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探究とアジャイル

 探究とアジャイル

Scrum Fest Osaka 2021 で話しました。
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-osaka-2021/proposal/15423

noteで報告をしました。
https://note.com/chiemi627/n/n0fa0ebce1c1f

C93ddcd56e947995124a73c45651f780?s=128

Chiemi Watanabe

June 26, 2021
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Transcript

  1. 探究とアジャイル 渡辺 知恵美 (筑波技術⼤学) 【Scrum Fest Osaka 2021】

  2. ⾃⼰紹介 渡辺知恵美(わたなべ ちえみ) 筑波技術⼤学 産業情報学科 准教授 筑波⼤学 ⾮常勤講師 専⾨:データ⼯学、個⼈情報保護技術、暗号化DB 2013年より教育プロジェクトenPiT専任教員として

    筑波⼤にてチームによるシステム開発教育に携わる AgilePBL祭り実⾏委員会
  3. 筑波⼤ enPiT • 情報系学部のプロジェクトベース学習(PBL)に 担当教員として 8年ほど関わる • ICT技術を利⽤し、チームで問題解決 • 「⾃分の⾝の回りの困りごとを解決する」

    • 2016年からアジャイル開発を導⼊ • 1週間の夏合宿でスクラム開発のリズムを体感 • 10⽉〜12⽉に 15スプリントを実施 • 1⽉に発表 enPiT: 2012年度〜2020年度に実施された⽂部科学省補助⾦事業の名称。 もう終了しましたが、名前が定着したのでそのまま使ってます。 顧客の価値、良いものを提供する良いチームに本気で向き合う
  4. Agile PBL 祭り (2020~) ⼤学のPBL(Project Based Learning)などでアジャイル開発を 取り⼊れている学⽣チームや、企業でのプロジェクト実践者が参 加し、相互学習と交流をするイベント

  5. なんで学校で アジャイル開発? わざわざ教えなくても良くない? あなたの思いを率直に聞かせてください

  6. 「アジャイルはいいものだ」の 教育的な意味とはなにか? • 現場でやっている「良いもの」をそのまま適⽤して うまくいっているから「よいものだ」と⾔うだけではない • ⼤学でやることの価値、教育としての価値があるように 経験的に・直感的に感じたからやっている • ではアジャイルPBLの教育的な意味とは何だろう?

  7. 頭の中でぐるぐるしたこと • エンジニアリングに限らない「学び⽅の実践的な学び」を獲得 しているのではないかと感じた • 学び⽅の実践的な学びはアジャイル開発だけのもの?きっと違 うだろう。⼀般的なものであれば、教育や⼼理学においても研 究され、どこかの学校で実施されているに違いない • 学⽣たちは、既にこのような学び⽅を⾼校までに⾝につけてく

    るかもしれない
  8. そんな時に知った 「探究学習」 • HIGH TECH HIGH • アメリカの公⽴チャータースクール • 幼稚園、⼩学校、中学校、⾼校

    (+教育⼤学院) • ほぼ全てをPBLで実施 https://amzn.to/35L9MhX
  9. 実践者の あつまるところに ⾶び込んでみた • Learning Creatorʼs Lab (LCL) • 探究学習の主要な理論に

    触れつつ、⾃らプロジェ クトを⽣成する • 参加者:学校教員、⼤学 院⽣、会社員等 • 理論: • 探究マインドセット • 国際バカロレア • ⼦供哲学 • イエナプラン
  10. 今回お話しする内容 • Agile PBLの教育的な意味、効果 • 学び始めたばかりですが、現時点の私なりの理解について 話してみようと思います • 知っている⽅には古典かつ常識のレベルかと思いますし、 勘違い等も多分に含まれていると思いますが、

    勉強したての新鮮な気持ちを懐かしんでください • Keywords • 1: 経験主義 • 2: 学びの共同体 • 3: ⺠主的な学び、秩序のある⾃由
  11. Keyword 1: 経験主義 スクラムは「経験主義」と「リーン思考」に基づいている。経験 主義では、知識は経験から⽣まれ、意思決定は観察に基づく。 リーン思考では、ムダを省き、本質に集中する。 スクラムで⽣み出す知識 • 顧客にとって価値のあるプロダクト(Why, What)

    • 実現⽅法、実現するためのスキル(How) • チームの協働 スクラムガイドより
  12. 経験と教育 経験主義、あるいは進歩主義 (※ 私の理解による要約) • ⼈は経験から「⽣きた知識」を⾝につけることができる。 • 教材は⼤⼈の独断(これを理解すべきと⾔う項⽬)でトップダ ウンに与えるものでない。 •

    学習者が価値のある経験の連鎖を起こすよう、教員は刺激や理 解のための道具(過去の知識)を与えるべき 経験 仮説 検証 内省 仮説 検証 内省 仮説 検証 内省 検証の総括、経験の組織化を⽀援、次の経験への刺激 観察 観察 観察 (John Dewey, 1938年)
  13. 国際バカロレア 初等教育「概念から学ぶ」 • 教科横断の「概念」を探究し、 そのための道具として事実を学ぶ • 例 広告の影響(⼩学4年) 教科を超えたテーマ 私たちはどのように

