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Elix,CBI2025,スポンサードセッション,タンパク-タンパク複合体情報を活用した構造生...

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October 29, 2025

 Elix,CBI2025,スポンサードセッション,タンパク-タンパク複合体情報を活用した構造生成:TRIM21の新たなリガンド探索に向けて

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  1. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. タンパク-タンパク複合体情報を活用した構造生成 TRIM21の新たなリガンド探索に向けて CBI学会2025年大会

    スポンサードセッション 2025年10月29日 執行役員 兼 CSO 石田 祐 "OZVOBVUIPSJ[FESFQSPEVDUJPOPSSFEJTUSJCVUJPOPGUIJTNBUFSJBMJTTUSJDUMZQSPIJCJUFE
  2. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. 分解可能なタンパクの拡大や、組織や疾患選択的に標的タンパクを分解誘導する新たなPROTAC開発に向けて、PROTACに 利用可能な新たなE3リガーゼやそのリガンド取得が様々な研究機関で行われている しかしながら、E3リガーゼは基本的に酵素活性部位等を持たないので、基質となるペプチドやタンパクの情報を元にデザイ

    ンする必要がある PROTACに適用可能なE3リガーゼの探索 2 1 Galdeano, C. et al. J. Med. Chem. 2014, 57, 8657-8663. 2 Vassilev. et al. Science 2004, 303, 844-848. マゼンタ: p53 (8Y58) 水色: Nutlin-3 (4HG7) グレー: MDM2 (3V3B) Nutlin-3 MDM2-p53(α-ヘリックス)複合体からリガンドデザイン2 VHL-HIF1(直鎖)複合体からのリガンドデザイン1 マゼンタ: HIF1 (1LQB) 水色: VH032 (4W9H) グレー: VHL (4W9H) VH032 His115 Ser111
  3. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. これまでにペプチドやタンパクの部分構造を低分子に置き換 えた例は報告されているが、その難易度(相互作用面の広さ ・平坦さ、

    低分子による結合エネルギーの再現)から従来 の阻害剤ほど多くは無い o HTSはホットスポットが明確でないと難しく、またホットスポッ ト周辺残基による溶媒遮蔽なども問題となりうる o FBDDはホットスポットが断続的な場合に適しているが、フラグ メントからリード化合物へと伸長させるプロセスは難易度が高い 生成AIであれば効率的なヒット化合物取得が出来るのでは? o HTS実施に適したペプチドフラグメントを探索する必要が無く、 ホットスポット周辺残基による溶媒遮蔽も問題とならない o ヒットしたフラグメントからリード化合物へと伸長させるプロセ スが必要なく、より短期間で目的のプロファイルを持つ化合物を 取得できる可能性 水色: Compound 1 マゼンタ: ASTX660 グレー: XIAP タンパク―タンパク複合体情報からの低分子バインダー獲得 3 1 Souers. A. J. et al. Nat. Med. 2013, 19, 202-208. 2 Chessari, G. et al. J. Med. Chem. 2015, 58, 6574-6588. 3 Tamanini, E. et al. J. Med. Chem. 2017, 60, 4611-4625. 4 Johnson, C. N. et al. J. Med. Chem. 2018, 61, 7314-7329. マゼンタ: BH3 (6QG8) 水色: ABT-199 (4LVT) グレー: BCL2 (4LVT) ABT-199 Compound 1 ASTX660 HTSからのアプローチ1 FBDDからのアプローチ2-4
  4. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. Tripartite Motif-Containing Protein

    21 4 Tripartite motif-containing protein 21 (TRIM21)はTRIMファミリーに 含まれるE3リガーゼの一種 TRIM21は抗体のFcドメインに対して高い親和性を持ち、他のTRIM ファミリーとは機能が異なる ◦ この性質が、細胞内に侵入したウイルスやバクテリアを 、抗体を介して 分解誘導する防衛メカニズムとして機能している 1 Clift, D. et al. Nat. Protoc. 2018, 10, 2149-2175. クリフトらはこの機能に着目し、細胞内のタンパクを分解誘導する アプローチ、Trim-Awayを発表1 ◦ このアプローチにより、TRIM21を介した標的タンパクの分解が可能 ◦ しかしながら、デザインされた抗体を細胞内に導入する必要があり、その ままでの創薬応用は困難 TRIM21 PRYSPRYーIgG Fc複合体構造 IgG Fc TRIM21 PRYSPRY PDB ID: 2IWG
  5. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. TrimTAC 5 2024年になりTingらのグループがacepromazine

