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滑空スポーツ講習会2019 第7回 札幌 「安全なウインチ曳航の理論と実践」 / jsa sa...

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滑空スポーツ講習会2019 第7回 札幌 「安全なウインチ曳航の理論と実践」 / jsa safety seminar 2019 safety winch operation

日時:2020年3月7日(土)10:30 – 12:00 / 13:00-17:00
場所:札幌駅前ビジネススペース 2K 地図
主催:公益社団法人日本滑空協会  
後援:国土交通省 航空局
「安全なウインチ曳航の理論と実践」 
(公社)日本グライダークラブ 津久井 潤

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JSA seminar

March 07, 2020

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Transcript

  1. 内容 1. 自己紹介 2. ウインチ安全活動を始めるきっかけとなった出来事 3. 英国と日本のウインチ事故統計比較 4. ウインチ曳航中で最も多い事故要因は何か? 5.

    ウインチ曳航中の力学 6. ローテーション中の力学 7. 初期上昇中のストール 8. 100フィート以下のパワーロス 9. パワーロスに引き続くストールとスピン 10.まとめ 11.我々は何ができるだろうか?何をすべきか? 2
  2. 自己紹介 • 1964年:栃木県足利市生まれ • 1983年:東京工業大学 航空研究部入部, 在学中は飛ぶことよりもウインチ製作に没頭 • 1986年:東工大式2連ウインチ完成 •

    1987年:自家用操縦士滑空機上級取得 動力滑空機練習中 • 1988年:操縦教育証明取得 • 1989年〜1994年:Narromineにて300km、500kmクロスカントリー • 1993年〜2009年:宇宙船の開発に没頭 • 2010年〜2015年:グライダー活動休止 • 2016年:滑空界に復帰 • 2017年〜2019年:ウインチ導入プロジェクト • 2020年現在:板倉、関宿、妻沼を拠点に活動 日本グライダークラブ会員/インストラクター 東京工業大学/東京理科大学コーチ 動力滑空機限定変更挑戦中 宇宙ステーション補給機「こうのとり」 飛行時間850時間 3
  3. 英国と日本のウインチ事故統計比較 50 英国ではBGAがウインチ 安全キャンペーンを開始 37.5 日本でグライダー 事故が多発した年 25 英国 12.5

    0 日本 1974-1981 1982-1993 1994-2005 2006-2017 ウインチ曳航に係る事故の移り変わり〜死亡もしくは重傷者の人数 出典 JSA INFO 2019 JULY #318「ウインチ安全に係る日英統計比較(津久井)」 を修正 5
  4. 英国と日本のウインチ事故統計比較 表1 英国と日本のウインチ事故統計比較(日英の発航数の違いを考慮*) 死亡もしくは重症 日本(2010-2017) 139,000回のウインチ曳航に1人 英国(1974-2005) 85,000回のウインチ曳航に1人 日本の2010〜2017ウインチ発航数 :

    278,922回(JSA INFO滑空統計より筆者集計) 英国の1974〜2005ウインチ発航回数:9,000,000回(BGAサイトより) 表2 英国と日本のウインチ事故統計比較(日英の期間の違いを考慮*) 死亡もしくは重症 日本(2006-2017) 60,000回のウインチ曳航に1人 英国(2006-2017) 510,000回のウインチ曳航に1人 日本の2006〜2009ウインチ発航数は、2010〜2017統計と同じレベルと仮定 英国の2006〜2017発航回数は1974〜2005と同じレベルと仮定) *その他詳細は出典を参照 出典 JSA INFO 2019 JULY #318「ウインチ安全に係る日英統計比較(津久井)」 を修正 6
  5. 英国と日本のウインチ事故統計比較 ウインチ安全に係る日英統計比較からわかること Keep Winch Launching Safe • 英国:2005年にウインチ安全キャンペーンを始 め、次の12年間でウインチ曳航に係る事故が1/ 6に減少した

