Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

Graph_Invariant_Learning_260525_1.pdf

 Graph_Invariant_Learning_260525_1.pdf

More Decks by 君野史明(Fumiaki Kimino)

Transcript

  1. 3 SOKENDAI 1.なぜこの論⽂が重要か 通常のGNNは「訓練分布とテスト分布が同じ」とい う仮定に強く依存する。 現実のグラフでは分布シフトが⾃然に起きる 医療、⾦融、分⼦予測などでは、データ⽣成 過程が時期・施設・集団・測定条件により変 わる。 リスク

    訓練では有効だった相関が、未知環境では逆 転し、予測性能が⼤きく落ちる。 研究課題 ラベル予測に本質的なグラフ構造だ けを抽出し、環境固有のスプリアス 相関を捨てる。 本論文全体での入力は、潜在環境が混在したラベル付きグラフ集合 D = {(G_i, Y_i)}_{i=1}^N、ただし各 グラフは G_i = (V_i, E_i, X_i) または隣接行列 A_i とノード特徴からなる。出力は、各グラフから抽出さ れた不変部分グラフ Φ(G_i) = G_i^I に基づくグラフ表現 h_i = g(Φ(G_i))、および分類器 w による予測ラ ベル Ŷ_i = f(G_i) = w(g(Φ(G_i))) である。
  2. 4 SOKENDAI 2.問題設定:グラフのOOD汎化 f* = arg min_f sup_e R(f |

    e) すべての環境で最悪リスクを⼩さくする予測器を探す。 f(G) = w(h(G)) 表現学習 h と分類器 w に分解して考える。 P^e(G,Y) ≠ P^{eʼ}(G,Y) 訓練とテストでグラフ・ラベルの同時分布が変わる。 本論⽂の難しさ 多くの実データでは環境ラベル e が 観測されない。したがって、環境を 推定しながら、不変な表現を同時に 学習する必要がある。 GIL の⽬標 潜在環境の混合から、ラベルに対し て不変な構造パターンを⾒つけ、未 知環境でも性能が落ちにくい表現を 得る。 訓練データは複数の潜在環境の混合 環境ラベルは基本的に未観測 テスト環境は訓練環境と異なり得る
  3. 5 SOKENDAI 3.GIL の中⼼アイデア 不変部分グラフ GI ラベルとの関係が環境をまたいで安定す る構造 変動部分グラフ GV

    環境ごとに変わる相関や背景的構造 予測は GI から⾏う GV は環境推定に使い、分類には不変構 造を重視 GIL は三つのモジュールを共同最適化する
  4. 6 SOKENDAI 4.全体フレームワーク 論⽂ Figure 2 1. 不変部分グラフ同定 GNNベースの⽣成器 Φ(G)

    が、エッジマスクを通じ て GI と GV を分割する。 2. 環境推定 GV の表現をクラスタリングし、潜在環境ラベルを 教師なしで推定する。 3. 不変学習 推定環境ごとのリスク勾配が揃うように正則 化し、OODに強い表現を学習する。 GI を⼤きくしすぎるとスプリアス構造が混⼊し、⼩さすぎると予測情報が⾜りない。
  5. 7 SOKENDAI 5.モジュール1:不変部分グラフ同定 M_ij = z_i^T z_j, z = GNN_M(G)

    ノード表現から各エッジの重要度を連続値マスクとして推定。 A_I = Top_t(M ⊙ A), A_V = A - A_I 上位 t% のエッジを不変部分、残りを変動部分として扱う。 ⼊⼒グラフ G ノード・エッジ・特徴量 Φ(G) 共有GNNが エッジマスクを⽣成 GI / GV 不変構造と 変動構造に分割 ポイント マスクをグラフごとに直接最適化するのではなく、共有GNNで⽣成す るため、未知グラフにも適⽤できる。 GI: ラベルと安定に関係する構造 GV: 環境依存のスプリアス相関を含む構造 Top_t により、予測情報とノイズ混⼊のトレードオフを制御
  6. 8 SOKENDAI 6.モジュール2:潜在環境の推定 変動部分 GV 環境を識別しやすい 特徴を含む GNN_V + READOUT

    グラフレベル表現 hV を⽣成 k-means hV をクラスタリング 推定環境 E_infer 教師なしで環境分割 なぜ GV を使うのか 不変部分は環境に依存しにくい。⼀⽅、変動部分は環境固有の相関を持つため、 潜在環境の識別に役⽴つ。 環境ラベルを観測しなくても、変動構造から環境を推定する点がGILの特徴。
  7. 9 SOKENDAI 7.モジュール3:不変学習 Φ* = arg max_{Φ∈I_E} I(Y; Φ(G)) ラベル情報を最⼤限保持する不変部分グラフ⽣成器を探す。

    Σ_e R^e(f) + λ trace Var_e(∇_θ R^e) 環境ごとのリスクだけでなく、勾配のばらつきも抑える。 直感 「どの環境でも同じ⽅向に改善される特徴」を残す。環境 ごとに異なる相関に頼ると、勾配が環境間で揃いにくい。 分類器 GI に対して GNN_I と READOUT で表現 hI を作り、MLP 分類器 w がラベルを予測する。 GI 不変部分グラフ g(·) 表現学習 w(·) 分類器 Y 予測
  8. 10 SOKENDAI 8.理論的主張の位置づけ 仮定 最適な不変部分グラフ⽣成器 Φ* が存在し、 (1) 不変性と (2)

