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人と組織に偏重したEMへのアンチテーゼ──なぜ、EMに設計力が必要なのか/An antithe...

人と組織に偏重したEMへのアンチテーゼ──なぜ、EMに設計力が必要なのか/An antithesis to the overemphasis of people and organizations in EM

# 概要
分業が進む中で、技術はテックリードに委ねられがちとなり、EMは設計から遠ざかっているのではないでしょうか。しかし、設計への投資判断や、事業・経営とソフトウェアの接続はEMの重要な責務であり、本来、設計には深く関わるべき立場にあります。AI時代の開発現場では、設計力の有無が成果に直結する今、EMも改めてソフトウェア設計に重きを置くべきです。本セッションでは、事例を交えながら、EMにとっての設計力の重要性とその必然性を探っていきます。

# カンファレンス
2025.8.27 エンジニアリングマネージャーのためのソフトウェア設計再考
https://levii.connpass.com/event/363660/

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Daisuke Sato

August 27, 2025
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Transcript

  1. 自己紹介 さとだい(Daisuke Sato) 株式会社Joystruct 代表取締役 大手 E コマース企業、スタートアップ 企業などで、開発部部長や VPoE

    などを 務めた後、株式会社ジョイストラクトを 創業。同社にて、技術組織の支援および 顧問、パーソナルコーチなどを行ってい る。このほか、株式会社カウネット社外 取締役を務める。著書『エンジニアのた めのマネジメント入門』 ©2025 Joystruct Inc. 2
  2. EMの活動領域 Engineering Management Triangle に よると、 EM の活動領域には 「Architecture」に関する役割がある。 ©2025

    Joystruct Inc. | 出典<Engineering Manager Meetup『Engineering Management Triangle』 (2019年)> 4
  3. EMの関心 EM のコミュニティで は、技術的な話題は少 なく、ソフトウェア設 計の話題はごくわず か。 ©2025 Joystruct Inc.

    | 出典<Engineering Manager Meetup『Engineering Manager Meetup Topic Bucket』 (第11回〜第13回)> 5
  4. 背景の考察 EM という職務が確立されたことにより、分業が進んだ結果、テクノロジマネジメントはテッ クリードに任せることが多くなったのではないか。 e.g. 1. EM が技術の意思決定者・責任者ではなくなった 2. EM

    が技術について議論する機会が少なくなり、設計からも離れてしまった 3. 設計をはじめとする技術的な話題への関心は下がってしまった ©2025 Joystruct Inc. 7
  5. Team EM/Leader SWE Playing Manager Pattern Playing Manager EM がテックリードを兼任。

    チームのピープルマネジメントからテク ノロジマネジメントまで、多岐にわたる 業務を担う。 ©2025 Joystruct Inc. 9
  6. Team Tech Lead EM SWE EM/TL Dual Track Pattern EM/TL

    Dual Track EM とテックリードが業務を分担。 EM: 人材育成・評価・組織運営・ プロジェクトマネジメントなど TL: 技術レビュー・技術的意思決 定・設計など ©2025 Joystruct Inc. 10
  7. EM Line Manager Pattern Team SWE Team SWE EM of

    EM EM EM/Leader EM/Leader Line Manager EM が組織のマネージャーを担う。 広範囲のピープルマネジメント、プロジ ェクトの統括、組織開発・運営、予算管 理、人員計画などを行う。 ©2025 Joystruct Inc. 11
  8. Team Team Tech Lead EM SWE Functional Manager Pattern Tech

    Lead SWE Functional Manager EM が特定の職務のマネジメ ントを専任。 人材の成長・キャリア開発・ 評価などに責任を持つ。 ©2025 Joystruct Inc. 12
  9. アンケート みなさんのお仕事は、どれに該当する? 1. Playing Manager 2. EM/TL Dual Track 3.

    Line Manager 4. Functional Manager 5. Software Engineer 6. Tech Lead 7. Others ©2025 Joystruct Inc. 14
  10. 要求を測る指標 要求のレイヤーごとにそれを測る指標を例示し、活動をイメージしてみる。 ソフトウェア IT システム 業務・ユーザ 企業 顧客 社会・環境 売上

    費⽤ 顧客満⾜度 リードタイム 業務⼯数 開発⽣産性 TCO ESG スコア LTV 法令遵守率 利益率 開発⼯数 ... 可⽤性 ... 制約条件 品質特性 ... ©2025 Joystruct Inc. 19
  11. Application Service Domain Service Domain Model User Interface Infrastracture Tests

    事業に投資をしたい 事業を成長させるために、競合と戦うた めには、事業の本質に投資をしたい。 事業は毎日の状況が変わる。事業の変化 はドメインモデルの変化であり、ここに 集中したい。 ©2025 Joystruct Inc. 25
  12. 売上 LTV 最⼤化 顧客体験向上 注⽂単価 注⽂頻度 注⽂単価 アップ率 平均注⽂単価 購⼊サイクル

    メルマガ 設定者数 NPS 配送時間 クロスセル率 リピート率 定期購⼊ 継続期間に 関する指標 アップセル率 費⽤ 1 オーダーあたりの コストを下げる 原価 販管費 商品費 配送費 仕⼊単価 廃棄率 再配達率 配送単価 開発⼯数 ⼈件費 インフラ費 利益 ステークホルダーの関心 業績ドライバー 企業の業績(成果指標)に直接的に影響 を与える要因。 社内のステークホルダーは、売上や利益 といった成果(KPI、財務指標)に先行 して影響を与える業績ドライバーを見て いる。 ©2025 Joystruct Inc. 28
  13. 事業ドライバーとアーキテクチャドライバーの接続 ドライバーを接続することで、設計と投資のバランスを見出し、設計に投資する意思決定を する。このとき、短期的な視点だけにならないように注意する。 売上 LTV 最⼤化 顧客体験向上 注⽂単価 注⽂頻度 注⽂単価

    アップ率 平均注⽂単価 購⼊サイクル メルマガ 設定者数 NPS 配送時間 クロスセル率 リピート率 定期購⼊ 継続期間に 関する指標 アップセル率 費⽤ 1 オーダーあたりの コストを下げる 原価 販管費 商品費 配送費 仕⼊単価 廃棄率 再配達率 配送単価 開発⼯数 ⼈件費 インフラ費 利益 機能要求 品質特性 制約 アーキテクチャ ドライバー 機能適合性 性能効率性 互換性 使⽤性 信頼性 セキュリティ 保守性 移植性 接続 ©2025 Joystruct Inc. 31
  14. Team SWE SWE SWE AI AI AI AI AI AI

    AI 駆動開発における設計 の重要性 AI 駆動開発により、開発スピードが飛 躍的に上がった。 短期的な生産性向上により、ますます 個々の設計力が重要になる。設計力がな いと、 「わからない」システムが生まれ てしまう。 ©2025 Joystruct Inc. 34
  15. 設計を AI に委譲するのは難しい これまでは、 EM が設計をテックリードに委譲することで、システムがより良いものになっ ていった。これを AI に委譲できるかというと、今は難しい。 設計規模が大きくなるほど、

    AI の不確実性が高くなる 利用者の持っている設計力以上のものを、 AI から引き出すことはできない AI が7割作れても、残り3割の作り込みには人の力が必要 ©2025 Joystruct Inc. 35