    ⾃分を表現するのか 概念 広告は私たちの考え⽅や選 択に影響する 探究内容 広告の⽬的 広告の種類、スタイル、場所 広告を効果的にし、私たちの選択に影響を及ぼす ために使われる要素(⾔葉、画像、⾳声) 広告とターゲット層、特に⼦供の関連性 PYPの作り⽅: 初等教育のための国際教育カリキュラムの枠組み pp.16
  14. スクラムのリズムは経験による学びの連鎖を⽣み出す Photo by Robby McCullough on Unsplash

  15. Keyword 2: 学びの共同体 • LCLの学びの空間が⼼地良い • 教える・教わるの構造ではなく、 探究とは何かを共に学ぶ、 多様な業種、多様なレベルの 参加者が段階的に存在する

    • 受講⽣・OB/OG・運営 講師それぞれが 外部で活動していて、 それぞれの活動が緩やかに 繋がるイメージ 主催・運営 講師 講師 アルムナイ 受講⽣ 勉強会 勉強会 外部勉強会
  16. enPiT筑波⼤も共同体の構成が似通っている • 修了⽣は メンターとして 運営に関わる • 教員も修了⽣も 受講⽣も⼀緒に学ぶ • 何度やっても

    違う学びがあって 楽しい • 講師と外部の 勉強会で繋がる 主催・運営 講師 講師 OB/OG, メンター 受講⽣ 勉強会 勉強会 RSGT スクフェス, あじゃてく
  17. ⾃分の 理解 ⾃分の経験をもとに ⼼地の良い共同体による理解の過程を 絵にしてみた ⾃分の 理解 興味 講師 講義による刺激

  18. ⾃分の経験をもとに ⼼地の良い共同体による理解の過程を 絵にしてみた ⾃分の 理解 ⾃分の 理解 興味 他の 受講⽣

    他の 受講⽣ 他の 受講⽣ 講師 ⾃分の 理解 ⾃分 の 理解 興 味 講師 理解の共有による 学習・刺激
  19. ⾃分の経験をもとに ⼼地の良い共同体による理解の過程を 絵にしてみた ⾃分の 理解 ⾃分の 理解 興味 他の 受講⽣

    他の 受講⽣ 他の 受講⽣ 講師 ⾃分の 理解 ⾃分 の 理解 興 味 講師 ⾃分の 理解 ⾃分の 理解 内省(リフレクション) による学習と興味 質問会・勉強会・お話会
  20. 英知に関する研究 • Sieglerの多重派モデル(1996) • ⼈は発達のどの時点でも 多様な⾒⽅(⽅略)を持つ • 学びが進む時は、 複数の⽅略の優位性がゆらいでいる •

    他者の視点に⽴つことで 揺らぎが起こりうる • 揺らぎが起こった後、⼀⼈で 内省をすると、英知につながる Siegler, R. S. (1996). Emerging minds: The process of change in childrenʼs thinking. New York, NY: Oxford University Press.
  21. ⼼地の良い学びの共同体は⽣きた学びを加速する Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

  22. Keyword 3: ⺠主的な学び、秩序のある⾃由 • イエナプランの「8つのミニマム条件」 • ドイツのイエナ⼤学教授ペーター・ペータゼンが1924年に創始した学校教育。 現在オランダで広く発展している。 🤔 ⺠主化...

    ? 1. インクルーシブな思考に基づく教育 2. 学校を⼈間的なものにし⺠主化すること 3. 対話の重視 4. 学校は経済・政治・宗教または他の利害や 他の団体の道具になってはならない 5. 学校の真正性 6. 共同体として共有された⾃⽴的な秩序に基づく⾃由 7. 批判的思考を育てる教育 8. 創造性の重視
  23. 構造ではなく⼈に着⽬するアプローチか! • 教育の場 • あらかじめ⽤意された学習項⽬ をこなしていくのではなく、 • 学習(経験)の結果起きたこと に従って先の学習計画を柔軟に 更新する

    • ソフトウエア開発の場 • あらかじめ決められた要件定義と 設計に必ず従わなければいけない のではなく、 • 開発と検証の結果起きたこと (チームが考え抜いたこと)に 従って先の設計を柔軟に更新する
  24. 次の⼀歩は学習者(達)が決める Photo by Raphael Renter on Unsplash

  25. 全部の学校でこういうことをやってる? • 学習指導要領の改訂で 「探究学習」がキーワードに • ⼩学校 2020年度~, 中学校 2021年度~, ⾼校

    2022年度〜 • 「全社的にアジャイル」 と同じ⾹りが… https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1383986.htm
  26. まだまだモヤモヤ中: 皆さんと学びや悩みを共有したい! • 勉強し始めたばかりなのでいろいろ教えてください • その考え⽅は早計だ • 解釈違うんじゃないかな • こういう考え⽅もあるよ

    • 今回まとめたことで考え始めたこと • スプリントのサイクルの中で、 学びの共有やリフレクションがじっくりできていない気がする • アジャイルのやり⽅に乗っかるだけじゃない、 「教材の組織化」を改めて考えてみたい
  27. 学びのパスをつなげたい 私の思い