スクラムフェス福岡2024での講演資料です。
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皆さん、職場でFour Keysを導入していますか?
Yesと答えた皆さん、『LeanとDevOpsの科学』は読みましたか?
あくまで僕の周囲のみの観測で語るのですが、Four Keysを職場で導入しているという人はとても多いのですが、そのうち、出典である『LeanとDevOpsの科学』をきちんと読んだ人はかなり少ないようです。
そして、ここで敢えて強めの主張をするのですが 『LeanとDevOpsの科学』を読まずにFour Keysをきちんと利用することはほぼ不可能です。 Forsgrenらは徹底した研究の結果として4つのメトリクス(指標)を見出すのですが、その裏には彼女らの沢山の思いが詰まっています。その思いや彼女らの思考を理解し、彼女らの考えをきちんとトレースして始めて、Four Keysは意味を持ちます。
そして『LeanとDevOpsの科学』をちゃんと読めば、ただツールを導入してFour Keysだけ測っても何の意味もないことがわかります。 Four Keysが生まれた背景にこそ、この研究の真の価値があるのです。
また、彼女らの研究結果にはFour Keys以外にも沢山の知見が含まれていて、それらを知らないのはとてももったいないことです。
Forsgrenらがやったのは、ソフトウェア開発の何がIT企業のパフォーマンスに効果があるかを科学的手法を使って徹底的に調べ上げることでした。そして彼女らが発見した、DevOps組織のパフォーマンスを上げるために必要な24(現在は27。4どころではない!)のケイパビリティには、継続的デリバリは当然のこと、組織文化やリーダーシップ、リーンといったものも含まれていて、それらに対する研究結果の多くはスクラム/アジャイルの実践の上でもとても参考になるものです。(実際、書籍の中にアジャイルへの言及もあります。)
このセッションでは、Four Keysやそれらの計測には敢えて焦点を当てず、背後の考え方をきちんと解説することを目指します。また付随して、現在・過去とソフトウェアメトリクスの研究・実践をしてきた研究者の立場から、Forsgrenが学会誌で過去に発表している記事なども参考に、こうした(Four Keysに限らない)チームのパフォーマンスを測るにはどうしたらいいか、の一般的な解説も含めていきます。
結論としては「『LeanとDevOpsの科学』をちゃんと読もう!」なのですが、なにぶん研究者が書いた書籍なので少し堅苦しいところも多く、慣れない人には読みづらい本かもしれません。そういった点を、同じ研究者の立場からなるべく平易に紐解き、皆さんが『LeanとDevOpsの科学』を絶対に読みたくなる状態を目指します。