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Chatwork で Akka をどうつかっているのか なぜつかっているのか / Why Akka, How Akka in Chatwork

Chatwork で Akka をどうつかっているのか なぜつかっているのか / Why Akka, How Akka in Chatwork

hayasshi

March 05, 2021
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  1. 自己紹介 - 林大介 - @hayasshi_ (Twitter) - hayasshi (その他) -

    Chatwork プロダクト本部 サーバーサイド開発部 Scala チーム・マネージャー - 最近の悩み - 🌲✨ 家の中でもマスク必須の生活 😷 2
  2. はじめに Akkaとは Akka のドキュメント冒頭にはこのように記載されています。 分散システムを構築するためのツールキット。 分散システムにおける、アプリケーションやシステム間の信頼性を高めるための 設計の考え方や、それが反映されたツール、コンポーネントが用意されています。 3 Welcome to

    Akka, a set of open-source libraries for designing scalable, resilient systems that span processor cores and networks. Akka allows you to focus on meeting business needs instead of writing low-level code to provide reliable behavior, fault tolerance, and high performance. Akka は、プロセッサコアとネットワークにまたがるスケーラブルで回復力のあるシステムを設計するためのオープンソースのライブラリです。 Akka を使用することで、信頼性の高い動作、耐障害性、高性能を提供するための低レベルのコードを書く代わりに、ビジネスのニーズを満たすことに集中することが できます。
  3. Circuit Breaker とは 訳すると 遮断器、ブレーカー 。 電力回路におけるものと同様、システムに負荷がかかった際に、負荷側を保護し、上流 (呼び出し)側への事故波及を防止するために設置するパターン。 Akka のほかにも、Netflix

    の Hystrix や、LINE の Armeria にも実装されている。 (余談ですが、Hystrix は開発が終了し、Resilience4j に代替されるようです) マイクロサービス・アーキテクチャでもよく使われるパターン。 - https://martinfowler.com/bliki/CircuitBreaker.html - https://microservices.io/patterns/reliability/circuit-breaker.html 6
  4. Chatwork での問題 サービスBの AkkaHTTP エンドポイントに Circuit Breaker を設定し、障害が発生した 場合に素早くエラーを返すことで、サービスAのプロセスの詰まりを回避し、カスケー ド障害が発生しないようにした。

    (そもそものサービスAのタイムアウト値の調整や、エラーの場合のリトライやユーザー インタラクションの検討もおこなった) 9 サービスB サービスA
  5. Supervision とは 解決の戦略(Supervision Strategy) - Resume - Restart - Stop

    - Escalate 処理中のメッセージは失われることに注意が必要。 AkkaActors におけるデフォルトの戦略が、classic と typed で変更されているので 注意が必要。( classic = Restart, typed = Stop ) https://doc.akka.io/docs/akka/current/typed/fault-tolerance.html https://speakerdeck.com/hayasshi/akka-typed-typesafe-messaging?slide=39 13
  6. Chatwork での利用例 ずっと動かしておく処理(ストリーム処理)の想定外エラー時の再起動に利用 Kafka からメッセージを取得して処理し続けるストリームアプリケーションにおいて、 処理の途中で問題が発生した場合に、ストリーム全体を再起動し、再度そのメッセージを取 得、処理したい(リトライしたい)要求があった。 これに対し、AkkaStreams の Supervision

    Strategy の Restart 戦略は、そのメッセージを ドロップして各ステージを再起動した上で再開するため、要求と合わなかった。 そのため、AkkaActors のアクター内で AkkaStreams の Graph を実行し、再起動のハンド リングを AkkaActors の戦略に移譲し、要求を満たした。 ※なお、最近(2~3年前から)は RestartSource なるものがあるので、それで代替できます。 15
  7. JVM や Akka, Play のメトリクスを自動/半自動で収集。(カスタムメトリクスも可能) 各形式向けの Reporter で多彩な出力が可能。※APM の機能もありますが割愛 ライブラリの依存を加え、設定と起動時に初期化するだけで、

    下記のような各種メトリクスを自動/半自動で収集。 18 JVM ヒープ使用量や、GC 時間、メモリの各領域の使用量 全体のスレッド数や、各スレッドプールのアクティブスレッド数 Akka メールボックスのメッセージ滞留量、メッセージ処理速度 Dispatcher のアクティブスレッド数 Play, AkkaHTTP エンドポイント単位の処理量や処理時間(レイテンシ)
  8. アプリケーションの信頼性を向上させるのは異常や障害への考慮 Scala の Option や Either, Try などと同様、問題が発生する可能性を明らかにし、それ に対する振る舞いを決めることが第一歩になる。 リアクティブ宣言の中にも記載がある。

    - 即応性とは使い勝手と実用性の基盤だが、しかしそれだけではなく、問題が素早く 検出され効果的に対処できることを意味する。 - システムは障害に直面しても即応性を保ち続ける。 Akka は異常や障害に対する考え方と、それに対応するためのツールが整っている。 21
  9. アプリケーションの信頼性を向上させるのは異常や障害への考慮 異常に対する振る舞いは、1人で決められないことが多い。 - 隣の部署のサービスとの連携 - サービスのふるまいとしての PO の判断 - その他ステークホルダー

    信頼性の高いシステムを一発でつくるのは難しい。 日々のモニタリング、エラーや異常、障害の検知を通しての改善を継続する。 信頼性の高いシステムを構築することが、エンジニアリングの腕の見せどころ 💪 22