    (ACE)とその還元体が TRIM21のバインダーであることを報告1 ◦ TRIM21のPRYSPRYドメインに結合(5–18 µM) ◦ ACEをベースにしたPROTAC (TrimTAC)は、標的タンパクに対し複数分子が同時に関与することが分解誘導に必要 • アミロイドβやタウの凝集体を標的とするにはむしろ好ましい性質 ◦ しかしながら、ACEはTRIM21にD355A変異が無いと 、TRIM21に対する親和性が大きく低下する ◦ より結合親和性の高いリガンドが必要 アセプロマジン (ACE) 1 Lu, P. et al. Cell 2024, 187, 7126-7142. R体: (R)-ACE-OH S体: (S)-ACE-OH Compound Kd (WT, μM) Kd (D355A, μM) ACE 44.6 5.66 (R)-ACE-OH Not detected 9.11 (S)-ACE-OH 237.3 17.9 TRIM21PRYSPRYに対する親和性 Ala355 TrimTAC1 ACE部位 JQ1部位 mEGFP-BRD4: NUP98FG-mEGFP-BRD4: 分解せず 速やかに分解進行 mEGFP: NUP98FG: 蛍光タグ(細胞内のBRD4濃度確認用) 核膜孔タンパクの一種で、核膜上で凝集 体を形成 TRIM21PRYSPRY D355AとACEの X線共結晶構造 (PDB ID: 8Y58)
  6. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. TRIM21リガンド構造生成の目標 ◦ Tingらの論文情報を用いずに、野生型TRIM21に対して高い親和性が期待できる新規リガンド候補化合物を獲得する

    • TRIM21だけでなく汎用的に適用できるアプローチであるか検証 構造生成検討に用いた構造情報 ◦ TRIM21 PRYSPRYとIgGの Fc領域との複合体共結晶構造 (PDB ID: 2IWG).1 構造生成に当たっての目標 6 1 James, L. C. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2007, 104, 6200-6205.
  7. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. P2結合ポケットをドッキング領域として設定 ◦ TRIM21とFcとの相互作用部位解析によると、Fcループ領域(残基番号:428–436)がTRIM21表面の窪みに入り込み、ル

    ープ頂点のHis433と Asn434がTRIM21のAsp355と水素結合を形成 ◦ アラニン変異分析の結果から、TRIM21のAsp355、Trp381、Trp383、並びにPhe450がFc領域との相互作用に重要 • この情報をベースに、His433–Asn434–His435トリペプチドを鋳型リガンドとするドッキングシミュレーション環境を構築 ドッキングシミュレーション環境設定 7 ドッキングシミュレーション に用いた鋳型構造 His433-Asn434-His435 TRIM21PRYSPRY ΔΔG [kcal/mol] Leu370 Tyr328 Trp299 Trp381 Trp383 Asp452 Phe450 Asp355 ≥ 4.1 ≥ 0.51 - 1.0 ≥ 4.1 Trp381TRIM21 Trp383TRIM21 Asp355TRIM21 Phe450TRIM21 His435Fc His433Fc Asn434Fc P1 P2
  8. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. 構造生成モデル ◦ de

    novo生成モデル (Elix-REINVENT) ◦ 汎用生成モデル (SmilesFormer) ◦ SMILES文字列探索モデル (Elix-ChemTS) 報酬設定 Elix Discovery™を用いた構造生成条件 8 記述子 関数設定 関数タイプ 項目の追加方法 比率 Molecular Weight (分子量) 300 ~ 550 一様分布 乗法的 1 LogP (分配係数) -1.0 ~ 5.0 正規分布 乗法的 1 TPSA (トポロジカル極性表面積) 150 ~ 200 正規分布(右側に減衰) 乗法的 1 Aromatic Rings (芳香環数) 3 ~ 5 正規分布(右側に減衰) 乗法的 1 Largest Ring Size (最大環サイズ) 4 ~ 7 一様分布 乗法的 1 Largest Ring System Size (最大環系サイズ) 4 ~ 14 一様分布 乗法的 1 H-Bond Donors (水素結合ドナー数) 2 ~ 4 正規分布(右側に減衰) 乗法的 1 H-Bond Acceptors (水素結合アクセプタ数) 5 ~ 10 正規分布(右側に減衰) 乗法的 1 MedChemFilter (Feb. 7th, 2025) 除外 ̶̶̶ 乗法的 1 MedChemFilter_intensive (Feb. 7th, 2025) 除外 ̶̶̶ 乗法的 1 PAINS filter 除外 ̶̶̶ 乗法的 1 ドッキングスコア (2IWG) -12 ~ -0.00001 正規分布(右側に減衰) 乗法的 1
  9. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. 生成構造散布図 9 生成化合物数

    ◦ REINVENT: 6,583 ◦ SmilesFormer: 18,715 ◦ ChemTS: 15,815 ◦ Total: 41,113 41,087 (モデル間重複除去後) ドッキングスコア(2IWG)
  10. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. ▪ クライテリア 化合物絞り込み