    • 日本:2005年にグライダー事故が多発して(7回 中ウインチ事故2回)、各種対策が打たれたものの その後ウインチ曳航に係る事故率に変化がなかった • 英国は日本の10倍の安全率を達成している © Mike Fox Progress 2006-2017 Safe launch essentials There was a fatal 50 winch accident in 2017 after a launch 40 failure under rotor 30 and a turn into sink 20 so intense that it 10 was not possible to complete a 360° turn from 300ft. 1982-1993 1994-2005 2006-2017 WING-TIP HOLDER STOP THE LAUNCH if there is an up or down force at the tip. Winch fatal and serious injuries There were no accidents in 2017 from a winch stall or spin. Well done everyone! There were 4 accidents from a wing drop. Publications A new edition of the Safe Winch Launching booklet was published in October 2017. Please secure your own copy from your club or from the BGA website. The booklet stresses how everyone involved in a winch launch can help ensure that it is safe. PILOT • If you have difficulty in keeping the wings level before take-off, release before the wing touches the ground. • After take-off, maintain a shallow climb until adequate speed is seen with continued acceleration. Then allow the glider to rotate at a controlled pace. • If power is lost near the ground, immediately lower the nose to the appropriate recovery attitude. • After power loss in mid-launch, adopt the recovery attitude, wait until the glider re-gains a safe approach speed, and land ahead if it is safe to do so. Beware of a turn into sink from strong winds or wave. Continued vigilance is crucial. 3OHDVHKHOSPDNH DQDFFLGHQWIUHH\HDU www.gliding.co.uk/safewinchlaunching Please help make 2018 an accident-free year BRITISH GLIDING ASSOCIATION BGA Safe Winch Launching Poster 我々は何ができるだろうか?何をすべきか? https://members.gliding.co.uk/library/safe-winchlaunching-safety/safe-winch-launching-poster/ 7
  6. ウインチ曳航中で最も多い事故要因は何か? Fatal and Serious Winch Injuries fatal stall/spin fatal other

    serious injury stall/spin The most c serious injury other • ,I\RX releas • $IWHUW is seen rotate immed attitud • After p wait un ahead 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 1974-1981* 1982-1993 1994-2005 2006-2017 $GRZQORDGDE simulated win A DVD contai voiceover wa The fatal and serious injury winch accident rate in the last 12 are also avail years is a vast improvement on the previous rate but we need to https://members.gliding.co.uk/wp-content/uploads/sites/3/2015/04/ continue to work hard at safe winch launching if the current accident www.gliding WinchBookletWeb-1.pdf rate is to be maintained and driven even lower. In the space a 8 This booklet contains advice for keeping safe at each stage of a winch BGA HP Safe Winch Launchより
  7. ウインチ曳航中で最も多い事故要因は何か? ウインチ曳航中の事故の要因 • 翼端が接地して起こるグラウンドループや側転 • 初期上昇中のストールに起因する翼の落下や背面へのフリックロール • 100フィート以下でのパワーロスによるストールや地面へのダイブ • 曳航中盤でのパワーロスによるストールやスピン

    • 曳航中盤でのパワーロスに引き続くリカバリー後のオーバーシュートや アンダーシュート、場周後の着陸中の衝突 • 地上での索のもつれもしくは飛行中の索への衝突 致死事故の主要因:初期上昇中のストールと曳航中盤でのパワーロス後のスピン 重傷事故の主要因:この2つに加え100ft 以下でのパワーロス後のストール BGAの安全キャンペーンの結果 上記ウインチ曳航に起因する事故は1/6に減少 ストールとスピンに限っては1/10に減少 9
  8. ウインチ曳航中で最も多い事故要因は何か? 原因 事例 クラブリベレ(日本2005)*2 要因と対策 (事故調査報告書等) ウインチ発航中に適切な速度を獲得しない 初期上昇時、高度30~40m で右に傾き反転 うちに上昇姿勢を取ったことにより同機の

