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検証の型 ― AIが速い時代の批判的思考
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mkanda
September 19, 2026
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検証の型 ― AIが速い時代の批判的思考
アストロキャンプ2026 衛星データ解析ゼミ振り返りに使用したスライド
mkanda
September 19, 2026
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Transcript
ASTRO CAMP 2026 / 衛星データ解析ゼミ 検証の型 AIが速い時代に検証をどう設計し評価するか 衛星データ解析ゼミ企画から実際にやってみてわかったこと 事前学習8週間 +
合宿4泊5日 / 2026年9月
ゼミの動機:AI時代の人材需要 生成AIの登場で、解析コードも指標の選定もビジネス案も数分で手に入るようになった。 AIの出力を物理から疑える人を育成したい! AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ ゼミの概要 2
3つの到達目標 募集要項に「受講後にできるようになること」として公開した3つ。下が土台である。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ ゼミの概要 3
実施内容:8週間 + 4泊5日 基礎と検証の入口 Week 1-4 ・ 光学とSARの物理を、反射率と散乱機構から理解する ・ 動くのに物理的に誤ったAIコードから罠を狩る
設計と計画 Week 5-8 ・ 自治体課題を構造化し、解析計画書に落とす ・ 企業メンターの第1回レビューを受けて改訂する 実行と提案 合宿 4泊5日 合宿4日目。判別マップから費用対効果のスライ ドを組み立てているところ ・ 解析実行とファクトチェック3層、クロスレビュー ・ DemoDayで自治体向けに12分発表 2名×3チーム。全チームが同じ地域・同じデータを扱うので、結果の違いがそのまま議論の材料になる。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ ゼミの概要 4
課題:福島県浜通りの作付・休耕検出 1つの課題を3つの見方で捉えられるように設計した。 ① 入口の面白さ ② 技術的な問い ③ 社会的な文脈 宇宙から農地を見ると 光学だけでは
震災から 15年の 何がわかるか 区別がつかない 過渡期にある農地 AIが出したその地図は、本当に信用でき 雲・季節変動・収穫後の裸地。SARを足す 営農再開と休耕が混在する。継続観測は るのか と何が解決するのか 復興の定量的な記録になる 条件 対象は相馬市・南相馬市。データは Sentinel-1 と Sentinel-2。 農地ポリゴンは農地の範囲しか持たず、休耕かどうかのラベルはない。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ ゼミの概要 5
この資料の2つの話 B |今回わかったこと A |企画から今までの話 このゼミをやってみて 8週間と5日間で 先に進んだところ すでにやってきたこと ・
批判的思考は測れる形に書き直されていた ・ 検証するフェーズは絶対に必要である ・ AIは任意の場所で立ち止まれない ・ 検証するときは批判的思考が要る ・ どこで立ち止まるのか ・ 点と点をつなぎ縮尺を往復する AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ はじめに 6
根拠のない判断:4つの切れ目 4本のどこかが切れると検証できなくなる。だから最初に根拠をつなぐ。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ A|企画から今まで 7
ダブルダイヤモンド:絞り込みごとの検証 「なぜその答えに辿り着いたか?」「なぜ他を捨てたか?」を確かめる手続きが検証である。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ A|企画から今まで 8
V字モデル:検証できる範囲 要件 制約 仮説 やると決めたこと 守らなければならない条件 こうなるはずだという見込み。 正誤が後で分かる形で書く 検証の範囲はあとから広げられない。左端を書いた時点で決まっている。 AstroCamp
2026 衛星データ解析ゼミ A|企画から今まで 9
制約と要件:捨てられないもの ぶつかった制約 消えなかった要件 休耕かどうかの 正解データがない 判定し精度を示し 自治体に説明する 農地ポリゴンは「どこが農地か」しか教えてくれな 正解を待たず仮の正解(疑似ラベル)を自分たちで い。
つくり、 答え合わせをする相手がいない その正しさも疑った 正解がない状況で判定の根拠を自分でつくる。ここに批判的思考が要る。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ A|企画から今まで 10
ここまでが企画から今までの話 今回やってみて わかったこと 「検証には批判的思考が要る」で止まっていた。 やってみたら、その先に4つ進んだ。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ B|今回わかったこと 11
批判的思考の書き直し:態度から言動へ 批判的思考 1990年 気持ちの持ち方として書かれている。 やったかどうかを誰も確かめられない 懐疑的インテリジェンス(SKEPTICS) 書き直し 観察できる8つの言動に置き換えた。やったかどうかが手元に残る 結果 練習できて評価できる
「8つのうち6つ」と言えるようになった。次のページの表がその8つ AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ B|今回わかったこと 12
批判的思考の評価:SKEPTICS 8つともやったかどうかが外から見える。この8文字を覚えて帰ってほしい。 ステップ 何をするか S Solve 解きたいことをまず自分の言葉ではっきりさせる K Know AIの答えを見る前に自分の予想を書いておく
E Evidence 出どころをたどって自分の手で確かめる P Phrasings 聞き方や見る角度を変えてもう一度尋ねる T Tear down うまくいかない場合を先に考えておく I Independent 関わっていない人に意見をもらう C Conclusion 最後は自分で決める S Suspicion 決めたあとも疑いを持ち続ける AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ B|今回わかったこと 13
