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AIエージェントの力で切り拓く、誰もが活躍できるインクルーシブな未来

 AIエージェントの力で切り拓く、誰もが活躍できるインクルーシブな未来

# Women Developers Summit 2025
## タイトル
AIエージェントの力で切り拓く、誰もが活躍できるインクルーシブな未来

## 概要
生成AIやコードAIエージェントが急速に進化する今、開発現場も私生活も新たな可能性に満ちています。CursorやChatGPTなどの生成AI活用は技術的な障壁を取り払い、エンジニア一人ひとりの生産性やQOLを飛躍的に向上させます。AIエージェントを日常に取り入れ、誰もが性別や環境に関係なく輝けるインクルーシブな未来への道筋を紹介します。

## リンク
https://event.shoeisha.jp/devsumi/20250627/session/5829

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Yu Kamiya

June 27, 2025
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  1. アジェンダ 1 自己紹介 プロフィール、キャリアハイライト、実績、Tech DE&I プロジェクト 2 AIエージェントとは AIエージェントの基本概念、5段階進化、現在の位置づけ 3

    AI活用の転機 ChatGPTの登場によるAI民主化とマインドセットの変化 4 AIエージェント活用事例 業務効率化から育児まで 5 インクルーシブな未来 課題と解決策 ビジネスでの活用 家庭・育児での活用 開発現場での活用 2 / 29
  2. プロフィール:神谷 優 (Kamiya Yu) 神谷 優 (Kamiya Yu) 株式会社サイバーエージェント @_yukamiya

    yukamiya.me 3児の母 現在の役割 Developers Connect室 Manager (2024〜) 社内DevRel推進、1,200人を超えるエンジニア組織の技術支援、生成AI活用推進 Tech DE&I Lead (2023〜) 女性エンジニアのためのカンファレンス運営、テクノロジー業界のDE&I推進 主な実績 Forbes JAPAN「Women in Tech 30 2024」 選出 Women Techmakers Ambassador就任 Co-Founder of Ms.Engineer 登壇実績多数 3 / 22
  3. キャリアとプロジェクト キャリアハイライト Tech DE&I プロジェクト主な取り組み エンジニア1000人向け勉強会 Women Tech Terrace開催 Women

    Go College インターン 論文執筆・学会発表 女性エンジニアコミュニティ活性化 プライベート & コンタクト 3児の母として、 AIを活用して育児・仕事のバランスを模索中 子育てとテクノロジーをテーマにしたPodcast 'momit.fm' のホスト @_yukamiya yukamiya.me 3 / 18 2023-2025 技術政策管轄・マネージャー&Tech DE&I Lead 2020-2023 子ども向けプログラミング教材『QUREO』 ・PM〜海外開発グループ 責任者 2014-2019 定額制音楽配信サービス『AWA』 ・フルスタックエンジニア 2008-2013 サイバーエージェント・バックエンドエンジニア〜リードエンジニ ア(新卒エンジニア職1期生)
  4. AIエージェントの5段階進化 NFX提唱モデル|Stage3以降が「AIエージェント」 AIエージェントは様々な指示応答型システムから、自律的にタスクを理解・計画・実行できるシステムへと進化しています。現在はまだステージ3に位置し、ステージ5のマルチエージェント協 調社会を目指しています。 出典: NFX "The Five Stages of

    AI Agent Evolution" (2025) LLM + プロンプト - 汎用チャット(単発の対話/ 文章生成) - 例: ChatGPT (初期) 専門特化AI(RAG) - 外部知識と連携し最新・正確 な回答 - 例: Perplexity AI エージェント(タスク 実行) (エージェント開始) - API・ファイル操作など自律 実行 - 例: DeepResearch, MCP 創造型エージェント (イノベーター) - 創造的・試行錯誤型 エージ ェント - 例: HuggingGPT, LangChain Agent AIファースト組織 - AIが組織化して経営まで担う - 例: AutoGen, Google Co- Scientist, MetaGPT 7 / 30 1 2 3 4 5
  5. 事例①MCPを活用した領収書の仕分け作業 Anthropic社が提唱するModel Context ProtocolとFileSystemへの応用 MCPとは モデル・コンテキスト・プロトコル(MCP)は、AIエー ジェントを様々な外部ツールやデータソースに接続する ための標準化されたプロトコルです。 USB-Cポートのようなもので、AIアプリケーションのた めのインターフェースとして機能します。これにより、

