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AIでセキュリティリスクのフェーズが変わった

 AIでセキュリティリスクのフェーズが変わった

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hiromitsusasaki

October 23, 2026

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  1. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった この資料で伝えたいことは 3 つ 1 AI で、脆弱性を見つけて突く速さとコストが大きく変わった 脆弱性の報告数も、実際に悪用される数も、今年に入って大きく増えた。インターネットの基盤になっ ている技術でも深刻な脆弱性が相次いでいる。狙われるかどうかは、もう会社の規模や知名度では決

    まらない 2 会社として、何を運用しているかを把握し、守りに人と時間とお金を割く 情報が流出すると、利用者にも取引先にも事業そのものにも影響する。把握できていないものは守れ ない 3 個人として、自分が侵入の入口にも、流出の被害者にもなりうる前提で動く 2 段階認証を設定する、パスワードを使い回さない、共有アカウントを作らない、おかしいと思った らすぐ共有する 2 / 31
  2. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 脆弱性とは、システムの「鍵の閉め忘れ」や「壁の穴」 Web サービスやアプリは、たくさんのソフトウェアの部品を組み 合わせて作られている。その部品の作りの不備や設定のミスで、 本来は入れないはずのところに外から入れてしまう状態を脆弱性と 呼ぶ 自分たちが書いたコードにも、世界中で使われている部品 (PHP、Linux、OpenSSL

    など)にもある 見つかると作り手が修正版を出す。それを当てるまで穴は開いた まま 一つひとつの脆弱性には、CVE という世界共通の番号が付く パスワードの使い回しや、誰でも見られる設定のままのファイル のように、人の使い方の穴も同じように突かれる 攻撃する側は、この穴を探して入り込み、データを盗む、書き換える、サービス を止める、別の攻撃の足場にする 4 / 31
  3. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 脆弱性を突かれると、何が起きるか 01 情報が盗まれる 02 サービスが止まる、乗っ取られる 03 お金と時間を失う 04

    信頼を失う 05 別の攻撃の入口になる 06 気づくのが遅れる 利用者の名前、連絡先、パスワー ド、やり取りの中身。盗まれた情報 は、詐欺やなりすまし、別のサービ スへの侵入に使い回される 利用者、自治体、取引先からの信頼 は一度で崩れる。報告や公表を求め られ、契約にも影響する ページが書き換えられる、ランサム ウェアでデータが暗号化される、偽 のメッセージを送られる。復旧まで 何日も使えなくなる 入り込まれたサーバーやアカウント は、取引先や利用者への攻撃の足場 に使われる。被害者が加害者の側に 立たされる 調査、復旧、利用者への連絡、再発 防止。クラウドや AI の鍵を盗まれれ ば、不正な利用料を請求される 侵入は静かに進む。気づいたとき には数週間〜数か月たっていて、何 を持ち出されたか分からないことも 多い そして今、この「穴を探して突く」作業を、AI が人の何倍もの速さと安さで回せるようになった 5 / 31
  4. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 公開される脆弱性の数は、今年すでに去年の 1.8 倍になった 1年間に公開されたCVEの数 ⽉ごとに公開されたCVEの数 2026年:10/22までの実績(⾚)と年末⾒込み(点線) 年末⾒込み 10.6万+

    8.6万 1.8万 2020 2.0万 2021 2.5万 2022 2.9万 2023 4.0万 2024 4.8万 2026年 1.5万 1万 2025年 0.5万 2025 2026 出典:CVEProgram(2020〜22)、JerryGamblin(2023〜25)、NVDAPIで集計(2026) 0 1⽉ 4⽉ 7⽉ 10⽉ 12⽉ 出典:NVDAPIで集計(取り下げ分を除く)。2026年10⽉は22⽇までの値を31⽇に換算 2026 年は 10 月 22 日までで約 8.6 万件。今年の平均ペースで単純に延ばしても年末には 10 万件を超え る。月ごとの件数は 1 月の約 4,300 件から 9 月の約 1.5 万件まで右肩上がりなので、この見込みは下限 と考えたほうがいい。AI で見つかった脆弱性のうち、まだ公表されていないものも多い 件数の伸びには、番号を発行する組織が増えた影響も含まれる(ネットワンシステムズ 2026-04-02)。だから次のページで「実際に悪用された数」も見る 7 / 31
  5. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 実際に悪用される脆弱性も、過去最多のペースで増えている 実際の悪⽤が確認された脆弱性の数(⽶CISAKEV) 2026年:10/21までの実績と年末⾒込み 悪⽤が確認された脆弱性の⽉平均(Google) 年末⾒込み 2026年:1〜8⽉の平均 18件 335件+

