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どうする新米リーダー 〜 チームと成長するために悩んだ2022年 〜
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Hatorik
February 22, 2023
Technology
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どうする新米リーダー 〜 チームと成長するために悩んだ2022年 〜
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Transcript
どうする新米リーダー 〜 チームと成長するために悩んだ2022年 〜 © asken.inc Takanari Hatori 2023/02/22
Takanari Hatori Sler にてバックエンドエンジニアとしてキャリア をスタートしました。初の転職で 2021年5月に askenに入社。入社後は医療事業部のバックエン ドエンジニアとして開発を担当しておりました。 2022年4月からは新米(新潟産)リーダーとして、プ ロダクト開発チームとともに絶賛奮闘中です。
最近、ランニングを始めました。 © asken.inc 2 株式会社asken 医療事業部 開発リーダー
食事生活改善アプリ 『あすけん』 食事の記録をするだけで、簡単に栄養士のアド バイスがもらえる食生活改善アプリ。 2022年10月で15周年を迎えました。現在、会員数 800万人を超え、「ヘルスケア(健康)/フィッ トネス」カテゴリにおける、2020年~2022年の ダウンロード数「No1」(data.ai 調べ)。 ©
asken.inc 3
医療用『あすけん』 京都大学医学部附属病院や東京大学医学部附属 病院、金沢大学など、様々な大学や医療機関と 協力体制のもと、多様化する糖尿病治療におけ る食事療法を主軸としたプロダクト。 日本においてまだ前例の少ない医療機器認証を 目指して開発中です。 © asken.inc 4
今日お話しすること © asken.inc 5
今日お話しすること ◆ ターゲット ・これからリーダーになる予定で、不安と期待を持つ方 ・新米リーダーで、チームの成長に悩んでいる方 ◆ 何をお話しするか ・リーダーになり私が取り組んだチームの課題と悩み ・チームの課題に対して実践した具体的な内容 ◆
メッセージ ・リーダーが成長すれば、チームも成長する ・リーダーは「仕組み」や「場所」を設計していく必要がある © asken.inc 6
リーダーとなった 2022年4月のチーム状況 © asken.inc 7
2022年4月のチーム構成 © asken.inc 8 • スクラムチーム (途中で変動しつつ「7 ~ 10名」の構成) ◦
プロダクトオーナー ◦ ドメインエキスパート(栄養学) ◦ iOS アプリエンジニア (1名) ◦ Android アプリエンジニア (2名) ◦ バックエンドエンジニア (3名) ◦ インフラエンジニア (1名) ◦ 開発リーダー, スクラムマスター(← 私の役割)
2022年4月のチーム状況 © asken.inc 9 タックマンモデルで示すと「形成期」から「混乱期」への最中 形成期 Forming チームが 形成される 混乱期
Storming メンバーが ぶつかり合う 統一期 Norming 共通の規範が 形成される 機能期 Performing チームとして 結果を出す 散開期 Adjourning チームの 終結 メンバー同士の理 解が不十分。 共 通の目的や価値観 もわからずに、 チームに緊張感が ある状態。 メンバー同士の価 値観や方法論な ど、意見がぶつか り合う。チームが 居心地の悪さを抱 えた状態。 メンバー同士の思 考や特性を理解 し、同じ目標に向 けて、チームがま とまった状態。 メンバー同士が主 体的に協力し合 い、チームとして の成果が出せる状 態。 プロジェクトの終 雨量や、メンバー の異動等により、 チーム関係が終結 した状態。
チームを 別の角度から見つめる © asken.inc 10
2022年4月のチーム状況 © asken.inc 11 『SCRUM MASTER THE BOOK 優れたスクラムマスターになるための極意』p8, 9
「エクササイズ : 自己組織化したチーム」により 6つの質問を通してチームの自己組織化を評価してみた。 問題ごとに3つの選択肢があり、 選択肢ごとに「0、1、2」のポイントが振られている。 つまり、最低は「0ポイント」であり、最高は「12ポイント」である。 合計7ポイント以上なら、 「チームは自己組織化している」と言える。
チームの自己組織化を 評価した結果... © asken.inc 12
驚きの 3ポイント!! © asken.inc 13
今のチーム状況で チームがともに 前に進めるのか? © asken.inc 14
いきなり悩んだ...... © asken.inc 15
何から解決するのか? © asken.inc 16
チームと取り組んだ 3つの事柄 © asken.inc 17 ① メンバー間の情報の非対称性を減らす ② チームで改善するためふりかえりを行う ③
チームの価値観や規範を合わせる
① メンバー間の情報の非対称性を減らす ② チームで改善するためふりかえりを行う ③ チームの価値観や規範を合わせる © asken.inc 18
起きていたチームの課題 © asken.inc 19 ふりかえると、チームであらゆることが噛み合わないことが分かった。 これは「お互いの情報伝達が不完全」なことから起きていた。 ※ 当時の課題感を抜粋
どう解決するか? © asken.inc 20
1. チームが「情報蓄積する場」を整備 © asken.inc 21 気軽に誰でも情報を蓄積して良い場所を Notion で作成した。 情報追加のチーム周知を繰り返えし行う ことで、情報のありかをアピールした。
メンバーが自然と情報を追加するように なってくる。
2. インセプションデッキの作成 © asken.inc 22 プロジェクトの「目的・ゴール・ビジョ ンや背景」といった、プロジェクトをは じめるために大切なことをチームで知る ために「インセプションデッキ」を作成 した。
