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2023年以降にFintech領域において注目すべきの法令改正の動向

 2023年以降にFintech領域において注目すべきの法令改正の動向

2022年12月9日に行われたフィンテックトレンド2023〜未来ノ洞察ヲ融合セヨ!〜(フィンテック養成勉強会#26)で関口 諒 弁護士が講演した「2023年以降にFintech領域において注目すべきの法令改正の動向」の発表スライドです。
https://fintech-engineer.connpass.com/event/266497/

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  1. ⓒHori & Partners All rights reserved 2 弁護士 関 口

    諒 (堀総合法律事務所) Tel 03(5275)2261 / E-mail [email protected] 略歴: • 2012年 慶応義塾大学法科大学院修了 • 2013年より堀総合法律事務所にて執務 • 2015年より外資系金融機関(銀行/証券会社)に出向 • 2019年 カリフォルニア大学バークレー校法科大学院 修了(LL.M.) • 2019年 米国Smith, Gambrell & Russell 法律事務所に出向 • 2019年10月 New York州 司法試験合格 銀行、信託会社、証券会社、アセマネ、ベンチャーキャピタル、保険会社、決済事業者等の金融法務を幅広く担当 著書に、「詳解信託判例」(きんざい、共著)、「START UP 金融法務入門」(経済法令研究会、共著)、「Q&A債権法改正 かわ る金融取引」(金融財政事情研究会、共著)、「海外の決済関連サービスの我が国での適応可能性―事業面および法規制面か らの検討―」(金融法務事情Vol.2126、共著)、「海外の保険テックサービスの我が国での適応可能性―事業面および法規制 面からの検討―」(金融法務事情Vol.2127、共著)等がある。 名刺情報はこちらをスキャンしてください
  2. 説明の基本方針 ・ 本日紹介させていただく内容 ① 令和4年資金決済法等の改正 - 電子決済手段に関する改正 - 前払式支払手段に関する規制の改正 ※

    為替取引分析業については割愛 ② 給与デジタル払いに関する労働基準法施行規則の改正 ③ その他 ・ 現在「デジタル・分散型金融へのあり方等に関する研究会」で議論されている内容は、時間の関係で紹介のみ ・ 改正により可能となる事項を中心に説明 → 実施に必要な規制対応は網羅していないのでご留意ください。 ⓒHori & Partners All rights reserved 3
  3. 電子決済手段の意義 ⓒHori & Partners All rights reserved 9 ・ 電子決済手段

    (改正資金決済法2条5項) ① 次の要件を満たすもの a. 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用可能 b. 不特定の者を相手方として購入・売却を行うことができる財産的価値 c. 電子機器その他の物に電磁的方法により記録されている通貨建資産 d. 電子情報処理組織を用いて移転可能 e. 有価証券、電子記録債権、前払式支払手段その他これらに類するものとして内閣府令で定めるものでないこと ※ 流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定めるものはe.を満たす ② 次の要件を満たすもの a. 不特定の者を相手方として上記①に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値 b. 電子情報処理組織を用いて移転可能 c. 下記③に不該当 ③ 特定信託受益権 ④ 上記①~③に掲げるものに準ずるものとして内閣府令で定めるもの 裏付け資産の保持は 要件ではない
  4. 電子決済手段の定義 ⓒHori & Partners All rights reserved 10 【類型①のポイント】 ・

    代価の弁済のために「不特定の者」に対して使用可能 / 「不特定の者」を相手方として購入等が可能 → 「不特定」の該当性は実態に即して個別具体的な判断になると考えられる(暗号資産の場合と同様) → 一定の登録を受けた者などに限定されていても、広く転々流通が見込まれる場合は該当しうる → 銀行発行の電子マネーは預金債権 = 移転は預金債権の消滅+発生 = 預金債権が購入等の対象ではない = 資金移動業者発行の電子マネーの移転を、未達債務に係る債権の消滅+発生とする場合も同様 ・ 有価証券・電子記録債権・前払式支払手段・これらに類するものとして内閣府令で定めるものでないこと → 有価証券・電子記録債権・前払式支払手段は基本的に電子決済手段に該当しない → 「内閣府令で定めるもの」 ⇒ 現時点では不明 → 有価証券・電子記録債権・前払式支払手段でも流通性等を勘案して内閣府令で定めるものは該当しうる ※ 報告書を参考にすると、発行者がパーミッションレス型の分散台帳で不特定の者に対して流通可能な仕様で発行し、 発行者や加盟店以外の不特定の者に対する送金・決済手段として利用できる前払式支払手段
  5. 電子決済手段の定義 ⓒHori & Partners All rights reserved 11 【類型③のポイント】 ・