    187件 186件 2023 2024 245件 270 10.5件 2025 2026 2025 出典:CISAKnownExploitedVulnerabilitiesカタログ(2026-10-21版)を追加⽇で集計 2026 出典:GoogleThreatIntelligenceGroup(2026-10)。ゼロデイは⽉8件→11件 米 CISA が「実際に悪用された」と認定した数は、10 月 21 日の時点で去年 1 年分を超えた。このペース だと年末には 335 件を超える。認定は確認が取れたものだけで、後から追加されることも多いので、実際 に悪用された数はこれより多い Google によると、AI が見つけたとみられる脆弱性は、遠隔からの操作につながる深刻なものの割合が 50% で、それ以外(26%)の約 2 倍だった 8 / 31
  6. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった ゼロデイ攻撃と N デイ攻撃。どちらも AI で速くなった ゼロデイ攻撃 修正版が出る前に突かれる 作り手もまだ気づいていない穴や、修正が間に合って

    いない穴を狙う。守る側には直す手段がなく、止める か、被害を小さくするしかない。php2shell では、公 表の 4 日前から試みがあった AI で変わったこと:何十年も見つからなかった穴を、 AI が短時間で掘り起こせるようになった。攻撃する側 も同じことができる N デイ攻撃 修正版が出たあと、当てる前に突かれる 修正が公開されてから N 日のうちに、まだ修正を当て ていないシステムを狙う。被害の多くはこちらで、国 内の一連の流出も入口の中心は既知の脆弱性だった AI で変わったこと:修正版の差分を AI に読ませれ ば、どこが穴だったかと攻撃の方法がすぐに分かる。 「N 日」の猶予が「N 時間」に縮んでいる どちらも昔からある攻撃の形だ。変わったのは速さで、穴を見つけるの も、修正版から攻撃方法を割り出すのも、AI で人の何倍も速くできるよ うになった。修正する側と攻撃する側の競争になっている 9 / 31
  7. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 修正版の公開から攻撃までの猶予が、極端に短くなっている React2Shell(2025-12) wp2shell(2026-07) AI が見つけた脆弱性(2026) 平均(2025、Mandiant) 公開から 4,100

    件超の 攻撃の試み 公開から実際の悪用の確 認まで 公開から攻撃グループが 使い始めるまで。7 日で 5 グループ 修正版が出る 1 週間前に は悪用が始まっている 2 時間 3日 4日 −7 日 修正版の公開は、守る側への合図であると同時に、攻撃する側への合図にもなる。公開から数日、場合に よっては数時間で当てられなければ、狙われる前提で考えたほうがいい。米 CISA も 6 月から、連邦機関 に深刻な脆弱性を 3 日以内に直すよう求めている AI が見つけた脆弱性は、遠隔からの操作につながる深刻なものが多い。数が増え、深刻さが増し、突かれる までが速くなっている。この 3 つが同時に起きている 出典: Zscaler、Wiz、Google GTIG(BeyondTrust CVE-2026-1731 の事例)、Mandiant M-Trends 2026、VulnCheck、IPA(N-day から N-hour へ)、CISA BOD 26-04(報道) 10 / 31
  8. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 見つかってから突かれるまでの時間も短くなっている 前年 脆弱性の公開から悪⽤確認まで(中央値) 侵⼊から社内に広がるまでの平均 80⽇ 29分 無料公開AIが最新AIに追いつくまで 5.5か⽉

