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我々はどう生きるか

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 我々はどう生きるか

Developers Summit 2026 Summer で発表された資料です。
https://event.shoeisha.jp/devsumi/20260716/session/6885

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July 17, 2026

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Transcript

  1. DEVELOPERS SUMMIT 2026 SUMMER / 17-A-1 基調講演 我々は どう生きるか 藤本

    真樹 グリーホールディングス株式会社 取締役 上級執行役員 最高技術責任者 2026.07.17 11:00 – 11:40
  2. ABOUT ME 藤本 真樹 2003 オープンソースの世界へ。PHP等のOSSプ 2005 グリー株式会社 取締役に就任 2010

    最高技術責任者(CTO)に就任 2024 株式会社グリー 代表取締役社長に就任 ロジェクトに参画 グリーホールディングス株式会社 取締役 上級執行役員 最高技術責任者 20年ほど、技術と経営のあいだで ソフトウェアと生きてきました。 02 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer
  3. WHERE WE ARE 「コードを書く」の意味が、数年で書き換わった ~2023 ~2024 2025~ 補完するAI 対話するAI 委任するAI

    関数やファイルを一緒に書く タスクごと任せて、結果を確 。 かめる。 ペアの相手になった。 主語が変わり始めた。 数行のコードを提案する。 主語はまだ、ぼくら。 03 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer
  4. WHAT REMAINS それでも、変わらないもの 1 知識 原理・原則は揮発しない。 計算量も、分散も、人間も。 2 × 方法

    分解し、抽象化し、確かめる 。 問題を解く型は残る。 3 × 道具 道具だけが入れ替わる。 いつだって、そうだった。 知識 × 方法 × 道具 = 技術。 入れ替わっているのは、まだ一枚目だけではないか。 05 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer
  5. WHAT TO THINK 考えることが、仕事になる 01 何をつくるか つくれるものが増えた今、「価値の定義」が仕事になる 02 なぜそう決めるか 選択肢を出すのはAIでもいい。決めて、説明するのは人間の仕事

    03 結果を引き受けるか 動くものの正しさと影響に責任を持つ。ここは委任できない 実装の主語が変わっても、意思の主語は変わらない。 06 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer
  6. WHAT TO LEARN 何を学ぶか 07 原理と基礎 学び方そのもの AIそのもの 揮発しない知識に時間を使う 知識の半減期が短くなるほど

    いちばん大事な道具を、 。コンピュータサイエンス、 、速く学び直せる能力が効い 中身を知らずに使わない。 数学、そして人間について。 てくる。 仕組みと限界を学ぶ。 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer
  7. 昨今の世の中 — AI AI、AI、AI 53 % ほぼ100 % 米国成人の生成AI利用率 (登場3年)

    PCよりも、スマートフォンよりも、インターネットよりも速い — 史上最速の普及 生成AI: 202 5.8 (登場2年9ヶ月) / イン ターネッ ト: 199 8 (3年) / PC: 198 4 (3年) 出典: Bick, Blandin & Deming (NB ER w32966) / St. Louis Fed “The State of Gene ra tive AI Adoption in 2025” (2025.11) / Fortune (20 26.01) https://www.reddit.com/r/Anthropic/comments/1qbyqrc/claud e_code_wrote_100_of_cl aude_cowork/ 正直聞き飽きた。でも、すごいもんはすごい 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 3
  8. 昨今の世の中 — 世界情勢 世界情勢 65 件 8件 約24.5 万人 国家が関与する武力紛争

    (2025) 国家「間」の紛争 組織的暴力による死者 / 年 統計開始 (1946年) 以来の最多を更新 第二次世界大戦後で最多 (2023年は2件) 1994年 (ルワンダ) 以降で 2番目に多い年 冷戦後しばらく減少傾向だった紛争が、この数年で明確に反転している 「戦争」(年間死者1,000人超) は13件 — 1992年以来の最多 出典: UCDP (ウプサラ大学紛争データプログラム) プレスリリース 2026.06 / Davies et al., Journal of Peace Research 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 5
  9. 昨今の世の中 — 天災 天災 70 % 60〜90 %程度以上 300 年

    首都直下地震 (M7級)・30年以内 南海トラフ巨大地震 (M8〜9)・30年以内 富士山、宝永噴火 (1707) 以来の沈黙 想定死者 最大約1.8万人 / 経済被害 約83兆円 (2025.12、12年ぶりの新想定) 「20〜50%」と併記 (2025年秋改訂) 過去5600年で約180回 (約30年に1回) 出典: 内閣府・中央防災会議 (2025.12) / 政府 地震調査委員会 / 気象庁 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 6
  10. 温故知新 — 電子計算機 “computer” は、職業名(でした) ① 技術: 電子計算機 (1940s〜) ②

