CocoaPodsはなぜRuby製か

SAPPORO ENGINEER BASE #11 RubyとRuby on Rails にて発表した資料です。

Rails Girls Sapporo 2nd：https://railsgirls.com/sapporo-2nd.html
SAPPORO ENGINEER BASE #11：https://seb-sapporo.connpass.com/event/371324/

Transcript

1. CocoaPodsはなぜRuby製か SAPPORO ENGINEER BASE #11 RubyとRuby on Rails えび（@025cm） 1
2. 自己紹介 - えび - Rails Girls Sapporo 2nd オーガナイザー - 普段はモバイルアプリを開発しています 2
3. Rubyとわたし - 大学の授業で初めて触ったプログラミング言語がRuby - Emacsを使って書いてた - paizaをちまちま解いていた。 3
4. 最近の悩み - AWSがつらい - AWSのアラートを捌く生活 - 慣れない - 何が足りないのかがそもそもわからない。。。。 4
5. 最近の悩み - 職場の先輩に「俯瞰して全体像を一回把握できると楽に なる」と助言された - 俯瞰するための方法が。。。。。 - 精進したい。 5
6. 今日話したいこと - iOSアプリ開発とRubyコミュニティの関係性 - 一見遠そうに見えますが、iOS開発環境はすごくRubyコミュニティに助 けられています - CocoapodsがRuby製の理由 6
7. CocoaPodsとは - iOS/macOS向けのパッケージマネージャー - ライブラリの管理・依存関係の解決・ビルド設定の自動 生成をしてくれる - 2011年に登場 公式のSwiftPMが登場するまで事実上の標準だった 7
8. CocoaPodsとは - 2024年8月にメンテナンスモード入りが発表 - 2026年には主要リポジトリがReadOnly化される予定 「もう役目を終えたよね」というフェーズ 8
9. CocoaPods、実はRuby製 - 作者のEloy Durán(エロイ・デュラン)さんはRuby on Railsのコントリビュータ 9
10. iOSとRubyの意外なつながり - nomad-cli - iOS開発におけるCLIツール - ipaファイルの作成・Push通知の管理など、CLI経由 で行える - 作者は元RailsエンジニアのMattt Thompsonさん 10
11. iOSとRubyの意外なつながり② - fastlane - iOSやAndroidアプリの配布やテスト周りの作業など自動化することが できるCI/CDツール（現役で使われている！） - Ruby製で、nomad-cil の影響を受けて開発された - CocoaPodsと連携して使用することもできる - ワークフローは Ruby DSL で自由に記述可能 11
12. iOSとRubyの意外なつながり③ - CocoaPodsの依存リゾルバ「Molinillo」は後に Bundlerに採用されることに - CocoaPodsの依存リゾルバとして開発された 「Molinillo」 - RubyのBundlerにも逆輸入 - 間接的にRubyGemsでも使用されている 12
13. なぜCocoaPodsはRuby製なのか - なぜRubyはCocoaPods開発において合理的な選択だった んだろう - パッケージマネージャーに必要な性質ってなんだろう 13
14. なぜCocoaPodsはRuby製なのか iOSのパッケージマネージャなのにRubyで書かれている… ちょっと不思議な気もしちゃう。 14
15. CocoaPodsはなぜRuby製か → なぜパッケージマネージャは 動的言語やインタプリンタ言語で作ると 嬉しいのか 15
16. ところで、パッケージマネージャといえば何 を思い浮かべますか？ 16
17. パッケージマネージャ色々 プログラミング言語に紐づくやつ。 - npm - Composer - RubyGems - Gradle OSとか環境とか - Homebrew 17
18. パッケージマネージャ色々 プログラミング言語に紐づくやつ。 - npm -> JS - Composer -> PHP - RubyGems -> Ruby - Gradle -> Java OSとか環境とか - Homebrew -> Ruby 18
19. パッケージマネージャ色々 プログラミング言語に紐づくやつ。 - npm -> JS - Composer -> PHP - RubyGems -> Ruby - Gradle -> Java OSとか環境とか - Homebrew -> Ruby 19
20. パッケージマネージャって何してたっけ - パッケージ配布サーバーの公開 - インストール管理 - 依存関係の解決（暗黙に実施） - プロジェクトの依存関係の透明性の担保 DSLを用いて、プログラマは設定を記載する。 20