    AIモデルとツールの連携が格段に簡素化されます。 MCPの特徴 モデルとツールの標準インターフェース APIより実装が容易 ファイルシステムなど様々な連携が可能 引用: "What is Model Context Protocol (MCP)? How it simplifies AI integrations compared to APIs" FileSystemMCPとは Model Context Protocol(MCP)を活用した、ファイルシステムとAIエージェントを連携させる技術。領収書の属性を解析し、自動で分類・整理します。経費精算に伴う毎月の大量の領収 書仕分け作業を効率化しています。 活用シナリオ 領収書 AI解析 自動整理 「次のスライドでデモを紹介します」 実際の効果 90% 時間短縮 85% 正確性 100% 満足度 13 / 29
  6. 事例①MCPを活用した領収書の仕分け作業 FileSystemMCPによる経費精算用領収書の自動仕分け・分類 Session1 WDS FyleSystemMCP Windsurf Japanese prompt Session1 WDS

    FyleSystemMCP Windsurf Japanese prompt AI自動化 経費精算 業務効率化 FileSystemMCP 複数の領収書画像を自動分類し、カテゴリやメタデータを抽出・整理 14 / 26
  7. 事例② Obsidian × スライド生成AIによる登壇資料作成術 AIエージェントによる登壇資料作成プロセスの効率化 — 前半:情報整理と構造化 1 Obsidianでアイデアメモ 都度アイデアをマークダウン形式でメモ

    2 Cursor AIエージェントで整理・構造化 AIエージェントが自動でObsidianファイルを構造化 ”このメモからプレゼン資料を作りたい。構造化して。 ” 15 / 30
  8. 事例③ DeepResearch × NotebookLMによる最強情報収集術 リサーチと知識処理を効率化する最先端AIツール連携 DeepResearch ウェブ検索や情報分析を自律的に行い、高精度な調査レポートを自動生成 情報探索 信頼性確認 知識構造化

    NotebookLMのPodcastやMindMap機能 Googleの文書理解・要約AIツール 音声学習 文書理解 知識整理 ツール連携活用法 DeepResearchとNotebookLMを組み合わせることで、情報収集から知識定着まで効率化 情報収集・整理 DeepResearchで複数ソースから信頼性の高い情報を収 集・分析 1 要約・音声化 NotebookLMで文書を深く理解し、要約・音声コンテン ツに変換 2 移動時間で学習 通勤・家事中など「スキマ時間」を活用して効率的に知 識定着 3 16 / 29
  9. 事例①Difyによる宿題サポートChatBot 小学生の宿題を伴走するパーソナルAI先生 Difyとは AIアプリケーション開発プラットフォーム Difyは、LLMベースのアプリケーションを簡単に開発・デプロイ・運用できるオープン ソースプラットフォームです。プログラミング不要でカスタムAIアプリケーションが作 成できます。 シンプルなUI操作だけで、プロンプト設定からデプロイまで完結。子ども向け教 育AIボットも短時間で作成可能。 用途

    適切な活用シーンと注意点 解法の正確性は担保できないため、あくまで"宿題の伴走"AIとして活用 夜のピーク帯など親の手が離せない時に一時的に対応してもらう用途 画像を添付もできるので問題のキャプチャを上げることも可能(マルチモーダル対 応) 子育てサポート AI教育 学習支援 18 / 22
  10. 事例① Cursor Agentモードによるクラウドリソースのお掃除 クラウド環境で不要となったリソースの洗い出しと削除をCursorに依頼した実践例 クラウドリソースの自動整理 1 Cursorに使用していないGCPリソースを特定・リスト化する よう指示 2 AIがGCP

    CLIコマンドを生成し、リソース検索を実行 3 削除候補のリソースを特定し、削除スクリプトを生成 4 最終確認後、不要リソースを削除し、コスト最適化を実現 実施効果 コスト削減 30% 環境整理 2時間 セキュリティ向上 注意点: 削除前に必ず内容を確認し、 重要なリソースを誤って削除 しないようにしましょう。 可能であれば事前にスナップショットを取 得することを推奨します。 ステップ1-2: リソース洗い出し ステップ3-4: 削除処理
  11. 事例② Cursor Agentモードによるローカルの不要ファイル整理術 ローカル環境の不要ファイルをCursorと対話しながら自動整理した事例を紹介 ファイル整理の自動化プロセス 1 Cursorにローカル環境の分析と不要ファイル検出を指示 2 AIが検索パターンを提案し、大容量ファイルや重複ファイル を検出