    2026年 120⽇ 48分 8か⽉ 出典:VulnCheck(2026上半期)、CrowdStrike2026GlobalThreatReport、英AISI(2025年6〜10か⽉→2026年4〜7か⽉の中央値) 攻撃する側が速くなる一方で、組織が修正を当てるまでには数十日かかることが多い。この差が、そのまま 攻撃する側の時間になる。無料公開の AI が最新の AI に追いつくまでの時間も縮んでいて、速い攻撃ができ る人はこれからも増える 11 / 31
  9. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 国内の情報流出も、件数と規模が過去にない水準 国内のWebサイト経由の侵害の公表件数 2026年:10/6までの実績と年末⾒込み 62件 2024 100万件以上の個⼈情報漏えい(上場企業等) 年末⾒込み 2026年:10/5までの実績と年末⾒込み

    156件+ 年末⾒込み 84件 119 10 2025 2026 出典:マクニカ(2026-10-07)。⾮公開の事案、ランサムウェアなどは含まない 13件+ 6件 2025 2026 出典:東京商⼯リサーチ。1,000万件超は14年間で3回、2026年だけで3回 Web サイト経由の侵害は、今年の分の 7 割が 7 月以降に集中している。直近のペースが続けば年末は 190 件前後になる。100 万件を超える大規模な漏えいも去年の 6 件をすでに上回った。どちらも公表され た分だけで、検知から公表までには数日から数か月かかるので、年末見込みは下限だ 入口の多くは既知の脆弱性、アプリ解析から見つけた API、管理ツール、委託先と、以前からある弱点。件数には公表の早期化の影響も含まれうる(ラック) 12 / 31
  10. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった php2shell で、世界中のサービスが予防のために止まった 海外の政府・団体 オランダ政府のポータル (Overheid.nl) フィンランド政府の公開 Web サービ

    ス全部 フランス内務省の全サイト 英国政府の数十のサービス(予算責任 局など) Wikimedia 財団の周辺サービス 国内の企業(各社の告知) EC: BASE、カラーミーショッ プ、Creema エンタメ: pixiv、ニコニコ、Cygames のゲーム 仕事・生活: Chatwork、コドモ ン、SUUMO インフラ: JAL・九州電力・ALSOK の Web サイト 金融・公共(報道) 三菱 UFJ 銀行、みずほ銀行、地方銀行 のネットバンキングの一部 大和証券の口座開設などの手続き ANA の Web サイトの一部、JR 東日 本のビューカードのアプリ 財務省・厚生労働省の一部システム、 札幌市の公式サイト、首相の個人サ イト 修正版が出たのは 10 月 21 日 23 時(日本時間)で、各社はその前の夕方から 先に止め始めた。どこで PHP を使っているか、すぐ直せるかが分からない組織 は、止めるしかなかった。修正の出ない古い PHP のまま、サービスを終了した ゲームもある 出典: CNN、The Register、piyolog、Webセキュリティ診断センターの停止一覧(10/23 更新。各社の告知と時事通信などの報道を集約) 13 / 31
  11. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 実際の悪用は、修正版が出る前から始まっていた 10 月 17 日 Amazon のおとりサー バーに、公表の

    4 日前か ら悪用の試みが来ていた 10 月 20 日 脆弱性の詳細が修正前に外 部に漏れ、攻撃コードの試 作が出回り始めた まだ分かっていないこと 10 月 22 日の時点で、侵入されたと名前が公表され た組織はない。米 CISA や Huntress などは悪用を まだ観測していない。サービスを止めたことと、被害 に遭ったことは別の話だ 10 月 21 日 修正版の公開前に、ホス ティング事業者から悪用の 報告。Cloudflare は数百 万件の攻撃の試みを観測 した 10 月 22 日 watchTowr、香港の CERT などが悪用を確認。 Amazon は「広く悪用さ れている」とした。オラン ダの政府機関は、侵入に成 功した初期の兆候を調べて いる それでも油断できない理由 公表前から試されていた以上、修正版を当てても、そ れ以前に入られていないかは別に確かめる必要があ る。Amazon は 10 月 17 日以降のログを調べるよ う勧めている 出典: The Hacker News(Amazon の観測)、watchTowr、Hadrian、HKCERT、NCSC-NL、CISA、Huntress、Bitdefender、Sansec(いずれも 10/21〜22) 14 / 31
  12. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった ネットの基盤を支える技術で、深刻な脆弱性が相次いでいる Web サイトの約 7 割 サーバーの OS 通信の暗号化