    し墜落。死亡。 ・十分な速度を確認した後に上昇 ・機体の特性を事前に十分把握して飛行 姿勢が不安定となり、その後の修正操作が 機首を下げることなくエルロンだけで行わ れたため、右翼が失速状態になり、裏返し となって地面に衝突 クラブリベレ(英国1991) *3 離陸直後の急激な機首上げによるスピン ・クラブリベレが索角5 で 50 の上昇角を 離陸後急激な上昇姿勢となり、約25mでス とると失︎速︎49kt(90km/h)となると分析さ ピン、ほぼ垂直に墜落 れた プハッチ (日本2005)*2 強い背風における離陸上昇であったため ・背風での曳航が要因 離陸時から︎速度が遅く、浅い角度で上昇を に、十分な対気︎速度が得られず失︎速しスピ ・背風の限界を設定する 続けたがピストからの高度約100mで機首 ンに陥り低高度であったために回復できず ・異常運航時のインストラクターのテイクオ を少しさげてからスピンで2旋転し墜落。2 墜落。 ーバー ・ウィンチドライバーを含む CRM 名死亡。 プハッチ(英国1991) *3 曳航後期での機首上げすぎ? ・曳航後期で︎上昇角5 でも索張力と機首上 ウィンチ曳航で上昇し約 300mで曳航索離 げ角の関係で失速︎する状況がある 脱前にスピ ン、左2旋転し、一旦リカ バー ・スピン回復後の上げ舵による反対方向へ したが右にスピンし墜落。 2名死亡。 の2次スピ ン *1 表は、「ウインチ曳航ガイドブック〜安全に飛ぶノウハウとCRM〜相島正敏 *2 国土交通省運輸安全委員会事故調査報告書 *3 “Accidental Spins Off Winch Launches” Bill Scull, Sailplane & Gliding 1991.12/1992.1とその訳文 日口裕二/津久井潤 *1と3は右参照 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251 13 J︎AL-G-K004P issue 4, 2019. 1. 5」を改訂
  9. ローテーション中の力学 ウインチ曳航初期 定常上昇開始 理論上の発航点 離陸 地上滑走開始 初期フェーズ (ほぼ水平) 地上滑走中の機首上げモーメント 重心

    ョン ーシ 上昇経路角 テ ロー 地上滑走 索引方向 張力 張力 定常上昇 グライダーの速度 グライダーに働く力の釣り合い 行 飛 力 揚 重力 対 気 経 路 速 度 機首上げにつれ、機首上げ モーメントが小さくなる 索速度+向風速度 索速度が大きく、上昇角が大き い程、対気速度が大きくなる 張力 重力が大きく、上昇角が大きい程、 張力が大きくなる 18 The First Few Seconds -最初の数秒間著者 P. J. Goulthorpe 出典 Sailplane & Gliding /訳 津久井潤 原文、訳文共 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251
  10. ローテーション中の力学 機首上げ中 テー ロー ン ショ グライダーの加速 垂直速度の増加 対 気

    速 度 ここでの10degは大きな垂直速度増加をもたらす 速度の増加は垂直方向に発生するため、加速は垂直方向であり、 ローテーション角速度と上昇角に応じて増加する。垂直加速度は 機体の見かけの重さを増加させる。 ここでの10degは小さな垂直速度増加をもたらす 定常水平速度(索速度+向風速度) 力の釣り合い 機首上げの初期;浅い上昇、小さな加速 =小さな張力 機首上げの後期;深い上昇、大きな加速 =大きな張力 垂直方向の加速により見かけの 重量が増加した力の三角形 経 行 飛 重力 路 重力 力 揚 揚力 垂直方向の加速がない状態での 力の三角形、見かけの重量は変 わらない 経路 飛行 張力 張力 19 The First Few Seconds -最初の数秒間著者 P. J. Goulthorpe 出典 Sailplane & Gliding /訳 津久井潤 原文、訳文共 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251
  11. 初期上昇中のストール アドバイス:初期上昇中のストールを防ぐために • 機軸のずれが大きい状態で離陸しない • 継続的な加速と共に適度な速度が得られるまで、浅い上昇姿勢を保つ • 離陸時の水平飛行からフルクライム(約35度)までの遷移をコントロールし、 少しずつアップを取り、そして少なくとも遷移時間を5秒確保する 実用的な考察:

    • 継続的な加速を感じつつ、速度計の示す速度が予め決められた最低安全速度 (失速速度の 1.5 倍)に達するまで、浅い上昇姿勢(10~15 度)を保つ • 最低安全速度に達したら、適切なペースでフルクライムへとピッチアップする • 速度のモニタを継続 • もし速度が落ちるようであればピッチアップのレートを遅くする • ウインチ操作が適切であれば、ほとんどのグライダーは、自律的に安全に離陸 し上昇姿勢へと遷移して行く 20 Safe Winch Launching / ウインチ曳航を安全に BGA Safe Winch Launching Initiative /訳 津久井潤 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251
  12. 初期上昇中のストール • ウインチの性能はパワーだけではない! • 最低安全速度以上の索速度が出せるか確認しよう! グライダータイプ 1.5Vs(1G)* 最小索速度 推奨索速度 (真夏/背風)

