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中部電力におけるITサービス創出の軌跡

yutaro
March 08, 2018

 中部電力におけるITサービス創出の軌跡

日本計画研究所さまのイベントでの登壇資料
※事業の具体的内容、著作権・肖像権にあたる部分は登壇時のみ公開
※諸事情あり「〜ITサービス創出の軌跡」という題材で企画いただきましたが、内容は“ゼロイチ”の“ゼロ”部分にあたります。運用面、成長面の話は含まれません(笑)

yutaro

March 08, 2018
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Transcript

  1. もくじ Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    2  はじめに  AI/ブロックチェーン,高度ITはなぜ難しいのか  もしあなたが専門家なら全ては丸く収まる?  高度ITの商材・ノウハウの実際  大企業でうまくいかないイノベーション  企業内アントレプレナーシップとは何か  大企業でもうまくいくイノベーション  企業内アントレプレナーによるオープンイノベーションのための3ラウンド  それでもうまくいかないときは  企業内アントレプレナー育成の苦労  おわりに
  2. Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 6

    なんじゃ こりゃ でもありがとうございます。 6
  3. 本日について Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    7 お話しできること  大企業のイノベーションで最初に苦労すること  緩慢かつ縦割な体制を変えるウルトラCの方法  イノベーション風土の定着とロールモデルの苦労 お話しできないこと  事業開始後の状況  KPIはどうすればよいのか  事業を大きくするステージにおいての課題 中部電力におけるITサービス創出の課題・解決をお伝えします
  4. 登場する過去のプロジェクト Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    8 カスタマーセンター 業務運用改善に向けた AI活用検証 2016 ブロックチェーンによる マンションEV充電の システムの検証 2017 2018 AIエンジン プロジェクト ブロックチェーンに よるセルフカフェ サービス 私が関わった先進PJの事例を交えてお話しします
  5. カスタマーセンター業務運用改善に向けたAI活用検証(2016) Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    9 AI適用によるICT化の最初のステップとして、カスタマーセンター業務の一部のQA支援(照会応答)を対象とします。 本プロジェクトでは、限定的な業務エリアでのカスタマーセンターQA支援の概念検証による効果確認を目的とします。 最近、覚えることが多すぎて、中部 電力の色々な取り組みに関する問 い合わせにうまく答えられない。 対話内容・公表されている情報 から最適なマニュアル・FAQの内 容、解答を提供 中曽根さん 24歳 女性 新米オペレータ 研修を受けたばかりで勤務 経験三ヶ月のオペレータ。 業務にはまだ不慣れ。 音声認識 カスタマーセンター業務の可能性 Watsonのもつ技術要素 自然言語分類 検索および ランク付け 文書変換 Before After • オペレータ、お客さまの対話音声をテキスト化 • マニュアルやFAQ、オペレータ過去の会話(QA) から検索最適な回答候補を提示 • 対話内容を認識して意図を判別  AIを使ってオペレーション検索の手間を改善する
  6. 10 カスタマーセンター業務運用改善に向けたAI活用検証(2016) 電気をお付けするご契約に ついてでございますね はい はい,かしこまりました オペレータの 話し言葉 キーワード 検索

    ワトソンの 回答候補 補足の業務情 報 ドキュメント 表示  当時,三か月でのAI構築~受け入れテストは業界初の試み Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  7. ▪既築のマンションに導入できて、使った分だけ請求するコンセント(あるべき姿) ブロックチェーンによるマンションEV充電システムの検証(2017) Copyright © CHUBU Electric Power Co.、Inc. All Right

    Reserved.  充電機が設置不可能のために諦めている消費者へのサービス ▪市場の悩み(課題) マンションオーナー 居住者 既築のマンションにEV用充電設備 を投資する余力はない 共益費用コンセントでは、居住者 への説明責任や支払管理も面倒 PHVを買いたいが住んでいる マンションが対応していない 共益費用コンセントは、悪戯や盗 電が起きてトラブルの種になる サービス不成立 ブロックチェーン型コンセント  安価に導入できる(既存のEV用充電器は50~150万円)  200Vコンセントにかぶせるだけで使える  使ったぶんだけ自動請求できる  充電権利を予め制御するので悪戯や盗電を心配しなくていい ①車をとめて ②権利をロックして ③プラグをさすだけ 使ったぶんだけ自動的に請求 されるからトラブルになりにくい 11
  8. ブロックチェーンによるマンションEV充電システムの検証(2017) Copyright © CHUBU Electric Power Co.、Inc. All Right Reserved.

     スマートコントラクトを使って充電権利・電力供給をセットで制御する 200V EVのプラグをさせる場所にコンセントを設置 スマートコントラクトが実現できるコンセント 既存の200V電源から とってくる 誰でも充電できないよう ビットコインで権利を購入 自動的に台帳管理 あとはプラグを さすだけ 5時間 充電する (権利) 購入 権利を買うと点灯 請求システム スマホで 権利を制御 中電からユーザに請求 12
  9. 中部電力が考えるイノベーションのゴール Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    13 コアコンピタンスと戦略 ↓ AI,ブロックチェーン,IoT….の活用  業務の高生産性化(コーポレートITの取り組み)  新たな収益やビジネスモデルの創出(ビジネスITの取り組み) 人財の代謝 新たな収益や ビジネスモデルの創出 業務の 高生産性化
  10. AI・ブロックチェーン,高度ITはなぜ難しいのか Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    16 出典:名古屋工業大学学術機関リポジトリ「人の理解を促進する感性情報の可視化に関する研究」  新たな節目:アルゴリズムを制した者が時代を制する AI ブロック チェーン コアコンピタンス =事業システム アルゴリズム時代 イノベーション ゲインの時代 ペインの時代 ペインの時代 ゲインの時代 ゲインの時代
  11. AI・ブロックチェーン,高度ITはなぜ難しいのか Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    17  アルゴリズム(線形台数,数理モデル,脳,学習,暗号…) 証明が複雑すぎてルールベースでは容易に解けなかった問題を解くための高等数学 AI(人工知能) ブロックチェーン B C D A B C D A E A to B, B to C, C to D, D to … E is cat . 自動証明 自動証明 問題証明コストを劇的に下げた 契約証明コストを劇的に下げた
  12. AI・ブロックチェーン,高度ITはなぜ難しいのか Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    18 AIエンジニア AIエバンジェリスト AIサイエンティスト 技術の咀嚼・翻訳 エンジニアリング モデリング 数学的解決 (SE, SIer) (技術営業,コンサルタント) (科学者,数学者)  企業で進めていくためにはサイエンティストかつエンジニアの人財の確保が重要 →ところが,そのようなキャリアの人財は少数。 事業会社に来ることは珍しい = 実行力が手に入らない
  13. もしあなたが専門家なら全ては丸く収まる? Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    20 質問: あなたはAIの専門家で,AIを作ったことがある。 商材の目利きができて,PMスキルがあって,体力もある。 ◦◦会社の新事業PJ「◦◦レコメンドサービス」のAIシステム開発を 成功させられる確率は何%か。 30% 出典:日経コンピュータ
  14. 料金請求 収納・・ もしあなたが専門家なら全ては丸く収まる? Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All

