Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

成長するチームと製品(enPiT筑波大の紹介)

 成長するチームと製品(enPiT筑波大の紹介)

2019年7月12日(金)に筑波大学「情報メディア入門C」にて講義した内容をちょっと手直ししてアップしました。

Chiemi Watanabe

July 13, 2019
Tweet

More Decks by Chiemi Watanabe

Other Decks in Education

Transcript

  1. 渡辺知恵美(Chiemi Watanabe) • 専⾨:データ⼯学 • セキュアデータ管理(データ匿名加⼯、暗号化データベース) • 2013年〜 2017年 システム情報系

    助教 • 2018年〜 図書館情報メディア系 准教授 • 2019年〜 筑波技術⼤学 産業技術学部 准教授 成⻑分野を⽀える 情報技術⼈材の育成拠点の 形成(enPiT)専任教員
  2. 情報学群:ビジネスシステムデザインA/B • 通称 enPiT (Education Network for Practical Information Technologies)

    • 「成⻑分野を⽀える情報技術⼈材の育成拠点の形成」⽂部科学省⽀援事業
  3. enPiT1 実績 • 2014年度:「コロコロプラグ」 • GUGEN2014優秀賞 &起業賞(コクヨ賞) • 2015年度:「PoiPet」 •

    Mashup Awards 11 学⽣部⾨優勝 & アドビシステムズ賞 • GUGEN2015Vstone賞 • 2016年度: 「ChaTravel」 「れいんちゃん」 • Mashup Awards 2016 Repl-AIイケてるチャット ボット賞,Shopping Bot Award • Mashup Awards 2016エーアイ賞 • 「(集GO! 改め) meePa 」 • Mashup Award 2017 LINE賞 • https://www.youtube.com/watch?v=IzrIWe msuNY&list=PLJgl_g8FlTiNGlPYQA2F7taMa 4HN9Kgxw
  4. パターン3: メテオフォール •「2週間前に⾊々⾔われても…」 • 発表前にシステムを動かしてもらったら仕様にない注⽂を ⾊々つけられた。そんなん⾔われても、もう無理です。 •「先⽣が⼿を出す⼝を出す」 • 僕らの学びを奪わないで… •

    偉い⼈「そんなの僕だったら使わない」 • 発表会にて。あの⼈は対象じゃないのに。評価下げられたらいやだ! 参考)メテオフォール型開発, http://eiki.hatenablog.jp/entry/meteo_fall (愚痴じゃないんです。受講⽣はとっても真⾯⽬で⼀⽣懸命でした。)
  5. プレイヤー⾃⾝の問題ではない • 期間中、それぞれ必死にやっている 設計でてく るまで遅れ てるよ! 要件理解す るの⼤変な んだよ! モノができたから良かれと思って

    改善要求しているのに こっちだって要求通りに 作ってるんですよ (2013年度当時) 適⽤していたソフトウエア 開発プロセス V字モデル(ウォーターフォール型開発)
  6. 社会の写し鏡だったようだ • γεςϜ։ൃϓϩδΣΫτͷ੒ޭ཰ 466 253 921 1280 561 824 2003

    2008 2018 成功 失敗 ⽇経コンピュータ 2018年3⽉号 https://business.nikkei.com/atcl /opinion/15/100753/03070000 • ໺ଜᨽ݊が೔ຊ*#.に依頼した⾦融システム開発プロジェクト が頓挫。損害賠償ԯԁ。 • Ѵ઒ҩେが/55౦೔ຊに依頼した電⼦カルテシステム開発プロ ジェクトが頓挫し訴訟。札幌⾼等裁判所は旭川医⼤にԯԁの ⽀払いを命じる。 など… 訴訟多数
  7. 問題解決と暗黙知 問題が ある 解決 ツール • 顧客が問題を全部⾔葉にできて いるとは限らない • 気づいていない問題が隠れている

