Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
テストピラミッドを意識したテストコード実装戦略
02
December 12, 2020
Programming
0
720
テストピラミッドを意識したテストコード実装戦略
このスライドは、「PHP カンファレンス Japan 2020」で登壇した時に使用したスライドです。
02
December 12, 2020
Tweet
Share
More Decks by 02
See All by 02
テストコードリーディングのみでPHPUnitの仕様を理解してみる / Try to understand PHPUnit specification with test code reading only
cocoeyes02
1
1.6k
カンファレンススピーカー入門〜登壇するぞ!って決めてからトークするまで〜 / How to talk in Tech Conference
cocoeyes02
1
660
コミットメッセージ規約 「Conventional Commits」を導入してみよう! / Let's use Conventional Commits
cocoeyes02
5
6.7k
Composer 2.0 新機能概論 / New feature introduction of Composer 2.0
cocoeyes02
1
1.8k
「登壇できない」それ本当ですか? / You cannot become conference speaker ... Is it true?
cocoeyes02
0
1.5k
事業フェーズから見る若手エンジニアの生存戦略 / Survival strategy of youth engineer from the point of view of business phase
cocoeyes02
0
1.3k
リーダブルコミットのすゝめ / Recommendation of Readable Commit
cocoeyes02
6
4.4k
オンラインホワイトボードサービスmiroが最高すぎるはなし
cocoeyes02
0
140
WACATEとテストと開発エンジニア
cocoeyes02
1
1k
Other Decks in Programming
See All in Programming
Showkase、Paparazziを用いたビジュアルリグレッションテストの導入にチャレンジした話 / MoT TechTalk #15
mot_techtalk
0
110
Listかもしれない
irof
1
270
Jetpack Compose 完全に理解した
mkeeda
1
470
Remix + Cloudflare Pages + D1 で ポケモン SV のレンタルチームを検索できるアプリを作ってみた
kuroppe1819
4
1.4k
Cloudflare Workersと状態管理
chimame
3
490
Enumを自動で網羅的にテストしてみた
estie
0
1.3k
フロントエンドで学んだことをデータ分析で使ってみた話
daichi_igarashi
0
180
花き業界のサプライチェーンを繋げるプロダクト開発の進め方
userlike1
0
170
AWSにおける標的型Bot対策
hacomono
0
420
Hono v3 - Do Everything, Run Anywhere, But Small, And Faster
yusukebe
4
130
Swift Concurrency in GoodNotes
inamiy
4
1.3k
新卒でサービス立ち上げから Hasuraを使って3年経った振り返り
yutorin
0
230
Featured
See All Featured
Debugging Ruby Performance
tmm1
67
11k
Done Done
chrislema
178
14k
Adopting Sorbet at Scale
ufuk
65
7.8k
How New CSS Is Changing Everything About Graphic Design on the Web
jensimmons
214
12k
CoffeeScript is Beautiful & I Never Want to Write Plain JavaScript Again
sstephenson
152
13k
Building Adaptive Systems
keathley
27
1.3k
Atom: Resistance is Futile
akmur
256
24k
How to train your dragon (web standard)
notwaldorf
66
4.3k
What the flash - Photography Introduction
edds
64
10k
Cheating the UX When There Is Nothing More to Optimize - PixelPioneers
stephaniewalter
270
12k
Templates, Plugins, & Blocks: Oh My! Creating the theme that thinks of everything
marktimemedia
15
1.2k
WebSockets: Embracing the real-time Web
robhawkes
58
6k
Transcript
テストピラミッドを意識したテスト コード実装戦略 PHP Conference Japan 2020 Track4-3-B #track4-3-b-test-pyramid 02
Who’s 02? 名前: 02 (大津和槻) Twitter: @cocoeyes02 職業: Webエンジニア(主にバックエンド) 経歴:
PHPカンファレンス2019 登壇 「PHPerのためのテストコード入門」
今回の登壇で話すこと • テストピラミッドについて解説 • テストピラミッドを意識しながら、実際にLaravelとPHPをバージョンアップした事例 共有
今回の登壇で話さない(話せない)こと • どのプロダクトにも適応できるテストコード実装戦略
今回のゴール テストコード実装戦略実例を通して、 テストピラミッドについて 理解が深められること
アジェンダ • テストピラミッドとは? • 各層のテストの紹介 • 実例:Laravelチュートリアルのバージョンアップ
テストピラミッドとは?