    ドメイン名の変換 Web アプリの実行環境 業務システムの土台 PHP 10/21 に php2shell。認証なしで外 からサーバーを操作できる。首相が 注意を呼びかけ、国内外でサービス が止まった DNS(BIND 9) 定番の DNS ソフトで、5 月、9 月、10 月と修正が続いた。10 月の 分は遠隔からのコード実行につなが るおそれがある Linux カーネル 5 月の Copy Fail は、短いスクリプ ト 1 本で管理者権限を奪える。米 CISA が「実際に悪用されている」 と認定した Node.js 1 月と 10 月に修正版。10 月は遠隔 コード実行扱いを含む 10 件で、発 見には OpenAI の AI が関わった。 古い版は修正されない SSL/TLS(OpenSSL) 1 月に 12 件、6 月に 18 件を修正 し、1 月分は全件を AI が見つけた。 10 月には証明書の発行元の鍵が破ら れ、偽の HTTPS 証明書を作れる状 態になった Java Oracle の四半期ごとの修正で、 Java SE だけで毎回数十件(10 月 は 55 件)。2021 年の Log4Shell では部品 1 つが世界中に影響した どれも世界中のシステムが当たり前に使っている部品だ。ほかに WordPress、React、Rails でも深刻な脆 15 / 31 弱性が出ている
  13. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 何十年も見つからなかった穴を、AI が掘り起こしている OpenBSD:27 年前のコードの欠陥で、外から OS を停止させら れる。Anthropic の

    AI(Mythos Preview)が発見した FreeBSD:17 年前のファイル共有機能の欠陥を、AI が人の手を 借りずに見つけ、攻撃コードまで作った FFmpeg(動画処理):16 年間、自動テストにも人のレビューにも 引っかからなかった欠陥を見つけた OpenSSL:1 月の 12 件すべてを AI 企業の AISLE が発見した。 6 月の深刻な 1 件は Claude を使って見つかった PHP・WordPress:php2shell も wp2shell も、発見者は AI を 使っていた。「熟練チームで数か月かかる作業が、1 人で 1 週間に なった」(Wiz) Firefox を攻撃するコードが 実際に動いた数 2 → 181 前の世代のモデルと Mythos Preview の比較(Anthropic、2026-04)。1 世 代で別物になった 守る側が使えば早く直せる。ただ、同じ能力は攻撃する側も使える 16 / 31
  14. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった AI の開発元と政府自身が、はっきり警告している Anthropic(2026 年 4 月) Anthropic(2025 年

    11 月、2026 年 9 月) Google 脅威インテリジェンス(2026 年 5 月、10 月) 国家サイバー統括室(5 月)、国内の観測(10 月) 「AI は、最も熟練した人間を除くほぼ全ての人を、脆 弱性の発見と悪用で上回る水準に達した」「この能力が 広まるまで、そう時間はかからない」。そのため一般公 開を見送り、守る側の約 50 組織に限って提供した AI の助けで作られたとみられるゼロデイを使った、大 規模な攻撃の計画を阻止した。悪用される脆弱性は月 10.5 件から 18 件に増えた 国家の支援を受けたとみられる攻撃で、作業の 8〜9 割を AI が実行していた。その後も、攻撃の工程の大半 を AI に任せ、人は標的選びと最終確認だけをする例が 続いていると報告した 政府は、高性能な AI で攻撃が速く大規模になるとし て、既知の脆弱性をすぐ解消するよう注意喚起した。 10 月には GMO イエラエが、国内の攻撃元で中国発 の AI 侵入ツール ARTEX の使用を確認した 17 / 31
  15. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった AI 侵入ツール「ARTEX」が、国内の攻撃でも使われた ARTEX とは 中国発のオープンソースの自律型 AI エージェント。標的を渡すと、下調 べ、穴の発見、侵入までを人の手をほとんど借りずに進める。誰でも入