    3 検出されたファイルリストからAIと対話しながら削除候補を 選定 4 安全な削除スクリプトを生成し、バックアップ後に不要ファ イルを整理 実施効果 ディスク空き容量 +10GB PC処理速度向上 整理時間 90%削減 AIならではのメリット: 単なる大容量ファイルの検出だけでなく、 コンテキストを理解し、 「重要そうだが実は不要」なファイルを的確 に識別できます。 動画ハイライト • 0:15 - Cursorへの最初の指示と対話の始まり • 1:30 - ファイル検索パターンの生成と実行 • 3:20 - AIによる重複ファイルの優先順位付け • 5:10 - 安全な削除スクリプトの生成と実行 WDS_ 開発_untrackedFile の整理 WDS_ 開発_untrackedFile の整理
  12. AI活用はここまで生活を豊かにする──でも、まだ全員の手には届いてい ない 効果とギャップから見えてくる課題と可能性 AIがもたらす "GOOD" 作業効率アップ 例:領収書仕分けが分→秒に +40% QOL 向上

    家事サポート Bot で育児負担↓ 宿題サポート・料理レシピ・育児相談 家族時間が 週あたり+3.5時間 楽しさ・創造性 "プロンプトでアイデア即形に" なのに… 現状はインクルーシブじゃない デジタルデバイド:数字で見るギャップ 生成AI利用率 女性 33% 男性 44% AIツール職場提供 女性 35% 男性 41% ギャップ要因 課金 & 研修機会不足 技術ステレオタイプ 倫理的不安 2. Deloitte Insights, Women and Generative AI (2024) 3. eMarketer, Gap in AI skills and workplace access… (2024) 学びも仕事も加速 → 2 3 次ページで「課題をどう解決するか」を探ります→
  13. AI活用の課題 ― ジェンダーとアクセスのギャップ 均等な機会創出に向けた現状認識と打開策 AIツールへの課金格差と学習時間格差 高度な生成AIツールは有料プランが主流。課金がネックで利用格差へ。 「半数の男性が生成AIを使う一方、女性は約3分の1」 HBS Working Knowledge

    "Women Are Avoiding AI. Will Their Careers Suffer?" 2025 組織における参画障壁(ジェンダーギャップ) AI関連職に占める女性比率は29% Forbes "Women Make Up 29% of the AI Workforce" 2024 ロールモデル不足+「女性は技術が苦手」ステレオタイプが残 存。 "AIは不正・ズルにあたるのでは?"という心理的ハードル BYU研究で非利用理由の上位に「倫理的不安」 BYU News "BYU study finds the real reasons…" 2025 → 結果として女性はAIプロジェクトに参加しづらく、スキル取得 機会も限定。 AIの恩恵を受けるのが特定グループに偏ると、既存の格差がさらに拡大し、 社会全 体の発展機会が失われます。 2. Deloitte Insights, Women and Generative AI (2024) 3. HBS Working Knowledge, Women Are Avoiding AI. Will Their Careers Suffer? (2025) 4. Forbes, Women Make Up 29% Of The AI Workforce — Here's How To Fix It (2024) 5. BYU News, BYU study finds the real reasons why some people choose not to use artificial intelligence (2025)
  14. 解決案① 組織レベルで実現する "Inclusive AI" 女性技術者の活躍を促進するアファーマティブアクション アファーマティブアクション(積極的格差是正措置) 既存の格差を解消するため、意図的かつ計画的に女性技術者へ機会を提供する組織的取り組み 目標: AI職種における女性比率 現在の29%から40%以上へ段階的向上

    1 AI検証をメイン業務としてアサイン 課金格差の是正と正式な職務機会の創出 有料AIツールライセンスの割当 "時間があれば"ではなく"正式タスク"として AI運用オーナー、データ分析リードへの登用促進 2 AI検証チームに一定の女性比率 参入障壁を下げ、多様な視点を確保 AIプロジェクトに女性20–30%以上参加を目標 組織のAI活用推進の議論のテーブルに就ける環境 多様な視点によるバイアス低減効果を測定・評価
  15. 解決案② 個人レベルで磨く "AI × 私" スキル 誰でも始められるAIリテラシー向上のための3つのアプローチ AIリテラシー向上 AI研修受講率 研修済

    35% 未受講 65% Udemyなどオンラインリソース・勉強会参 加で学習ループ "AI研修を受けた人" 35% とまだ少数¹ プロンプトエンジニアリング 問いの質 = 出力の質 : 5W1Hを具体化 効果的なプロンプトの例: 「Reactで画像カルーセルを作成したい。レスポン シブ対応で、ドキュメント用のコメント付きのコ ードを示して」 小タスクで即実践 → 成果⇔改善のサイクル 前向きなマインドセット まず "触る→遊ぶ→試す" の好奇心ループ "完璧に使いこなしてから活用" "まず試してみて、改良しながら進める" 女性は自己評価が男性より低め³ → 小さな成功体験で上書きしよう わくわくマインドが最高の学習動機になる 1. LinkedIn Learning, 2024 Workplace Learning Report — AI Upskilling Gap