Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Lean は証明の正しさを確認するためだけのツールって思ってませんか?
Search
Sponsored
·
SiteGround - Reliable hosting with speed, security, and support you can count on.
→
井上亜星
July 17, 2026
Programming
140
1
Share
Embed
Copy iframe code
Copy JS code
Copy link
Start on current slide
Lean は証明の正しさを確認するためだけのツールって思ってませんか?
井上亜星
July 17, 2026
More Decks by 井上亜星
See All by 井上亜星
Lean プロジェクトの依存関係を 自動更新する
inoueasei
1
70
Leanで本を執筆する
inoueasei
0
140
Lean言語は新世代の純粋関数型言語になれるか?
inoueasei
1
210
Other Decks in Programming
See All in Programming
AI時代、エンジニアはどう育つのか -未経験エンジニアの成長を間近で見て考えたこと-
thasu0123
0
220
komatsuna「分散システムにおけるバグ分析手法」
komatsunaqa
0
230
the container ship “Apple Silicon”@WWDC26 Recap -Japan-\(region).swift
shingangan
0
100
AI Engineeringは、AIプロダクトだけのものか? 〜AIがソフトウェアを作る時代の新しい当たり前〜 / No AI in your product. AI Engineering in your development.
rkaga
4
370
【やさしく解説 設計編・中級 #1】一つの車に、運転手は一人 ~ある倉庫システムの事例から~
panda728
PRO
0
200
数百円から始めるRuby電子工作
tarosay
0
130
わからない話を追いかけたら、プログラミング言語を作る側にいた
ydah
3
450
複数の Claude Code が"放置"されてしまう問題をCLI ダッシュボードを自作して解決した話
sumihiro3
1
660
霧の中の代数的エフェクト
funnyycat
1
470
プロポーザルを書いてもらう
pvcresin
0
220
「人を評価する AI」の設計と実装
ryoyanara
0
160
『コードを書く以外の』エンジニアリング〜課金基盤移行プロジェクト推進のためのTips4選
yuriko1211
0
570
Featured
See All Featured
The Organizational Zoo: Understanding Human Behavior Agility Through Metaphoric Constructive Conversations (based on the works of Arthur Shelley, Ph.D)
kimpetersen
PRO
0
400
Visualization
eitanlees
152
17k
WCS-LA-2024
lcolladotor
0
790
We Analyzed 250 Million AI Search Results: Here's What I Found
joshbly
1
1.7k
End of SEO as We Know It (SMX Advanced Version)
ipullrank
3
4.3k
For a Future-Friendly Web
brad_frost
183
10k
Skip the Path - Find Your Career Trail
mkilby
1
180
Google's AI Overviews - The New Search
badams
0
1.1k
Scaling GitHub
holman
464
140k
Marketing to machines
jonoalderson
1
5.6k
What Being in a Rock Band Can Teach Us About Real World SEO
427marketing
0
1.1k
Helping Users Find Their Own Way: Creating Modern Search Experiences
danielanewman
31
3.3k
Transcript
Lean は証明の正しさを 確認するためだけのツール …って思ってませんか? 2026年7月 AI for math
最近、AI が話題ですね
最近、AI が話題ですね 数学の証明も任せられるようになった 人間より賢いね
最近、AI が話題ですね でも AI が賢過ぎてチェックが難しい 「AI がこう書いてるから大丈夫やろ」 そんなわけない よね
最近、AI が話題ですね そこで Lean が注目を浴びている Lean は AI を信じちゃったりしないので より客観的に検証できる
でもちょっと待って
でもちょっと待って Lean は確かに証明の検証に有用 でも実像があまり広まってないのでは?
でもちょっと待って Lean は数学の証明の検証に役立つ… だけじゃない Lean の可能性をもっと見てほしい …という話をしたい
自己紹介 趣味で Lean の本を書いている 一般人 Lean by Example や 「ゼロから~」の著者
自己紹介 【宣伝】 ラムダノートが潰れないよう 応援してくれると嬉しい
自己紹介 本業はソフトウェア開発 【宣伝】 Proxima Technology という会社にいます 数学科卒を積極的に雇ってる会社です
自己紹介 本業はソフトウェア開発 【宣伝】 もし興味があれば会社のHP等から 連絡ください
そもそも Lean で証明がで きるのはなぜ? プログラミング言語なのに 証明も書けるって、冷静に考えると謎では
そもそも Lean で証明がで きるのはなぜ? いろんな誤解を見てきました
誤解1 論理式のゲーデル数を計算してる?
誤解1 論理式のゲーデル数を計算してる? そんなことをしたら計算が大変そう
誤解2 ZFC に基づいてるんでしょ?
