2020/8/5 Blockchain GIG番外編 エンジニアのためのエンタープライズブロックチェーン超入門#3 エンタープライズブロックチェーンでのエンジニアへのニーズのあれこれ で喋った資料 エンタープライズブロックチェーン領域のユースケース、市場拡大の展望と、そこエンジニアに求められることになるであろうスキルについて解説
Copyright © 2019, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved. |1Blockchain GIG番外編エンジニアのためのエンタープライズブロックチェーン超入門エンタープライズブロックチェーンでのエンジニアへのニーズのあれこれ2020/8/5日本オラクル株式会社テクノロジー事業戦略統括中村 岳[email protected]
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中村 岳Twitter@gakumuraはてなブログ@gakumura…主にHyperledger Fabric関連• 現職:ソリューションエンジニア@日本オラクル• 担当:Oracle Blockchain Platform、Blockchain Table• 前職:金融決済系SIerでパッケージ開発• 好きなOS:AIX• 最近おすすめのマンガ:チェンソーマン2 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates
このセッションでは…イベントでQA募集すると頻繁にいただく質問:• 「ブロックチェーンエンジニア」の需要 関連• ~~への需要は増えていくのでしょうか?• 「ブロックチェーンエンジニア」に求められるスキル 関連• ~~になるにはどのようなスキルが必要とされますか?• どう勉強したらいいでしょうか?について、「エンタープライズ領域での」にスコープを限定して考えてみます。3 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates
エンタープライズ領域での「ブロックチェーンエンジニア」の需要Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates4
エンタープライズでのブロックチェーンの適用領域例有力な適用領域も固まりつつある6 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates公共• 投票システム• 土地や資格の管理• 行政記録管理、市民サービス自動車• サプライチェーン効率化• 偽装品対策、原産地証明• 所有権証明通信• ローミング決済• メディア、ゲーム• セキュリティと不正対策小売• トレーサビリティーとリコール対応• 製品認証、ブランド証明• ワランティ管理教育/研究機関• 学歴履歴• デジタル著作権管理• 教育コンテンツマーケットプレイスメディア/エンターテイメント• ロイヤリティポイント• C2C/P2P コンテンツ共有• デジタル著作権管理ハイテク/製造• サプライチェーン効率化• トレーサビリティー、偽装対策• IP、著作権管理ヘルスケア• 医薬品のトレーサビリティー• 医療費管理• 資格管理金融• 国際間決済、送金• 認証管理、KYC• 取引管理企業間データ共有/ワークフロー基盤• 契約、請求支払、会計、リコンサイル• 在庫、受発注、取引
エンプラブロックチェーンの未来は…?7 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesメインストリームニッチexperimental幅広い業界、業種での多様なユースケース企業の規模、技術レベルを問わず活用一定程度限定された領域ではあるものの少数の確立したユースケースが定着ごく限定された(また、実験的な)ユースケースにごく一部の企業が使用
エンプラブロックチェーンの市場規模とエンジニアへの需要8 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates市場規模エンジニア需要大 多少小メインストリームニッチexperimental
グローバル/国内のサーベイ、レポートからの数字9 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates56%*1*1)Deloitte’s 2020 global blockchain survey 2020/6https://www2.deloitte.com/us/en/insights/topics/understanding-blockchain-potential/global-blockchain-survey.html*2)ミック経済研究所、2020/1/6https://mic-r.co.jp/mr/01795/39%*1179%*2・ブロックチェーンは自社にとって極めて優先度が高く、戦略上の優先事項のトップ5に入る(2018年比 13%増、2019年比3%増、Global)・ブロックチェーンの利用を既に始めている(already broughtblockchain into production)(2019年比 16%増、Global)・2018年度→2019年度の、日本国内の市場の伸び(見込み)。・2024年までにCAGRは66.4%。
「ブロックチェーンエンジニア」への需要の観測:海外• 海外では2018~2019年にかけて、”「ブロックチェーンエンジニア」への需要が急激に増大”し、”AIエンジニア/データサイエンティストを抑えてソフトウェア開発エンジニアのロールで最も高報酬な領域に”といった状況であるといった記事が出てきていた• Salaries for blockchain engineers are skyrocketing, now on par with AI experts / CNBChttps://www.cnbc.com/2018/10/21/how-much-do-blockchain-engineers-make.html• Blockchain engineering demand grows 517% / Ledger Insightshttps://www.ledgerinsights.com/blockchain-engineering-demand-grows/• 最近の記事では需要の伸びは一段落したものの、必要とされているハードスキル部門ではクラウドやデータサイエンス、UXなどを抑えてブロックチェーンが1位になっていたりと依然高位置をキープ• The Skills Companies Need Most in 2020—And How to Learn Them / Linkedinhttps://learning.linkedin.com/blog/top-skills/the-skills-companies-need-most-in-2020and-how-to-learn-them• 国内IT市場は海外のトレンドを1~2年遅れでフォローする、という傾向がある(らしい?)• ということはそろそろ国内でも需要が急激に増大するのかも?10 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates
国内エンプラブロックチェーンエンジニアの需要と供給(※個人の感想)• 「ブロックチェーンエンジニア」の数は現状、たとえエンタープライズブロックチェーンの応用がニッチに留まったとしても足りないくらい• (潜在的なものも含めた)エンタープライズブロックチェーンの案件のうち、技術者、有識者の不足が足かせになって進んでいないものもあるのでは• 「採用に苦労している」という話をしばしば聞く• 今から学習を始めればアーリーアダプターとして良い角度で市場に入れるかも?11 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates需要 供給多少メインストリームニッチexperimentalこのへん?このへん?ギャップ!