    Rights Reserved. 21 インフラ(サーバ,DB,N/W・・・) SEO,セキュリティ他 ビジネスロジック 顧客登録管理, 認証・・ AI ブロックチェーン  インテグレーションの視点から見れば高度ITは構成部品の一部でしかない ◦「他の部品とうまく組み合わせる方法」を考える人が必要 図:システムインテグレーション領域の全体像
  15. ユ ー ザ ー 調 査 もしあなたが専門家なら全ては丸く収まる? Copyright © CHUBU

    Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 22 ビジュアル デザイン イ ン タ ラ ク シ ョ ン デ ザ イ ン ユーザーモデリング ストーリーボード スケッチ プロトタイプ ユーザビリティ テスト デザイン調査 AI実装 技術制約調査 事例調査  サービスの視点から見れば,WhyやWhatの検討が先にあって然り ◦「どのようなビジネス的価値を目指してAIを活かすのか」を考えた人が居るはず ◦「どのようなサービスのどこでAIを活かすのか」を考える人が必要 図:Webサービス開発のための初期プロセスフロー
  16. Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Right Reserved. 23

    もしあなたが専門家なら全ては丸く収まる? Dev Dev(デベロップ) Ops(オペレーション) Biz(ビジネス) Biz Dev + Ops + Biz Dev + Ops + Biz Dev + Ops + Biz [従来型の役割分担組織] [BizDevOps組織]  サービス開発の様々な認識ずれを防ぐためにBizDevOps組織が重要とされている 開発実行ベンダ 情報システム部 •••事業部 開発実行ベンダ 情報システム部 •••事業部 図:うまくいくイノベーションのための組織変更イメージ 経営戦略本部
  17. 高度ITの商材・ノウハウの実際 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    25  高度ITのための商材・ノウハウは一つの場所に固まっていない 図:AIに関わるデータ/技術ホルダーのカオスマップ(出典:週刊ダイヤモンド2016/8/27号)
  18. 高度ITの商材・ノウハウの実際 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    26  高度ITのための商材・ノウハウは一つの場所に固まっていない 図:AIに関わるサービスのカオスマップ(出典: AINOW「AIサービスマップ 2016 Summer」 )
  19. 高度ITの商材・ノウハウの実際 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    27  一気通貫でインテグレーションできる商材,コンサルティング体制は ほとんど存在しないのだが・・・ 図:開発現場で起こりがちなPJゴールに対する認識の不一致 コアコンピタンスを作る インテグレーションの工夫は当然 ・PJのKGIをデベロッパーマターとする風潮は間違い ・事業会社と複数の機能会社が一致団結して望むべき
  20. Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Right Reserved. 28

    高度ITの商材・ノウハウの実際 Biz Devs + Ops + Biz [BizDevsOps組織]  BizDevOpsの設計は,得意・不得意を考慮した複合組織とするべき 情報システム部 •••事業部 図:うまくいくイノベーションのための複合的な組み手イメージ 経営戦略本部 Sler AI-Dev •••-Dev + + + +
  21. Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Right Reserved. 29

    高度ITの商材・ノウハウの実際  BizDevOps(組織改革)はあくまでも理想的な解決策  現実には組織や風土の変化はステップバイステップ (←残念ながらおそい)  私が行ったこと 大企業でうまくいかないイノベーションの分析 考え方・行動の変革 企業内アントレプレナーシップとは何か 大企業でうまくいくイノベーションの実施(と定着)
  22. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    31  私が経験した大企業で失敗するイノベーションPJの典型 ◦ They do not give authority. - 空中分解するチーム – ◦ They do not approve the vision. - ロードマップに非協力的なチーム – ◦ They do not have resources. - ネットワーキングに終始するチーム -
  23. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    32  パターンA:They do not give authority. - 空中分解するチーム -
  24. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    33  パターンA:They do not give authority. - 空中分解するチーム - 図:「カスタマーセンター業務運用改善に向けたAI活用検証(2016)」におけるPJスケジュール ①課題発生: ・Voice to speech の品質が悪い(既成品) ・UIが使いにくい ②機能不全発生: ・ Voice to speechに対するクレーム ・UI改善への対応無し A部門 登壇時のみ公開
  25. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    34  パターンA:They do not give authority. - 空中分解するチーム - 受け入れ評価の動画 登壇時のみ公開
  26. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    35 プロジェクト体制 マネジメント 中部電力 プロジェクト責任者 ••• 責任者・PM補佐 ••• プロジェクトマネージャ ••• 業務検討 ••• (リーダー) ••• ••• ••• A社 技術経営戦略 プロジェクト責任者 ••• 責任者 ••• プロジェクト体制 プロトタイプ開発 ••• (リーダー) ••• ••• ••• ••• プロジェクト責任者 •••部長 •••部長 プロトタイプ 評価 副責任者 担当チーム ••• (担当営業) ••• (サービス営業) ••• (担当アーキテクト) プ ラ ッ ト フ ォ ー ム SWG 販 売 カ ン パ ニ ー SWG AI業務検討 <情報システム部> •••副長 •••主任 •••G長 •••課長 <お客さま営業部> •••課長 •••課長 <情報システム部> ••• 課長 •••主任 •••担当 次世代ICT事務局 および技術経営戦略 <情報システム部> •••課長 戸本 担当 •••副長 <カスタマー センター> 経営戦略 •••G長 •••課長 •••副長 <グループ経営 戦略本部> ••• G長 •••部長 •••副長 •••主任 図:「カスタマーセンター業務運用改善に向けたAI活用検証(2016)」における初期のPJ体制  初期のPJ体制はPM不在,かつ,ステコミの設計が不自然 ◦ ◦ ◦ ◦◦◦部 ◦ ◦ ◦ <◦◦◦部> 登壇時のみ公開
  27. 大企業でうまくいかないイノベーション 36 新プロジェクト体制(8/17施行) PJ運営事務局 プロジェクト責任者 ユースケース・評価用KPI 検討チーム 関連ワーキング窓口 PJ運営事務局 ・プロジェクト計画の立案