誤解2 ZFC に基づいてるんでしょ? すごくたくさんある誤解 「数学の基礎と言えばZFC」だから?
誤解3 HoTT ってやつでしょ?
誤解3 HoTT ってやつでしょ? めっちゃ惜しい ホモトピー型理論(HoTT)は、 Lean 2 まではサポートされていた
誤解3 HoTT ってやつでしょ? HoTT を使うと自動証明が遅くなるから という理由で捨てられた、らしい
正解 カリー・ハワード同型対応を使い 依存型の中で述語論理をやっている
正解 カリー・ハワード同型対応を使い 依存型の中で述語論理をやっている 依存型については説明をしない (ぜひ拙著を読んでほしい)
正解 カリー・ハワード同型対応を使い 依存型の中で述語論理をやっている カリーハワード同型対応というのは、 「証明はプログラムだ」という同一視のこと
正解 カリー・ハワード同型対応を使い 依存型の中で述語論理をやっている ・命題は型 ・証明はその項 ・帰納法は再帰 などなど…。
正解 カリー・ハワード同型対応を使い 依存型の中で述語論理をやっている 特に、命題 P を証明するのは h : P という項を構成するのと同じ
正解 カリー・ハワード同型対応を使い 依存型の中で述語論理をやっている よってプログラムの型チェックが すなわち証明のチェックになる
正解 カリー・ハワード同型対応を使い 依存型の中で述語論理をやっている 「普段プログラム書いてて同型みを感じない」 という感想も観測するけど それは多分書いてる言語のせい 動的言語をメインで書いていませんか?
…だから何なんだろう
…だから何なんだろう Lean が「プログラミング言語でもある」 のはカリーハワード同型対応を使ってるから
…だから何なんだろう Lean がプログラミング言語でもあるということは Lean で書いたプログラムをLean 内で検証できる
…だから何なんだろう Lean は do 構文が Haskell より強力で for ループとか while
ループも書き放題 命令的プログラムの検証も Lean 内でできる(専用フレームワークがある)
…だから何なんだろう Lean では数学の証明しか書かないとしても 自動証明は Lean 内のプログラムとして書くので Lean がプログラミング言語でもあることは関係がある
カリーハワード対応の帰結まとめ ・Lean 自身がプログラミング言語 ・プログラムとその証明を一緒に書ける ・自動証明とも関連が深い
カリーハワード対応の帰結まとめ そもそもプログラムと証明の関連が深いと 言っている時点でおもしろいと思う 計算も論理もおもしろい対象だから 一緒に楽しめておトク(個人の感想です)
数学は今後どうなるのか
数学は今後どうなるのか 私の個人的な感想や妄想が混じります すみません
数学は今後どうなるのか 私は学部生のころ代数学をやって、 修士で計算機科学に移った
数学は今後どうなるのか 数学系の教室は理学部にあるが 計算機系の教室は工学部にあり めっちゃ歩かないといけない 改めて調べたら約500mでした
数学は今後どうなるのか ぼく「遠いなあ」テクテク…
数学は今後どうなるのか ぼく「遠いなあ」 ぼく「数学と計算機って両方やる人いないの?」
数学は今後どうなるのか ぼく「遠いなあ」 ぼく「数学と計算機って両方やる人いないの?」 ぼく「でも数学と計算機って近い分野では?」
数学は今後どうなるのか 計算機科学が数学にズブズブなのは周知の通り プログラマの採用でも数学科卒は 「できそう」って思われたりする
数学は今後どうなるのか 数学でも計算的な観点は重要で 数学的問題の動機に計算的な需要があったりする しかし、こっちはあまり意識されていない気がする
数学は今後どうなるのか たとえばユークリッドの互除法について x, y が互いに素なら a*x+b*y=1 となる a,b の 存在がわかって嬉しい!
という話がどの数論の教科書にも載っている
数学は今後どうなるのか しかし、互除法は高速でもある 速さに言及している数学系の本はあまりないが そこスルーするべきところか…? モヤモヤ
数学は今後どうなるのか あと、数学だと ・「存在する」と ・「具体的に計算できる」を 明示的に区別しない気がする それは大事な区別では?
数学は今後どうなるのか たとえば高校数学では 「正方形の対角線の長さは存在するので√2 は存在する」 という話を習うが 実際にどうやれば平方根が計算できるかは習わない
数学は今後どうなるのか ぼく「数学と計算機の間の橋が必要だ」
数学は今後どうなるのか ぼく「数学と計算機の間の橋が必要だ」 当時は Lean を知らなかったが、 今では Lean が橋になれるのでは?と思っている
数学は今後どうなるのか Lean で数学を学んだネイティブ世代が増えたら、 数学の語られ方やコミュニティは変わるのでは?
知らんけど
ご清聴 ありがとう ございました