    特定信託受益権は次の要件を満たすもの a. 金銭信託の受益権 b. 電子情報処理組織を用いて移転可能な財産的価値 c. 電子機器その他の物に電子的方法により記録されるもの d. 受託者が信託契約により受け入れた金銭の全額を預貯金により管理するものであること e. その他内閣府令で定める要件を満たすものであること → 報告書は、「銀行に対する要求払預金を信託財産とした受益証券発行信託の信託受益権」を指摘
  6. 電子決済手段の定義 【参考】 信託を利用する場合の金商法に基づく開示規制等の適用 ・ 特定信託受益権であって、有価証券とみなさなくとも公益・投資者保護に支障を生ずることがないもの → 政令で定められる ⇒ 「みなし有価証券」から除外 =

    投資判断に有益な情報を提供するという金融商品取引法上の開示規制 投資者保護・資本市場の健全性確保のための諸規制 ※ 報告書でも必要な利用者保護措置を講じることの必要性は指摘されており、それを踏まえた政令の定めが見込まれる Ex. 信託財産の全額を円建ての要求払預金で管理することを必要とすること等 → こうした措置により、信用リスク・金利リスク・流動性リスク・為替リスクといったリスクを最小化・明確化 ⓒHori & Partners All rights reserved 12 適用除外となる
  7. 電子決済手段の「発行者」に対する規制 ・ 現行法上は、電子的支払手段を発行・償還する行為は基本的には「為替取引」に該当する ⇒ 銀行業の免許 or 資金移動業者の登録が必要 ・ 今回の改正法で信託受益権を用いる仕組み(信託会社が発行者となる仕組み)を新設 →

    信託会社は本来は為替取引を行うことができないが・・・ ⇒ 特定信託会社は特定信託為替取引に係る営業を行うことが可能に(改正資金決済法37条の2) ※ 届出は必要 (改正資金決済法37条の2第3項) ※ 特定信託会社 = 特定信託受益権を発行する信託会社・外国信託会社であって、政令で定める要件を満たすもの ※ 特定信託為替取引 = 特定信託受益権の発行による為替取引 ⓒHori & Partners All rights reserved 14 滞留規制の準用なし
  8. 電子決済手段の「仲介者」に関する規制(電子決済手段等取引業) ⓒHori & Partners All rights reserved 18 ・ 電子決済手段の仲介に係る規制対象として「電子決済手段等取引業者」の概念を新設

    ・ 電子決済手段等取引業: 次のいずれかを業として行うこと(改正資金決済法2条10項) ① 電子決済手段の売買又は他の電子決済手段との交換 ② 上記①に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理 ③ 他人のために電子決済手段の管理をすること (その内容等を勘案し、利用者保護に欠けるおそれが少ないものとして内閣府令で定めるものを除く) ④ 資金移動業者の委託を受けて、当該資金移動業者に代わって利用者との間で次に掲げる行為のいずれかを 電子情報処理組織を使用する方法により行うことについて合意をし、かつ、当該合意に基づき為替取引に 関する債務に係る債権の額を増加させ、又は減少させること イ 当該契約に基づき資金を移動させ、当該資金の額に相当する為替取引に関する債務に係る債権の額を 減少させること ロ 為替取引により受け取った資金の額に相当する為替取引に関する債務に係る債権の額を増加させること 電子決済手段の交換等 電子決済手段の管理
  9. 電子決済手段の「仲介者」に関する規制(電子決済等取扱業) ⓒHori & Partners All rights reserved 20 ・ 電子決済手段の仲介に係る規制対象として銀行法にて「電子決済等取扱業者」の概念を新設