本ゼミの達成度:8つのうち6つ 外周まで届いた6つ 解析計画書/再現性ヘッダ/リスク表/ クロスレビュー/閾値の決定/ エラーが出ないコードを疑う 中心近くで止まった2つ K:答えを見る前に予想を書く P:聞き方を変えてもう一度尋ねる どちらも入口の言動。 出てきた答えを検証する練習はしたが、
問う前と問い方は扱っていなかった 3段階(回っていた/部分的/扱っていない)の定性評価であり、 評価シートの点数とは関係がない AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ B|今回わかったこと 14
怠惰なイノベーション:速さが押し出すもの 怠惰なイノベーション 見つけにくい理由 速さと流暢さだけが追われ、 手は動き成果物の出来もよい。 本当の新しさと判断が犠牲になる状態 止まる理由のほうが説明を求められる AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ
B|今回わかったこと 15
立ち止まる役目:AIと人の違い AI 人 問われたことに速く答え続ける 進んでいる手を自分の判断で止める 聞かれなければ、自分から止まることはない この問いでいいのか、この前提でいいのかを 誰にも頼まれずに確かめる AstroCamp 2026
衛星データ解析ゼミ B|今回わかったこと 16
5つの止まる場所 ① 問い そもそも解くべき問いか ② データ そのデータで本当に分かるのか ③ 結果 エラーが出ないコードを疑う
④ 伝え方 削りすぎて限界を落としていないか ⑤人 全員が分かっているか。 分かっていない人が言い出せるか 内側ほど手戻りが大きい。⑤はすべてを外側から包む AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ B|今回わかったこと 17
質問の量:場の人数との関係 条件は同じだった わかったこと DiscordのDMは常に開いていたし合宿中も質問を 教育がうまくいくかは質問できる環境をつくれるかで決まる。 受けていた。 相手のやる気を疑う前に場の大きさなど環境を見直す AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ
B|今回わかったこと 18
教えていない7つの素晴らしい言動 ⑤を教えていなかったのに、現場ではすでに起きていた。 現場で起きた言動 何が良かったのか 学年が上の相手に「その言い方は良くないと思う」と伝えた 上の立場の判断を下から止められた 「知ってる?」ではなく「自分も最近知ったんだけど」と言った 聞きにくさを聞かれる側が先に引き受けた 相手がどこまで知っているかを傷つけない言い方で聞いた 説明の出発点を推測で決めなかった
「え、じゃあどうやって説明しよう」と何度も立ち止まった 相手に合わせて説明を作り直していた チームの中で起きていたことに自分で名前をつけた 見えていなかった状態を扱えるようにした 最終日に自分から「ここを話したい」とマイクを取った 役割を与えられる前に自分で決めた 事実と仮説を行き来しながら現状の問題を調べ上げた どこまでが事実かの線を自分で引いた 誰も指示していない。必要になってその場で自分たちが考えついたものである。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ B|今回わかったこと 19
+α 「点と点を繋ぐ」構造化 ここまでは1つの主張を確かめる話だった。 ここからは離れたものを突き合わせて確かめる話に移る。
再現できる構造の作り方 この8週間と5日間で起きていたのは点と点をつなぐこと。 これらを深く考えて出てきた答えが「真に」次の現場に持っていくものになる。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ +α|点と点を繋ぐ 21
縮尺の往復:ローカルとマクロ ローカルだけを見ると マクロだけを見ると 画素のノイズや雲の影を作付の変化だと読み違える 市の平均に埋もれて現場の異常が消える どちらか一方では間違いに気づけない。だから縮尺を切り替えて確かめ直す。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ +α|点と点を繋ぐ
22
先人の型への追加:Z|Zoom Z|Zoom 縮尺を変えて同じ主張を確かめ直す なぜ E に入れないのか E は1つの証拠を出どころまで遡って確かめる。 つまり点の検証である Z
は別の縮尺の証拠と突き合わせる。 点と点をつなぐ検証であり E には収まらない 足した根拠:衛星画像(画素)と e-Stat・自治体への電話(市 全体)を 突き合わせて、片方だけでは気づけない誤りを見つけた AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ +α|点と点を繋ぐ 23
明日からの1手:聞く前の1行 ①の書き方の例 ①を飛ばすと 「NDVIは休耕地のほうが低いはず。 返ってきた答えが変かどうかを判断する基準が、 作物が生えていないから」 自分の中に何もなくなる AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ
まとめ 24
これから実践できる相手別・立場別の対応 縦が自分の立場で横が相手。 対 AI 自分が 動く 場を つくる 対人 ・
聞く前に自分の予想を1行書く ・ 分からないときに分からないと言う ・ エラーが出ないコードを疑う ・ どこまで伝わったかを相手の言葉で言ってもらう ・ 縮尺を変えて同じ主張を確かめ直す ・ 納得しないときは学年が上の相手にも言う ・ 要件・制約・仮説を先に書いて共有する ・ 質問ができる環境を整える ・ 結果は限界とセットで出す ・ 上の立場の人が先に弱みを見せる 下の段は自分が教える側・まとめる側に回ったときに使う。 研究室でもインターン先でもサークルでも同じである。 AstroCamp 2026 衛星データ解析ゼミ まとめ 25
結論:覚えておいてほしい4つ 1 検証のフェーズはこれからも必要 2 批判的思考は評価する 3 任意のポイントで意図的に立ち止まる 4 点と点をつなぎ縮尺を往復する 要件・制約・仮説を先に書く。書いていないことは確かめられない(P9)
観察できる8つの言動に書き直されている。凹んだのは入口の2つ(P13・P14) 止まる場所は5つ。問い・データ・結果・伝え方・人(P17) ローカルとマクロ。片方だけでは間違いに気づけない(P22)