エンタープライズ領域での「ブロックチェーンエンジニア」に求められるスキルCopyright © 2020, Oracle and/or its affiliates12
そもそも「ブロックチェーンエンジニア」とは?• ブロックチェーン技術を作っているエンジニア• ブロックチェーンのプロトコルそのもの• 周辺ツールや開発補助のライブラリなど• セカンドレイヤー、インターオペラビリティフレームワーク、オラクルなど• ブロックチェーン技術を使って何か作っているエンジニア• スマートコントラクト書いたりアプリケーション開発したり• ブロックチェーンノードやネットワークを構築、保守、運用したりここではひとまず前者はさておいて、後者にフォーカスして考えていく13 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates
ネットワーク参加の制限有無によるブロックチェーンの分類15 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates• 誰でもネットワークに参加しノードを持てる(公開制、オープン、匿名性)• 経済的インセンティブによって不正を抑止する比較的低速なトランザクション処理パーミッションレス a.k.a. パブリック• 招待されたメンバーのみが参加しノードを保持(許可制、クローズド、顕名)• 許可制でメンバーが信頼できることに依拠した高速なトランザクション処理パーミッションド a.k.a. プライベート
16 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesブロックチェーンの利用形態(ネットワーク)の分類パブリック公開制のネットワークを不特定多数で運用コンソーシアム許可制のネットワークを複数組織で運用プライベート許可制のネットワークを単一組織で運用パーミッションレス← →パーミッションド
エンタープライズブロックチェーン=コンソーシアム型ネットワーク?• 必ずしも「エンタープライズ=コンソーシアム型」ではないが、現時点の実態としてはエンタープライズ領域でのユースケースの大半~ほとんどがコンソーシアム型ネットワークを利用• BitCoin、Ethereumなどパブリック型のネットワークの利用は、エンタープライズ領域のユースケースでは(皆無ではないが)少ない• 複数組織ではなく単一組織でデータを保持するプライベート型の利用形態については、ブロックチェーンではなく、それにインスパイアされた技術を用いることが多くなっている17 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates
コンソーシアム型ブロックチェーンネットワークの概観18 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesノード台帳スマートコントラクトアプリケーションノード台帳スマートコントラクトアプリケーションノード台帳スマートコントラクトアプリケーション
開発要素:スマートコントラクトとアプリケーション• アプリケーションはSDKやAPIを通して、スマートコントラクトを呼び出したり、ブロックチェーンノードの提供する各種機能を利用する• UI(Web、モバイル)があったり• (ブロックチェーン以外に)データベースを抱えていたり• 他システム(ERP、SCMなどの基幹システム)と連携したり• ブロックチェーン基盤によってはユーザーごとの秘密鍵を保持したり(ウォレット)• スマートコントラクトは台帳の読み書きのロジック• スマートコントラクトは必ずしも「契約」を表すものではない• データベースで言うストアド・プロシージャのようなものとよく説明される19 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesアプリケーションブロックチェーンSDK/ライブラリノード台帳スマートコントラクト
エンタープライズ領域でのブロックチェーン利用システムのあり方の典型20 Copyright © 2019 Oracle and/or its affiliates他システム(基幹システム等)アプリケーション台帳外のデータストアブロックチェーンSDK/ライブラリ台帳スマートコントラクト既存データベースノード台帳スマートコントラクトアプリケーションインテグレーションデータインテグレーション
スマートコントラクトとアプリケーションの開発に必要なスキル• 前提として、多くの場合、開発規模はスマートコントラクト <<< アプリケーション• 一般的なアプリケーション開発、運用/保守のスキルは大いに活用できる• フロントエンド、バックエンド、インフラ、インテグレーション、etc.• +ブロックチェーンの特性についての理解• ++ブロックチェーン基盤ごとの具体的なSDK/ライブラリなどの知識• スマートコントラクト部分の複雑さはもちろん要件次第だが、必須となる前提知識の量は基盤次第の面もある• 例:Ethereum系ではコントラクト専用独自言語を習得し、主要なコントラクトフレームワークの理解も重要⇔CordaやFabricではJavaやGoなど一般的な言語でコントラクトを記述でき、多くの場合それほど複雑にもならない21 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesアプリケーションブロックチェーンSDK/ライブラリノード台帳スマートコントラクト