ユニットテスト 統合テスト テストピラミッドと は? Mike Cohn氏が ”Succeeding with Agile”で 最初に提唱した
3つのテストのコストと実装 すべきテスト量を 示したも の UI テスト コ ス ト 大 小 実 装 す べ き テ ス ト 量 小 多
ユニットテスト 統合テスト テストピラミッドと は? コスト • 実行時間 • テスト範囲 •
修正工数 ◦ メンテナンス ◦ テスト失敗時の原 因特定 UI テスト コ ス ト 大 小 実 装 す べ き テ ス ト 量 小 多
ユニットテスト 統合テスト テストピラミッドと は? 実装すべきテスト量 • テストのケース量 ◦ 正常系・異常系 ◦
パターン テスト結果(成功/失敗)が わかるまでかかる時間 ≒実行時間×テストケース量 UI テスト 実 装 す べ き テ ス ト 量 小 多 コ ス ト 大 小
フィードバックループ フィードバックを得るまでにかかる時間 を図示したもの 「テスト結果(成功/失敗)がわかるまで かかる時間」がそのまま「フィードバック を得るまでにかかる時間」になる wikipedia "Extreme programming"https://en.wikipedia.org/wiki/Extreme_programming
フィードバックループ フィードバックを得るまでにかかる時間 を図示したもの 「テスト結果(成功/失敗)がわかるまで かかる時間」がそのまま「フィードバック を得るまでにかかる時間」になる →コストが少ないテストの方が、 生産 性↑に繋がりやすい wikipedia "Extreme
programming"https://en.wikipedia.org/wiki/Extreme_programming
各層のテストの紹介
ユニットテスト 統合テスト 各層のテストの紹介 • UIテスト • 統合テスト • ユニットテスト UI
テスト コ ス ト 大 小 実 装 す べ き テ ス ト 量 小 多
ユニットテスト 統合テスト UIテスト 最もユーザ目線に近い。 Webサービスではブラウザ を自動操作し、 期待通 りの動作をしているか検証 する Seleniumなどを利用した E2Eテストがこれに当たる。
UI テスト コ ス ト 大 小 実 装 す べ き テ ス ト 量 小 多
ユニットテスト 統合テスト 統合テスト 特定のインプットを渡し 返ってきた内容が 正し いかどうかを検証 Featureテスト(Laravelの httpテスト)や、WebAPIを 使ったテストはこれに当た る
UI テスト コ ス ト 大 小 実 装 す べ き テ ス ト 量 小 多
ユニットテスト 統合テスト 統合テスト 特定のインプットを渡し 返ってきた内容が 正し いかどうかを検証 Featureテスト(Laravelの httpテスト)や、WebAPIを 使ったテストはこれに当た る
UI テスト コ ス ト 大 小 実 装 す べ き テ ス ト 量 小 多 値、リクエス トなど
ユニットテスト 統合テスト ユニットテスト 一つの関数やメソッドに対 して、I/Oを通して 仕様通 りの挙動をしているか検証 する PHPでは、PHPUnitを使う 例が多い UI
テスト コ ス ト 大 小 実 装 す べ き テ ス ト 量 小 多
実例題材 LaravelチュートリアルのバージョンUP
Laravel Tutorial
Laravel Tutorial • 超シンプルなTODOリストサービス ◦ 新規登録 ◦ ログイン ◦ ログアウト
◦ パスワードリセット ◦ タスク追加 ◦ タスク削除 • Laravel 5.2 / PHP5.6 • 典型的なMVC
ユニットテスト 統合テスト Laravel Tutorial 実装されているテストコードは featureテスト(統合テスト)のみ • TOP画面が開ける • 新規登録できる
• タスク作成/削除ができる • 他人のタスクは見れない • 他人のタスクの削除はできない UI テスト
ユニットテスト 統合テスト Laravel Tutorial PHPUnitを使っている(v4.8.36!) • 実行時間は2秒ほど UI テスト
Laravel Tutorial • 「本番でバグが出ていることに気づかなかった」という状況を回避しつつ、「Laravel Tutorial」をバージョンアップしたい • バージョンアップ時にエラーが発生する場合は、いち早く気づけるようにしたい
テストピラミッドに合わせた方針候補 • 保険としてUIテストを追加する • 一部設計を修正してから、ユニットテストを追加する
保険としてのUIテストを追加する • ユーザー目線からのテスト(UIを含めてのテスト)も書いて、さらに担保している感を 強めたい ◦ FWのバージョンアップは、どこにバグが現れるかわからない ◦ テストコードというのは、自分が書いたコードに自信を持つことも目的の 1つ •
「全てUIテストで書く」ことはしない ◦ 一番ユーザー目線に近いテストなので安心度があるが、全部 UIで書くとテスト時間が長くなる ▪ 数十分、数時間かかるテストは運用するの辛い ▪ 統合テストよりは少なくする ユニットテスト 統合テスト UI テスト
保険としてのUIテストを追加する • 今回はseleniumを採用 ◦ Laravel DuskはLarvael5.4からなので、今回は使えない ◦ ChromeやFirefoxなどクロスブラウザでのテストができる余地を残しておく • 新規登録→ログアウト→ログイン→タスク登録のUIテストを作成した