    解決法の アイデア 実現の ⼿段 暗黙知 暗黙知 • 解決法のアイデアは知の塊 • 実現の⼿段も⼀通りではない • ⾔葉で正しく伝えられるのか
  8. チーム開発と暗黙知 システム構成 利⽤するツール と使い道 実装⽅法 (アルゴリズム) データ分析 今どんな問題を 抱えているか 今何をやっているか

    今何を考えて いるのか 状況や開発者個⼈の考え⽅、知っている知識によって 開発の仕⽅は多岐にわたる。マニュアル化するのは⾮常に難しい。 暗黙知
  9. 5IF/FX/FX1SPEVDU%FWFMPQNFOU(BNFT (H. Takenaka and I. Nonaka, Harverd Business Review, 1986)

    • ⽇本の製造業者(富⼠ゼロックス, キャノン, ホンダ)の 新製品開発プロセスをNASA等と⽐較
  10. “スクラム” • 段階ごとに分断せず重なりあい、 スピードも柔軟性も優れていた • チームは機能横断的で主体性が あった • ⾃分たちの枠を超えた⼤きなも のを⽬指していた

    • マネジメントは指図しない • 管理職はサーバント(奉仕型) リーダーでまとめ役 • 中⾝や進め⽅を細かく指⽰した りしなかった チーム内でボールをパスしながら、チームは⼀団となってフィールドを進む Jeff Sutherland著, ⽯垣賀⼦訳, スクラムより当該論⽂に関する部分を要約・引⽤ Conor Lawless, Scrum, https://flic.kr/p/67KuTJ
  11. アジャイルマニフェストは「指針」 Agile [adjective] 1. quick and well-coordinated in movement 2.

    active; lively 3. marked by an ability to think quickly Donʻt do agile, be agile.
  12. 4DSVNEFWFMPQNFOUQSPDFTT (Ken Schwaber, OOPSLA Business Object Design and Implement workshop,

    1997) • Ken SchwaberとJeff Sutherlandにより提唱 • 複雑で変化の激しい問題に対応するためのフ レームワーク Jeff Sutherland著, ⽯垣賀⼦訳, 早川書房より引⽤ 私たちがイーゼルでこれを読んだときは発表から7年が経ってい た。(略) トヨタがこのアプローチで市場シェアを拡⼤しているに も関わらず、平均的なアメリカの経営者は、この⼿法を⾃分のも のにして取り⼊れることができずにいたのだ。(略)このアプ ローチを試してみることにした。両⽒の考え⽅は、分野を問わず、 ⼈間がチームになって仕事をする際のプロセスの根本を捉えてい ると感じたからだ。
  13. スクラムガイド • 経験主義を基本 • 実際の経験と既知に基づく判断によって 知識が獲得できる • 反復かつ漸進的な⼿法で、予測可能性の最適 化とリスクの管理を⾏う •

    スクラムを⽀える三本柱 • ಁ໌ੑ • 結果責任を持つものに対して⾒える化 されている • ݕࠪ • 頻繁に検査し好ましい変化を検知する • దԠ • プロセスに不備があれば調整を⾏い 逸脱を防ぐ https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf
  14. スクラムチーム スクラム マスター プロダクト オーナー(PO) 開発チーム ⾃⼰組織的:作業を成し遂げる最善の策を、⾃分たちで選択し、動く 機能横断的:チームメンバーがそれぞれの役⽬を超えて連携する ϓϩμΫτͷՁ஋࠷େԽに 責任を持つ

    ü 必要な機能リストの管 理・更新 各スプリント(後述)の終了時に リリース判断可能なʮ׬੒ͨ͠ʯ プロダクトを届けることのできる 専⾨家 スクラムの促進と⽀援の責任者。 ü メンバーが最⼤のパフォーマ ンスを発揮するよう奉仕する ü あらゆる障害を取り除く 顧客/外部関係者 (ステークホルダー)
  15. プロダクトバックログ ü 顧客が本当に欲しいものを検証できる੡඼を継続的に ఏڙするための(優先順位づけられた)機能リスト “The Myth of Incremental Development” by