    消えた仕事: 計算手 = “computer” — 計算を行う「人」の職業名 computer ③ 世の中: 計算能力の爆発が、宇宙開発・科学・金融を作り替えた (n.) • “compute”してた人の一部は軌道計算の「検証者」やプログラマーへ 1. 計算を行う人(職業) 2. 計算を行う機械 ぼくらの職業は、ある職業を消した機械を扱う仕事として生まれた 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 9
  11. 温故知新 枚挙にいとまなし 18世紀末〜 1886 〜 1984 1950s〜 紡績機・力織機 ライノタイプ →

    DTP NC / CNC 工作機械 仕事より先に影響があったのが、職人の 植字工を置き換えた側も、約90年後に 手送りの勘は消え、段取りと品質判断は 地位と価格決定権 置き換えられた 残り、「削り方を書く人」が生まれたり 出典: UK National Archives / Library of Congress / Computer History Museum / Zicklin (1987) 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 10
  12. 温故知新 電話交換手 自動交換機 (AT&T, 1920〜40年に全米電話網の半分以上を機械化) が消した「電話交換手」 後続世代 現職者 (incumbents) 雇用総量は減らなかった

    — 事務職・サービス職など、新しい 仕事が穴を埋めた 10年後、低賃金職に就いているか、無職になっている確率が 有意に上昇していた 出典: Feigenbaum & Gross, “Answering the Call of Automation”, QJE (2024) 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 11
  13. 温故知新 — 写真 自分たちの仕事をなくす技術を、自分たちでつくってきた気がする ① CCD (1969) → コダック社内の電気技術者 Steven

    Sasson が、デジタルカメラを試作 (1975) ② 消えた仕事: 街の現像所、現像技師、フィルムを支えた化学の技術体系 ③ 仕事は消えたが、写真は爆発的に増えた なくなった 露出勘の一部、現像・焼付けの化学技能 残った 生まれた 構図と光の理解、品質の最終判定、色への RAW現像、色管理、画像処理、センサー 責任 設計 コダックは 2012年に Chapter 11, 富士フイルムは転身 出典: IEEE Spectrum / BLS / USPTO / Fujifilm Integrated Report 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 12
  14. 温故知新 歴史から学べるパターン 1 仕事を減らした技術は、いつも技術者自身が作ってきた 2 技術は職業を丸ごと消さない — なくなる仕事も残_仕事も生まれる仕事もある 3 仕事の総量はむしろ増える、けど、当事者を救わないこともある

    4 生き残った技能者は「自分の価値がどこに宿るか」を再定義した人 (らしい) ではAI云々も、これまでと同じように考えればOK? 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 13
  15. 何か違うのか 相似? 歴史の相似形...か 技術が既存の仕事を置き換える 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer

    量の違い (はある) 速い (普及、影響のスピード、etc) 広い (影響範囲広すぎ: 言語・画像・コード、全職種横断) 15
  16. 何が違うのか 大きな違い: 不確定性 これまでの抽象化 — 決定的 (deterministic) AI による抽象化 コンパイラは、同じソースから同じ結果を生成する

    自然言語 (spec) → 実装の翻訳に、 書いていないことは、起きない (最適化バグとかあるけど) 「解釈」と「推定」が入る • 乱数も並行処理も「そう書いたから」起きる非決定性 (ものすごく厳密にとらえればcoding agentによる実装も決定的ではない、とは 言えない...? • これまでの「機械に置き変わる」は、より決定的、画一性をもたらすことが多かったこととの違いが興味深いポイント 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 16
  17. 何が違うのか 不確定である —「AIの意志」による補完 spec (ぼくらが書いたこと・書かなかったこと) 補完 ▪ 自分が書いた・指定した 補完 補完

    ▪ 隙間 —「AIの意志」で埋まる • spec には必ず隙間がある — 隙間を全部なくそうとすれば、それはコーディングと同じ • これまで、書かなかったことは「起きない」か「落ちる」かだった • 自分が意図してもしなくても、なんらか「AIの意志 (あえてこう言います)」によって補完される • 見える隙間もあれば、見えない隙間もある — 見えない範囲は人によって違うし、気づいてすらいない隙間も多々ある 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 17
  18. 2400年前 無知の知 神託 デルポイの神託 「ソクラテス以上の 知者はいない」 困惑 問答 そんなはずはない、 知者と評判の人々を

    と本人は当惑する 訪ね歩き、問答する 発見 彼らは、知らないことを 知っていると 思い込んでいた 「知らないことを、知らないと思っている」— その分だけ、わたしは知恵がある …という話は有名な気がする、けど「なぜソクラテスがこれを大事だと言ったのか」は、あんまり語られない気がする 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 19
  19. 無知の知 無知の知とは、善く生きるためのもの 「知っている」と思う 問いが、止まる 吟味が、止まる 善くなるのを、やめる 「知らない」と自覚する 問い続ける 吟味し続ける 善に向かい続ける

    「吟味されない生は、人間にとって生きるに値しない」 —『ソクラテスの弁明』 「善く生きる」とは、完成した状態ではなく、問い続けている状態のこと — 無知の知は、その前提 我々はどう生きるか — Developers Summit 2026 Summer 21