21. 俺が考える最強のパッケージマネージャ - DSLは書きやすいに越したことないよね - なんかエラーとか起こっても、自分で解決しやすい状況 だと嬉しいね - プロジェクトの成長に伴ってストレス少なくライブラリ の管理ができると嬉しい - 既存エコシステムとの親和性があるとなお良い - プロジェクトのメンバが任意のパッケージマネージャを 使ったとして、環境差が発生するのは言語道断 21
22. ところでインタプリンタ言語ってどんな特徴あるっけ - コードを1行ずつ読みながら実行していくタイプの言語 - 比較されがちな概念が「コンパイル言語」 - これは実行前に全てのコードをまとめて機械語に変換 する(実行ファイルを作る) - 実行環境（Ruby本体）が同じなら、コードはどこでも同 じように動く。 22
23. インタプリンタ言語 嬉しいポイント - 実行・確認・修正サイクルを高速に回せる - トライアンドエラーがしやすい - 環境ごとの差異が言語に吸収されるので、環境差が出に くい 23
24. インタプリンタ言語 嬉しいポイント - 実行・確認・修正サイクルを高速に回せる - トライアンドエラーがしやすい - 環境ごとの差異が言語に吸収されるので、環境差が出に くい 24
25. 俺が考える最強のパッケージマネージャ - DSLは書きやすいに越したことないよね - プロジェクトの成長に伴ってストレス少なくライブラ リの管理ができると嬉しい - なんかエラーとか起こっても、自分で解決しやすい状況 だと嬉しいね - 既存エコシステムとの親和性があるとなお良い - プロジェクトのメンバが任意のパッケージマネージャを 使ったとして、環境差が発生するのは言語道断 25
26. DSLは書きやすいに越したことないよね - インタプリンタ言語はたいてい動的型付け言語 - 値の型を気にせず書ける - コンパイル前に全部の型と構造を確定しなくていいか ら楽 - 文法が柔らかいので、設定を書く感覚でプログラミング ができる - 都度ビルドしなくていい！書き換えたら即時再実行でき る！ 26
27. プロジェクトのメンバが任意のパッケージマネージャを使っ たとして、環境差が発生するのは言語道断 - インタプリタは OS の上にVM(仮想マシン)を噛ませる - 環境差、発生しにくそう。。。 27
28. 俺が考える最強のパッケージマネージャ - DSLは書きやすいに越したことないよね - プロジェクトの成長に伴ってストレス少なくライブラ リの管理ができると嬉しい - なんかエラーとか起こっても、自分で解決しやすい状況 だと嬉しいね - 既存エコシステムとの親和性があるとなお良い - プロジェクトのメンバが任意のパッケージマネージャを 使ったとして、環境差が発生するのは言語道断 28
29. 俺が考える最強のパッケージマネージャ - DSLは書きやすいに越したことないよね - プロジェクトの成長に伴ってストレス少なくライブラ リの管理ができると嬉しい - なんかエラーとか起こっても、自分で解決しやすい状況 だと嬉しいね - 既存エコシステムとの親和性があるとなお良い - プロジェクトのメンバが任意のパッケージマネージャを 使ったとして、環境差が発生するのは言語道断 29
30. なんかエラーとか起こっても、自分で解決しやすい状況だ と嬉しいね - Ruby のコードは読みやすいとされている - “Ruby is designed to make programmers happy.” (by Matz) - 「自分自身が書く ‘シェルスクリプト的な小さなプログ ラム’ をもっと楽に書きたい／読みたい」という出発点 から Ruby を設計 30
31. 既存エコシステムとの親和性があるとなお良い - CocoaPodsが開発された2011年当時、macOS は Ruby がプリインストールされていた - RubyGemsも標準搭載 -> CocoaPods を入れる前提条件が ゼロ 31
32. CocoaPodsがRubyで書かれていた理由は、 単に「作者がRubyistだったから」 に止まらなさそう 32
33. 「言語を選ぶ前に、目的を定義する」 - Rubyはパッケージマネージャ開発に適した、柔軟で拡張 性が高いインタプリンタ言語 - コミュニティも活発で、エコシステムを育てやすい土壌 があった 目的に対する適正を踏まえ、言語選択を行うことを考える上で、CocoaPodsが Rubyで書かれていることは良い教材になりそう。。。 33
34. iOSとRubyには、ちょっとした親愛関係があった🍎 - Swiftのようにエレガントさや型の厳密さを大切にする 言語を触っていると、Rubyのすっとスライムのように形 を変えて馴染む柔軟さは、心地の良い曖昧さのように思 えて、楽しい 34
35. “Ruby is designed to make programmers happy.” 35