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GraphQLでいい感じの検索APIを作りたい

 GraphQLでいい感じの検索APIを作りたい

2024年9月13日の「テックリードの悩みを解決するGraphQLの話」というイベントで登壇した資料です。
https://estie.connpass.com/event/328999/

estie | エスティ

September 13, 2024
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Transcript

  1. © 2024 estie, inc. 自己紹介 riano_ • 2022年8月からestieでソフトウェアエンジニア • オフィスの貸主様向けプロダクトの開発

    • オフィスの仲介会社様向けプロダクトの開発 • GraphQL化を含むバックエンドの全面リファクタリング • 全社の共通基盤開発を通した開発の加速 • 趣味は競技プログラミング 2
  2. © 2024 estie, inc. • オフィス物件のデータ • 建物(building)が複数の「募集」(asking)を持っている • その他にも建物を起点に多くのデータ(駅、市区町村、事業者など)が関連づけられている

    どんなデータを扱っているか 5 (東京ミッドタウンの画像を用いて架空のデータで作成) 募集区画 階数 募集区画 面積 入居可能時期 備考 3 全 65.00坪 2024/12/05 2 A, B 43.50坪 即入居可
  3. © 2024 estie, inc. • 「募集」を検索する機能を提供している • 条件は「所在地」「竣工年」など建物のものと「賃料」「入居可能日」など募集のものがある • 該当する募集を建物毎に括って表示している

    「募集」を検索し、「建物」で表示したい 6 (検索結果画面) 階数 募集区画 面積 入居可能時期 備考 3 全 65.00坪 2024/12/05 2 A, B 43.50坪 即入居可 階数 募集区画 面積 入居可能時期 備考 4 全 65.00坪 2024/11/05 1 A, B 43.50坪 即入居可 サンプルビル1 東京都港区赤坂A-B-C 竣工: 2010年 サンプルビル2 東京都千代田区九段南X-Y-Z 竣工: 2020年
  4. © 2024 estie, inc. • データ構造から、以下のようなスキーマになっている • 検索APIの返り値は [Building!] としたいが、素直にネストした

    Asking を取得してはいけない (検索条件によらず、このビルの募集が全てついてきてしまう) GraphQLでどう実装するか? 7 こう書けたら嬉しいが...
  5. © 2024 estie, inc. <理想の要件> • 「建物」と「募集」の条件両方に合致する「募集」を検索したい • それを「建物」ごとにまとめてページネーションして表示したい(APIで全件渡すのは重すぎる) •

    通常のデータ取得と同じように、ネストしたクエリで書けると嬉しい 当時(昨年末くらい)調べた範囲では「これが決定版」という方法は見つからず (もしあれば、是非教えてください) 社内で3つの案が浮かび、最もよさそうなものを選んだ やりたいこと 8
  6. © 2024 estie, inc. GraphQLでは、ネストされた構造にフィルター条件を渡せる • 以下のようなスキーマが定義できる • 検索以外では AskingSearchCondition

    を渡さずにネストすれば普通にデータ取得できるはず 1. ネストされた構造に条件を渡す 10 こう書ける(一見よさそう)
  7. © 2024 estie, inc. 課題:N+1問題の回避が綱渡り • Building ごとにSQLクエリを発行して askings を取得するとN+1問題が発生

    • dataloaderを使って回避したいが、複雑な条件を渡すと処理が難しい 1. ネストされた構造に条件を渡す 11
  8. © 2024 estie, inc. 本当に検索したい対象は Asking なので、それを主役にして設計してみる すなわち、検索クエリの返り値を Asking の配列にする

    • Building 主体だと、(Asking を複数持つので)条件を満たす Asking とそうでない Asking が紐づ いているという問題があった • Asking を主体にすれば、(親の Building は一意なので)初めから条件を満たすものを検索してお けば何も気にせずネストして良い 2. Asking主体で返り値を設計する 12
  9. © 2024 estie, inc. 課題:ページネーション処理がやや煩雑 • 建物ごとに表示したいので、建物で括る必要がある • やや面倒だが、これはフロントエンドでやれば良い •

    しかしページネーションをどうするか? • 建物の条件で Asking をソートすることは出来る • 表示は1ページあたり「建物20件」なので、募集の件数でページネーションをしても意味がない • ビルの件数をカウントして該当の募集を返すことも出来なくはないが、煩雑に • やはりインターフェースとして不自然か? 2. Asking主体で返り値を設計する 13
  10. © 2024 estie, inc. • SQLクエリからは、{ building_id, asking_ids } の配列を取得する(ここは頑張る)

    • Building に searched_asking_ids というフィールドを持たせる • askings を以下の条件で取得する • searched_asking_ids が未設定→その建物の募集全て • searched_asking_ids が設定済→その募集IDの募集 (詳しくは次のページの実装例で) これにより、 • 表示に合った「建物ごとにまとめられた募集」という形式のインターフェース • dataloaderに渡すクエリが単純なものになり、N+1問題の回避が自然に出来る BuildingからAskingを取得するときに使うための補助的なフィールドを利用する 15
  11. © 2024 estie, inc. 比較 17 条件を渡してネスト Asking主体の設計 補助的なフィールド利用 APIインターフェース

    Building の配列 そのまま使える 嬉しい Asking の配列 Building ごとにまとめる 微妙 Building の配列 そのまま使える 嬉しい 気になる点 dataloaderの実装が複雑 微妙 ページネーション処理が 煩雑 微妙 補助的なフィールドが 冗長 許容