    ・ 電子決済等取扱業: 次のいずれかを業として行うこと(改正銀行法2条17項) ① 銀行の委託を受けて、当該銀行に代わって当該銀行の預金者との間で次に掲げる行為のいずれかを 電子情報処理組織を使用する方法により行うことについて合意をし、かつ、当該合意に基づき預金債権の額を 増加させ、又は減少させること イ 当該口座に係る資金を移動させ、当該資金の額に相当する預金債権の額を減少させること ロ 為替取引により受け取った資金の額に相当する預金債権の額を増加させること = 銀行に代わって為替取引の指図の承諾まで行うという位置づけになる? ② 電子決済等関連預金媒介業務 = 上記①の行為に関して、委託銀行のために預金の受入れを内容とする契約の締結の媒介をすること
  10. 仲介者に対する規制 電子決済手段等取扱業者 電子決済等取扱業者 ・ 参入規制は登録制 ・ 名義貸し禁止 ・ 情報の安全管理義務 ・

    委託先に対する指導義務 ・ 利用者の保護等に関する措置 ・ 金銭等の預託の禁止 ・ 利用者財産の分別管理義務 ・ 発行者等との契約締結義務 ・ 指定紛争解決機関との契約締結義務 ・ 金商法の一部準用 ・ 帳簿書類作成義務 ・ 事業報告書提出義務 ・ 犯収法上の特定事業者としての義務 ・ 犯収法上のトラベルルールへの対応義務 ・ 参入規制は登録制 ・ 標識掲示義務 ・ 名義貸し禁止 ・ 顧客に対する説明等の義務 ・ 顧客に対する誠実義務 ・ 金銭等の預託の禁止 ・ 委託銀行との契約締結義務 ・ 指定紛争解決機関との契約締結義務 ・ 電子決済等取扱業に係る禁止行為 ・ 金商法の一部準用 ・ 帳簿書類作成義務 ・ 事業報告書提出義務 ・ 犯収法上の特定事業者としての義務 ・ 犯収法上のトラベルルールへの対応義務 ⓒHori & Partners All rights reserved 21
  11. ① 残高譲渡型前払式支払手段(府令1条3項4号) = 前払式支払手段のうち・・・ - 利用者の指図に基づき - 発行者が、電子情報処理組織を用いて一般前払式支払手段記録口座における未使用残高の減少及び増加の記録をする 方法その他の方法により -

    発行者が管理する仕組みに係る電子情報処理組織を用いて移転することができるもの ※ 一般前払式支払手段記録口座 = 前払式支払手段発行者が自ら発行した前払式支払手段毎にその内容の記録を行う口座 → 当該口座に前払式支払手段の内容が記録されることにより、当該前払式支払手段を代価弁済に使用できること or 物品等の給付若しくは役務の提供を請求することが可能となるものに限る = 要するに残高を記録するアカウント ⓒHori & Partners All rights reserved 26 前払式支払手段(電子移転可能型)の類型
  12. ② (a) 番号通知型前払式支払手段(府令1条3項5号) = 前払式支払手段のうち・・・ - 電子情報処理組織を用いて第三者に通知することができる番号等であって、 - 当該番号等の通知を受けた発行者が当該通知をした者をその保有者として -

    その未使用残高を一般前払式支払手段記録口座に記録するもの ② (b) ブランド型前払式支払手段(府令5条の2第2項) = 第三者型前払式支払手段のうち・・・ - その未使用残高が一般前払式支払手段記録口座に記録されるものであって、 - 金融庁長官が定める登録商標を使用する権利を有する発行者により当該登録商標を付されており、 ※ AMEX、JCB(JCB PREMOは除く)、Diners、DISCOVER、VISA、Master Card、Union Pay - 当該前払式支払手段に係る証憑等がなくても、代価弁済に使用できること or 物品等の給付若しくは役務の提供を請求する ことが可能となるもの 27 前払式支払手段(電子移転可能型)の類型
  13. 【現状】 ・ 電子移転可能型の前払式支払手段のうち、残高譲渡型については、発行者に次の義務あり - 譲渡可能な未使用残高の上限設定 - 繰り返し譲渡を受けている者の特定等の不自然な取引を検知する体制整備 - 不自然な取引を行っている者に対する利用停止等 ・