◦ 実行時間は30秒 ユニットテスト 統合テスト UI テスト
一部設計を修正してからユニットテストを追加する • 統合テストでカバーできていないテストは、ユニットテストで担保したい ◦ バリデーション ◦ モデル • 一部リファクタリングをして、DBの処理などをモック化できるようにする ユニットテスト
統合テスト UI テスト
一部設計を修正してからユニットテストを追加する • 自分のタスクを一覧表示する機能をリファクタリング ◦ 一覧表示するときの条件をクエリで決めるのではなく、 Collectionのメソッドを使って決めるようにし た ◦ ユニットテスト時には、「 Collectionのメソッドを使って決めた」部分だけテストすれば良い
ユニットテスト 統合テスト UI テスト
一部設計を修正してからユニットテストを追加する • 新規登録時のバリデーションパターンを網羅 • タスク作成時のバリデーションパターンを網羅 • 自分のタスクを一覧表示する機能のロジックをテスト • 実行時間は全部合わせて3.5秒ぐらい ユニットテスト
統合テスト UI テスト
Laravel Tutorial バージョンアップの結果は…? • Laravel 5.2->5.3 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した • Laravel
5.3->5.4 ◦ UIテストのテストコードだけエラーを発見した( viewのキャッシュをクリアするコマンド実行が必要 だった) ◦ あとはテストコードの修正をした • Laravel 5.4->5.5, PHP5.6->7.0 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した • Laravel 5.5->5.6, PHP7.0 -> PHP7.1 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した
Laravel Tutorial バージョンアップの結果は…? • Laravel 5.2->5.3 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した • Laravel
5.3->5.4 ◦ UIテストのテストコードだけエラーを発見した( viewのキャッシュをクリアするコマンド実行が必要 だった) ◦ あとはテストコードの修正をした • Laravel 5.4->5.5, PHP5.6->7.0 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した • Laravel 5.5->5.6, PHP7.0 -> PHP7.1 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した
Laravel Tutorial バージョンアップの結果は…? • Laravel 5.2->5.3 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した • Laravel
5.3->5.4 ◦ UIテストのテストコードだけエラーを発見した( viewのキャッシュをクリアするコマンド実行が必要 だった) ◦ あとはテストコードの修正をした • Laravel 5.4->5.5, PHP5.6->7.0 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した • Laravel 5.5->5.6, PHP7.0 -> PHP7.1 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した
Laravel Tutorial バージョンアップの結果は…? • Laravel 5.2->5.3 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した • Laravel
5.3->5.4 ◦ UIテストのテストコードだけエラーを発見した( viewのキャッシュをクリアするコマンド実行が必要 だった) ◦ あとはテストコードの修正をした • Laravel 5.4->5.5, PHP5.6->7.0 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した • Laravel 5.5->5.6, PHP7.0 -> PHP7.1 ◦ 全層のテストコードでエラーを発見した →いちいち画面を見ることなく、バージョンアップの作業にもくもくできた
最後に • どのテストも銀の弾丸というわけではない ◦ それぞれ長所短所がある • テストどの層でどの範囲を担保するのか、すり合わせることが大事 ◦ 全体を俯瞰して、どの機能がどのテストで担保できているのか見る必要がある
参考文献など • 今回検証に使った環境 ◦ https://github.com/cocoeyes02/laravel_test_pyramid • 参考文献 ◦ 初めての自動テスト ――Webシステムのための自動テスト基礎
◦ https://www.oreilly.co.jp/books/9784873118161/