    10 記述⼦ カットオフ Molecular Weight (分子量) 350 ≦ x ≦ 500 LogP (分配係数) 1 ≦ x ≦ 5 TPSA (トポロジカル極性表面積) 70 ≦ x ≦ 150 H-Bond Donors (水素結合ドナー数) x ≦ 2 H-Bond Acceptors (水素結合アクセプタ数) x ≦ 5 Aromatic Rings (芳香環数) ≦ 4 Rotatable Bonds (回転可能結合数) ≦ 4 Fsp3 (sp3炭素割合) ≦ 0.4 QED (ドラッグライクネス) ≧ 0.5 ドッキングスコア(2IWG) ≦ -9 41,004 → 374 compounds ドッキングスコア(2IWG)
  11. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. クラスタリング 11 UMAP解析

    クラスタリング手法 ◦ クラスター数: 30 ◦ クラスタリング手法:凝集型階層的クラスタリング ◦ クラスタリングに用いたパラメーター: Structure [FragFp] 含まれる化合物数の多い上位12クラスターを選抜し、それらに含まれる化合物に絞り込み ◦ 残存化合物数: 356
  12. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. ▪ 追加フィルター 追加フィルターによる有望スキャフォールド抽出

    12 記述⼦ カットオフ ドッキングスコア (2IWG) ≦ -10 QED (ドラッグライクネス) ≧ 0.7 • より高い親和性を期待して、ドッキングスコアがより高い化合物を選抜 • さらにQEDの高い化合物群に絞り込むことでドラックライクネスの改善 を狙う 選抜化合物: 29 • クラスター1に含まれる28化合物はすべて同じスキャフォールドを保有
  13. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. 最もドッキングスコアの高い3化合物 選抜された生成化合物と対照化合物との比較 13

    TRIM21 ID MW clogP TPSA QED Docking score (2IWG)*1 Docking score (8Y58)*2 141005377 419.48 2.15 78.95 0.76 -10.3 -10.2 141005455 427.41 2.08 78.95 0.74 -10.3 -9.6 141005801 423.44 2.25 78.95 0.75 -11.5 -9.8 Structure Name MW clogP TPSA QED Docking score (2IWG)*1 Docking score (8Y58)*2 Acepromazine (ACE) 326.46 4.44 23.55 0.76 -6.8 -7.9 (S)-(-)-ACE-OH 328.48 4.29 26.71 0.89 -6.6 -8.1 (R)-(+)-ACE- OH 328.48 4.29 26.71 0.89 -7.1 -8.0 対照化合物 ドッキングスコアの高かった生成化合物上位3化合物は、対照化合物であるACEとその還元体よりも高いスコアを示した o 生成された化合物は、変異体だけでなく野生型TRIM21に対しても高いドッキングスコアが得られている クラスター1に含まれる化合物の分子量は370~440であり、PROTAC化も可能なレンジ • 2IWG: TRIM21 PRYSPRYドメイン(野生型)のFc結合領域に対するスコア1 • 8Y58: TRIM21 PRYSPRYドメイン(D355A変異) ACEの結合領域に対するスコア2 1 Clift, D. et al. Nat. Protoc. 2018, 10, 2149-2175. 2 Lu, P. et al. Cell 2024, 187, 7126-7142.
  14. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. 141005377とTRIM21のドッキングシミュレーション 代表化合物の結合様式 14

    141005377、ACE、His433-Asn434-His435トリペプチドとの重ね合 わせ • マゼンタ: 141005377 • タンパク: TRIM21のPRYSPRYドメイン(PDB ID: 2IWG) • マゼンタ: 141005377 • 水色: acepromazine (8Y58) • グリーン: H433-N434-H435 (2IWG) • グレー: PRYSPRY domain of TRIM21 (2IWG) 選抜された化合物には伸長可能な部位が複数あり、分子のり(Molecular glue)やPROTACへの応用に適している 親水性 疎水性 Trp381 Trp383 Phe450 Asp355
  15. Copyright © Elix, Inc. All rights reserved. TRIM21は、特に凝集体に対する選択的分解誘導が期待できることから、選択的標的タンパク分解誘導薬(Protein degrader)の領域で注目を集めているE3リガーゼの一つ TRIM21-IgG

    Fc領域の結晶構造解析の情報をベースに、当社独自のプラットフォームであるElix Discovery™を用いた TRIM21リガンド生成検討を実施 各種フィルタリングと引き続くクラスタリング解析により、好ましいプロファイルを持つ29化合物を選抜 29化合物中28化合物が共通するスキャフォールドを有し、また対照化合物と比較して、TRIM21に対してより高いドッキン グスコアを示し、野生型TRIM21に対しても有意なスコア低下は示さなかった 選抜された生成化合物は複数のリンカー接続候補部位を持ち、また分子量も370-440の範囲であることから、Molecular glueやPROTACへの応用も期待できる E3リガーゼと基質タンパクの相互作用情報を活用した生成AIのアプローチは、従来のHTSやFBDDと比べ効率的にE3リガ ーゼに対する新規リガンドを取得できる可能性 まとめと展望 15