    ・プロジェクト管理(進捗、課題、品質等) ・各チーム間課題の調整・成果物管理 プロジェクト責任者 ・プロジェクトの総責任者(最終意思決定者) ・プロジェクト計画(スケジュール、要員、予算、 スコープ、方針等)に関する最終責任者 ・プロジェクト要員、課題検討結果の承認 検討チーム ・各担当領域の実作業の推進 ・チーム内の作業進捗・課題管理の実施 A社 主: ••• 副: ••• CEP 主: ••• b 副:経戦 ••• b ◦◦◦ SWG ◦◦◦ SWG 技術経営 戦略WG ◦◦◦部 ••• k ••• s A社 PM: ••• PSM: ••• CEP PM: ••• k PSM:戸本s PM/PSM ・プロジェクト現場責任者 ・関連部門との調整 ・各チーム横断課題の意思決定 ・プロジェクト責任者への上申、報告 関連ワーキング窓口 ・各関連ワーキングとの相互影響管理 AI学習環境・プロトUI 検討チーム PM/PSM ◦◦◦部 ••• f ••• s ••• s ◦◦◦部 ••• g ••• k ••• f ••• f ◦◦◦部 ••• k ••• s ••• ◦◦◦部 ••• g ••• b ••• f ••• s A社 ••• ••• ••• ••• ••• ◦◦◦部 ••• k ••• f ••• s obs. CC A社 ••• ••• ••• ••• ••• 技術経営戦略 プロジェクト責任者 A社 ••• 担当チーム A社 •••(担当営業) ••• (サービス営業) ••• (担当アーキテクト) •••(プロジェクト支援) CEP燃火 ••• k CEP総企 戸本s A社 ••• ••• • • • • PJ運営事務局 次世代ICT事務局 ◦ 次世代ICT事務局 ・次世代ICT全体との整合性管理 技術経営戦略プロジェクト責任者 ・技術経営戦略の深化との連絡窓口 <主な役割> <凡例>•:チームリーダ,◦:議事録係,g:グループ長,b:部長,k:課長,f:副長,s:主任 担当チーム ・プロジェクト担当営業。次工程計画策定 AI展開計画 検討チーム A社 ••• ••• ••• ••• ◦◦◦部 ••• k ••• f ◦◦◦部 ••• f ◦◦◦部 ••• k • • ◦ 体制変更のねらい ①課題・リスクのマネジメント力の向上のため, CEP側PMを設立する ②課題の解決を短期かつ効果的に行うため,タスクごとのチームおよび主担当者を明確にする 図:「カスタマーセンター業務運用改善に向けたAI活用検証(2016)」における後期のPJ体制  PJ体制を再設計して役割を明確化したが既に後期(製造時期)であった  UXの課題に引きずられAI全体が不採用  本PJの苦い経験を元に,他のPJに課題が引き継がれた Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 登壇時のみ公開
  28. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    37  パターンB:They do not approve the vision. - ロードマップに非協力的なチーム - 高度IT化を単独の機会で終わらせないためにロードマップを描くことに ↓ 短期開発と並行した検討のため苦労はあったがパートナーも一丸となって実施 ↓ 社運をかけて行った先進PJのロードマップ(案)が完成した ↓ しかし,事業拡大や体制移行の影響でいくつものロードマップ検討が並走 ↓ 先進的すぎるが故に,高度ITロードマップとの合成に向けて理解が得られなかった ↓ 本来目指すべき道と分かっていながら, 議論のたたき台に採用することが適わず高度ITロードマップは埋没していった・・・
  29. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    38 (業務範囲の拡大) • UC01/02/03a.リアルタ イムコール対応支援 (マニュアル・トークス リプト・QA) 一部業務エリア(引っ越 し・料金) • UC04/05.リアルタイム コール対応支援(マニュ アル・トークスリプト・QA・ 商品リコメンド) 新規業務領域(SM、自 由化対応) トレーニングデータ の整備 (音声データの 取得) 新たなQAや商品選択 情報、マニュアル情報 整備 • UC01/02/03b.リアルタイ ムコール対応支援(マ ニュアル・トークスリプト・ QA) 全業務領域(停電等、既 存業務) • ユースケースやタスクの順序関係など時間軸を考慮して、同一プロジェクト化していく候補をくくりだしてみました。 PoC • UC06.仮想スーパーバイ ザー 幅広い業務領域 のトレーニングデー タの整備 お客さまの声 の蓄積 • UC01/02/03a. の 本番稼働 新たなQAやマニュア ル情報整備 • UC08.オペレータ教育支援 • UC09.オペレータ後処理支援 (システム入力補助) • UC10※.バーチャルアシスタン ス (商品リコメンドなどを組み込 んだセルフサービス機能) • UC11.IVR自動振り分け • UC07.スーパーバイザ管理支援 (NGワード検索、 オペレータ・パーソナリティ分析) 他システムとの連係 • UC12.お客さまの声収集 Webセルフサービスとの 連係 お客さまの声の分析 オペレータコールログの 蓄積 ②AIチャット 展開計画 音声データの 取扱い検討 ・話者分離 ・音声品質 ・IVR連係 PoC 2 現行CTIとの連係 と本番アーキテクチャ や非機能要件の検 討 • UC11.IVR自動振り分 け本番稼働 • UC09.オペレータ後処理支援 (転送リスト表示、メモ情報の切り貼り) ( 適 用 チ ャ ネ ル の 拡 大 ) ※UC10は①②の両展開計画シートにも記載 • UC16.お客さまクレーム抽 出 • UC15.オペレータ対応誤りチェック • UC17.お客さま要望認知 • UC14.地図表示 • UC13.重要お客 さまチェック クレームの傾向把握 • UC18.応対品質の測定 品質測定の考え方 整理  開発しているプロトタイプと並行してカスタマーセンター・プランを整理 登壇時のみ公開
  30. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    39 (業務範囲の拡大) • ユースケースやタスクの順序関係など時間軸を考慮して、同一プロジェクト化していく候補をくくりだしてみました。 • UC10.バーチャルアシスタンス (商品リコメンドなどを組み込 んだセルフサービス機能) Webセルフサービスとの 連係 • UC10.バーチャルアシスタンス (WebでのQA自動回答) Web FAQ情報の蓄積 • UC10.バーチャルアシスタンス (カテエネ・アプリでのQA自動回答) カテエネ・アプリとの連 係 • HP上でのよくある問い合わせ 連絡先情報の提示 • UC10.バーチャルアシスタンス (LINEでのQA自動回答) ①CC業務支援 展開計画 ( 適 用 チ ャ ネ ル の 拡 大 ) ※UC10は①②の両展開計画シートにも記載  よりお客さまに近い位置でのサービスはスピンオフ・プランとして整理 登壇時のみ公開
  31. Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 40

