1. 科学教育におけるテクノロジー 活用の全般的な効果 -メタ分析を通した研究成果の統合 - 町田市立七国山小学校 ◦中村 大輝 日本体育大学大学院教育学研究科 山根 悠平

    日本体育大学大学院教育学研究科 西内 舞 日本体育大学大学院教育学研究科 雲財 寛 科学教育学会 2018-8-19 全23枚+補
  2. 研究概要 研究の目的 科学教育におけるテクノロジー活用の 全般的な効果を明らかにすること 2 1. 小~中程度の効果量 2. 出版バイアスは× 3.

    活用目的が影響 統合した全体の効果量は0.42 他の指導法より高いとは言えない ゆがめられているとは言えない テクノロジーの活用目的が 効果量に影響 効果量 g の統合 (メタ分析)
  3. 研究の方法2 12 論文12件 𝒈 = 1 − 3 4 𝑛1+𝑛2−2

    −1 × 𝜇1−𝜇2 𝑛1𝑠1 2+𝑛2𝑠2 2 𝑛1+𝑛2 重み付き平均 平均効果量 =全般的な効果 どの研究も、平均効果量付近に 収束するはず →出版バイアスの検討 平均 d プロット メタ分析 実験群-統制群
  4. 効果量の統合 14 論文12件 0.23 [-0.39, 0.86] 0.25 [-0.12, 0.62] 0.40

    [ 0.07, 0.72] 0.54 [ 0.37, 0.71] -0.78 [-1.48, -0.08] 0.30 [ 0.06, 0.54] 0.14 [-0.33, 0.62] 1.95 [ 1.14, 2.76] 0.37 [ 0.09, 0.66] 0.88 [-0.01, 1.78] 0.58 [-0.06, 1.22] 0.59 [ 0.41, 0.77] 0.42 [ 0.19, 0.65] 研究 8 稲垣・廣瀬(2011) 研究 7 高橋ら(2009) 研究 6 横山ら(2007) 研究 5 高垣・田原(2006) 研究 4 中高下ら(2002) 研究 3 鳥居 ら(1998) 研究 2 白石(1996) 研究 1 白石・中野・吉田・武藤(1991) 研究 12 相馬(2016) 研究 11 中野ら(2016) 研究 10 及川・加藤・横山(2015) 研究 9 佐竹(2014) 文献 効果量 [95%信頼区間] 平均効果量 𝒈 = 1 − 3 4 𝑛1 + 𝑛2 − 2 − 1 × 𝑑 0 Ntotal = 1471
  5. 平均効果量の解釈 15 平均効果量 g=0.42 Cohen基準:小~中程度の大きさ • Lipsey & Wilson(1993):心理・教育分野 <0.50>

    • Hattie(2009) :指導法全体 <0.40> • Hattie(2009):コンピューターを利用した指導 <0.37> →先行研究と近い数値 ◆先行研究との比較 →費用対効果の問題も存在 →資質・能力の育成という観点からいえば、 他の指導法より高い効果があるとは言えない
  6. 漏斗プロット 17 効果量 標準誤差 0.456 0.342 0.228 0.114 0 -1

    -0.5 0 0.5 1 1.5 2 出版バイアスの 傾向は見られず 平均効果量 g=0.42
  7. 調整変数ごとの効果量 20 調整変数 研究数 g QB 教 科 理科 7

    .53 1.64 (p =.20) 数学 (算数) 5 .26 被 験 者 小学生 3 .56 2.96 (p =.40) 中学生 5 .38 高校生 2 .59 大学生 2 -.08 年 代 1990s~ 3 .64 2.35 (p =.31) 2000s~ 4 .51 2010s~ 5 .23 資質 能力 知識・理解 2 .39 0.03 (p =.87) 思考力 10 .42 活 用 目 的 拡大・ 可視化 2 .68 7.26* (p =.03) 動機づけ 2 -.20 理解支援 8 .46 下位変数間 のばらつき →テクノロジーの活用目的が効果量に影響する可能性
  8. 年代推移 21 1990 1995 2000 2005 2010 2015 -0.5 0.0

    0.5 1.0 1.5 2.0 西暦 効果量 年代による変動 は見られない
  9. 研究概要 研究の目的 科学教育におけるテクノロジー活用の 全般的な効果を明らかにすること 24 1. 小~中程度の効果量 2. 出版バイアスは× 3.

    活用目的が影響 統合した全体の効果量は0.42 他の指導法より高いとは言えない ゆがめられているとは言えない テクノロジーの活用目的が 効果量に影響 効果量 g の統合 (メタ分析)