    番号通知型(番号通知型(狭義)及び番号通知型(狭義)に準ずるもの)については・・・ → 現時点では、残高譲渡型のような価値移転が可能であることに着目した体制整備等は求めていない → しかしながら・・・ - 番号通知型については特殊詐欺等を含む不正利用事案の例が報告されている - 転売サイトの利用等に伴う トラブルも報告されている ⓒHori & Partners All rights reserved 29 電子移転可能型前払式支払手段に関する体制整備
  14. ・ 残高譲渡型についても体制整備を改めて整理 → 移転可能な未使用残高の上限設定、移転状況を監視するための体制整備その他の当該残高譲渡型 前払式支払手段の不適切な利用を防止するための措置を講じなければならない(府令23条の3第1号) → 例えば、以下の点に留意(ガイドラインⅡ-2-6) ① 防止すべき不適切な利用の類型の特定及び必要に応じた内容の見直し ②

    1回又は1日当たりの譲渡可能な未使用残高の上限金額を不適切な利用が抑止できると考えられる水準に設定するなど、 適切かつ有効な未然防止策の検討及び実施 ③ 一定以上の金額について繰り返し譲渡を受けている者を特定するなど、不適切な利用が疑われる取引を検知する体制の整備 ④ 不適切な利用が疑われる取引を行っている者に対する利用停止等の対応及び原因取引の主体や内容等についての 必要な確認の実施 ⑤ 再発防止等の観点から、不適切な利用の類型に応じ、例えば、以下のような措置を迅速かつ適切に講じる体制の整備 イ.ウェブサイト等への不適切な利用に関する注意喚起の表示 ロ.不適切な利用に悪用されているサービス内容の見直し ⓒHori & Partners All rights reserved 30 電子移転可能型前払式支払手段に関する体制整備
  15. ・ 番号通知型及びブランド型についても、次の対応が求められる → 一般前払式支払手段記録口座に記録可能な未使用残高の上限額の設定、不適切な移転を防止するための 体制の整備その他の当該前払式支払手段の不適切な利用を防止するための適切な措置(府令23条の3第2号) → 例えば、以下の点に留意(ガイドラインⅡ-2-6) ① 防止すべき不適切な利用の類型の特定及び必要に応じた内容の見直し ②

    転売を禁止する約款等の策定や、サービスに係る上限金額を不適切な利用が抑止できると考えられる水準に設定するなど、 適切かつ有効な未然防止策の検討及び実施 ③ 不適切な利用が疑われる取引を検知する体制の整備 ④ 不適切な利用が疑われる取引を行っている者に対する利用停止等の対応及び原因取引の主体や内容等についての必要な確認の実施 ⑤ 再発防止等の観点から、不適切な利用の類型に応じ、例えば、以下のような措置を迅速かつ適切に講じる体制の整備 イ.ウェブサイト等への不適切な利用に関する注意喚起の表示 ロ.販売時における販売端末、店頭に陳列するプリペイドカード等への不適切な利用に関する注意喚起の表示 ハ.不適切な利用に悪用されているサービス内容の見直し (例えば、悪用されている販売チャネルや販売券種における販売上限額の引下げ、取扱いの停止など) 31 電子移転可能型前払式支払手段に関する体制整備
  16. ・ 前払式支払手段について犯収法の取引時確認の対象から外すことの根拠は・・・ → 前払式支払手段は払戻不可であり、マネー・ローンダリング等に係るリスクは相対的に限定されている ⇒ 電子的に譲渡・移転ができず、チャージ上限を少額に設定する小口決済型の前払式支払手段に妥当 ⇒ それ以外の前払式支払手段には当てはまらないと考えられ、リスクに応じた対応を検討する必要あり ・ そこで・・・