    H28年度下期 H29年度 H30年度 H31年度 H32年度 マイル ストーン プロジェクト 作業内容 Step 3 お客さま体験の改善 • プロジェクト化するグループごとの必要期間などを勘案し、スケジュール化してみました。 料金規制 撤廃 法的分離 ガス小売全面自由化 PoC結果の技術検 討 ・音声データの取扱 ・CTI連係方式 ・実装アーキテクチャ ・セキュリティなど PoC2 ・音声 IVR CCオペレータ支援:本番開 発 ・引越し ・料金問い合わせ 重要お客さまチェック 地図表示 音声IVR 本番適用 CCオペレータ支援: 適用範囲拡大 ・停電等、既存業務 オペレータ後処理支援 ・転送リスト表示 ・メモ情報切り貼り オペレータ教育支援 AI自動回答 ・WebFAQ CCオペレータ 支援:機能 範囲拡大 (自由化) ・商品リコメン ド Step 2 受付業務のオムニチャネル化実現 お客さまの 声収集 クレーム抽 出 スーパーバイザ 管理支援 ・NGワード検索 ・オペレータ・パー ソナリティ分析 仮想スーパー バイザ オペレータ後 処理支援 ・入力補助 AIチャット ・カテエネ アプリ AI自動回答 ・WebFAQ オペレータ対応 誤りチェック 次頁にて詳細化 大企業でうまくいかないイノベーション  ロードマップを失い AI投入の時期を逸した  本PJの苦い経験によりAIの中長期プランは練り直しに  年次プランに落とし込み議論のたたき台となることを願った 登壇時のみ公開
  32. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    41  パターンC: They do not have resources. - ネットワーキングに終始するチーム - かねてから特許申請していた先進的なITビジネスを実証することに ↓ 戦略・R&D・IT(ITは特許ホルダー)の3部門のタッグで進めることとなった ↓ 戦略には知見が,R&Dには実行力が,ITには資金が無かった ↓ そこで戦略はオーナーとなりつつ, R&Dが資金とパートナーを調達して工夫した ↓ 3部門ともここまでの構想に手いっぱいで,手を組んだはいいが 肝心のPJ要求の具体化作業について担当が不明確のまま進んでしまった ↓ プロトタイプはパートナー主導のインテグレーションになってしまい 実証したかった特許とは別物のモデルとなってしまった
  33. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    42  本来実証のKGIであったビジネスロジック(ポストペイ,ポイント連携,収納など)
  34. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    43  本来実証のKGIであったUX(マンションオーナーはポイント振替により損をしない)
  35. 大企業でうまくいかないイノベーション Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    44  リカバリーを行ったが間に合わず・・  先進PJの組み手と実行の難しさを痛感することに  本PJの苦い経験により,特許実証の時期は再検討へ 登壇時のみ公開
  36. 社外秘/取扱注意 45 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Right

    Reserved. イッタイ,ドウスレバ・・・・ They do not give authority. - 空中分解するチーム – They do not approve the vision. - ロードマップに非協力的なチーム – They do not have resources. - ネットワーキングに終始するチーム - 45
  37. 企業内アントレプレナーシップとは何か Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    48 •なぜ,ワンチームになれないんだ!(言うことを聞いて協力しあってほしい) •なぜ,ネットワーキングしかしないんだ!(実行力を以てして稼働してほしい) •なぜ,せっかくのロードマップを無駄にするんだ!(俺たちが一番わかっている)  アントレプレナーに他者は変えられない,ねだっても意味がない  自分自身でものごとを始めてみよう  自分がやれる範囲でイノベーション機会を作ろう →大きな組織故の不都合に苛立つことは(自然なことではあるが) あまりそこに力をかけても爆速でイノベーションはできない →意図しない変化や対立の記憶よりも,成功体験の記憶 (周囲との良いエネルギーの循環があったはず)をイメージする
  38. Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 50