メンバーそれぞれの「現在の理解」を合 わせていく。 最後にマージした結果をチームで読み合 わせて、同じゴールを目指せるようにす る。 「我々はなぜここにいるのか」 当時のワーク風景(懐かしい)
3. それぞれの役割や期待値の言語化 © asken.inc 23 メンバーそれぞれが暗黙的に自身の守備 範囲と考えていた部分を言語化した。 自分以外のメンバーからの暗黙的な期待 値を知ることを通して、メンバー間のす れ違いを減らす。
チームで役割を定義して合意すること で、チームの決定として納得感を作り上 げる。
4. スクラムイベントの再定義と言語化 © asken.inc 24 スクラムイベントごとに「チートシー ト」を作成した。 目的やゴールを明文化しておくことで、 チームがイベントの目的を見失わないよ うにする。
アジェンダを明文化しておくことで、 チームが進めるイベントに安定性をもた らす。 実際に使用しているチートシートより抜粋 左 : デイリースタンドアップ 右 : レトロスペクティブ
① メンバー間の情報の非対称性を減らす ② チームで改善するためふりかえりを行う ③ チームの価値観や規範を合わせる © asken.inc 25
起きていたチームの課題 © asken.inc 26 チームが定期的に、個人やチームの問題に向き合う場がなかった。 何を問題と思い、何を良い行動と考えるのかチームが会話する場がなかった。 ※ 当時の課題感を抜粋
どう解決するか? © asken.inc 27
1. チームが「ふりかえる場」を整備 © asken.inc 28 スプリントごとにチームでふりかえる場 を整備する。 手法は「KPT」を基本にしつつ、以下の2 点を工夫している。 ①
「前回の Try を評価する」というアク ティビティを追加 ② 「Try」をチーム合意したアクションと して明文化してデイリースタンドアップ で毎回確認する Miro にテンプレートを用意して実施
1. チームが「ふりかえる場」を整備 © asken.inc 29 チームが安心してお互いの問題、意見や アイディアを出し合えるように「グラン ドルール」を設定した。 また、あらかじめ手強い質問をすること をチームに共有することで、こうした質
問をして良いという空気感を作り出す。
① メンバー間の情報の非対称性を減らす ② チームで改善するためふりかえりを行う ③ チームの価値観や規範を合わせる © asken.inc 30
起きていたチームの課題 © asken.inc 31 「混乱期」から、なかなか抜け出せないチーム状況だった。 小さな衝突と居心地の悪さをメンバーが抱え続ける。 形成期 Forming チームが 形成される
混乱期 Storming メンバーが ぶつかり合う 統一期 Norming 共通の規範が 形成される 機能期 Performing チームとして 結果を出す 散開期 Adjourning チームの 終結 メンバー同士の理 解が不十分。 共 通の目的や価値観 もわからずに、 チームに緊張感が ある状態。 メンバー同士の価 値観や方法論な ど、意見がぶつか り合う。チームが 居心地の悪さを抱 えた状態。 メンバー同士の思 考や特性を理解 し、同じ目標に向 けて、チームがま とまった状態。 メンバー同士が主 体的に協力し合 い、チームとして の成果が出せる状 態。 プロジェクトの終 雨量や、メンバー の異動等により、 チーム関係が終結 した状態。
起きていたチームの課題 © asken.inc 32 たとえ小さな変動(メンバーが抜ける/参加する、など)であっても、 チームはバラバラになり、フォーミング段階に戻ってしまう可能性 があります。(中略) 各段階をもう一度くぐり抜けないといけなくな るかもしれません。 メンバーの増減により、わたしたちのチームでもそれは発生した。
日々の開発を通して培った「価値観」や「メンバー理解」が暗黙的 なことに気づいた。 『SCRUM MASTER THE BOOK 優れたスクラムマスターになるための極意』p8, 9
どう解決するか? © asken.inc 33
1. チームで Working Agreement を作成 © asken.inc 34 チームで発生している小さな衝突を解決 するために「日々の開発」と「コミュニ
ケーション」の 2つについて、約束事を決 めた。 多数決の原理にならないように、お互い の「価値観」を共有しながら決めていっ た(※)。 「それぞれの価値観や悩みを知る良い機 会だった」とメンバーから言われたこと は嬉しかった。 ※ 決め方については、askenのブログにて記事作成予定です
取り組んだ結果 現在のチーム状況 © asken.inc 35
2023年2月現在のチーム状況 © asken.inc 36 途中で何度か「混乱期」を行ったり来たりしたが、 現在のチームは「統一期」から「機能期」を行き来している。 形成期 Forming チームが 形成される
混乱期 Storming メンバーが ぶつかり合う 統一期 Norming 共通の規範が 形成される 機能期 Performing チームとして 結果を出す 散開期 Adjourning チームの 終結 メンバー同士の理 解が不十分。 共 通の目的や価値観 もわからずに、 チームに緊張感が ある状態。 メンバー同士の価 値観や方法論な ど、意見がぶつか り合う。チームが 居心地の悪さを抱 えた状態。 メンバー同士の思 考や特性を理解 し、同じ目標に向 けて、チームがま とまった状態。 メンバー同士が主 体的に協力し合 い、チームとして の成果が出せる状 態。 プロジェクトの終 雨量や、メンバー の異動等により、 チーム関係が終結 した状態。
そして チームの自己組織化を 再評価した結果... © asken.inc 37
チームに感謝の 7ポイント!! © asken.inc 38
今日のまとめ © asken.inc 39
この1年を経て私が学んだ大切なこと © asken.inc 40 「チームは鏡」である。 リーダーが悩み成長すれば、チームも悩み成長してくれる。 そのためリーダーは、 チームが悩みに向き合い解決するために、 「仕組み」や「場所」を設計していく。 そして、チームの成長を自分の成長のように喜び、
チームとの成長に感謝することが大切である。
ご清聴 ありがとうございました © asken.inc 41 エンジニア積極採用中です!