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生成AI時代を勝ち抜くエンジニア組織マネジメント

 生成AI時代を勝ち抜くエンジニア組織マネジメント

生成AIの活用は、レビュー時間増とバグ増加の「AIパラドックス」をもたらします。
組織は、実力格差拡大(Gap)、脆弱性蔓延(Risk)、理解負債増加(Debt)の3つの課題に直面しています。
解決には、「書く」から「指揮・検証」へのスキルとプロセスの変革が必要です。
AIに振り回されるのではなく、人間の知見でAIを導く組織への転換を目指します。

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December 12, 2025
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  1. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. 自己紹介 2 村上 正敏

    (むーさん) 株式会社ココナラ 執行役員 VPoE / VP of Product Engineering • 〜2014 (株)日立製作所 / 研究者 • 〜2015 (株)リブセンス / EM • 〜2019 スタートアップ / CTO ◦ 同時期にフリーランス(ココナラ、 freee、メドレー) • 2019〜 現職 / EM → VPoE
  2. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. 開発生産性に関する「AIパラドックス」問題 7 個人 コーディング速度は向上

    生産性20%アップ* 組織/開発全体 PRレビュー時間は 91%増加 バグは 9%増加* Faros AI "The AI Productivity Paradox" (2025) 「速くなった気がする」けど「楽になっていない」理由 ⚠ 局所最適が全体最適を殺している可能性がある GitLab "Global DevSecOps Report: The State of AI in Software Development" (2024)
  3. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. Risk Debt 3つの「不都合な真実」 8

    「生産性向上」の陰で、組織が直面している3つの現実を取り上げます 実力格差の拡大 AI活用の度合いにより、 実力格差が5.5倍にも拡大 脆弱性の蔓延 新たな脅威「理解負債」 誰も説明できない恐怖 理解負債の増加 完璧に見えるコードでも 脆弱性が潜んでいる Gap
  4. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. 【Gap】 実力格差の拡大 9 Fastly

    "AI & Security Survey" 2025 基礎力があるほどAI活用によるレバレッジが効きやすい 注)おそらく AI活用力次第で結果は変わります タスク短縮度合い(完了時間短縮割合) AI活用度合い(コード生成50%以上) シニア (48%) ジュニア (35%) シニア (33%) ジュニア (13%) AIは「指示待ちの部下」 ボトルネックが変化している 正確な指示ができて 始めて機能する 「書く速度」から 「判断速度」に変化 (手戻り少なさも重要) データが示す現実 なぜこの差が生まれるか Zinnov & Ness "Harnessing the Power of GenAI in Transforming Software Engineering Productivity" 2024
  5. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. 【Risk】脆弱性の蔓延 10 脆弱なコードも学習に使われており、安全であることが欠落しがち 45%

    のAI生成コードが脆弱性を含む 存在しないライブラリ 基本防御の欠落 存在しないパッケージを導入 サプライチェーン攻撃の標的に XSSやSQLiなど初歩的な脆弱性が 見落とされがち • Veracode "2025 GenAI Code Security Report" データが示す現実 主な脅威の例 公開リポジトリの脆弱なコードが トレーニングデータに使われている 弱い暗号化アルゴリズム SHA-1など古いアルゴリズムを 使った実装により無防備な状態に
  6. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. 11 AIが1分で書いたコードのデバッグに、人間が3日費やす未来 技術負債 (Technical

    Debt) 理解負債 (Comprehension Debt) 【Debt】 理解負債の増加(生成AI活用で新たに生じている負債) 実装品質が低く、 修正コストが高い状態 動作するが、誰もロジックを 説明できない状態 レビュー時間91%増の背景には、この「理解」コストの急増があるのではないか?
  7. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. Process Shift 12 評価とスキルの変革

    「速さ」のスキルから 「指揮」のスキルへ プロセスの変革 「書く」プロセスから 「検証する」プロセスへ Skill Shift 不都合な真実を乗り越えるために必要な2つの変革(Shift) これからの組織の生存戦略
  8. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. 13 [従来] 指導者(Reviewer) [今後]

    指揮者(Orchestrator) 「正解」を知る指導者として 正誤判定する 「正解」がない中で AIと共に最適解を探索 LOCやVelocityなどで速さを評価 単位時間当たりの課題解決量で評価 「どれだけ書いたか」ではなく「どれだけ価値を生み出したか」が重要 【Skill Shift】評価とスキルの変革(Gapの解消)
  9. Copyright coconala Inc. All Rights Reserved. 14 AIに最適化した開発プロセスに変えていくことが重要 対 脆弱性

    対 理解負債 【Process Shift】プロセスの変革(RiskとDebtの解消) AIは信頼できない部下として 常に検証を心がける 「なぜその実装か」の 説明責任を果たせるようにする 自動テストを行い、人は安全性を担保 AIラベルの付与とWhyの追求