    → 前払式支払手段発行者についても、他の特定事業者との間で、マネー・ローンダリング等への対応 の差異が拡大しないための対応が必要 → リスクベース・アプローチの下、利用者利便の観点や、前払式支払手段がキャッシュレス化や イノベーション創出に果たしている役割にも配慮しつつ、取引時確認(本人確認)や疑わしい取引の届出 義務等が必要となる高額電子移転可能型前払式支払手段の範囲を定めることが考えられる ⓒHori & Partners All rights reserved 33 高額電子移転可能型前払式支払手段に関するAML/CFT対策
  17. ① 次の要件を満たす前払式支払手段 (改正資金決済法3条8項1号) - 第三者型前払式支払手段のうち、 - その未使用残高が前払式支払手段記録口座※に記録されるものであって、 ※ 前払式支払手段の発行者が自ら発行した前払式支払手段ごとにその内容の記録を行う口座 -

    口座に記録される未使用残高の上限額が30万円を超える - 当該口座に前払式支払手段の内容が記録されることにより、当該前払式手段を、代価の弁済のために使用すること 又は物品等の給付若しくは役務の提供を請求することが可能となること - 電子情報処理組織を用いて移転をすることができるものであり、 - 移転可能な一件当たりの未使用残高 or 移転可能な一定の期間内の未使用残高の総額が高額 であることその他の内閣府令の要件を満たすもの ② 上記①に準ずるものとして内閣府令で定めるもの(改正資金決済法3条8項2号) ⓒHori & Partners All rights reserved 34 「高額電子移転可能型前払式支払手段」の定義 残高上限30万円以下 であれば、 高額電子移転可能型 には該当しない
  18. ⇒ 第1号型(残高譲渡型+番号通知型)の「高額」の概念は府令に委ねられた (a) 残高譲渡型前払式支払手段の場合 - 電磁的方法により未使用残価の記録の加算が行われるものであって、 - 次のいずれかに該当するもの ① 移転可能な1回当たりの未使用残高の額が10万円を超える

    ② 移転可能な1ヵ月間の未使用残高の総額が30万円を超える (b) 番号通知型前払式支払手段の場合 - 電磁的方法により未使用残高の記録の加算が行われ、発行者が発行を受けた者の情報を管理しないものであって、 - 次のいずれかに該当するもの ① 前払式支払手段記録口座に記録可能な1件当たりの未使用残高の額が10万円を超える ② 前払式支払手段記録口座に記録可能な1ヵ月間の未使用残高の総額が30万円を超える ※ ①、②のいずれも発行者が、当該発行者に対して当該前払式支払手段に係る番号の通知をした者を保有者とするものに限る ⓒHori & Partners All rights reserved 35 「高額電子移転可能型前払式支払手段」の範囲(続き) いずれも改正法3条8項1号が前提 いずれも改正法3条8項1号が前提
  19. ⇒ 第2号型(ブランド型)については全体の要件が府令に委ねられた - 電磁的方法により未使用残高の加算が行われる第三者型前払式支払手段である - 未使用残高が前払式支払手段記録口座に記録される - 記録可能な1ヵ月間の未使用残高の総額が30万円を超える - 金融庁長官の指定する登録商標を使用する権利を有する発行者により当該登録商標が付されている

    - 上記の登録商標に係る標識の掲示その他の表示をしている加盟店において、上記の権利に関して 代価の弁済に充てること又は物品等の給付若しくは役務の提供を請求することが可能な 1ヵ月間の未使用残高の総額が30万円を超える - 当該第三者型前払式支払手段に係る証憑等がなくても、代価の弁済に充てること又は物品等の給付 若しくは役務の提供を請求することが可能 ⓒHori & Partners All rights reserved 36 「高額電子移転可能型前払式支払手段」の範囲(続き)
  20. ・ 業務実施計画書の届出 (改正資金決済法11条の2) → 高額電子移転可能型前払式支払手段を発行しようとするときは業務実施計画書の届出が必要 記載事項は・・・ - 前払式支払手段記録口座に記録される未使用残高に上限額を設ける場合は当該上限額 - 高額電子移転可能型前払式支払手段発行業務に使用する電子情報処理組織の管理方法