    予測⼗分性を満たす。 定理 3.2 Φ* は「ラベルとの相互情報を最⼤化する 最⼤不変部分グラフ⽣成器」として特徴づ けられる。 定理 4.1 ⼀定条件下で、Φ* から得た予測器は OOD最適問題の解に対応する。 Y ⟂ environment | Φ*(G) 不変部分グラフを条件にすると、ラベル規則が環境をまたいで安 定するという考え⽅。 h(G) = g(Φ(G)) 最終表現は、⼊⼒全体ではなく、学習された不変部分を通じて構 成される。 理論は「スプリアスな構造を除き、不変かつ⼗分な構造を残す」設計原理を正当化している。
  9. 11 SOKENDAI 9.学習アルゴリズムの流れ Step 1 Φ が GI/GV を⽣成 Step

    2 GV から環境を推定 Step 3 GI で分類損失を計算 Step 4 不変正則化を加える 共同最適化の意味 部分グラフ分割、環境推定、不変学習は独⽴ではない。GI が改善 すると GV も環境識別的になり、環境推定が良くなると不変学習 も効きやすくなる。 訓練時:⽬的関数で全モジュールを更新 テスト時:学習済み Φ, g, w で予測 テスト環境ラベルは不要
  10. 12 SOKENDAI 10.実験1:SP-Motifで何を検証したか データ⽣成 各グラフは「ラベルに対応する不変モ チーフ」と「環境に依存する変動部分」 からなる。 分布シフト r_train と

    r_test を変えて、訓練時のスプ リアス相関とテスト時の相関をずらす。 評価 分類精度に加え、正しい不変部分グラフ を⾒つけたかを Precision@5 で評価。 SP-Motif の分類精度(Table 1) 学習された不変部分グラフ(Figure 6) シンセティックデータでは「何が本当の不変構造か」が既知なので、GILが本当にそこを拾っている かを検証できる。
  11. 13 SOKENDAI 11.SP-Motif 結果:分布シフトが強いほど差が出る 分類精度(Table 1) 主結果 GIL は全設定で最⾼精度。r_train が⼤きくな

    るほど、多くのベースラインは⼤きく性能低 下する。 安定性 r_test=1/3 で r_train が 0.5→0.8 に変わると、 ベースラインは7%以上低下する⼀⽅、GILの 低下は約3%。 不変部分グラフの Precision@5(Figure 3) 可視化でも GIL が ground truth に近い
  12. 14 SOKENDAI 12.環境推定と不変構造発⾒の関係 不変部分グラフ検出 学習過程 潜在環境推定 読み取り 1 GIL は、他⼿法より⼀貫して真の不変

    サブグラフを発⾒しやすい。 読み取り 2 分類精度の改善と Silhouette score の 改善が同期している。 読み取り 3 教師なしでも、GV の表現から環 境クラスタが明確に分離される。 不変構造の発⾒と環境推定は、互いに補強し合う設計になっている。
  13. 15 SOKENDAI 13.実験2:実世界データでも有効か 実世界データの結果(Table 2) Dataset GIL 最良ベースラインとの差 MNIST-75sp 21.94

    +1.82 pt Graph-SST2 83.44 +0.15 pt MOLSIDER 63.50 +2.21 pt MOLHIV 79.08 +2.03 pt 多様なシフト MNIST-75sp: ノード特徴ノイズ / Graph-SST2: 平均次数による 分割 / OGB: scaffold split 解釈 分布シフトの種類が異なるにもかかわらず、GIL は四つの 実世界ベンチマークで最⾼性能を達成。
  14. 16 SOKENDAI 14.定性的結果:Graph-SST2 ⽂グラフ上の不変サブグラフ(Figure 7) ⻘いエッジ GIL が不変部分グラフとして選んだ構造。感情分類で安定 して有効な語・語句へ注⽬する。 例

    “the worldʼs best actors” のような語句は positive に安定 して関係する⼀⽅、“daniel auteuil”(フランスの俳優) は ⽂脈依存の変動部分と解釈される。 意味 単なる精度向上だけでなく、どの構造を不変情報として利 ⽤しているかを可視化できる。
  15. 17 SOKENDAI 15.感度分析とバックボーン互換性 ハイパーパラメータ感度(Figure 8) MOLHIVでの別バックボーン結果(Table 3) 環境数 |E_infer| SP-Motif

    では真の環境数に近い 3 でピーク。⼤きすぎると環 境推定が難しくなる。 λ とマスクサイズ t 分類損失と不変正則化、GIの⼤きさにはバランスが必要。た だし広い範囲でベースラインを上回る。 互換性 GINだけでなく CIN や HIG などのバックボーンにも組み込める。 任意のGNNバックボーンの上に載せられる汎⽤的な仕組み
  16. 18 SOKENDAI 16.アカデミックに⾒た貢献と限界 貢献1:問題設定 環境ラベルがない潜在環境混合のグラフ OOD問題を、明⽰的に扱った。 貢献2:⽅法 GI/GV 分割、GVによる環境推定、不変正 則化を共同最適化した。

    貢献3:実証 合成・実世界の複数データセットで、既 存⼿法より良いOOD性能を⽰した。 留意点 不変部分グラフが存在するという仮定、環境クラスタ数、マス クサイズなどの設計に依存する。 今後の拡張 ノード分類・リンク予測、時系列シフト、より⼤規模なグラフ、 ⾔語モデル特徴との統合などが⾃然な発展⽅向。 GILは「予測に効く構造」と「環境を表す構造」を分離することで、グラフOOD汎化に因果的不変性 の発想を導⼊した。
  17. 19 SOKENDAI 17. まとめ(Takeaways) 問題 GNNはスプリアス相関に頼ると、未知環境で 性能が落ちる。 提案 GILは不変部分グラフを抽出し、変動部分から 潜在環境を推定する。

    結果 合成・実世界データでOOD汎化性能と不変構 造発⾒性能を改善。 ⼀⾔でいうと 「どの環境でもラベルとの関係が変わらないグラフ構造」を⾒つけ、それだけに基づいて予測するための⽅法。