Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

属人化を叩き割れ!「制作加速」と「安定化」の矛盾を打破する:8年目プロダクトが辿り着いた「ミス...

 属人化を叩き割れ!「制作加速」と「安定化」の矛盾を打破する:8年目プロダクトが辿り着いた「ミスが起こり得ない」アセット制作フローの全貌

CEDEC2026で発表された資料です。
https://cedec.cesa.or.jp/2026/timetable/detail/s6985879736774/

Avatar for gree_tech

gree_tech PRO

August 19, 2026

More Decks by gree_tech

Other Decks in Technology

Transcript

  1. ⾃⼰紹介 池⾕ 駿弥 (Shunya Iketani) / IKEP(@CreativeIKEP) REALITY株式会社 テクニカルアーティスト •

    2022年、グリー株式会社(現 グリーホールディングス株式会社)へ 新卒⼊社し、REALITY株式会社に配属 Unityエンジニアとしてアバター機能の開発やアセット運⽤を担当 • 約1年半の社内プロジェクトを経て、2025年7⽉のTechnical Artチーム 発⾜に寄与 • 現在はTAとして、アセット制作パイプラインの整備からアプリ機能の 開発まで幅広く担当 3
  2. アジェンダ • アプリ「REALITY」と、REALITYのアセット • アセット制作における問題 • 制作パイプラインの改善(品質担保の安定化) • ◦ 2D制作

    ◦ 3D制作 ◦ Unity組み込み 制作パイプラインの改善(管理の安定化) • ◦ マスターデータ⼊稿 ◦ ビルド‧実機確認 ◦ PRレビュー ◦ リリース まとめ 4
  3. REALITYアバターアイテム制作パイプライン 企画 2D (Photoshop) 3D (Maya) マスタ データ入稿 Unity 組み込み

    ビルド 実機確認 PR レビュー • パイプライン / 各⼯程の具体的なフローともに、リリース当初から5年の間に⼤きな変化なし • ⼯程によっては、⻑期運⽤に伴って属⼈化が発⽣し、制作加速のボトルネックに... リリース 12
  4. 制作パイプラインへの反映 2つに分離してアプローチできることが、制作パイプラインからもわかる • アセットそのものを作る⼯程に対して、品質担保の側⾯から • 制作したアセット‧メタ情報の共有‧ビルド‧リリースなどの⼯程に対して、管理の側⾯から 企画 2D (Photoshop) 3D

    (Maya) マスタ データ入稿 品質担保の安定化 誰もが高水準なアセット制作が可能で、 「必然的な」 安定性を醸成させる Unity 組み込み ビルド 実機確認 PR レビュー リリース 管理の安定化 「ミスが起こり得ない」管理体制 の実現 16
  5. 品質担保の安定化 - 3Dにおける事例 - Maya上で「Unityの⾒た⽬」を再現① ※別途動画ファイルあり Maya上で「Unityの⾒た⽬」を再現① アバター体型変更機能の⼤規模アップデート 『REALITY Avatar

    2.0』プロジェクト 突き抜け回避などの調整がより困難となり、 Unity組み込み後に破綻が判明し、 Maya ⇔ Unityの往復作業に... アバター体型変更機能の技術詳細については、以下の資料を参照 『“なりたい⾃分“をアップデート! 「REALITY Avatar 2.0」の開発秘話』 28
  6. 品質担保の安定化 - 3Dにおける事例 - Maya × Unity双⽅向連携 ※別途動画ファイルあり Maya ×

    Unity双⽅向連携 Unity上のアプリケーションロジックによって発⽣するメッ シュのめり込みや破綻は、静的なMaya上では確認できず、 ⼿戻りが発⽣しMaya ⇔ Unityの往復作業となっていた... • モーション機能による動き • フェイストラッキングシステムによる動き REALITYのフェイストラッキング ⾃分の顔を動かすと、アバターも動く 36
  7. 品質担保の安定化 - 3Dにおける事例 - Maya × Unity双⽅向連携 Maya × Unity双⽅向連携

    Unityで記録したポーズをMayaに転送‧再現可能に → 「破綻状態」をMaya上で即座に修正可能とし、⼀⽅通⾏だったパイプラインを「双⽅向」に変⾰ ※別途動画ファイルあり ※別途動画ファイルあり 37
  8. 品質担保の安定化 - 3Dにおける事例 - Maya × Unity双⽅向連携 Maya × Unity双⽅向連携