    Herding Cats Where4Lunch とにかく何かオススメしてくれる ランチで迷って結局コンビニな⼈のために ランダムにオススメしてくれる お店の基本情報を掲載 他の選択肢も推薦 現在地の周辺の店を推薦 ⼈気ランキングを考慮して推薦 過去の履歴を考慮して推薦
  16. 前提:餅は餅屋 • 「理解は容易、実践は困難」 • スクラムの実践にも「暗黙知」がある • プロの「アジャイルコーチ」が導⼊⽀援 永瀬美穂⽒ 株式会社アトラクタ CBO,

    産業技術⼤学院⼤学特任准教授。 多くの企業でアジャイル導⼊⽀援 実績あり。 筑波⼤のほか、東⼯⼤、琉球⼤、 公⽴はこだて未来⼤等でも アジャイルに関する講義を実践。 kyon_mm⽒ うさぎ組代表。 株式会社オンザロードでシステ ムアーキテクトとして活躍する 傍ら、フリーでアジャイルコー チを務める。2016年度より筑 波⼤enPiTのアジャイル講師を 担当。
  17. 夏合宿:1⽇1スプリント • スプリントのリズムを体に覚えさせる PBL基礎での1⽇ 8:40 リリース計画 開発(途中2回情報共有) 17:00 実機デモ 17:30

    振り返り リリースノート • ⼣⽅にリリースをする 機能を宣⾔する 情報共有(Standup meeting) • タスクの状況や現在起きている問題 を共有する 振り返り • 1⽇を振り返り、明⽇改善する ための取り組みを考える デモンストレーション • 実機でのデモでのみ成果を⽰す
  18. スプリントごとにプロダクトが੒௕͢Δ ϓϩμΫτόοΫϩά ࡞੒ɾߋ৽ͷͨΊͷ ϛʔςΟϯά 顧客・POと(開発チーム) が共同で作る ɾϓϩμΫτόοΫϩά ࡞੒ɾߋ৽ ɾܭըϛʔςΟϯά 必要な機能や

    開発タスクに落とし込む ࣮૷ プログラムによって 製品を作り出す ϨϏϡʔ デモやリリースで 使⽤することによって 新たな知を⽣成
  19. スプリントごとにνʔϜも੒௕͢Δ ৼΓฦΓ チームメンバーで 学びを共有 ৼΓฦΓπΞʔ 他のチームの振り返り も⾒る λεΫ͔Μ͹ΜͳͲͷ ਐḿՄࢹԽ σΠϦʔεΫϥϜ

    νʔϜͰࣗݾ૊৫తʹ ໰୊ղܾΛ͢Δ ϊ΢ϋ΢ͷ065165 Ұॹͷ෦԰Ͱ΍Δ 全チーム同じ部屋で 開発する ϖΞϓϩɾϞϒϓϩ ⼀緒にプログラムを書いて ノウハウを伝承する ࣮૷ɾ࣮ݧɾௐࠪ
  20. プラクティス:タスクかんばん • PBI: 開発する機能 • TODO: これからやる タスク • DOING:

    作業中 • DONE: 完了 チームの進捗状況が⼀⽬でわかる 状況を表出。 刺さってる タスクもわかる
  21. 再掲:パターン3: メテオフォール •「2週間前に⾊々⾔われても…」 • 発表前にシステムを動かしてもらったら仕様にない注⽂を ⾊々つけられた。そんなん⾔われても、もう無理です。 •「先⽣が⼿を出す⼝を出す」 • 僕らの学びを奪わないで… •

    偉い⼈「そんなの僕だったら使わない」 • 発表会にて。あの⼈は対象じゃないのに。評価下げられたらいやだ! 実際、アジャイルコーチに注意された。 やらないように⼼がけています。