    手できる 韓国(9 月下旬〜10 月初め) 中国発のオープンソース。本来は、自社のシステムに穴 がないかを調べる「侵入テスト」を AI で自動化する道 具。それがそのまま攻撃に使われている 複数の金融機関への侵入に使われ、約 6.6〜6.8 万件の個人情報が流出し たと報じられた。CrowdStrike が、攻撃者の環境に残っていた ARTEX の設定ファイルと Claude Code の作業履歴から結びつけた。AhnLab は、ARTEX が検証環境のサーバー 4 台に自力で侵入するのを再現した 日本(10 月 19 日、GMO イエラエ) 相次ぐ不正アクセスの攻撃元の多くで AI の使用を確認し、ARTEX が使 われていたと発表した。最初に調べた攻撃元の標的は約 20 社で、うち 8 社が 9〜10 月に漏えいを公表している。同じ種類の攻撃用サーバーも新 たに 6 台見つかった 出典: ITmedia、マイナビ TECH+(GMO イエラエの発表、10/20〜22)、CSA 研究ノート・TechTimes(CrowdStrike、AhnLab の報告、10 月)。標的 数は報道により約 20 社と約 80 社で割れている 18 / 31
  16. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 侵入は、1 社あたり 25 ドルの作業になった Strix Cairn Hermes 下調べをして穴を探す

    → 侵入してデータを持ち出す → 全体を指示する 25 ドル 1 社に侵入する費用 1人 無料の攻撃ツール 3 つをつない だ単独犯 27 社以上 6 日間で侵入された組織 Gambit Security の報告(2026-09-22)。「AI のせいで被害が増えた」とまで言い切れる証拠はまだな い。ただ、AI が使われている観測と、速さ・安さ・量の変化は、複数の調査で一致している 19 / 31
  17. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった これは始まりにすぎない、と考えている 2026 年 4 月 Anthropic が Mythos

    を 限定公開。無料公開モデル との差は半年前後と見ら れ、Anthropic 自身も同 じ能力が広まるまで半年〜 1 年半とみていた 7月 英国の AI セキュリティ研 究所が、攻撃能力の差は 4〜7 か月に縮んだと発表 (2025 年は 6〜10 か 月)。国内で流出の公表が 増え始めた 9〜10 月 Anthropic が、中国製の 無料公開モデル GLM-5.3 は攻撃コードの作成で Mythos にほぼ並んだと報 告。安全対策はほぼ効かな い。同じ時期に、国内外で 大規模な流出が集中し、国 内の攻撃元では ARTEX も 見つかった これから 最先端の AI は今も進んで いて、9 月にはさらに新し いモデルが出た。無料公開 モデルも半年ほど遅れて追 いついてくる。同じことが 繰り返される可能性が高い 個人的な見立てとして、Mythos 級の攻撃能力が誰でも使える形で出回り始めたのが、ちょうど今だと考えてい る。こうした事案とリスクは、少なくとも半年から 1 年、悪ければ数年にわたって増え続けるはずだ。見つかっ た脆弱性の修正も世界中で追いついていない。今回の増加は一過性の波ではなく、この先の前提として備えたい 出典: Anthropic Frontier Red Team(9/29)、英 AI Security Institute(7/17)、JPCERT/CC、マクニカ、日本経済新聞(9 月から約 1 か月で世界で 延べ 3 億人超) 20 / 31
  18. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった リスクのフェーズが変わった これまで これから 攻撃の量は、攻撃者の人数と技術で決まっていた 狙われるのは、価値の高い大企業が中心 脆弱性が公表されてから突かれるまで数週間〜数 か月 「うちは小さいから狙われない」が通用した