    • Unity: 数秒間のボーンの回転値をJSONに記録して出⼒ • Maya: JSONファイルを読み込み、対象ジョイントの回転値のキーフレームを打ち再⽣ 38
  9. 品質担保の安定化 - Unity組み込みにおける事例 - 統合セットアップツール 統合セットアップツール • 1画⾯でセットアップが完結 • 常時制作する全仕様に対応

    ◦ 2D/3Dアイテムなど関係なく統合的に扱える 対象アイテムを選択し、 DCCツールの出⼒物から 組み込み設定候補を⾃動補完⼊⼒ 揺れものなどのクリエイティブな作業が必要な ものに関しては、テンプレ⽣成などまでは⾏う 42
  10. 品質担保の安定化 - Unity組み込みにおける事例 - アイコン撮影ツール アイコン撮影ツール 以前は、「グリーンバッグ + 緑肌で撮影 →

    Photoshopで編集」と⾔う作業だった → 定型的な作業にもかかわらず、⾮常に⼿間な作業 網⽬など、複雑な形状の肌部分を 透過させることは⾮常に困難 47
  11. 品質担保の安定化 - Unity組み込みにおける事例 - アイコン撮影ツール アイコン撮影ツール • 服/髪/アクセサリ/デカール/2Dアイテム、など、種別ごとに全く異なる⼿法を1ボタンで実現 • ◦

    常時制作する全仕様に対応 ⼀部アイテムは魅⼒的な表現を可能とするため、画⾓調整も可能 ※別途動画ファイルあり これら全て1ボタンのみで⽣成可能 49
  12. 品質担保の安定化 - Unity組み込みにおける事例 - チェックツール チェックツール • 組み込み対象がどの仕様に該当するのかの照合すら難しい • ◦

    → チェック作業は、シニアアーティストやアバター担当エンジニアですら⼀苦労 ⽬視でのチェック体制だったが、膨⼤すぎて⼯数‧⼼理⾯ともに地獄だった... ◦ ◦ ガチャの場合、「⽉3~6本」 × 「約30アイテム、500ファイル」 × 「修正回数」 20営業⽇換算の単純計算で、最低でも150ファイル/⽇の⼯数が必要 50
  13. 品質担保の安定化 - Unity組み込みにおける事例 - チェックツール チェックツール • 対象を選択 するだけ 膨⼤な仕様の組み合わせによるバリエー

    ション全仕様に対応 • ビジュアル的制約‧システム制約‧暗黙知 (ノウハウ)まで総合的に踏まえ実装した、 完全⾃動チェック • 仕様⾃動判別から、データ間参照、ファ イル内の詳細なパラメータに⾄るまで、⾮ ファイル間の 整合確認 常に詳細なチェックを実現 • 作業者⾃⾝でチェック • 「ツールがOKを出せば問題ない」というルール という体制へ 51
  14. 品質担保の安定化 - Unity組み込みにおける事例 「複雑な仕様の隠蔽」と「多様性」両⽴の設計思想 1つの画⾯‧ボタンから、アイテム種別ごとに分岐し、汎⽤処理セクションの組み合わせで実現 アイテム種別分岐 汎⽤的処理セクション アイテムA ファイル種別A処理 アイテムB

    ファイル種別B処理 アイテムC ファイル種別C処理 シンプルUI (1画⾯/1ボタン) ▪ 対応仕様の明⽰化 ▪ 拡張性の担保 マニュアルがなくとも、コードを読めば 「どの種別がどの仕様の組み合わせか」が理解可能 ‧種別追加 → 「分岐の追加」で対応 ‧特殊仕様追加 → 「セクションの追加」で対応 52
  15. 管理の安定化 - ビルド‧実機確認における事例 ブランチ構成について • REALITYでは、Git, GitHubによってバージョン管理。リリース単位ごとにブランチ作成 • アセット確認者がAssetBundleのバージョンを意識しなくとも済むように、後⽅互換性を保つブラ ンチツリー構成が組まれており、専⽤ブランチまで順番にマージしてビルドする必要性

    メインブランチ 次にリリースのアバターガチャ その次にリリースのアバターガチャ シリーズごとのツリー (アバターショップ, 家具ガチャ, ギフトアセット, etc…) 開発環境ABビルド⽤ブランチ 順番にマージを⾏い、 マージ後のブランチでABビルド 合計約30以上のブランチで 並⾏的に制作されている 62
  16. 管理の安定化 - ビルド‧実機確認における事例 以前の開発環境ABビルド体制 • • 各ガチャシリーズの責任Art担当者から、アセット担当エンジニアへビルド依頼 アセット担当エンジニアが順番に⼿動マージした上で、ビルドを実施 なぜエンジニアがマージ? 課題‧リスク