    「工夫しろ」 「全部自分で考えてやれ」 「新しいことにどんどん挑戦していけ」  基本方針(日ごろから上司が言っていたこと) 登壇時のみ公開
  39. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    51 ①新しい価値のありそうなテーマで自分のサイドPJを立ち上げる ②人もモノも金も自分で調達できるレベルにピンを打ち,始める ③賛同する人間でチームを回し続ける  上司が言っていたことを(勝手に解釈して)やってみることにした 私のイノベーション三原則
  40. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    52  2017年8月 ブロックチェーンアプリ開発PJを開始  後輩を一人口説く  知識無し,経験なし  パソコン2台,インターネット回線  お金なし 52 登壇時のみ公開
  41. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    53  2017年9月 本当にギリギリ動く程度のデモアプリを作り上げる 二週間 一か月
  42. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    54  2017年9月 上司に説明  上司のコメント 「いつ作ったんだよ・・・」  カフェコーナー適用の案件を頂く 54 登壇時のみ公開
  43. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    55  2017年10月 社内のイベントに呼んでいただけるようになる  上司 「いいこと思いついた。 お前バリスタ役な。」 55
  44. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    56  2017年10月 正式にブロックチェーンサービスのPJが始動  予算なし 図:ブロックチェーンによるセルフカフェサービス概要
  45. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    57  2017年10月 若手の自習活動としてチームを結成  コーポレートキャラクターの 使用を認めてもらう 図:コーポレートデザイン調整用資料 (◦◦,◦◦,◦◦) (◦◦,◦◦,◦◦) (◦◦,◦◦,◦◦)
  46. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    58  2017年11月 apple対応チームにお願いし,法人ライセンスの利用許可を得る  当社のapple対応チーム(精鋭)  Googleに比べてAppleの申請は緻密 登壇時のみ公開
  47. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    59  2017年12月 サービス版 ブロックチェーンによるセルフカフェサービス完成  部長「もちろん明日使えるよな?」(徹夜確定)
  48. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    60  2017年12月  2017年12月 情報システム部にてサービス運用開始  QRコードを選択  仮想通貨でカフェが買える 60 登壇時のみ公開
  49. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    61  2017年12月 12/20 電気新聞 2/9 日経コンピュータ (略) 名前まで載って しまい社内から ものすごい反響 が・・・  そして・・・ 61
  50. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    63  2017年1~2月 新聞や口コミで広がり,社内外が活気づく  NWカンパニーから 利用依頼  1月にサービスを 倍に広げることに NW企画室版 登壇時のみ公開
  51. 大企業でうまくいくイノベーションの実施 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    64  2017年3月 社内からサービスの依頼が殺到。想定ユーザー数は急速に拡大  2人で始めたことがすごいことになった・・・ 情報システム版 経営戦略版 名古屋支店版 NW企画室版 NWCP総務版 営業部版
  52. Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Right Reserved. 68

    企業内アントレプレナーによるイノベーションのための3ラウンド  BisDevOps(組織改革)はあくまでも理想的な解決策  現実には組織や風土の変化はステップバイステップ (←残念ながらおそい)  私が仕掛けたこと 大企業でうまくいかないイノベーションの分析 考え方・行動の変革 企業内アントレプレナーシップとは何か 大企業でうまくいくイノベーションの実施(と定着)
  53. 企業内アントレプレナーによるイノベーションのための3ラウンド Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    69 ラウンド2 ラウンド1 ラウンド3 社員全員の脳を揺らす 変化を全社に巡らせて 定着させるために 指針となる大戦略を作る 真にやらねばならない 事業PJに一丸となって進む (本来のあるべき姿) 先ほどの地点  カフェエネコは最初の盛りあがりに過ぎない  活気ある状態を利用して,企業活動の方向性統一へと向かうべき  各組織が横断的に連携し,投資最適化されるための技術戦略を策定する  (そしてあるべき事業PJへと一丸となって進む)
  54. 71 AIの難易度からみた投資期間の整理 高難易度 低難易度 経営ダッシュボード 余剰電力 個人売買 アセットマネジメント 自動巡視 災害時自動トリアージ

    自動需給予測 調達・在庫予測 ビッグデータCRM エネルギーマネジメント 音声受付 コンシェルジュ ディスアグリゲーション 見守り チャットボット コールセンター 域外,グリッド 2018 2019 2020 2025 - 2030 Short range Mid-range Long-range  AI活用の目的・採用したいサービスによって,投資期間は異なることが示唆される Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  55. 72 AIに関する技術分野からみた中部電力のAI活用領域の可視化 AIに関する技術分野 推薦(推論) 機械学習 ニューラルネットワーク ディープラーニング 自然言語処理 画像認識 音声認識

    可視化 問題解決 探索 知識表現 プランニング 音声受付 コンシェルジュ 見守 り コールセンター 余剰電力個人売買 アセットマネジメント 自動巡視 災害時自動トリアージ 調達・在庫予測 ビッグデータCRM エネルギーマネジメント ディスアグリゲーション 経営ダッシュボード 自動需給予測 域外,グリッド チャットボット  複雑な認識を伴う場合は,単機能に留まらない高度な技術分野を必要とする可能性が高い Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  56. 73 AI検討が単独POCの繰り返しではいけない理由 高難易度 低難易度 パッケージドAI(低グレードの脳) × シングルエンジンAI(単独の脳) パッケージドAI(低グレードの脳) × ディープNN(高密度の脳)