「ふつう」のシステムでは…22 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesなんらかのフレームワークなんらかのミドルウェアアプリケーションなんらかのインフラなんらかのデータストア他企業消費者I/F(APIやUI)社内スタッフ単一の企業の責任でのコントロールの範囲社内他システム
エンタープライズブロックチェーンでは合意・協働が重要23 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesノード台帳スマートコントラクトアプリケーションノード台帳スマートコントラクトアプリケーションノード台帳スマートコントラクトアプリケーション合意・協働が必要な部分
エンタープライズブロックチェーンでは合意・協働が重要24 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesノード台帳スマートコントラクトアプリケーションノード台帳スマートコントラクトアプリケーションノード台帳スマートコントラクトアプリケーション合意・協働が必要な部分• 台帳に持たせるデータの項目、形式やスマートコントラクトなどの仕様を決めていくのは、一種の標準策定のような作業になる• 保守、運用についてもが必要各種規約の整備や、障害時に協力して対応するための手順などの準備必要になるのは…• 複数企業間で仕様や規約、手順などを協議しながらまとめていく能力• ヒアリング、プロジェクトマネジメント、利害調整などのソフトスキル• 自社だけの範囲に留まらない幅広い業務知識
ブロックチェーン基盤個別の知識はどの程度必要か?• 基盤それぞれについてどの程度知識を持っておくべきかは、案件にどのようなロールで参画するかによる• ブロックチェーンインフラの保守運用、アプリケーションバックエンド開発などを担当するには、深い知識が重要• 基盤選定を担当するには複数を広範にカバーしている必要(ユースケースの得意不得意とその理由くらいまでは把握したい)• 業務分析、改善寄りの担当はそこまで深入りする必要はないと思うが(分業も大事) 、苦手な処理などの独特な特性は抑えておきたい• いずれのロールにせよ、アプリケーションまでを含めた当該ブロックチェーン利用システムのアーキテクチャ、およびブロックチェーンネットワークがどのようなものになるかくらいは最低限概要レベルでイメージを掴んでおけると円滑25 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesQuorumHyperledgerFabricCordaHyperledgerBesuetc.
ブロックチェーン基盤個別の知識はどのように勉強をすすめるべきか?• 机上での学習• 公式ドキュメントが充実しているものもあればそうでもない(簡潔な記述に留まる)ものもある• ブログ、勉強会資料など非公式の情報は代表的な基盤であればある程度の量がある- ただし日本語のものがあるかはまた別の話…• 書籍があるなら利用するとベター- ただし技術の発展が早いので内容が古くなっていることも…• 実機での学習• ノード、ネットワーク構築が簡単なものとそうでないものが- やってみたブログとのバージョン差異でいちいちハマりがち- BaaSやクラウドテンプレートがあるならかなり楽に• 環境構築が安定してから目的に応じてインフラ管理やスマートコントラクト開発の学習を深堀りしていく26 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliatesQuorumHyperledgerFabricCordaHyperledgerBesuetc.
まとめ• エンタープライズ領域でのブロックチェーン活用は拡大傾向• 活用の本格化につれ、ブロックチェーンに関するスキルや知識(一般的な特性や各基盤に固有の知識やノウハウ)だけではなく、様々な分野のスキル、知識が必要とされるようになっていく• 多様なバックグラウンドを持ったエンジニアの参画が求められる(はず)• 技術者、有識者不足がポテンシャルの足かせにならないようにがんばっていきましょう• 引き続き勉強会などでの情報発信をやっていきます• みなさんも是非エンタープライズブロックチェーンにトライし、貢献してください!27 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates
Thank you28 Copyright © 2020, Oracle and/or its affiliates
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