    K6/K8 45kt(83km/h) 50kt(93km/h) 55kt(102km/h) K13/軽量単座 50kt(93km/h) 55kt(102km/h) 60kt(111km/h) K21/ スタンダードクラス 55kt(102km/h) 60kt(111km/h) 65kt(120km/h) グライダータイプ毎の索速度の目安 ターボ機/ 水バラスト搭載機 60kt(111km/h) 出典:Winching Operations, BGA, p.6 Recommended Cable Speed 65kt(120km/h) 70kt(130km/h) *1.5Vs:1Gの状態でグライダーがフルクライムに移行する目安 出典:Winching Operations, BGA, p.6 Recommended Cable Speed 21
  13. 100フィート以下のパワーロス 問題4:15度の姿勢で上昇中に50ktで索が切れました。速度を回復するため勢いよく機 首を下げる動作が2秒遅れてしまうと、どれくらい速度が落ちてしまうでしょうか? ◦ 5kt ◦ 10kt ◦ 15kt 問題5:フルクライム姿勢への移行中、Vwを超えてしまったら何が起こるでしょうか?

    ◦ フラッター ◦ 何も起きない ◦ 壊れる可能性がある 問題6:50ftの高度で浅い上昇姿勢にいるとき、Vwを20kt超過する80ktの速度が 出てしまったとき、どうしたらよいでしょう? ◦ 離脱する ◦ アップをきつくする ◦ ラダーを振って「ウインチ速い」の合図をする ◦ 何もしない 22 出典BGA Safe Winch Launching Quiz https://members.gliding.co.uk/bgasafety-management/safe-winching/ safe-winch-launching-quiz/
  14. 100フィート以下のパワーロス アドバイス:100 フィート以下でのパワーロスからリカバリーするために • 曳航不良が発生したら、即座に機首を下げ適切なリカバリー姿勢に入れる • 適切な姿勢と安全な速度を確保するまでは、エアブレーキを用いない • 50フィート以下、55ノット以下での模擬パワーロス訓練はインストラク ターデモンストレーションのみとする

    実用的な考察: • 前述のウインチプロファイルのガイドラインに従う • 横風の時には、300 フィートに達してから横風修正 • パワーロスが発生したら、機首をすばやく抑えて、適正な姿勢に。0.5秒単 位で効果が異なる • 地表面近くでのパワーロスで、速度が非常に遅ければ、エアブレーキなし でのランディングを 23 Safe Winch Launching / ウインチ曳航を安全に BGA Safe Winch Launching Initiative /訳 津久井潤 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251
  15. パワーロスに引き続くストールとスピン アドバイス: • リカバリー姿勢に入れる • アプローチ速度が回復するまで旋回やエアブレーキの使用を控える • 前方が安全であれば、そこに着陸する 実用的な考察: •

    フルクライム中速度の減少を感じたら、操縦桿を緩めて翼の荷重を軽減 • 速度が予め決められた下限を下回ったら、離脱して索切れ処置の手順に従う • パワーロス後リカバリーダイブ姿勢に入れる • アプローチ速度の回復まで5秒必要 • アプローチ速度が回復したら前を見て、そこが安全ならそのまままっすぐ着 陸前方が安全でなければ、離陸前に決めておいた方向へ旋回 • 時間が許せば離脱操作 24 Safe Winch Launching / ウインチ曳航を安全に BGA Safe Winch Launching Initiative /訳 津久井潤 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251
  16. まとめ • BGAが重点を置くウインチ事故要因別対策をまとめる • これまで説明してきた以外の要因についても載せており、BGAキャンペーン 資料の熟読をお勧めします ステージ 危険 翼端が地面につ くとグライダー

    は側転するかグ ラウンドループ に陥る 回避策 実践する事項 • 手をリリースノブの上に置 • ストラップを固く締める いて曳航を始める • 隣の索を認識する。地上滑走 • 水平が保てないときは、即 中に隣の索に近づいたら索を 座にリリースする 地上滑走 25 リリースする • 機軸ずれに備える • 翼を正しく保つ • 翼端と共に走る • 翼の水平を確認する • 翼が落下したら地面につく前 にリリースする • 初めての型式でのフライトは 穏やかな条件下で行なう Safe Winch Launching / ウインチ曳航を安全に BGA Safe Winch Launching Initiative /訳 津久井潤 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251
  17. まとめ ステージ 危険 上昇初期でのス トール/スピン 回避策 実践する事項 • 顕著に機軸がずれている状 •