    月に 1 回の点検で間に合った 攻撃の量は、AI を動かす費用で決まる。1 社あたり数 十ドル 公開されているものは全部が対象になる。会社の規模 や知名度は関係ない 修正が出る前か、出てから数時間〜数日で突かれる 穴があれば、いずれ見つかると考えたほうがいい 公表された当日〜数日で判断と対応が要る 攻撃者が相手を選んで狙う AI が、公開されているものを全部試す 21 / 31
  19. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった ピアッザも例外ではない この半年に起きたこと 海外から偽アカウントを量産され、詐欺への誘導に使われた (5 月〜) AI の API

    キーが漏れ、不正に課金された(5 月。全額返金 済み) ブラウザを装った自動アクセスで、公開記事をまとめて取得 された(10 月) 使っていた古いソフトに重大な脆弱性が出て、サイトを即日 閉鎖した(10 月) 脆弱性を探すアクセスは毎日来ている やってきたこと・やっていること 不正なアクセスを止める仕組み(WAF)を入れ、遮断を強 めた 古いサーバーをなくし、作り直して配る方式に移した アプリの土台(Rails など)を、サポートが続く版まで更新 している 攻撃者の目線での点検と、AI を使ったコードの点検 脆弱性の情報を自動で集める仕組み 残っている課題 サポートが終わった土台(Ruby、Rails など)の更新 点検で見つかった穴の修正 パスワード・鍵の整理と、漏えいを入口で止める仕組み 侵入や異常に気づく仕組み 事故が起きたときの手順と練習 22 / 31
  20. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 情報が流出すると、影響はセキュリティの範囲にとどまらない 利用者に被害が出る 名前や連絡先が、詐欺やなりすましに使われる。 地域の SNS は、住んでいる場所や生活に近い情 報を扱っている 法律上の報告と通知が必要になる

    個人情報保護委員会への報告や本人への通知を、 発覚から短い期限で求められる。準備がないと、 原因の調査と対応を同時に進めることになる 自治体や取引先の信頼を失う 私たちは行政やパートナーから情報を預かってい る。きちんと説明できなければ、契約や事業の継 続に影響する 普段の仕事が止まる 調査、復旧、問い合わせへの対応、再発防止に何 週間もかかる。人数の少ない組織ほど影響が大 きい ピアッザは、指定管理やエリアの開設で自治体と組み、デベロッパーなどの大企業とも一緒に事業をしてい る。一度の流出が、こうした相手の住民や顧客、事業にまで影響し、関係そのものを失うおそれがある 24 / 31
  21. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった まず、自分たちが何を動かしているかを把握する サービスとサイト アプリ本体だけでなく、LP、 キャンペーンサイト、問い合わ せフォーム、昔作ったまま残っ ているページ。外から見えるも のは、どれも入口になりうる 使っている外部サービスと技術

    サーバー、ライブラリ、SaaS、 委託先。それぞれについて、サ ポートが続いているか、誰が管 理しているか、パスワードや鍵 がどこにあるかを押さえる。他 社の流出の多くは、こうした部 品や委託先が入口だった 預かっているデータ 何を、どこに、いつまで持って いるか。持っていないデータは 漏れない。使い終わったデータ や使っていないサービスは消す 反省:LP とコーポレートサイトの WordPress と PHP が古いことは、前から分 かっていた。ただ、その手入れに人と時間を割けないまま後回しにしていて、 php2shell では直すより閉じるしかなかった。把握しているだけでは守れない。 手を入れる時間を確保して、初めて守れる 25 / 31
  22. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった セキュリティは、余裕があるときにやるものではない 時間を割く ソフトの更新や棚卸しは、新し い機能より後回しになりやす い。ただ、修正が出たらすぐ当 てられる状態は、普段から手を 入れていないと作れない お金を割く