    × シングルエンジンAI(単独の脳) カスタマイザブルAI(高グレードの脳) × ディープNN(高密度の脳) × マルチエンジンAI(複数の脳) × 事業独自の利用法(特許レベルのアイディア) 探しやすい アクセス しやすい 役に立つ 商用AI 商用AI+DEV 商用AI+DEV+USER 域外,グリッド 余剰電力個人売買 エネルギーマネジメント アセットマネジメント ディスアグリ 自動需給予測 ・・・ 道すじ(作戦) POC GOAL  課題の構造もふまえ,GOALへの道筋が必要 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  57. 74 AI活用において行うべき作戦 (事業レイヤー) 大前提となるファクター:重視するサービス,重視する収益 3rd 兵站 2nd 戦術 1st 戦略

     Short range 内での短期計画,Mid/Long rangeへと続く中長期計画,二つのロードマップを採用  Short range におけるPJのプライオリティ → 安価・早期構築  Mid/Long range におけるPJのプライオリティ → 最終目標とする事業への技術的貢献度  具体的には,Long rangeへ向けてAIエンジンとしての高流用性・高有効性のあるPOC-PJを計画  活用するAIソリューションと事業特性のマッチング(①改善) → 本書に記載のAI整理を継続  商用AIの過大広告に影響されない目利き(②改善) → 専門家メンバーによる市場判断  専門家チームへの投資(③改善) → 専門家チーム(拠点)の発足と,AI-PJ実施 常に会話  投資レンジを踏まえた拡大戦略と,それらを実現するための専門的な判断力・専門的な人財を要する Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  58. 75 戦略について:Mid/Long range における価値あるPJケースの整理(1/3) 高難易度 低難易度 経営ダッシュボード 余剰電力 個人売買 アセットマネジメント

    自動巡視 災害時自動トリアージ 自動需給予測 調達・在庫予測 ビッグデータCRM エネルギーマネジメント 音声受付 コンシェルジュ ディスアグリゲーション 見守り チャットボット コールセンター 域外,グリッド 2018 2019 2020 2025 - 2030 Short range Mid-range Long-range 推薦(推論) 機械学習 ニューラルネットワーク ディープラーニング (ディープNN) (カスタマイザブルAI) (事業独自の利用法) ニューラルネットワーク ニューラルネットワーク  Mid/Long range において重要な事業テーマを絞って検討する Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  59. 76 戦略について:Mid/Long range における価値あるPJケースの整理(3/3) 高難易度 低難易度 パッケージドAI(低グレードの脳) × シングルエンジンAI(単独の脳) パッケージドAI(低グレードの脳)

    × ディープNN(高密度の脳) × シングルエンジンAI(単独の脳) カスタマイザブルAI(高グレードの脳) × ディープNN(高密度の脳) × マルチエンジンAI(複数の脳) × 事業独自の利用法(特許レベルのアイディア) 余剰電力 個人売買 自動需給予測 エネルギーマネジメント ディスアグリゲーション 域外,グリッド パターン認識 意思決定支援 時系列推定 クラスター分離 複合AI(狭義のsystem) System of system コールセンター補佐AI Xxx-PJ Xxx-PJ POC 状況: ①検証することが多すぎる ②電力テーマでは重過ぎる ③ユーザとAIの対話がどこからも抜けている (業務にするならば,AIが思考していることを可視化してユーザが介入する必要がある) 可視化 対話  技術的な要約について, 「パターン認識」と「可視化」を 重要なファクターとした  技術的にもテーマ的にも 高度すぎるため 工夫が必要 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  60. 77 戦略について:Mid/Long range に繋げるAIエンジン検証PJが必要 余剰電力 個人売買 自動需給予測 エネルギーマネジメント ディスアグリゲーション 域外,グリッド

    パターン認識 意思決定支援 時系列推定 クラスター分離 複合AI(狭義のsystem) System of system 可視化 対話 POC-2018-1 MVP MVP 2018 2019 2020 2025 - 2030 Short range Mid-range Long-range 机上 検証 机上 検証 机上 検証 要求/Sol整理 要求/Sol整理 要求/Sol整理  事業目線の整理が必要と判断 → 各テーマの要求と的確なAIソリューションの調査は再度実施したほうがよい  技術的なテーマは明確である → 小さなテーマ設定のMVPを通して,AIエンジンの検証を行うことは可能 POC-2018-2 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  61. 79 課題と取引型の違いからみたブロックチェーン活用領域の可視化  ブロックチェーン検討にはハードウェア・ソフトウェアの2軸が重要であることがわかる ハードの課題 ソフトの課題 1:N型取引 (中電 対 顧客)

    N:N:N型取引 (ローカルグリッド運営者 対 顧客 対 顧客) 1:N:N型取引 (中電 対 顧客 対 顧客) 分譲発電 (これからでんき) 新調定・決済基盤 新ポイント基盤 個人間取引 プラットフォーム 需要地系統(ローカルグリッド) 新スマートメーターNW 保有アセット活用 グリッド,スマートシティ JPEX向け,域外 ハードウェア課題からの アプローチ ソフトウェア課題からの アプローチ Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  62. 80 事業にとって最適なブロックチェーンNWの構築のためには,POCは繰り返すほど良い コ ア プ ロ セ ス の 課

    題 前 後 プ ロ セ ス の 課 題 現金からの換金 BCノードが落ちた場合の考慮 収納(CIS連携) hoge piyo ・・・  POCを繰り返す中で課題を解決し,知識・経験を積みながらスケールしていくことが重要 事業のサービスレベルに関わる様々な課題 (仕組み上,ブロックチェーンではなく,webシステム側に実装される部分への考慮) ハードウェア 面でのGOAL ソフトウェア 面でのGOAL システム全体 面でのGOAL Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  63. 81 ブロックチェーン活用において行うべき作戦 (事業レイヤー) 大前提となるファクター:重視するサービス,重視する収益 3rd 兵站 2nd 戦術 1st 戦略