    荒れた地面や背風での地上滑 態で離 陸することを避け る • 加︎速の継続を感じつつ、適 走を 短くするために操縦桿を 引かない • 十分な︎速度が得られるまで穏 切な速︎度が得られるまで穏 初期上昇 やかな上昇を保つために操縦 桿を前に倒すことが必要であ やかな上昇を維 持する • 離陸時の水平飛行からフル れば、それを行なう クライ ム(約 35 度)への • 対気︎度をモニターし必要なら 遷移を徐々に行 ない、少 ピッチアップレートを下げる なくとも 5 秒は時間をか ける Safe Winch Launching / ウインチ曳航を安全に BGA Safe Winch Launching Initiative /訳 津久井潤 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251 26
  18. まとめ ステージ 危険 100フィート以 下での曳航不良 後のストールも しくはハードラ ンディング 初期上昇 回避策

    実践する事項 • 曳航不良となったら即座に • 300フィート以下で横風に対 適切なリカバリー姿勢へと 機首を下げる。反応時間を 最小化することが重要であ る • 適切な姿勢となり十分な︎速 する偏流修正を行なわない • 速度が超過しても索をリリース しない。数百フィートまで穏 やかな上昇を維持し、その後 リリースするか 合図を送る 度を得るまでエアブレーキ • エアブレーキをクセで開けて しまうことに気をつけるこ を使わない と。曳航不良時は注意して使 • 50フィート以下、55 ノ うか、まったく使わないこと ット以下での曳航不良の模 擬はインストラクターによ • 索をリリースしないこと。自 然離脱するに任せること るデモのみとする Safe Winch Launching / ウインチ曳航を安全に BGA Safe Winch Launching Initiative /訳 津久井潤 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251 27
  19. まとめ ステージ 危険 曳航不良後の、 ストール、スピ ン、 ヘビーラン ディング 回避策 実践する事項

    • リカバリー姿勢に入れる。 • 対気速︎度が下がったら、翼の 十分な︎速度を得るまで旋回 荷重を減ずる。対気︎度がスト したりエアブレーキを使っ たりしない • 前方の安全が確認できたら 着陸する ール︎速度の1.5 倍以下に下が ったらリリ ースすることを考 慮する • アプローチ速︎度まで加︎するた めのリカバリーダイブは約 5 秒を要する 上昇中期 曳航不良後にコ ントロールを回 復するが引き続 くストール、ア ン ダーシュー ト、オ ーバーシ ュート、 ヘビー ランディ ング、 衝突 • 離陸前に様々な場合に備え • 訓練中に、訓練生がミスした て、複数の場周パターンを 用意する 28 ら、インストラクターは早い 段階で操縦をテイクオーバする こと Safe Winch Launching / ウインチ曳航を安全に BGA Safe Winch Launching Initiative /訳 津久井潤 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251
  20. ウインチ曳航中で最も多い事故要因は何か? 解答1:経験の浅いパイロット 単独飛行でこのタイプの事故に遭遇するパイロットのうち 77%は 100 時間未満の経験しかありません。 つまり、事故の発生率は教育や訓練で減少させることができる、と言えるでしょう。 解答 2:ストールとフリックロール 対気︎速度が遅くピッチアップのレートが早いと、索がついていてもグライダーはストールやスピンに陥り、致命的

    な事故に至ります。 1G のストール︎速度が 34ktであるグライダーは、20 度/秒でピッチアップすると(離陸時の水平姿勢から2秒で40 度の上昇姿勢に入れることに相当)、約50ktで失速します。 解答3:ストールとスピン 数百ftの高度で深い上昇姿勢中にパワーロスが起きると、リカバリーダイブの初期に姿勢が大丈夫そうに見えて も、速︎度はストール速︎度以下となっている可能性があります。アプローチ速︎度を回復するまでリカバリーダイブ を維持することが重要です。加︎速を得る前に操作をしてしまうとストールやスピンに陥る場合があります。 出典BGA Safe Winch Launching Quiz 32 https://members.gliding.co.uk/bgasafety-management/safe-winching/safewinch-launching-quiz/
  21. 100フィート以下のパワーロス 解答4:15kt 2秒遅れると機首下げしても速度は35ktにしかなりません。グライダーはストールしクラッシュしてしまうかもしれ ません。 パワーロス後即座に機首を下げることは安全なリカバリーに無くてはならない操作です。リアクション時間を0.5秒 以内に抑えることができれば、機首下げを終えた時点での速度は43ktになります。 解答5:何も起きない ウインチ曳航の終盤でパイロットが目一杯アップ一杯を取っているとき、グライダーがひどい上方向へのガストに見 舞われたとき、機体を守るためにVwが設定されています。 曳航の最初の3分の1では構造にかかるストレスは穏やかなので、Vwをときどき超える程度であれば、注意してお