    不正アクセスを止める仕組み、 異常の検知、外部の診断、保 険。どれも事故が 1 回起きたと きの損失よりは安い。攻撃する 側のコストが下がった分、守 る側は意識して投資する必要が ある 起きたときに備える 誰が判断するか、誰に連絡する か、何を止めるか。手順と連絡 先を先に決めて、一度は練習し ておく。準備があるかどうか で、被害の大きさが変わる 全部を完璧にするのは難しい。だから、外に出しているものを減らす、既知の脆弱性を早く直す、異常に気 づける状態にする、の 3 つから始めたい 26 / 31
  23. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 自分のアカウントが、侵入の入口になりうる 入口はシステムの脆弱性だけではない。人のアカウントや端末、普段の習 慣から入られることも多い。たとえば、 本物そっくりのメールやログイン画面に、パスワードを入れてしまう ほかのサービスで漏れたパスワードを使い回していて、そのまま入ら れる 便利そうなツールやブラウザ拡張に、パスワードを盗む仕掛けが入って いる

    誰のものか分からない共有アカウントが、気づかれないまま使われる 業務の情報を個人の AI やチャットに貼り、そこから外に出ていく AI は、こうした人を狙う攻撃の文面も自然な日本語で大量に作れる。自 分は大丈夫だと思わないことが出発点になる 忘れがちなこと 役職や担当に関係なく、会社のア カウントを持っている人は全員が入 口になりうる。攻撃する側は、組 織図を見て狙っているわけではない 28 / 31
  24. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 自分の情報も、いつ漏れてもおかしくない 今年の国内の流出だけでも、カーシェア、飲食店のアプリ、旅行予 約、ソフトウェア、ふるさと納税と、誰もが使うサービスが並んで いる。自分の名前や連絡先、パスワードは、もうどこかで漏れてい ると考えたほうが現実に近い 漏れた情報は、本人を狙った詐欺メールや、ほかのサービスへの ログインに使われる パスワードを使い回していると、1

    つの流出がほかのサービスに も広がる 自分が他社の流出の被害者になったことも、会社にとっては大事 な情報になる。その情報を使って会社宛ての攻撃が来るからだ 流出そのものは防げないこともある。だから、漏れても被害が広が らない状態を自分で作っておく 仕事と私生活は分けられない 守る対象は会社の情報だけでは ない。自分や家族の情報も同じ やり方で守る。普段の習慣は、 仕事でも私生活でも同じになる からだ 29 / 31
  25. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった 個人として気をつけること 2 段階認証かパスキーを設定する 仕事でも私生活でも、使っているアカウントすべて に。パスワードだけで入れる状態をなくす パスワードを使い回さない サービスごとに別のパスワードにして、覚えるのはパ スワード管理ツールに任せる

    共有アカウントを作らない どうしても必要なら、会社のパスワード管理ツール (Keeper)で共有する。チャットやスプレッドシー トにパスワードを書かない 業務の情報を、個人の AI やツールに入れない 本人確認書類や連絡先をチャットに貼らない。フォー ムやファイルの共有設定は、作るときに確認する 急がせるものを疑う 至急の対応を求めるメール、見慣れないログイン画 面、出どころの分からないツール。入力する前、入れ る前に一度確かめる おかしいと思ったら、すぐ共有する 確信がなくてもいい。自分の情報が他社で漏れたとき も知らせてほしい。知らせた人は責めない 30 / 31
  26. AI でセキュリティリスクのフェーズが変わった まとめ 1 AI で、狙われるかどうかではなく、穴があるかどうかが問われるようになった 脆弱性の数、悪用の数、流出の件数、突かれるまでの速さ。どの数字も同じ方向を向いていて、イン ターネットの基盤の技術も例外ではない。この状態は当面続くと考えている 2 会社として、何を動かしているかを把握し、守りに人と時間とお金を割く

    外に出しているものを減らし、既知の脆弱性を早く直し、異常に気づける状態にする。起きたときの手 順も先に決めておく 3 個人として、自分が入口にも被害者にもなりうる前提で動く 2 段階認証、パスワードを使い回さない、共有アカウントを作らない、おかしいと思ったらすぐ共有す る。仕事でも私生活でも同じように 31 / 31