私は筑波技術大学産業技術学部という聴覚障害学生を対象とした大学(学部)で情報工学を教えています。
先日RSGT2023でアジャイル開発を学んだ学生チーム(うきうきなっとう)が登壇をしました。その際に彼らが楽しくGatheringできるよう、「うきうきテーブル」という雑談テーブル(音声認識を使った会話ができるテーブル)を設置しました。
結果、うきうきメンバーが多くの人と会話ができRSGTをエンジョイできるようになった一方で「さまざまな聞こえ方の人が対話する」ことに関して本質的な問題がたくさん浮き彫りになりました。
・互いに自分の発言が伝わっているかについて無自覚である
・意外と互いの話を聞いていない
・誰が主体で話をするかによって対話のテンポを意識する必要がある
・聴者とろう者、それぞれ気づいていなかったことがある
本発表では浮き彫りになった問題をさらに分析し、今後異なる聞こえ方の人たちがわいわいと盛り上がれるようになる情報保障とは何か、仮説を立ててお話ししたいと思います。
なお今回は聞こえ方を対象としていますが、将来的には多様性の高いGatheringを実現する試みの第1歩と考えています。
また現時点ではGatheringを対象としていますが、これはアジャイル開発の価値の一つ「個人と対話(Individuals and Interactions)」を多様性のあるチームで実現するための第1歩だと考えています。
ですので聴覚障害者の情報保障に限らず、多様性のあるチームの働き方の話として議論するきっかけになればと思っています。