     課題解決のフィージビリティ(実現可能性)を優先順位としてロードマップを構築する  フィージビリティ高 → ブロックチェーンを中心としたソフトウェアの領域  フィージビリティ中 → ブロックチェーンと直接的に作用する,既存システムの連携領域  フィージビリティ低 → ブロックチェーンと間接的に作用する,電力設備/制御系側の領域  取引型を意識した小さなテーマを繰り返し検証し,ネットワークの複雑性を段階的にあげていく  ビジネスモデルとの掛け合わせ検討(①改善) → 本書に記載のビジネスモデル検討を継続  パブリック/コンソーシアムPOCによる反復理解(②改善) → POCによる特性理解が最も近道  専門家チームへの投資(③改善) → 専門家チーム(拠点)の発足, 業務の専門家をPJにアサインメント 常に会話  課題解決を踏まえた拡大戦略と,それらを実現するための専門的な判断力・専門的な人財を要する Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  64. 82 計算機リソースから見たAI活用領域の配置 事業分野 集中演算型 分散処理型 ビッグデータ AI (経営) 販売 発電

    送配電 プラットフォーム + M2M(IoT) 学習の反映 データの収集 (フォグコンピューティング, エッジコンピューティング) (クラウドコンピューティング) ビッグデータCRM ディスアグリゲーション 域外,グリッド エネルギーマネジメント アセットマネジメント 自動需給予測 エッジAI エッジAI エッジAI エッジAI 音声受付 見守 り 余剰電力個人売買 コンシェルジュ ・・・  事業全体の計算機リソースを踏まえると,サービスのスケールごとに,システム面でのAIの演算ポジションは異なる Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  65. 当社取り組みの紹介 アイデアやサービスの募集 URL http://coe.chuden.jp ▪ COE(声) C O E 最新のICT技術、オープン

    ソースソフトウェアの検証 所在地 名古屋市東区東桜2-13-1 ベンチャー企業、 大学、研究機関等 85 Webサイト(COE)および検証・開発ラボ(COLab)開設の目的 ◦オープンイノベーション推進のため、外部から広く取り入れた新たなアイデアなどを 検証し、ICT技術を活用した付加価値サービスを開発する「場」をご提供 お客さま 社会 付加価値 サービス アイデア ▪ COLab(コラボ) Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  66. オープンイノベーション検証・開発ラボ「COLab」の概要① Room A コワーキングスペース Room B スコーピングルーム ベンチャー企業や、大学、研究機関の 皆さまとともにアイデアを出し合い、 新たなサービスの仮説を設定。

    リラックスしてアイデア創出ができる、 ブルックリンのカフェをイメージ アイデアの具現化のため、リビングの ようなスペースを用意 サービス内容を具現化するため、ター ゲットとなるお客さま像の設定やサービ ス提供の優先度設定を実施。 86 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  67. オープンイノベーション検証・開発ラボ「COLab」の概要② Room C ソフトウェア開発ルーム AIやビッグデータ、音声認識、解析技術、 センサー技術などの最新のICT技術を検 証。 Room D 新技術検証ルーム

    壁面の活用等、開発作業に集中しやすい 場所を提供 AIスピーカーやVR機器等、実機の検証 作業ができるスペースを用意 最新のICT技術を活用したサービスを実現 するソフトウェアを開発。 87 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  68. Room C:使う人の「うれしさ」に重きを置く リーンソフトウェア開発① 90 <使う人の「うれしさ」を考え、作り続けるための場> ◦モノやサービスを単に受け取るだけでなく、体験を通した「うれしさ」を重視する人々が増加 ◦使う人に「うれしさ」があるサービスを創出することは、当社の重要なミッション ◦当社では、そのような「うれしさ」のカタチを素早く具体化するソフトウェア開発に注力 ◦現状把握、お困りごと、うれ しいことの整理を実施し、仮

    説立案 ◦仮説に基づき、「うれしさ」を 生み出す過程(ストーリー) を整理 ◦ストーリーを元に ソフトウェアの画 面や動き方を考 え、ソフトウェアの 全体像を決めて いく ◦プログラミング によりソフトウェ アを構築 ◦振り返り実施 ◦ご利用者さまへ展開 ◦確認や評価をいただく ◦継続した改善を通じて、使う人の 「うれしさ」を素早く具体化 継続した改善 <リーンソフトウェア開発の流れ> お客さまとのミーティング 全体像構築 ソフトウェア構築・チェック ソフトウェア展開、評価や改善 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.
  69. ビジネスIT推進における当社の状況 ②ITプロダクトリーダー寄のスキル ・流れ,モデル,オーケストレーション, 顧客,総論,全体など ①事業オーナー寄のスキル ・高い視座,本質, 市場,戦略,抽象など ③ITエンジニア寄のスキル ・実現手段,ソリューション, 各論,具体など

    (What) DATA (How) FUNCTION (Where) NETWORK (Who) PEOPLE (When) TIME (Why) MOTIVATION Product Out Market In SCOPE 経営者視点 事業の状態 顧客の状態 ビジネスの流れ ビジネス拠点網 ビジネス組織 ビジネスイベントサ イクル 目標と戦略 BUSINESS MODEL アントレプレナー視点 概念的な流れ インサイト ビジネスプロセス モデル ロジスティクス モデル ワークフロー モデル イベント スケジュール 事業/IT戦略 SYSTEM MODEL デザイナー視点 論理的な流れ データ分析 アプリケーション アーキテクチャ 分散/連携 アーキテクチャ UI/UX アーキテクチャ プロセッシング 構造 ビジネスルール モデル TECHNOLOGY MODEL 開発者視点 物理データの 格納 ログ収集 システム設計 システム設計 プレゼンテーション 設計 コントロール構造 ルール設計 DETAILED REPRESENTATION 実装作業者視点 データベース ログ プログラム ネットワーク アーキテクチャ セキュリティ アーキテクチャ タイミング定義 仕様  当社はブレイン/データ分析の人財に課題をもっている ◦ 技術経営戦略のために,ビジネスとITの両方のスキルセットを併せ持つリーダー(ブレイン)が必要になってきている ◦ また,これまで当社のロールモデルに無かったデータ分析人財が,企業経営において重要視されはじめている ◦ 上記のプロフェッショナル人財は市場全体で供給不足の傾向にあり,安価な調達は困難を極める ビジネス人財 IT人財 特に不足するスキル ブレイン人財のばらつき データ分析人財のばらつき Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 94
  70. ビジネスIT人財と従来型人財の結合イメージ  近年のビジネスIT人財への注目は事業環境変化によるもの ◦ 従来型人財と比べて,why→what→howで語れる人財 ◦ 既存のロールモデルにはなかった先端ITを強みとする経営・企画・事業化の人財 経営管理 組織対応 企画