    • 約30以上のブランチ全てを把握し、適切に制御する必要性 • ブランチ間マージ時におけるコンフリクト解消対応 • マージ順のミスによるチーム全体成果の消失リスクの回避 63
  17. 管理の安定化 - ビルド‧実機確認における事例 開発環境ABビルドのシステム構成 ビルド依頼 Slack Bot Art GitHub Actions

    API経由で起動 develop asset/gacha-kamikoma ブランチツリーを定義 asset/gacha-love-illumination エンジニア assetbundle-lab API経由でマージ順を提供 マージ後のブランチで ABビルド
  18. 管理の安定化 - ビルド‧実機確認における事例 開発環境ABビルドのシステム構成 GitHub Actions Slack Bot Art develop

    asset/gacha-kamikoma エンジニア asset/gacha-love-illumination assetbundle-lab 定型作業のみをシステム移譲し、 本来⼈間が⾏うべき制御部のみを分離
  19. 管理の安定化 - PRレビューにおける事例 以前のPRレビュー体制 • Unity組み込み時と同様、どの仕様に該当するのかの照合すら難しい • Unity Editorで1ファイルずつ詳細に⽬視でチェックする体制だったが、膨⼤すぎて⼯数‧⼼理⾯と もに地獄だった...

    ◦ ◦ ガチャの場合、「⽉3~6本」 × 「約30アイテム、500ファイル」 × 「修正回数」 1回あたり5時間以上の⼯数をかけることも多々あり ⾟すぎて、どうにかしたいとぼやいていた図 70
  20. 管理の安定化 - PRレビューにおける事例 PRレビュー体制の改善 • Unity組み込み時のチェックツールを流⽤ PRに特定ラベルをつけるだけ し、GitHub ActionsでPRレビューを⾃動化 •

    ビジュアル的制約‧システム制約‧暗黙知(ノ ウハウ)まで総合的に踏まえ、全仕様に対応 アイテムごとに レビュー結果が確認可能 5時間以上の⼯数が5分に! 71
  21. 管理の安定化 - リリースにおける事例 以前のリリース体制 リリース作業担当エンジニアが、各領域担当エンジニアにマージ済みかを確認してからビルドする リリースReady? OK! アバター担当 エンジニア リリースReady?

    No… リリース作業 エンジニア ルーム担当 エンジニア アセット進捗いかがでしょう? ルーム担当 Art リリースReady? OK! ギフト担当 エンジニア 79
  22. 管理の安定化 - リリースにおける事例 リリースを⽀えるシステム構成 Notion, GitHub PR、どちらかのステータスが不正の場合は、マージ & リリースが強制ストップ (PdM)

    確認中... (エンジニア) Approve! ビルド前⽇なのに、 リリース準備できてない! PRはApproveされているが、NotionでWIPがついてるのでストップ 82
  23. 以前のREALITYアバターアセット制作パイプライン 2D (PhotoShop) 3D (Maya) 仕様複雑化に 未対応 シニア アーティストに よる目視確認

    最終ルックが 確定しない マスタ データ入稿 エンジニアに よる手動入稿 Unity 組み込み 複数手法に よる作業分岐 シニアによる 目視確認 実機確認 PR レビュー リリース エンジニアへ 作業依頼 エンジニアに よる手動チェッ ク 全社のリリース 内容を把握し 作業 属人化 ... 確認工程の 過多 ... 属人化 ... ヒューマン エラー ... × × 破綻による 手戻り ... 属人化 ... 属人化 ... データ不整合 の危険性 ... マニュアルの 複雑化 ... 定型作業の 繰り返し ... 5時間 × N回の 莫大なコスト ... × 87
  24. 現在のREALITYアバターアセット制作パイプライン 2D (PhotoShop) ツールの 最新仕様追従 自動チェック ツール導入 マスタ データ入稿 Unity

    組み込み 全仕様対応の 自動チェック 導入 ツール 1本化 3D (Maya) Maya上での Unity表現 属人化排除 手戻りゼロへ ヒューマン エラーゼロ ✔ ✔ 新規仕様の 強制検知 完全自動 チェック (50種以上 ) 「ツール OK =問題なし」の 体制 実機確認 SlackBotから 自身でビルド ブランチ マージ自動化 定型作業は ツールで、 制御を人管理 PR レビュー リリース CI/CDで 全自動詳細 チェック リリース物の 自動マージ & ビルド 壊れた アセットを 阻止 職種間の、 責任分離 & 独立制御体制 ✔ 品質担保の安定化 誰もが高水準なアセット制作が可能で、 「必然的な」 安定性を醸成させる 管理の安定化 「ミスが起こり得ない」管理体制 の実現 88