    くくらいで良いでしょう。 解答6:何もしない 数百ftまで上昇してからリリースするか、速度超過が穏やかになってから合図を送りましょう。 リリースすると索端のパラシュートが開き、索が翼や尾部に巻きついてしまいます。アップをきつくするとヒューズ が破断し、リカバリーが難しくなるでしょう。合図をすると尾部に過大なストレスをかけることになります。 ※ 訳者注: 無線を使わない場合の合図として、「速い」はラダーで左右に尾部を振り、「遅い」はエルロンで主翼 を左右に振ることが行われる。この方法は無線が使えない場合以外には推奨されない。 出典BGA Safe Winch Launching Quiz 33 https://members.gliding.co.uk/bgasafety-management/safe-winching/safewinch-launching-quiz/
  22. ローテーション中の力学 【地上滑走】 離陸前の加速は全てウインチオペレータによって制御され、地上滑走中の加 速度はおよそ0.5G 。その加速度で速度を増加させてゆくと、グライダーは 4秒以内、地上滑走距離にして 150ft 以内で 離陸速度に達する。 索の張力は、グライダーの下方、重心の下の作用点(レリーズ位置)で水平方

    向に働くため、機首上げのモーメントが発生する。もし、パイロットがこれ を認識していなければ、離陸速度に達するや否や過度の機首上げが起こる (図2a)。 索の張力はそのうち重心の近くを通り、不必要な機首上 げモーメ ントを減らし、そしてグライダはコントロールを取り戻す(図2b)。 The First Few Seconds -最初の数秒間著者 P. J. Goulthorpe 出典 Sailplane & Gliding /訳 津久井潤 原文、訳文共 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251 34
  23. ローテーション中の力学 【機首上げ】 ウインチオペレータが索の速度を一定に保った状態で、今度は離陸後の加 速度のコントロールをパイロットが担う。パイロットがグライダーを上昇 姿勢に入れて行くと、速度が増加して行く。さらに姿勢角が深くなるにつ れてその影響はより顕著になる。上昇が非常に急角度であれば、姿勢のわ ずかな変化が大きな速度の変化をもたらす(図1c)。そのために、上昇角が 深くなればなるほど、機首上げによってグライダーの速度がより速くな る。 短い機首上げの間、索はおよそ水平で、グライダーの速度の水平成分

    は変化せず、一定の索の速度+向かい風の速度に等しくなる。速度の全て の増加分は垂直方向に発生する。 よって機首上げ中、グライダーの加速度 の全ては垂直方向に発生する。垂直加速度の影響はグライダーの重量を増 加させる。例えば、垂直方向の 0.5G は、グライダーの重量をその半分程 増加させる。 35 The First Few Seconds -最初の数秒間著者 P. J. Goulthorpe 出典 Sailplane & Gliding /訳 津久井潤 原文、訳文共 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251
  24. ローテーション中の力学 【機首上げ】 (続き) 曳航中のあらゆる点で、グライダーに働く3つの力、つまり重量、索張力、揚力 がバランス して釣り合いの三角形を形作る。重量は垂直下方に、(曳航初期で は)索張力は 水平に、揚力は(いつでもそうだが)飛行経路に垂直に働く(図1b)。 よって、飛行経路が深くなる程、釣り合いの三角形はその形を変え、索張力と 揚力が重量とともに増えて行く。

    つまり、垂直加速度で重量が増えれば、同じ 比率で索張力と揚力も増える(図1 c)。 よって機首上げの間、索張力は、上昇角の増加に伴って増えるだけでなく、加 速度それ自体によってもさらに増加する(同様に同じことが揚力や翼面荷重にも 起こる)。グライダーが機首上げし、姿勢が深くなる程、索張力は急速に大きく なり、機首上げのレートに敏感になる。 そのため、急激な機首上げは索に過大 な荷重をかけ、過度な索張力がかからないような上昇姿勢においても、索もし くはウイークリンクを破断してしまう可能性がある。曳航中の最もク リティカ ルな瞬間は、初期の上昇姿勢を確立させて、姿勢が最も深くなった時になる。 この ポイントが近づくにつれて機首上げのレートを減らしてゆくのが最良の方 The First Few Seconds -最初の数秒間法となる。 著者 P. J. Goulthorpe 出典 Sailplane & Gliding /訳 津久井潤 36 原文、訳文共 http://www.jsal.or.jp/?page̲id=3251