    研究 対 人 技 術 企画系人財 (経営視点) 企画系人財 (イノベーション視点) アントレプレナー系人財 技術研究人財 技術活用系人財 (基盤技術視点) 現行システム保守系人財 管理系人財 (管理職,PM等) 技術活用系人財 (先端技術視点) センス 論証 創 造 力 実 行 力 Why Wha t How :従来型人財 :ビジネスIT人財 (凡例) Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 95
  71. 戦略 コンサルタント Webアプリケーションスペシャリスト 必要人財の整理  ビジネスIT市場における職種一覧 ◦ 市場で重要視されている職種にマッピングすると下記のようになる  V型人財:複数のジャンルのスキルセットに長ける人財モデル。専門性がバランスする分,スキルジャンル横断に強い

     I型人財:ひとつのジャンルのスキルセットに長ける人財モデル。専門性に特化し,スキルジャンル横断には弱い 分析系スキル (DATA) 機能系スキル (FUNCTION) ロジ系スキル (NETWORK) コミュニケート系スキ ル (PEOPLE) マネジメント系スキル (TIME) 戦略系スキル (MOTIVATION) データアナリスト データ サイエンティスト アプリケーションスペシャリスト UXデザイナー プロダクト マネージャー (デジタル) マーケター AI ブロック チェーン IoT 技術活用系人財 (先端技術視点) アントレプレナー系人財 企画系人財 (イノベーション視点) 企画系人財 (経営視点) Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 96
  72. 具体的組織構成(例)  組織例 ビジネスITセンター統括 コンサルタント パート アナリスト パート 戦略・マーケティングコンサルティング AI

    データアナリティクス システムコンサルティング サイエンティスト パート ブロックチェーン IoT Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 99
  73. それでもうまくいかない時は Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    100 変化や対立を受け入れる ◦試合に負けて勝負に勝ったことを周りはちゃんと見ている 101
  74. 三か月しても妙案が浮かばないテーマはさっさとやめる Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    101 3か月たっても妙案が思いつかないテーマはやめる ◦100のアイデアに対して形になる新ビジネスやシステムは所詮1つ 102
  75. ユーザーエクスペリエンスに立ち返る Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    ユーザー体験に立ち返る ◦顧客の前では社内のいざこざなど些末なことに過ぎないと知っている 102
  76. 企業内アントレプレナー育成の苦労 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    104  多くのPJやワーキングの場を提供し,お互いを高め合っています 登壇時のみ公開
  77. 企業内アントレプレナー育成の苦労 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    105 スペシャリティを持つ人財の出現は30~50人に1人の割合  そうであって欲しくない  1人の側に立つ者→強制的に開拓者となる(つらい)
  78. Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 

    成功したアントレプレナーの多くは二人組  ペアでマインドを鍛えさせること  しかもスキルを補完し合うペアであること 106
  79. おわりに Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    108 「コントロールできる経営資源を超越して、機会を追求する姿勢」 米ハーバード・ビジネス・スクール ハワード・スティーブンソン  アントレプレナーシップの定義
  80. おわりに Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    109  私の環境 ◦ 中部電力が事業の中で計測できているKPIはほとんど無い ◦ 良くも悪くも歴史ある大きな事業会社 ◦ 戦う術が無いこともしばしば(自分に出来ていないことはたくさんある) けれど潮目は確実に変わった ◦タイミングは作ることも可 ◦運をつかむのも実力のうち 何事も「タイミング」と「運」が大切と言いますが・・・
  81. おわりに Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    110 私の経験が少しでも参考になれば幸いです ご清聴頂きありがとうございました Yutaro tomoto https://jp.linkedin.com/in/yutaro-tomoto-7b611b13a 戸本裕太郎 https://m.facebook.com/oyasaig ▪是非ご意見・ご感想等お聞かせください
  82. 自己紹介 Copyright © CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved.

    112 中部電力 情報システム部 技術経営戦略担当 戸本裕太郎 経歴 2011年4月中部電力へ入社。契約情報管理,料金・電気使用量料計算などの営業 系システムや,設備工事用の資材調達・倉庫管理などの資源管理系システムの開発・ 保守を経験後,中部電力のシステム化企画および戦略に携わる。 事業競争力強化のためのコーポレートITに加えて新規事業のためのビジネスITを推進し, AI・ブロックチェーン活用のプロダクトマネージメント,事業部門のアイディアソンやマーケティ ング支援,特許の出願,IT研究拠点の立ち上げ等に従事。 2015年3月情報工学の博士課程を修了。専門は知能情報工学/感性工学/可視化に よる情報分析の分野。
  83. 研究紹介 113 学習 提案 (原案) 趣味・趣向の 反映 (情報可視化) 想像以上の 提案

    (行動可視化) 選択の整理 行動の提案 人工知能 (パターン認識) 進化的アルゴリズム (パターン創造) 提案 (推敲後) 人と機械が融合した意思決定体験 (ヴィジュアル・データマイニング) クラウド  人の想像を超えた提案を行うシステムの研究 ◦人工知能とアルゴリズムを用いて情報を提案し,人の意思決定を支援するシステムを研究している スマフォ