    - AML/CFTを確保するために必要な体制に関する事項 - 電子移転可能型前払式支払手段に係る不正利用防止の体制整備に関する事項(府令23条の3第1号・2号) - 不正利用により発生した利用者の損失の補償その他の対応に関する方針 - 発行業務の内容及び方法に照らし必要があると認められる場合にあっては、当該業務に関し当該高額電移転可能型前払式 支払手段の利用者以外の者に損失が発生した場合における当該損失の補償その他の対応に関する方針 - その他高額電子移転可能型前払式支払手段の利用者の保護を図り、及び高額電子移転可能型前払式支払手段の発行業務 の健全かつ適切な運営を確保するための重要な事項 ⓒHori & Partners All rights reserved 37 高額電子移転可能型前払式支払手段発行者の参入規制 府令別紙様式第11号の2 + 第11号の3
  21. ① 特定事業者への該当 (改正犯収法2条2項30の2号) = 高額電子移転可能型前払式支払手段の発行者を特定事業者とする → 特定取引を行うに際しての取引時確認義務 ⇒ 「特定取引」は犯収法施行令で定められる ⇒

    報告書によると、高額電子移転可能型前払式支払手段のアカウント開設が見込まれる → 確認記録・取引記録作成義務 → 特定業務に係る取引について疑わしい取引の届出義務 ⇒ 「特定業務」は犯収法施行令にて定められる ⇒ 報告書によると、高額電子移転可能型前払式支払手段の発行業務が見込まれる ② アカウント譲渡・譲受の禁止 (改正犯収法28条の2) = 高額電子移転可能型前払式支払手段のアカウントの譲渡・譲受の禁止 ⓒHori & Partners All rights reserved 38 高額電子移転可能型前払式支払手段発行者のAML/CFT対応
  22. 施行期日/経過措置 【施行日】 ・ 施行日は、基本的に、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日 【経過措置】 高額電子移転可能型前払式支払手段関連 ・ 高額電子移転可能型前払式支払手段の発行に業務実施計画の届出を求める規定は・・・ → 施行日時点で高額電子移転可能型前払式支払手段を発行している者は、施行日から2年間は適用猶予

    ⇒ 施行日から2年を経過した日から30日以内に届出を行えば足りる → ただし、施行日から起算して2週間以内に内閣府令で定める事項を記載した届出書の提出が必要 ・ 高額電子移転可能型前払式支払手段の発行に係る業務実施計画の届出前に、犯収法に基づく取引時確認 相当する確認 / 確認記録に相当する記録の作成・保存を行っている場合・・・ → 当該顧客等との間の届出日以後の取引で政令で定めるものについては、本人特定事項に係る取引時確認は不要 ⓒHori & Partners All rights reserved 40
  23. デジタルマネーによる給与支払いと問題の所在 ・ デジタルマネーによって、給与の支払いを行うサービス 例: XX Payのアカウントへの給与の支払い ・ 労働基準法24条の「賃金の通貨払いの原則」との関係が問題 = 現行法上は、通貨払いの原則の例外として認められるのは・・・

    ① 労働協約で通貨以外の方法による給与支払いを定めている場合 ② 銀行等の金融機関における預貯金口座への振込※ ③ 一定の要件を満たす金商業者における労働者の預り金への払込み※ ※ 通達(H19.9.30基発0930001号など)における要件を満たすことも必要 ⓒHori & Partners All rights reserved 42
  24. (1) 賃金の支払に係る資金移動を行う口座(以下「口座」)について、労働者に対して負担する為替取引に関する 債務の額が100万円を超えることがないようにするための措置 or 当該額が100万円を超えた場合に当該額を 速やかに100万円以下とするための措置を講じていること → アカウントの残高が100万円を超えた場合には、必ず当日中に出金する必要がある ⇒ あらかじめ、出金先となる預貯金口座等を指定しておくことが必要

    (2) 破産手続開始の申立てを行ったときその他為替取引に関し負担する債務の履行が困難となったときに、 口座について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の全額を速やかに当該労働者に弁済することを 保証する仕組みを有していること → 資金移動業者の破綻時に、民間の保証機関が労働者の口座残高の全額を保証する (3) 口座について、労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰することができない理由で 当該労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することが困難となったことにより当該債務について 当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること → 労働者無過失の場合は、資金移動業者による全額補償を想定 ⓒHori & Partners All rights reserved 44
  25. (4) 口座について、特段の事情がない限り、当該口座に係る資金移動が最後にあった日から少なくとも10年間は、 労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することができるための措置を講じていること → 「特段の事情」: 警察からの要請による口座凍結等により、口座残高の受取不可の場合などを想定 → 10年間の対象は「口座残高を受け取れること」 ⇒ 10年間、口座を利用させ続けることを義務付けるものではない

    (5) 口座への資金移動が1円単位でできるための措置を講じていること (6) 口座への資金移動に係る額の受取について、現金自動支払機を利用する方法その他の通貨による受取ができる 方法により1円単位で当該受取ができるための措置及び少なくとも毎月1回は当該方法に係る手数料その他の費用 を負担することなく当該受取ができるための措置を講じていること (7) 賃金の支払に関する業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること (8) 上記(1)~(7)に掲げるもののほか、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、 かつ、十分な社会的信用を有すること ⓒHori & Partners All rights reserved 46
  26. 労働基準法施行規則で明確でない事項 ・ 労働基準法施行規則のみでは明らかでない部分も多く、今後の通達等による明確化を待つことになる ⇒ 例えば・・・ - 取扱資金移動業者を1社とせず、複数とする必要があるのか - 100万円を超えた場合の当日中の出金のために、通常の資金移動用口座と賃金受取用口座を用意し、 賃金受取用口座の100万円超過部分を、通常の資金移動用口座に移動するという取扱いで足りるか

    - 100万円を超えた場合の出金先とされていた銀行口座が解約された場合はどのように扱うのか - 不正利用の際の補償に関して、労働者に過失ある場合は一律補償しないとの取扱いは不可なのか - 1円単位の受取りについて、ATMで紙幣を出金し、紙幣単位以下の金額はATMから排出されるレシートを コンビニエンスストアのレジに持参して硬貨を受け取ることで許容されるか ⓒHori & Partners All rights reserved 47
  27. ・ 各種団体がNFTの取扱いに関連するガイドラインを公表 ⇒ これまで明確な整理が困難であったNFTに関連する法的論点について非常に参考になる 50 NFTに関連する各種ガイドラインの公表 - NFTビジネスに関するガイドライン → 一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会が策定

    → 令和3年4月26日策定の初版を改訂し、令和4年3月26日に第2版を公表 - スポーツコンテンツを活用したNFTのパッケージ販売と二次流通市場の併設に関するガイドライン → スポーツエコシステム推進協議会 → 令和4年9月20日公表 - NFTのランダム販売に関するガイドライン → 一般社団法人Japan Contents Blockchain Initiative、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協議会、スポーツエコシステム推進協議会 一般社団法人日本ブロックチェーン協会、一般社団法人日本ブロックチェーン推進協会が共同で策定 → 令和4年10月12日公表
  28. 52 - 第6回における討議事項 → DeFiにおける規律のあり方と規制の名宛人について → 送金決済手段に求められる規律 Ex. 海外で発行された電子決済手段の日本国内における取扱い -

    第7回における討議事項 → Web3.0等の分散台帳技術等を活用した動きの進展に伴う、社会や経済への意義や影響 → 分散台帳技術等を活用した動きの進展により、社会課題の解決に繋がるようなユースケースとして考えられるもの → 分散台帳技術等を活用した金融的手法・サービスは、伝統的金融における手法・サービスと比較して、迅速性向上・ コストの低減・きめ細かい利用者ニーズへの対応可能性等のメリットが指摘される一方、利用者保護・金融システムへの影響・ ステークホルダーの平等性等の課題も指摘されるところ・・・ - こうした手法・サービスの現在の用いられ方について、どのように評価することが考えられるか - こうした手法・サービスの展開は、今後どのようなものとなると考えられるか - こうした手法・サービスが役割を発揮していくために、金融行政において取り組むべき対応として、どのようなものが考えられるか。